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公開番号
2024120744
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-05
出願番号
2023027760
出願日
2023-02-24
発明の名称
産業機器用制御システム及びトルク検出装置
出願人
株式会社デンソーウェーブ
代理人
個人
主分類
G01L
3/14 20060101AFI20240829BHJP(測定;試験)
要約
【課題】波動歯車装置が搭載された産業機器において、回転リップルの抑制とノイズ耐性の向上とに寄与すること。
【解決手段】ロボットに搭載された波動歯車装置は、内歯が形成された剛性内歯歯車と、剛性内歯歯車の内側に配置され外歯が形成された可撓性外歯歯車と、可撓性外歯歯車の内側に設けられ、可撓性外歯歯車を半径方向に撓ませることにより外歯を内歯に部分的に噛み合わせるとともに剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との噛み合い位置を円周方向に移動させる剛性カムとを有している。可撓性外歯歯車には、第1歪みゲージ91A~91Cと第2歪みゲージ92A~92Cとが中心軸線を囲むように配列されている。第1歪みゲージ91A~91C1からの信号は検出器96の合成部96aにて合成され、第2歪みゲージ92A~92Cからの信号は検出器97の合成部97aにて合成され、合成された両信号はロボットコントローラ42にて比較される。
【選択図】 図6
特許請求の範囲
【請求項1】
内周面に内歯が形成された環状の剛性内歯歯車と、前記剛性内歯歯車の内側に配置され、前記内歯に噛み合い可能な外歯が形成された可撓性外歯歯車と、前記可撓性外歯歯車の内側に設けられ、前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓ませることにより前記外歯を前記内歯に部分的に噛み合わせるとともに前記剛性内歯歯車と前記可撓性外歯歯車との噛み合い位置を円周方向に移動させる剛性カムとを有する波動歯車装置と、前記可撓性外歯歯車に取り付けられた歪みゲージからの出力信号に基づいて前記波動歯車装置に生じるトルクを検出するトルク検出装置とを備えた産業機器に適用され、前記トルク検出装置にて検出したトルクに応じて前記産業機器を制御する産業機器用制御システムであって、
前記可撓性外歯歯車に取り付けられた歪みゲージは、複数の第1歪みゲージと複数の第2歪みゲージとで構成されており、それら第1歪みゲージ及び第2歪みゲージが前記可撓性外歯歯車の回動中心を囲むようにして配列されており、
前記複数の第1歪みゲージからの出力信号を合成して第1信号を生成し、前記複数の第2歪みゲージからの出力信号を合成して第2信号を生成する合成部と、
前記第1信号及び前記第2信号を比較する比較部と
を備えている産業機器用制御システム。
続きを表示(約 890 文字)
【請求項2】
前記第1歪みゲージ及び前記第2歪みゲージは、前記回動中心及び前記第1歪みゲージを結ぶ仮想直線と、前記回動中心及び少なくとも何れかの前記第2歪みゲージを結ぶ仮想直線とのなす角が、前記波動歯車装置のローブ数で360°を割った角度である基準角度の整数倍となるように配置されている請求項1に記載の産業機器用制御システム。
【請求項3】
前記波動歯車装置は、前記剛性カムが楕円形をなす2ローブ型の波動歯車装置であり、
前記第1歪みゲージは前記円周方向にて互いに等間隔となるように配置され、前記第2歪みゲージは前記円周方向にて互いに等間隔となるように配置されており、
前記第1歪みゲージ及び前記第2歪みゲージは、前記回動中心を中心とした点対称の関係となるように配置されている請求項2に記載の産業機器用制御システム。
【請求項4】
内周面に内歯が形成された環状の剛性内歯歯車と、前記剛性内歯歯車の内側に配置され、前記内歯に噛み合い可能な外歯が形成された可撓性外歯歯車と、前記可撓性外歯歯車の内側に設けられ、前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓ませることにより前記外歯を前記内歯に部分的に噛み合わせるとともに前記剛性内歯歯車と前記可撓性外歯歯車との噛み合い位置を円周方向に移動させる剛性カムとを有する波動歯車装置を備えた産業機器に適用され、前記可撓性外歯歯車に取り付けられた歪みゲージからの出力信号に基づいて前記波動歯車装置に生じるトルクを検出するトルク検出装置であって、
前記可撓性外歯歯車に取り付けられた歪みゲージは、複数の第1歪みゲージと複数の第2歪みゲージとで構成されており、それら第1歪みゲージ及び第2歪みゲージが前記可撓性外歯歯車の回動中心を囲むようにして配列されており、
前記複数の第1歪みゲージからの出力信号を合成して第1信号を生成し、前記複数の第2歪みゲージからの出力信号を合成して第2信号を生成する合成部と、
前記第1信号及び前記第2信号を比較する比較部と
を備えているトルク検出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機器用制御システム及び産業機器に適用されるトルク検出装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
