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公開番号2024121700
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028942
出願日2023-02-27
発明の名称走査型イオンコンダクタンス顕微鏡
出願人国立大学法人金沢大学
代理人弁理士法人平和国際特許事務所
主分類G01Q 60/44 20100101AFI20240830BHJP(測定;試験)
要約【課題】時間分解能が高い走査型イオンコンダクタンス顕微鏡を提供する。
【解決手段】走査型イオンコンダクタンス顕微鏡1は、プローブ55と対象物93とのZ方向の距離を変化させるZスキャナー66と、プローブ電極54とプローブ外の電解質液92との間の電流を計測する微小電流計測器51と、微小電流計測器51の出力信号を処理するフィルター部20と、フィルター部20の出力に基づいてホッピングモードでZスキャナー66の動作を制御する制御装置10とを備える。フィルター部20は、プローブ55を対象物93へと近づけるアプローチ速度が第1速度より速いときに、前記出力信号に対して所定の遮断周波数よりも低い信号を逓減させるバンドパスフィルター又はハイパスフィルター41で処理した信号を出力する。制御装置10は、フィルター部20から出力された信号に基づいて、プローブ55の先端と対象物93とが近接したか否かを判定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電解質液に対象物が浸された試料と内部にプローブ電極が設けられた計測用のプローブとのZ方向の距離を変化させるように構成されたZスキャナーと、
前記プローブ電極と前記プローブ外の前記電解質液との間を流れる電流を計測するように構成された微小電流計測器と、
前記微小電流計測器の出力信号を処理するフィルター部と、
前記フィルター部から出力された信号に基づいて、ホッピングモードで前記Zスキャナーの動作を制御するように構成された制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記プローブを前記対象物へと近づけるときのアプローチ速度を第1速度より速い速度として、前記Zスキャナーに前記プローブを動作させることができるように構成されており、
前記フィルター部は、前記アプローチ速度が第1速度より速いときに、前記出力信号に対して所定の遮断周波数よりも低い信号を逓減させるバンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号を出力するように構成されており、
前記制御装置は、前記フィルター部から出力された信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定するように構成されており、
前記第1速度は、100nm/ms以上である、
走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
前記制御装置は、前記アプローチ速度に応じて、前記フィルター部に前記遮断周波数を変更させるように構成されている、請求項1に記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項3】
前記フィルター部は、前記出力信号に対して前記バンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号を10倍以上に増幅して出力するように構成されている、請求項1又は2に記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項4】
前記所定の遮断周波数は、0.01kHz以上である、請求項1又は2に記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項5】
前記フィルター部は、
前記出力信号に対して所定の遮断周波数よりも高い信号を逓減させるローパスフィルターで処理した信号を出力するように構成された第1回路と、
前記出力信号に対して前記バンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号を出力するように構成された第2回路と
を有しており、
前記制御装置は、
前記アプローチ速度が前記第1速度以下のときには、前記第1回路から出力された信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定し、
前記アプローチ速度が前記第1速度より速いときには、前記第2回路から出力された信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定する
ように構成されている、
請求項1に記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項6】
前記制御装置は、前記アプローチ速度に応じて、前記フィルター部に、前記第1回路の前記遮断周波数である第1遮断周波数又は前記第2回路の前記遮断周波数である第2遮断周波数を変更させるように構成されている、請求項5に記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項7】
前記第1遮断周波数は、50kHz以下であり、
前記第2遮断周波数は、0.01kHz以上である、
請求項6に記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記第1回路から出力された信号を用いるときには、前記信号が基準値から所定割合低下したことを検出したときに前記プローブの先端と前記対象物とが近接したと判定し、
前記第2回路から出力された信号を用いるときには、前記信号が所定の閾値よりも大きくなったことを検出したときに前記プローブの先端と前記対象物とが近接したと判定する
ように構成されている、
請求項5乃至7の何れかに記載の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡。
【請求項9】
電解質液に対象物が浸された試料と内部にプローブ電極が設けられた計測用のプローブとのZ方向の距離を変化させるように構成されたZスキャナーと、
前記プローブ電極と前記電解質液との間を流れる電流を計測するように構成された微小電流計測器と、
前記微小電流計測器の出力信号に対して所定の遮断周波数よりも低い信号を逓減させるバンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号を出力できるように構成されたフィルター部と、
前記フィルター部から出力された信号に基づいて前記Zスキャナーの動作を制御するように構成された制御装置と
を備える走査型イオンコンダクタンス顕微鏡の前記制御装置に、
前記プローブを前記対象物へと近づけるときのアプローチ速度を100nm/ms以上である第1速度より速い速度として、前記Zスキャナーに前記プローブを動作させることと
前記アプローチ速度に応じて、前記フィルター部に前記遮断周波数を変更させることと、
