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公開番号2024120771
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027805
出願日2023-02-24
発明の名称溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法および成分分析システム
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類G01N 21/63 20060101AFI20240829BHJP(測定;試験)
要約【課題】溶融亜鉛めっき浴中のドロスを連続的に精度よく定量する。
【解決手段】本発明に係る溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法は、Znに対するFeおよびAlの各信号強度比を含む強度データを取得するデータ取得工程と、強度データを積算して積算後の積算強度データに基づきめっき浴中の固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度を算出する濃度算出工程と、を有し、さらに、異なる積算回数の積算強度データに基づき、積算回数毎に対応する溶融亜鉛めっき浴中の固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度を算出する第1のステップと、異なる積算回数の積算強度データに基づいた固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度について比較する第2のステップと、第2のステップにおける比較の結果に基づいて濃度算出工程における強度データの積算回数を決定する第3のステップと、を有する積算回数決定工程を有する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
パルスレーザ光の溶融亜鉛めっき浴への照射により生じる溶融亜鉛のプラズマ発光をレーザ誘起ブレークダウン分光法に基づいて分光分析し、Znに対するFeおよびAlの各信号強度比を含む強度データを取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程において得られる前記強度データを積算して、積算後の積算強度データに基づき、溶融亜鉛めっき浴中の固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度を算出する濃度算出工程と、
を有する、溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法において、
さらに、前記濃度算出工程における前記強度データの積算回数を決定する積算回数決定工程を有し、
前記積算回数決定工程は、
異なる積算回数の前記積算強度データに基づき、前記積算回数毎に対応する溶融亜鉛めっき浴中の固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度を算出する第1のステップと、
異なる積算回数の前記積算強度データに基づいた前記固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度について比較する第2のステップと、
前記第2のステップにおける比較の結果に基づいて、前記濃度算出工程における前記強度データの積算回数を決定する第3のステップと、を有する、溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記第2のステップにおいて、前記固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度に関する最大偏差を算出し、
前記第3のステップにおいて、所定の閾値より小さい前記最大偏差の算出に用いられた最小の前記積算回数に基づき、前記濃度算出工程における前記強度データの積算回数が決定される、請求項1に記載の溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法。
【請求項3】
前記第2のステップにおいて、前記固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度に関する相関係数を算出し、
前記第3のステップにおいて、所定の閾値より大きい前記相関係数の算出に用いられた最小の前記積算回数に基づき、前記濃度算出工程における前記強度データの積算回数が決定される、請求項1に記載の溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法。
【請求項4】
パルスレーザ光を溶融亜鉛めっき浴に照射するレーザ装置と、
前記パルスレーザ光の照射により生じる溶融亜鉛のプラズマ発光を検出する検出部と、
レーザ誘起ブレークダウン分光法に基づいて前記プラズマ発光を分光分析し、Zn、FeおよびAlの各信号強度を含む強度データを取得し、前記各信号強度を含む強度データを処理する信号処理部と、
前記強度データを積算して、積算後の積算強度データに基づき、溶融亜鉛めっき浴中の固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度を算出する濃度算出部と、
前記濃度算出部における前記強度データの積算回数を決定する積算回数決定部と、を有し、
前記積算回数決定部は、
異なる積算回数の前記積算強度データに基づき、前記積算回数毎に対応する溶融亜鉛めっき浴中の固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度を算出し、
異なる積算回数の前記積算強度データに基づいた前記固体粒子状Feおよび/または固体粒子状Alの濃度について比較し、
