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公開番号2024119331
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-03
出願番号2023026151
出願日2023-02-22
発明の名称鋼板及び鋼板の製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240827BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】LPGや液化CO2の貯蔵に好適であり、SR焼鈍処理後においても強度および低温靭性に優れた陸上タンク用の鋼板を提供する。
【解決手段】C、Si、Mn、P、S、Al、N、Ni、Mo、V、Oを含有し、残部:Fe及び不純物からなり、Ceqが0.38~0.43、A値が10.0~16.0、降伏応力415MPa以上、引張強度550MPa以上690MPa以下、応力除去焼きなまし後の引張強度550MPa以上690MPa以下、Pcmが0.210%以下、フェライト分率FAが15.0面積%以上、平均粒径が15μm以下である、鋼板を採用する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
鋼の化学組成が、質量%で、
C :0.060~0.100%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:1.20~1.80%、
P :0.002~0.008%、
S :0.0010~0.0030%、
Al:0.010~0.060%、
N :0.0020~0.0060%、
Ni:0.2~1.0%、
Mo:0.10~0.30%、
V :0.010~0.050%、
O :0.0040%以下、
残部:Fe及び不純物、からなり、
下記式(1)で定義されるCeqが0.38~0.43を満足し、
下記式(2)で定義されるA値が10.0~16.0を満足し、
板幅方向の降伏応力415MPa以上、板幅方向の引張強度550MPa以上690MPa以下を満足し、
下記式(3)のLMPが15000以上となる条件での応力除去焼きなまし後の引張試験において板幅方向の引張強度550MPa以上690MPa以下を満足し、
下記式(4)で定義されるPcmが0.210%以下を満足し、
鋼板表面から1.5mm深さ位置のミクロ組織におけるフェライト分率FAが15.0面積%以上であり、残部が上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織およびマルテンサイト組織の1種又は2種以上であり、
15°傾角粒の面積加重平均粒径が15μm以下である、鋼板。
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …(1)
A=8[Mn]+10[Cr]+9[Mo] …(2)
LMP=T(20+log(t
SR
))・・・(3)
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B]…(4)
ここで、式(1)、式(2)及び式(4)中の[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[B]は、前記鋼板中のそれぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Bの質量%での含有量を示し、式(3)中のT、t
SR
は前記鋼板のSR処理加熱温度(K)とSR処理加熱時間(h)を示す。
続きを表示(約 3,100 文字)【請求項2】
鋼の化学組成が、質量%で、
C :0.060~0.100%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:1.20~1.80%、
P :0.002~0.008%、
S :0.0010~0.0030%、
Al:0.010~0.060%、
N :0.0020~0.0060%、
Ni:0.2~1.0%、
Mo:0.10~0.30%、
V :0.010~0.050%、
O :0.0040%以下、を含有し、
更に、Ti:0.020%以下、Cu:0.40%以下、Cr:0.30%以下、Nb:0.030%以下、Ca:0.0040%以下、Mg:0.0030%以下、B:0.0005%以下、のいずれか1種または2種以上を含有し、
残部:Fe及び不純物、からなり、
下記式(1)で定義されるCeqが0.38~0.43を満足し、
下記式(2)で定義されるA値が10.0~16.0を満足し、
板幅方向のが降伏応力415MPa以上、板幅方向の引張強度550MPa以上690MPa以下を満足し、
下記式(3)のLMPが15000以上となる条件での応力除去焼きなまし後の引張試験において板幅方向の引張強度550MPa以上690MPa以下を満足し、
下記式(4)で定義されるPcmが0.210%以下を満足し、
鋼板表面から1.5mm深さ位置のミクロ組織におけるフェライト分率FAが15.0面積%以上であり、残部が上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織およびマルテンサイト組織の1種又は2種以上であり、
15°傾角粒の面積加重平均粒径が15μm以下である、鋼板。
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …(1)
A=8[Mn]+10[Cr]+9[Mo] …(2)
LMP=T(20+log(t
SR
))・・・(3)
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B]…(4)
ここで、式(1)、式(2)及び式(4)中の[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[B]は、前記鋼板中のそれぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Bの質量%での含有量を示し、式(3)中のT、t
SR
は前記鋼板のSR処理加熱温度(K)とSR処理加熱時間(h)を示す。
【請求項3】
板厚が10~60mmである請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項4】
質量%で、
C :0.060~0.100%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:1.20~1.80%、
P :0.002~0.008%、
S :0.0010~0.0030%、
Al:0.010~0.060%、
N :0.0020~0.0060%、
Ni:0.2~1.0%、
Mo:0.1~0.30%、
V :0.010~0.050%、
O :0.0030%以下、
残部:Fe及び不純物、からなり、
下記式(1)で定義されるCeqが0.38~0.43を満足し、
下記式(2)で定義されるA値が10.0~16.0を満足し、
下記式(3)で定義されるPcmが0.210%以下を満足する鋼片を用意し、
前記鋼片を950~1100℃の温度に加熱してから、900℃以上で累計圧下率30%以上かつ1パス当たり圧下率8%以上の圧延パスを2パス以上行う条件で熱間圧延したのち、更に800℃以上900℃以下で累計圧下率40%以上で熱間圧延する熱間圧延工程と、
表面温度780℃以上から200℃以下まで、板厚の(1/4)t位置での平均冷却速度が10℃/s以上となる条件で冷却を行う冷却工程と、
600℃以上の温度で焼戻し処理を行う焼き戻し工程と、を備えた鋼板の製造方法。
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …(1)
A=8[Mn]+10[Cr]+9[Mo] …(2)
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B]…式(3)
ここで、式(1)、式(2)及び式(3)中の[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[B]は、前記鋼片中のそれぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Bの質量%での含有量を示す。
【請求項5】
質量%で、
C :0.060~0.100%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:1.20~1.80%、
P :0.002~0.008%、
S :0.0010~0.0030%、
Al:0.010~0.060%、
N :0.0020~0.0060%、
Ni:0.2~1.0%、
Mo:0.1~0.30%、
V :0.010~0.050%、
O :0.0030%以下、を含有し、
更に、Ti:0.020%以下、Cu:0.40%以下、Cr:0.30%以下、Nb:0.030%以下、Ca:0.0040%以下、Mg:0.0030%以下、B:0.0005%以下、のいずれか1種または2種以上を含有し、
残部:Fe及び不純物、からなり、
下記式(1)で定義されるCeqが0.38~0.43を満足し、
下記式(2)で定義されるA値が10.0~16.0を満足し、
下記式(3)で定義されるPcmが0.210%以下を満足する鋼片を用意し、
前記鋼片を950~1100℃の温度に加熱してから、900℃以上で累計圧下率30%以上かつ1パス当たり圧下率8%以上の圧延パスを2パス以上行う条件で熱間圧延したのち、更に800℃以上900℃以下で累計圧下率40%以上で熱間圧延する熱間圧延工程と、
表面温度780℃以上から200℃以下まで、板厚の(1/4)t位置での平均冷却速度が10℃/s以上となる条件で冷却を行う冷却工程と、
600℃以上の温度で焼戻し処理を行う焼き戻し工程と、を備えた鋼板の製造方法。
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 …(1)
A=8[Mn]+10[Cr]+9[Mo] …(2)
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B]…式(3)
ここで、式(1)、式(2)及び式(3)中の[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[B]は、前記鋼片中のそれぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Bの質量%での含有量を示す。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板及び鋼板の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
陸上用の大型鋼製圧力容器(以下、タンクという)を製造する場合、工場にて切断や曲げ加工がなされた鋼部材を、タンクの設置予定箇所に送り、現地において、現地でタンクの組み立て(溶接による組み立て)を行い、一部でなくタンク全体をSR処理(応力除去処理)することにより、タンクを完成させる。
【0003】
また、別の方法として、鋼部材の切断や曲げ加工、溶接を行い、一部の鋼部材に対するSR処理、最終組み立てまでを工場で行なった後、タンク全体を現地へ輸送する場合もある。
【0004】
こうしたタンクには、低温の液化石油ガス(LPG)を貯蔵する用途がある。
【0005】
また、最近では、気候変動問題の対策として、温室効果ガスの削減が強く求められている中で、カーボンニュートラルを実現する技術として、二酸化炭素(以下、CO

