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公開番号2024124849
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032798
出願日2023-03-03
発明の名称薄鋼板および連続鋳造鋳片
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240906BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】本発明は、0.4~2%Mn含有鋼板においてMnSの生成を抑制しつつ、さらに低融点酸化物の生成を抑制し、且つ酸化物組成を制御することにより酸化物の圧延による破砕性を向上させ、割れ(クラック)起点となる介在物の少ない高清浄化鋼板を提供することを課題とする。
【解決手段】0.4~2%Mn含有鋼であって、S≦0.0034%、O≦0.0040%に制限し、鋼板内部に含まれる粒径5μm以上の酸化物の組成および鋳片内部に含まれる粒径10μm以上の酸化物の組成が以下の式1~式3を満足するようにした鋼板および連続鋳造鋳片。
80≦CaO(%)+REM2O3(%)+Al2O3(%)
・・・・式1
5≦REM2O3(%)≦25
・・・・式2
Al2O3(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C :0.05%以上0.48%以下、
Si:0%以上0.60%以下、
Mn:0.40%以上2.0%以下、
Al:0.003%以上0.080%以下、
Ti:0%以上0.060%以下、
Cr:0%以上0.70%以下、
Ca:0.0003%以上0.0050%以下、
REM:0.0010%以上0.0050%以下、
Cu:0%以上0.05%以下、
Nb:0%以上0.05%以下、
V :0%以上0.05%以下、
Mo:0%以上0.05%以下、
Ni:0%以上0.05%以下、
B :0%以上0.0050%以下、を含有し、残部が鉄および不純物からなり、前記不純物のうちP、S、O、Nを、
P:0.020%以下、
S:0.0034%以下、
O:0.0040%以下、
N:0.0075%以下、
に制限し、
厚さ方向断面において面積等価円換算粒径5μm以上の介在物の平均組成が以下の式1~3を満たすことを特徴とする鋼板。
80≦CaO(%)+REM



(%)+Al



(%)
・・・・式1
5≦REM



(%)≦25
・・・・式2
Al



(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
但し、CaO(%)、REM



(%)、Al



(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
前記鋼板の断面における面積等価円換算粒径5μm以上の介在物の個数密度が1.5個/mm

以下である、請求項1に記載の鋼板。
【請求項3】
質量%で、
C :0.05%以上0.48%以下、
Si:0%以上0.60%以下、
Mn:0.40%以上2.0%以下、
Al:0.003%以上0.080%以下、
Ti:0%以上0.060%以下、
Cr:0%以上0.70%以下、
Ca:0.0003%以上0.0050%以下、
REM:0.0010%以上0.0050%以下、
Cu:0%以上0.05%以下、
Nb:0%以上0.05%以下、
V :0%以上0.05%以下、
Mo:0%以上0.05%以下、
Ni:0%以上0.05%以下、
B :0%以上0.0050%以下、
を含有し、残部が鉄および不純物からなり、前記不純物のうちP、S、O、Nを、
P :0.020%以下、
S :0.0034%以下、
O :0.0040%以下、
N :0.0075%以下、
に制限し、
厚さ方向断面において面積等価円換算粒径10μm以上の介在物の平均組成が以下の式1~3を満たすことを特徴とする連続鋳造鋳片。
80≦CaO(%)+REM



(%)+Al



(%)
・・・・式1
5≦REM



(%)≦25
・・・・式2
Al



(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
但し、CaO(%)、REM



(%)、Al



(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
【請求項4】
前記連続鋳造鋳片の断面における面積等価円換算粒径10μm以上の介在物の個数密度が1.5個/mm

以下である、請求項3に記載の連続鋳造鋳片。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、板厚の薄い鋼板(薄鋼板、薄板ともいう。)とその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
自動車部品等においては、多くの鋼材が使用されている。例えばスタビライザーなどの足回り部品、サイドインパクトビームなどの補強部品などには棒鋼が使用されている。しかし、自動車の軽量化ニーズは強く、特に電気自動車化の流れにおいて軽量化は喫緊の課題になっている。そのため、棒鋼を鋼管(例えば電縫鋼管)化して軽量化することが進められている。しかし、鋼管化した場合、棒鋼と同等強度を確保するため、引張強度が高く板厚が薄い鋼板を使用するため、鋼中介在物を起点とする割れ(クラック)の発生が問題となる。そのため、介在物の少ない清浄度の高い鋼板が求められている。
【0003】
従来、圧延時に大きく延伸し、圧延方向長さが数百μmにもなる場合のあるMnSが、特に問題視されている。粗大MnS生成を防止するため、溶鋼をCa処理して、主にCaSとしてSを固定することによってMnS生成を抑制する、あるいは、鋳造工程で未凝固軽圧下を行って鋳片の中心偏析を低減する、などの対策が行われている。
【0004】
一方、鋼材の高強度化のために、近年、Mn量を増やした鋼種の採用が増えており、例えば、Mn-B鋼「26MnB5」(成分範囲の例、単位は質量%/C:0.23~0.28%、Si:0.15~0.35%、Mn:1.10~1.40%、B:0.0015~0.0040%)が、自動車部品用素材として使用が増えている。Mnの含有量の増加に伴ってMnSが生成し易くなる。
【0005】
高Mn鋼に対するMnSの低減対策として、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、0.01~2%Mn鋼においてS含有量を0.01%以下にし、さらにCa、REMの硫化物を析出させることにより、Mnと結合するS量を低減することで、延伸MnSの低減を図ることが提案されている。
【0006】
特許文献2も特許文献1と同様、S含有量を抑え、CaとREMにより硫化物を析出させることによりMnSの生成を抑制している。具体的には、0.2~1.5%Mn鋼において、S含有量を0.002%以下にし、さらにCaとREMの片方または両方をS量に応じて含有量を規定している。
【0007】
特許文献3は、寒冷地での路面凍結防止剤としてNaClなどの塩化物に対する耐腐食疲労特性を改善した0.1~2%Mn鋼に関する発明であるが、腐食ピットの起点が10μm以上のMnSと10μm以下のTiS粒子であることを突き止め、これら粒子の析出を抑制したものである。具体的には、特許文献1,2と同様にSを0.01%以下にし、Caを添加して球状硫化物を優先的に析出させるものである。
【0008】
特許文献4は、0.4~2%Mn鋼に関する発明であるが、圧延により延伸される介在物(延伸介在物)は先端が切欠き状であるため有害であり、延伸介在物にはMnSに加えて低融点酸化物があるので、低融点酸化物の対策について提唱している。MnS抑制のためCaとREMを添加することは特許文献1~3と同様であるが、CaO-Al



系酸化物などの低融点酸化物が生成するのを避ける手段としてT.O(トータル酸素)を制御し、酸素量に応じてCaを制御し、酸化物を高融点組成に制御することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2012-224915号公報
特開2008-081823号公報
再公表WO2017/056384号公報
特開2020-84281公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自動車部品の軽量化に向け、2%Mn含有鋼板などの高強度鋼板において介在物を更に抑制した高清浄化鋼板が要求されている。前出した特許文献4は、有害な介在物として延伸介在物に着目し、MnSを低減させ、さらに低融点酸化物の生成を抑制し高融点組成側に制御したものである。しかし、高融点化した酸化物は延伸性のない介在物(非延伸介在物)ではあるが、そうであっても粒径が大きいものは有害であることに変わりない。特許文献4に記載の発明においても、粒径5μmを超える粗大介在物を皆無にできるわけではないため、さらなる介在物の微細化が求められている。
(【0011】以降は省略されています)

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