比較して得られた結果に基づいて、前記濃度算出部における前記強度データの積算回数を決定するように構成されている、溶融亜鉛めっき浴の成分分析システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融亜鉛めっき浴の成分分析方法および成分分析システムに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
合金化溶融亜鉛めっき(GA:Galva-Annealed)鋼板の溶融亜鉛めっき工程における課題として、溶融亜鉛めっき浴(以下、「めっき浴」と称する)中に存在するボトムドロスに起因するドロス疵の発生による歩留低下や生産能力低下がある。ボトムドロスは、鋼板からめっき浴中に溶出した鉄と溶融亜鉛とのFe-Zn化合物粒子である。当該ボトムドロスは鉄成分を含むため密度が高く、めっき浴において沈降し、めっき槽の底部に沈殿、堆積する。堆積したボトムドロスは、めっき浴中における鋼板の搬送に伴って生じる随伴流により巻き上げられ、鋼板の表面に付着し得る。表面に付着したボトムドロスが搬送ロール等により押し込まれることにより、ドロス疵が生じ得る。このようなドロス疵はめっき鋼板の外観不良を生じさせるため、溶融亜鉛めっき鋼板の歩留を低下させる要因となっている。一方で、ボトムドロスの随伴流による巻き上げを防止するためには、鋼板の搬送速度を低減させる必要があり、この場合生産能力が低下する。
【0003】
その中で、特に、粗大に成長したボトムドロスが、めっき鋼板の品質に影響を与え得る。例えば、下記特許文献1には、ボトムドロスの粒径が100μm程度の大きさになると、製品品質が問題となることが開示されている。また、特に厳しい品質が要求されるめっき鋼板においては、粒径がさらに小さいボトムドロスでも問題となることが開示されている。
【0004】
このようなドロス疵の発生を抑制するためには、ドロスが操業中のめっき浴中にどの程度存在するかを監視することが重要である。例えば、下記特許文献2には、溶融亜鉛めっき浴中からサンプルを採取し、当該サンプルを冷却凝固させて酸で溶解し、当該サンプルからドロスを分離させ、当該ドロスを直接分析する技術が開示されている。
【0005】
ところで、特許文献3においては、試料中の各成分を連続的に分析する方法として、被測定物にレーザを照射して、得られたプラズマ発光スペクトルから特定の基準元素を選定し、各組成のスペクトルから各成分との相対比を計測する、レーザ誘起ブレークダウン分光法(LIBS:Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)を用いた方法が提案されている。さらに、特許文献4においては、このようなレーザ誘起ブレークダウン分光法を溶融材料の分析に適用した方法および装置が開示されている。特許文献4においては、亜鉛メッキプロセスにおけるAl濃度の測定についても、具体的に開示されている。
【0006】
めっき浴中のドロスについての測定結果を連続的に取得する方法として、非特許文献1および非特許文献2に開示された技術が開発されている。非特許文献1および非特許文献2に開示されているドロスの測定方法は以下のとおりである。すなわち、まず、めっき浴中に挿入したノズルを介してめっき浴中にパルスレーザを照射してプラズマ発光させ、当該プラズマ発光を検出し、分光してプラズマ発光スペクトルを取得する。次に、プラズマ発光スペクトルから、Znのスペクトル強度[Zn]、Alのスペクトル強度[Al]およびFeのスペクトル強度[Fe]を含む強度データを取得し、各強度データについて、[Zn]に対する[Al]のAl強度比[Al]/[Zn]、および[Zn]に対する[Fe]のFe強度比[Fe]/[Zn]を算出する。
【0007】
次に、複数の強度データに係るAl強度比およびFe強度比についてそれぞれヒストグラム化し、ヒストグラム波形を解析し、めっき浴中において溶融状態のAlおよびFe(それぞれ、Free-AlおよびFree-Feと称する)の濃度、およびドロス状のAlおよびFeの濃度を導出する。具体的には、上記のヒストグラムのうち度数が高い集団における強度を示す信号がFree-AlおよびFree-Feに由来する信号であると判断し、当該度数が高い集団から外れている集団をドロスに由来する信号であると判断する。そして、各集団における強度比の代表値(例えば中心値、平均値等)から、Free-AlおよびFree-Feの濃度、並びにAlドロスおよびFeドロスの濃度を算出する。このように、LIBS法を用いた解析により、めっき浴内のドロスの状態を連続的に監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2003-171750号公報
特開2000-131314号公報
特開2004-132919号公報
特表2005-530989号公報
【非特許文献】
【0009】
E.Baril,et.al.,“Novel Method for On-Line Chemical Analysis of Continuous Galvanizing Baths.”,Galvatech2004 Conference Proceedings,2004.
A.Nadeau,et.al.,“Lab Free Pot Chemistry Monitoring:LIBS Brought to the Next Level.”,Galvatech2015 Conference Proceedings,2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載のドロスの分析方法では、サンプルを採取し、冷却凝固させ、酸で溶解してドロスを分解するという工程を含んでいるため、ドロスについての測定結果を迅速に取得することは困難である。また、上記分析方法はバッチ処理であるため、めっき浴中に存在するドロスを連続的に、リアルタイムで観察することは困難である。
(【0011】以降は省略されています)

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