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公開番号2024121413
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028515
出願日2023-02-27
発明の名称ビス三環芳香族エン化合物、ゲスト分子包摂材料、及びクロミック材料
出願人国立大学法人京都大学
代理人個人
主分類C07D 401/10 20060101AFI20240830BHJP(有機化学)
要約【課題】ビス三環芳香族エン(BAE)構造を有し、クロミック特性等の様々な特性を示す新規化合物を提供する。
【解決手段】本発明に係る化合物は、下記化学式(I)によって表される。この化合物を含んだゲスト分子包摂材料及びクロミック材料も提供される。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>JPEG</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024121413000032.jpg</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">44</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">69</com:WidthMeasure> </com:Image>
式中、S/Dは、単結合又は二重結合である。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
下記化学式(I)によって表される化合物。
JPEG
2024121413000029.jpg
44
69
式中、
S/Dは、単結合又は二重結合であり、
Aは、下記化学式(A1)又は(A2)によって表される部位であり、
JPEG
2024121413000030.jpg
55
42
式(A1)中、


の各々は、互いに独立に、環構造を含んだ任意の置換基であり、
式(A2)中、


の各々は、互いに独立に、環構造を含んだ任意の置換基であり、
Lは、アリーレン基又はヘテロアリーレン基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


、X

、及びX

の隣接する2つは、互いに結合して、環構造を形成していてもよく、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


、X

、及びX

の隣接する2つは、互いに結合して、環構造を形成していてもよく、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、
2つのX

は、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
下記化学式(II)によって表される、請求項1に記載の化合物。
JPEG
2024121413000031.jpg
45
80
式中、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、
隣接するX

及びX

は、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
【請求項3】


の各々は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基、又はハロゲン原子である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
S/Dは、二重結合である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】


の各々は、互いに独立に、環構造を含んだ置換基を有するアルキル基であるか、又は、シクロアルキル基、脂肪族ヘテロ環基、アリール基、若しくはヘテロアリール基であり、


の各々は、互いに独立に、環構造を含んだ置換基を有するアルキル基であるか、又は、シクロアルキル基、脂肪族ヘテロ環基、アリール基、若しくはヘテロアリール基である、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
S/D、A、L、及びX

乃至X

は、前記化合物が鏡像異性体を有さないように選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
結晶状態における空間群がP2

/cである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
結晶状態において、ゲスト分子を含んだゲスト分子包摂材料を形成するように構成されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項9】
結晶状態における発光ピーク波長は、470nm乃至510nmの範囲内にある、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項10】
固体状態間での相転移によって発光色が変化するように構成されている、請求項1又は2に記載の化合物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ビス三環芳香族エン(Bistricyclic Aromatic Enes;BAEs)構造を有する新規化合物に関する。また、本開示は、ゲスト分子包摂材料及びクロミック材料にも関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロニクスの研究分野は目覚ましい発展を遂げている。特に、センサ及びディスプレイ等への応用の観点から、有機エレクトロニクス材料の柔軟性及び刺激応答性が大きな注目を集めている。外部刺激による発光特性の制御も重要な課題のひとつである。
【0003】
刺激応答性のクロミック化合物として、過密(Overcrowded)BAE構造を有する化合物が研究されている。例えば、非特許文献1には、中心環部が五員環=六員環である非対称BAE構造を有する、特定のフルオレニリデン-アクリダン誘導体が開示されている。この文献では、上記化合物が、BAE構造におけるTwisted型とFolded型との間の立体配座変化に起因するマルチクロミック特性を示すことが報告されている。また、非特許文献2には、中心環部が七員環=六員環=七員環である非対称BAE構造を有する、特定の化合物が開示されている。この文献では、この化合物が、BAE構造におけるSyn型とAnti型との間の立体配座変化に起因するマルチクロミック特性を示すことが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Wang, Y.; Ma, Y.; Ogumi, K.; Wang, B.; Nakagawa, T.; Fu, Y.; Yutaka Matsuo, Y. Equilibrium and thermodynamic studies of chromic overcrowded fluorenylidene-acridanes with modified fluorene moieties. Commun. Chem. 2020, 3, 93
Ishigaki, Y.; Hayashi, Y.; Suzuki, T. Photo- and Thermal Interconversion of Multiconfigurational Strained Hydrocarbons Exhibiting Completely Switchable Oxidation to Stable Dicationic Dyes. J. Am. Chem. Soc. 2019, 141, 18293-18300
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、過密BAE構造を有する種々の化合物の検討が進められているが、中心環部が七員環=六員環である非対称BAE構造を有する化合物についての研究は、未開拓である。特に、このような化合物が示す特異な性質については、未だ報告されていない。
【0006】
そこで、本発明は、BAE構造を有する新規化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、様々な特性を有する材料、特に新たなゲスト分子包摂材料及びクロミック材料を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
[1]下記化学式(I)によって表される化合物。
JPEG
2024121413000002.jpg
44
69
式中、
S/Dは、単結合又は二重結合であり、
Aは、下記化学式(A1)又は(A2)によって表される部位であり、
JPEG
2024121413000003.jpg
55
42
式(A1)中、


の各々は、互いに独立に、環構造を含んだ任意の置換基であり、
式(A2)中、


の各々は、互いに独立に、環構造を含んだ任意の置換基であり、
Lは、アリーレン基又はヘテロアリーレン基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


、X

、及びX

の隣接する2つは、互いに結合して、環構造を形成していてもよく、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


、X

、及びX

の隣接する2つは、互いに結合して、環構造を形成していてもよく、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、
2つのX

は、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
[2]下記化学式(II)によって表される、[1]に記載の化合物。
JPEG
2024121413000004.jpg
45
80
式中、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、


の各々は、互いに独立に、水素原子又は任意の置換基であり、
隣接するX

及びX

は、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
[3]X

の各々は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基、又はハロゲン原子である、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4]S/Dは、二重結合である、[1]乃至[3]の何れかに記載の化合物。
[5]R
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、BAE構造を有する新規化合物が提供される。また、本発明によると、新たなゲスト分子包摂材料及びクロミック材料も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、化合物(E1)の

H-

H NOESY NMRスペクトルを示している。
図2は、化合物(E1)の単結晶X線構造解析の結果を示している。
図3は、化合物(E1)乃至(E3)の結晶構造パラメータを示している。
図4は、化合物(E1)の異なる溶媒中における蛍光スペクトル測定の結果を示している。
図5は、化合物(E1)及び(CE2)における発光極大ν
max
の溶媒極性への依存性を示している。
図6は、化合物(E1)の異なる組成の溶媒中における蛍光スペクトル測定の結果の一部を示している。
図7は、化合物(E1)の固体状態における蛍光スペクトルの変化を示している。
図8は、化合物(E1)の粉末X線回折パターンの変化を示している。
図9は、化合物(E1)の合成したままのサンプルに対する、粉末及び単結晶X線回折パターンの比較を示している。
図10は、化合物(E1)における固体状態間の相転移挙動を示す概念図である。
図11は、化合物(E2)の固体状態における蛍光スペクトルの変化を示している。
図12は、化合物(E3)の固体状態における蛍光スペクトルの変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一態様に係る化合物及びその製造方法について説明する。また、併せて、本発明の一態様に係るゲスト分子包摂材料及びクロミック材料についても説明する。なお、図面又は化学式を参照する場合、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号又は記号を付し、重複する説明は省略する。
(【0011】以降は省略されています)

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