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公開番号2024122070
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-09
出願番号2023029393
出願日2023-02-28
発明の名称異常診断装置
出願人大阪瓦斯株式会社
代理人弁理士法人R&C
主分類H01M 8/04664 20160101AFI20240902BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置の提供。
【解決手段】燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した、原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過大流量状態が検出されている、又は、過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、原燃料供給路に水が混入していると判定する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
施設に設置される燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した情報に基づいて前記燃料電池装置で発生する異常の内容を診断する異常診断装置であって、
前記燃料電池装置は、外側容器、及び、当該外側容器の内部空間に設けられる内側容器を有するホットモジュールを備え、前記ホットモジュールは、前記内側容器の内部に、供給される改質用水を気化させる気化器、原燃料を前記気化器から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器、前記改質器から燃料ガス供給路を介して供給される前記燃料ガスを用いて発電する複数の燃料電池セルを有するセルスタック、及び、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部を備え、
前記燃料電池装置は、
前記内部空間の外部から前記改質器へ原燃料を供給する原燃料供給路と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に原燃料を供給する原燃料供給器と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に供給される原燃料の単位時間当たりの流量を測定する原燃料流量測定器とを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に前記目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、前記所定期間内に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、前記第1設定流量より小さく且つ前記第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路に水が混入していると判定する異常診断装置。
続きを表示(約 3,900 文字)【請求項2】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされ、且つ、前記第3判定条件が満たされない場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する請求項1に記載の異常診断装置。
【請求項3】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路への原燃料の供給を遮断可能な原燃料遮断弁を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態である間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという第4判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路で原燃料の供給を受けていないと判定する請求項1に記載の異常診断装置。
【請求項4】
前記燃料電池装置は、
前記内側容器の外部に排出される、前記燃焼部での燃焼により発生したガスを含む排出ガスと熱媒体との熱交換を行う排熱回収用熱交換器と、
前記排熱回収用熱交換器で前記熱媒体と熱交換した後の前記排出ガスが流れる排出ガス流路と、
前記排熱回収用熱交換器で前記熱媒体と熱交換した後の前記排出ガスに含まれる凝縮水を分離する気液分離部と、
前記気液分離部によって分離された凝縮水が流れる水回収路と、
回収した凝縮水に含まれる不純物を除去する水精製器と、
前記水精製器によって不純物が除去された水を、前記水蒸気改質に用いる前記改質用水として貯える改質用水タンクと、
前記改質用水タンクに貯えている前記改質用水を前記気化器に供給する改質用水供給器と、
前記改質用水タンクから前記気化器に供給される前記改質用水の電気伝導度を測定する電気伝導度計と、を備え、
前記原燃料供給器は前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前記目標原燃料流量になるように出力を調節するように構成され、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記電気伝導度計で測定される前記電気伝導度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器の出力が徐々に増加して上限出力に達しており、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前記目標原燃料流量よりも小さく、前記電気伝導度計で測定される前記電気伝導度が所定の正常値よりも高いという第5判定条件が満たされる場合、前記ホットモジュールの異常であると判定する請求項3に記載の異常診断装置。
【請求項5】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料遮断弁が閉状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされる場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する請求項4に記載の異常診断装置。
【請求項6】
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料遮断弁が閉状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされない場合、前記原燃料流量測定器の異常であると判定する請求項4に記載の異常診断装置。
【請求項7】
前記燃料電池装置は、前記内側容器の内部の温度を測定する内部温度測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記燃料電池装置が発電運転中に前記原燃料供給器の出力と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、前記内部温度測定器によって測定される温度と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされる場合、前記原燃料流量測定器の異常であると判定する請求項5に記載の異常診断装置。
【請求項8】
前記燃料電池装置は、前記内側容器の内部の温度を測定する内部温度測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、発電状態で前記原燃料供給器の出力と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、前記内部温度測定器によって測定される温度と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされない場合、前記原燃料供給器の異常であると判定する請求項5に記載の異常診断装置。
【請求項9】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記圧力測定器によって測定される計測圧力とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記第8判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器が動作中に前記原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に前記圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされる場合、前記圧力測定器の異常であると判定する請求項7又は8に記載の異常診断装置。
【請求項10】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記圧力測定器によって測定される計測圧力とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記第8判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器が動作中に前記原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に前記圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされない場合、前記原燃料供給路への原燃料の供給不良、前記ホットモジュールの異常、及び、前記原燃料遮断弁の異常であると判定する請求項7又は8に記載の異常診断装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に設置される燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した情報に基づいて燃料電池装置で発生する異常の内容を診断する異常診断装置に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2016-184319号公報)には、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられるシステムが記載されている。
具体的には、特許文献1に記載のシステムでは、発電システムが故障した場合、発電装置の各部位に設けられた複数の検出手段それぞれでの検出信号履歴を含む故障データが生成される。そして、データベースに記録された過去故障時データの中から、今回の故障時の故障データと相関関係が強い相関故障時データが選択される。更に、選択された相関故障時データに対応付けられた故障診断結果及び故障対応記録が出力される。このように、特許文献1に記載のシステムでは、今回の故障が発生した場合に検出される検出信号履歴を含む故障時データと相関関係が強い過去故障時データを特定し、今回の故障も、その相関関係が強い過去故障時データと同様の故障原因によって発生したものと見なしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-184319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相関関係の強さという統計的な手法によらずに、燃料電池装置の動作状態を診断する手法も求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る異常診断装置の特徴構成は、施設に設置される燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した情報に基づいて前記燃料電池装置で発生する異常の内容を診断する異常診断装置であって、
前記燃料電池装置は、外側容器、及び、当該外側容器の内部空間に設けられる内側容器を有するホットモジュールを備え、前記ホットモジュールは、前記内側容器の内部に、供給される改質用水を気化させる気化器、原燃料を前記気化器から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器、前記改質器から燃料ガス供給路を介して供給される前記燃料ガスを用いて発電する複数の燃料電池セルを有するセルスタック、及び、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部を備え、
前記燃料電池装置は、
前記内部空間の外部から前記改質器へ原燃料を供給する原燃料供給路と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に原燃料を供給する原燃料供給器と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に供給される原燃料の単位時間当たりの流量を測定する原燃料流量測定器とを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に前記目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、前記所定期間内に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、前記第1設定流量より小さく且つ前記第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路に水が混入していると判定する点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、原燃料供給路に水が混入していると判定する。つまり、異常診断装置は、原燃料流量測定器の測定結果に現れる異常についての診断結果を自動で決定できる。
【0008】
例えば、燃料電池装置が有する複数の測定器のうちの少なくとも一つの測定器の測定結果に異常が現れたという事実のみに基づいてメンテナンス担当者などが出動した場合、その場でメンテナンス担当者がその異常についての診断結果を下す必要がある。ところが本特徴構成では、異常診断装置がその異常についての診断結果の特定を自動で行うため、メンテナンス担当者などはその診断結果に応じた準備を事前に行った上で出動できる。
従って、燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置を提供できる。
【0009】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされ、且つ、前記第3判定条件が満たされない場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に所定の目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされない場合、原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナの異常であるという診断を自動で行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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