という)を回収・貯留する技術であるCCSが注目されている(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)。CCSでは、製油所、発電所、化学プラント等のCO

排出源から排出されたCO

を分離・回収し、液化された低温のCO

をタンクにて一時的に貯蔵する場合がある。
【0006】
このようなことから、LPGや液化CO

の貯蔵のための陸上用のタンクの素材となる鋼板には、550MPa以上の引張強度、415MPa以上の降伏応力、マイナス50℃での低温靭性に優れることが求められる。
【0007】
また、タンクのような溶接構造物の安全性を確保するために、最近では、破壊力学的な評価法を用いて、溶接構造物の耐破壊特性を評価し、設計に取り入れることが行われている。具体的に言えば、脆性破壊の発生特性として、日本溶接協会規格WES1108などによって規定されたCTOD試験(Crack Tip Opening Displacement test:き裂先端開口変位試験)により、CTOD値と呼ばれるき裂開口変位量(以下、δcと略す)を破壊力学的なパラメータとして求め、δcが設計基準を満足できるかどうかが評価される場合が多くなっている。
【0008】
更に、タンクのような大型の溶接構造物では、破壊の発生の可能性をより少なくするために、応力除去焼鈍(SR焼鈍)を溶接部に実施する場合がある。SR焼鈍とは、溶接により生じた残留応力を軽減することを目的として、溶接後の構造物の溶接部をAc1変態点以下の温度に加熱し、次いで徐冷する熱処理法である。しかしながら、引張強さが550MPa以上の高張力鋼にSR焼鈍を適用すると、合金炭化物が結晶粒界に選択的に析出し、この合金炭化物が粒界脆化を引き起こすことにより、SR焼鈍の実施箇所の靱性が極めて低下する。この現象は、一般にはSR(Stress Relieving)脆化と呼ばれている。このような高張力鋼では、母材の脆化のみならず、この高張力鋼を用いて溶接継手を作成した場合に得られる溶接熱影響部の脆化も著しい。
【0009】
従って、このような高張力鋼を用いて製造されたタンクにおいて、高いδc値を得て高い安全性を確保するためには、SR焼鈍が実施されても母材および溶接部の靭性が高く維持される高張力鋼を開発することが必要となる。
【0010】
そこで、タンク用の鋼板として、従来、いくつかの技術提案がなされてきた。
(【0011】以降は省略されています)

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