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公開番号2024124945
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032944
出願日2023-03-03
発明の名称低P鋼の溶製方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類C21C 5/28 20060101AFI20240906BHJP(鉄冶金)
要約【課題】同一の転炉型容器を用いて溶銑予備処理と脱C処理を行う低P鋼の溶製方法であって、高効率の脱P吹錬手法を具備した低P鋼の溶製方法を提供する。
【解決手段】溶銑の第1脱P処理を行う第1脱P工程、転炉型容器内のスラグの一部を排出する第1中間排滓工程、溶銑の第2脱P処理を行う第2脱P工程、転炉型容器内のスラグの一部を排出する第2中間排滓工程、溶銑の脱C処理を行う脱C工程、を連続して実施するにあたり、前記第2脱P工程において、当該第2脱P工程の初期に酸化鉄源を添加した上で、底吹きのみで溶銑を撹拌する吹錬前リンス工程を1分以上確保した後に上吹き送酸を開始する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
同一の転炉型容器を用いて溶銑予備処理と脱C処理を行う低P鋼の溶製方法であって、
溶銑の第1脱P処理を行う第1脱P工程、転炉型容器内のスラグの一部を排出する第1中間排滓工程、溶銑の第2脱P処理を行う第2脱P工程、転炉型容器内のスラグの一部を排出する第2中間排滓工程、溶銑の脱C処理を行う脱C工程、を連続して実施するにあたり、
前記第2脱P工程において、当該第2脱P工程の初期に酸化鉄源を添加した上で、底吹きのみで溶銑を撹拌する吹錬前リンス工程を1分以上確保した後に上吹き送酸を開始することを特徴とする、低P鋼の溶製方法。
続きを表示(約 110 文字)【請求項2】
前記吹錬前リンス工程末期のスラグ中FeO濃度が10%以上で、底吹き有効ガス流量が8.5Nm

/(ton・hr)以上であることを特徴とする、請求項1に記載の低P鋼の溶製方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、上底吹き転炉を用いて鋼を精錬する低P鋼の溶製方法に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
鋼中P(リン)は鋼材特性を悪化させる要因になる場合があることから、精錬段階で溶銑予備処理として、転炉炉外の混銑車(TPC、トーピードカー)もしくは一次精錬と呼ばれる転炉での酸化精錬によって除去されることが多い。Pは鉄鉱石に含まれており、近年は高品位鉄鉱石が枯渇してきており、劣質鉄鉱石の割合が増加していることから、高炉から出銑される溶銑中のP濃度は増加傾向である。また、Si(シリコン)は高炉から出銑される溶銑中に不可避的に含まれており、P同様に溶銑予備処理として転炉炉外または転炉(一次精錬)で除去された後、必要に応じて二次精錬で添加されることが多い。一次精錬では、溶銑中のC(炭素)が酸化除去されると同時に酸化に伴って温度が上昇し、転炉の吹錬終了後には、低Si、低P、低Cの溶銑が得られる。
【0003】
溶銑予備処理および一次精錬で溶銑からPを除去するには、溶銑中のPを2CaO・SiO

-3P



・FeOとしてスラグに酸化除去する。このため、スラグにはCaOとSiO

が含まれ、酸化精錬を行うため、スラグはCaO-SiO

-FeO系が基本となる。この時、CaOとSiO

の質量比(以後、C/Sと称す)が高いほど、スラグの脱P能は高く、FeO濃度が低いと3P



・FeOが生成しないため、脱Pが停滞する。また、溶銑温度は低いほど脱Pには有利である。C/Sを高めるために生石灰等のCaO源を添加するが、溶銑中Si濃度が高いとSiO

生成量も多くなるため、C/Sを調整するのに必要なCaO量が増加することに加え、精錬後のスラグ量も増加することになるため、予めTPCで脱Si処理をした後に転炉で脱P吹錬することが多い。
【0004】
転炉を使った処理として、特許文献1では同一転炉で脱P、脱Cを行う際の脱P工程において、スラグのC/Sを1.0~2.0とし、処理温度を1350℃以下とする転炉製鋼法が開示されている。また、特許文献2では、同一転炉で脱P、脱Cを行う際の脱P工程において、スラグのC/Sを0.8以上1.2以下とし、処理終点温度が1300℃以下であることを特徴とする溶銑の脱P方法が開示されている。同一転炉を使った脱P方法の特徴としては、脱P工程終了後に溶銑を転炉内に残したまま中間排滓を行い、その後、同一転炉で脱C工程を行うことである。脱P工程後のスラグのC/Sを適切に調節した上でスラグをフォーミングさせ、P



を多く含むスラグを系外排出(中間排滓)する。このことで、脱C工程でのC/Sの調整に必要な石灰源を最小化でき、スラグ発生量を抑制できる。
【0005】
しかしながら、中間排滓を行うことで脱Pと脱Cを同一の転炉を使って処理する場合、スラグを完全に排滓することは困難であるため、脱P専用炉から脱C専用炉に溶銑を移し替えて溶製する手法と比較すると、低P鋼溶製には不利である課題がある。この課題に対応するため、特許文献3には、同一の転炉で脱P吹錬と中間排滓を2回繰り返すことで、脱C吹錬時の持ち越しP量を低減する転炉精錬方法が開示されている。
【0006】
スラグの脱P能にはC/Sや処理温度が影響することは良く知られているが、スラグ中のT.Feの影響も少なくない。特許文献4では、処理後のスラグ中T.Feを10%以上30%以下に調整して脱P精錬を行うことを特徴とする転炉製鋼方法が開示されている。これは、特許文献2によると、スラグ中T.Fe濃度が10%未満になると酸素ポテンシャル不足によりP分配比(スラグ中%P/メタル中P%)が低下するためであり、30%超になるとスラグ中塩基性成分が希釈され、P分配比が低下するためである。C濃度が高い溶銑を転炉内で保持しているとスラグ中のFeOは溶銑中Cで還元され、T.Feは低減して脱P能が低下してしまうことから、一般的には固酸として鉄鉱石、スケール、焼結鉱といった酸化鉄源を添加する、もしくは、ランスから酸素を吹付け、吹錬することでFeOを生成させ、T.Feを高位に維持することが行われる。
【0007】
ここで上底吹き転炉を用いる場合、スラグの脱P能が確保できていれば、上吹き吹錬しなくても底吹き攪拌のみで脱P反応は進むことも明らかになっており、特許文献5には、高C/Sの条件で吹錬終了後も底吹きを継続する(以後、リンシングと呼ぶ)ことで脱Pを促進させる溶製方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平05-140627号公報
特開平05-247512号公報
特開2011-144415号公報
特開平07-070626号公報
特開昭58-167706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の鉄鉱石原料の劣質化に伴い、溶銑中のP濃度は年々増加傾向であり、転炉吹錬初期の溶銑中P濃度が増加したことで、従来、上記手法で溶製できていた低P鋼を同じ手法で溶製することは困難になってきている。
【0010】
本発明の対象は、同一の転炉型容器を用いて溶銑予備処理と脱C処理を行う、低P鋼の溶製方法である。溶銑予備処理は溶銑の脱Si処理と脱P処理を含む。溶銑の脱Si処理は、転炉のみによって行っても良く、あるいは転炉装入前の溶銑についてTPCや溶銑鍋等を用いて溶銑中のSiの一部を除去する処理であっても良い。脱P処理は転炉内にて行う。
(【0011】以降は省略されています)

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