前記アプローチ速度が第1速度より速いときに、前記フィルター部から取得した前記バンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定することと、
前記判定の結果に基づいて、ホッピングモードで前記Zスキャナーを動作させることと
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
前記フィルター部は、
前記出力信号に対して所定の遮断周波数よりも高い信号を逓減させるローパスフィルターで処理した信号を出力するように構成された第1回路と、
前記出力信号に対して前記バンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号を出力するように構成された第2回路と
を有しており、
前記制御装置に、
前記アプローチ速度が前記第1速度以下のときには、前記第1回路から出力された信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定することと、
前記アプローチ速度が前記第1速度より速いときには、前記第2回路から出力された信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定することと
を実行させるための請求項9に記載のプログラム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡に関し、特に時間分解能が高い走査型イオンコンダクタンス顕微鏡に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡の一種である走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(scanning ion conductance microscope, SICM)が知られている。走査型イオンコンダクタンス顕微鏡は、ナノピペットと呼ばれるガラス細管をプローブとして利用し、電解質液が充填されたナノピペット内の電極と試料を浸した電解質液中の電極との間に生じるイオン電流の変化に基づいて、プローブ先端と対象物表面との距離を制御し、対象物の表面を走査する。走査型イオンコンダクタンス顕微鏡の利点の一つは、プローブが測定対象物に触れないことであり、生細胞の画像化などが可能な点である。例えば、特許文献1には、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡に係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2011-511286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走査型イオンコンダクタンス顕微鏡では、時間分解能の向上が一つの課題とされている。本発明は、時間分解能が高い走査型イオンコンダクタンス顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡は、電解質液に対象物が浸された試料と内部にプローブ電極が設けられた計測用のプローブとのZ方向の距離を変化させるように構成されたZスキャナーと、前記プローブ電極と前記プローブ外の前記電解質液との間を流れる電流を計測するように構成された微小電流計測器と、前記微小電流計測器の出力信号を処理するフィルター部と、前記フィルター部から出力された信号に基づいて、ホッピングモードで前記Zスキャナーの動作を制御するように構成された制御装置とを備え、前記制御装置は、前記プローブを前記対象物へと近づけるときのアプローチ速度を第1速度より速い速度として、前記Zスキャナーに前記プローブを動作させることができるように構成されており、前記フィルター部は、前記アプローチ速度が第1速度より速いときに、前記出力信号に対して所定の遮断周波数よりも低い信号を逓減させるバンドパスフィルター又はハイパスフィルターで処理した信号を出力するように構成されており、前記制御装置は、前記フィルター部から出力された信号に基づいて、前記プローブの先端と前記対象物とが近接したか否かを判定するように構成されており、前記第1速度は、100nm/ms以上である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、時間分解能が高い走査型イオンコンダクタンス顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、一実施形態に係る走査型イオンコンダクタンス顕微鏡の構成例の概略を示すブロック図である。
図2は、得られる信号とプローブ先端から対象物表面までの距離との関係を模式的に示す図であり、実線は第1回路で得られる電流値を模式的に示し、破線は第2回路で得られる信号値を模式的に示す。
図3は、対象物表面の画像を取得するときの走査型イオンコンダクタンス顕微鏡の動作例の概略を説明するためのフローチャートである。
図4は、第1方法によるデータ取得に係る動作例の概略を説明するためのフローチャートである。
図5は、第2方法によるデータ取得に係る動作例の概略を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(scanning ion conductance microscope, SICM)に係る。走査型イオンコンダクタンス顕微鏡は、開口直径が例えば10-100nm程度のナノピペットをプローブとして、プローブと対象物との距離に応じたイオン電流の値を利用して、溶液中の対象物を非接触的に走査し、対象物の表面形状を特定する。走査型イオンコンダクタンス顕微鏡は、例えば細胞表面をナノスケールで可視化することが可能である。本実施形態に係る走査型イオンコンダクタンス顕微鏡は、特に、ホッピングモードで高速に画像を取得できるように構成されている。
【0009】
[装置構成]
図1は、本実施形態に係る走査型イオンコンダクタンス顕微鏡1の構成例の概略を示すブロック図である。走査型イオンコンダクタンス顕微鏡1は、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡1の各部の動作を制御して対象物の画像を作成する制御装置10を備える。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を備える。制御装置10は、その他、一般的なコンピュータが備えるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ、各種インターフェース、入力装置等を備える。制御装置10は、記憶装置や各種回路内に記録されたプログラムに従って動作する。
【0010】
走査型イオンコンダクタンス顕微鏡1が画像化の対象とする対象物93は、これに限らないが、例えば細胞である。本実施形態の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡1は、特に、固定処理などを施していない生細胞を対象物93とすることができる。試料90において、対象物93は、試料容器91に入れられた電解質液92に浸されている。
(【0011】以降は省略されています)

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