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公開番号
2024116070
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-27
出願番号
2023219581
出願日
2023-12-26
発明の名称
RH真空脱ガス設備の下部槽
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
アセンド弁理士法人
主分類
C21C
7/10 20060101AFI20240820BHJP(鉄冶金)
要約
【課題】用いる耐火物のコストを抑えつつ、耐火物の寿命を向上させることができるRH真空脱ガス設備の下部槽を提供する。
【解決手段】RH真空脱ガス設備(1)の下部槽(10)は、側壁(11)と、底壁(12)と、第1耐火物ライニング(13a)と、第2耐火物ライニング(13b)と、を備える。底壁(12)は、それぞれが環流管に接続される2つの孔部(121,122)を含む。第1耐火物ライニング(13a)は、下部槽(10)の上下方向に垂直な断面視で、側壁(11)のうち、2つの孔部(121,122)の各々の近傍の第1領域(111a,111b)の内側に配置される。第2耐火物ライニング(13b)は、下部槽(10)の上下方向に垂直な断面視で、側壁(11)のうち、第1領域(111a,111b)を除いた第2領域(112a,112b)の内側に配置され、第1耐火物ライニング(13a)とは異なる化学的性質を有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
浸漬管と環流管とを接続し、取鍋内の溶鋼に前記浸漬管を浸漬させ、真空槽内に酸素を吹き込んで真空脱ガス処理を行うRH真空脱ガス設備の下部槽であって、
当該下部槽は、前記真空槽の下部を構成し、
側壁と、
それぞれが前記環流管に接続される2つの孔部を含む底壁と、
前記下部槽の上下方向に垂直な断面視で、前記側壁のうち、前記2つの孔部の各々の近傍の第1領域の内側に配置される第1耐火物ライニングと、
前記下部槽の上下方向に垂直な断面視で、前記側壁のうち、前記第1領域を除いた第2領域の内側に配置され、前記第1耐火物ライニングとは異なる化学的性質を有する第2耐火物ライニングと、を備える、下部槽。
続きを表示(約 560 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の下部槽であって、
前記第1耐火物ライニングは、前記第2耐火物ライニングと比較して優れた耐スラグ性を有する、下部槽。
【請求項3】
請求項1に記載の下部槽であって、
前記第2耐火物ライニングは、前記第1耐火物ライニングと比較して優れた耐FeO性を有する、下部槽。
【請求項4】
請求項1に記載の下部槽であって、
前記下部槽は、円筒形状を有し、
前記下部槽の上下方向に垂直な断面視で、前記2つの孔部は円形であり、前記下部槽の中心を挟むように間隔を空けて配置され、
前記下部槽の上下方向に垂直な断面視で、前記第1領域は、前記側壁のうち、前記2つの孔部の各々の周縁の2つの接線であって、それぞれが前記側壁の中心を通る前記2つの接線の間の領域を含む、下部槽。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の下部槽であって、
前記取鍋内の溶鋼に前記浸漬管を浸漬させたときの前記真空槽内の溶鋼面の近傍に、前記第1耐火物ライニング及び前記第2耐火物ライニングが配置され、
前記下部槽の上下方向において、前記第1耐火物ライニング及び前記第2耐火物ライニングの寸法は、400mm以上である、下部槽。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、浸漬管と環流管とを接続し、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、真空槽内に酸素を吹き込んで真空脱ガス処理を行うRH真空脱ガス設備の下部槽に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
一般に、製鋼工程において、高品質な鋼を製造するために、転炉による一次精錬の後、二次精錬が行われる。二次精錬法として、RH法等の真空脱ガス法が知られている。RH法で用いられる設備(以下、RH真空脱ガス設備とも言う。)は、典型的には、上部槽及び下部槽からなる真空槽と、2つの環流管と、2つの浸漬管と、を備える。真空槽は、例えば略円筒形状である。下部槽は、上部槽に接続され、側壁と、2つの孔部を含む底壁とを有する。孔部には、それぞれ環流管が接続され、各環流管に浸漬管が接続される。下部槽の下方には、溶鋼を収容した取鍋が配置される。2つの浸漬管は、取鍋内の溶鋼に浸漬する。真空槽内には、上吹きランスが挿入される。上吹きランスは、真空槽内に酸素を吹き込む。
【0003】
溶鋼の真空脱ガス処理時、真空槽の内部が減圧され、また、一方の浸漬管及び環流管にArガスが吹き込まれる。取鍋内の溶鋼は、Arガスの浮力によって一方の浸漬管及び環流管を上昇して真空槽に流入し、真空槽内の溶鋼は、他方の浸漬管及び環流管を下降して取鍋に戻る。真空脱ガス処理では、このように真空槽と取鍋との間で溶鋼を環流させ、溶鋼から水素等のガスを除去する。
【0004】
真空槽において、溶鋼と接触する部分に耐火物ライニングを設けることが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、RH法等で用いられる、溶鋼に浸漬される精錬容器において、支持金物および/または鉄皮の変形により機械的応力を受ける部位に耐火物が内張りされる。内張りされる耐火物は、熱間強度が高く溶鋼摩耗に強いマグネシア-クロム質耐火物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2000-264718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
真空脱ガス処理時、下部槽には溶鋼が繰り返し流入する。そのため、下部槽の側壁や敷部に設けられた耐火物は徐々に損傷する。耐火物が著しく損傷して寿命に達すると、耐火物を張り替える必要がある。耐火物の張り替えには莫大なコストがかかる。そのため、耐火物の寿命を向上させることが求められる。
【0007】
高品質の耐火物を用いれば、耐火物の損傷を抑えることができ、耐火物の寿命を向上させることができる。しかしながら、この場合、耐火物そのもののコストが大幅に増加する。したがって、用いる耐火物のコストを抑えつつ、耐火物の寿命を向上させることが求められる。
【0008】
本開示の目的は、用いる耐火物のコストを抑えつつ、耐火物の寿命を向上させることができるRH真空脱ガス設備の下部槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る下部槽は、RH真空脱ガス設備の下部槽である。RH真空脱ガス設備は、浸漬管と環流管とを接続し、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、真空槽内に酸素を吹き込んで真空脱ガス処理を行う。当該下部槽は、真空槽の下部を構成する。下部槽は、側壁と、底壁と、第1耐火物ライニングと、第2耐火物ライニングと、を備える。底壁は、それぞれが環流管に接続される2つの孔部を含む。第1耐火物ライニングは、下部槽の上下方向に垂直な断面視で、側壁のうち、2つの孔部の各々の近傍の第1領域の内側に配置される。第2耐火物ライニングは、下部槽の上下方向に垂直な断面視で、側壁のうち、第1領域を除いた第2領域の内側に配置され、第1耐火物ライニングとは異なる化学的性質を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るRH真空脱ガス設備の下部槽によれば、用いる耐火物のコストを抑えつつ、耐火物の寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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