工場等で用いられる産業用ロボット等の産業機器には、減速機として波動歯車装置が搭載されているものがある。波動歯車装置は、剛性内歯歯車と、その内側に配置された可撓性外歯歯車と、可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて剛性内歯歯車に部分的に噛み合わせるとともに噛み合い位置を円周方向に移動させる剛性カム(波動発生器)とで構成されている。近年では産業機器や作業者の保護等の観点から、例えば運転時にトルクを監視し、過度に大きなトルクが発生した場合には減速や停止等の制御を行うように構成されたものがあり、波動歯車装置が搭載された産業機器においては、例えば可撓性外歯歯車に取り付けた歪みゲージからの出力信号に基づいてトルクを検出するといった対応が講じられている。
【0003】
但し、可撓性外歯歯車においては波動歯車装置の構造上、剛性カムの回動によって伝達トルクとは関係のない歪みが周期的に発生する。このため、可撓性外歯歯車に取り付けた歪みゲージをからの出力信号は、剛性カムの回動角度に応じて振幅が正弦波状に変化することとなる。このような出力信号の変化、すなわちトルク検出にて誤差の要因となる成分(所謂回転リップル)を抑制すべく、複数の歪みゲージを併用し、それら歪みゲージからの出力信号を合成するといった技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平9-184777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、産業機器においては、駆動部へ駆動電力を供給するための電源線をノイズ源としたノイズ(高電圧サージノイズ)が信号線に印加される可能性がある。特に強電線である電源線と弱電線である信号線とが近接配置される場合にはそのような懸念が一層強くなる。また、工場においては産業機器が多数設置されることが多く、他の産業機器の電源線等がノイズ源になる可能性もある。上述の如く波動歯車装置に併設する歪みゲージの数を増やすことは回転リップルを抑制する上では好ましいものの、歪みゲージの数が増えれば歪みゲージに付属の信号線(リード線)にノイズが印加される機会も増えると懸念される。つまり、産業機器のノイズ耐性を向上させることが困難になると懸念される。
【0006】
このように、波動歯車装置が搭載された産業機器においては、回転リップルを抑制しつつ、ノイズ耐性を向上させる上でトルク検出に係る構成に未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記例示した課題等に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、波動歯車装置が搭載された産業機器において、回転リップルの抑制とノイズ耐性の向上とに寄与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0009】
第1の手段.内周面に内歯が形成された環状の剛性内歯歯車と、前記剛性内歯歯車の内側に配置され、前記内歯に噛み合い可能な外歯が形成された可撓性外歯歯車と、前記可撓性外歯歯車の内側に設けられ、前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓ませることにより前記外歯を前記内歯に部分的に噛み合わせるとともに前記剛性内歯歯車と前記可撓性外歯歯車との噛み合い位置を円周方向に移動させる剛性カムとを有する波動歯車装置と、前記可撓性外歯歯車に取り付けられた歪みゲージからの出力信号に基づいて前記波動歯車装置に生じるトルクを検出するトルク検出装置とを備えた産業機器に適用され、前記トルク検出装置にて検出したトルクに応じて前記産業機器を制御する産業機器用制御システムであって、
前記可撓性外歯歯車に取り付けられた歪みゲージは、複数の第1歪みゲージと複数の第2歪みゲージとで構成されており、それら第1歪みゲージ及び第2歪みゲージが前記可撓性外歯歯車の回動中心を囲むようにして配列されており、
前記複数の第1歪みゲージからの出力信号を合成して第1信号を生成し、前記複数の第2歪みゲージからの出力信号を合成して第2信号を生成する合成部と、
前記第1信号及び前記第2信号を比較する比較部と
を備えている。
【0010】
本手段に示す波動歯車装置においては、剛性カムが回動することで、可撓性外歯歯車に伝達トルクとは関係のない歪みが周期的に発生する。このため、可撓性外歯歯車に取り付けた歪みゲージからの出力信号は、剛性カムの回動角度に応じて振幅が正弦波状に変化する信号となる。この点、複数の歪みゲージを併用し、それら歪みゲージからの出力信号を合成する構成にすることは、トルク検出の誤差要因となる回転リップルを抑制する上で好ましい。ここで、産業機器においては、内蔵されている駆動部へ駆動電力を供給するための電源線や他の産業機器の電源線等をノイズ源としたノイズが信号線に印加される可能性がある。上述の如く歪みゲージの数を増やすことは回転リップルを抑制する上では好ましいものの、歪みゲージの数が増えれば歪みゲージに付属の信号線(リード線)にノイズが印加される機会も増えると懸念される。
(【0011】以降は省略されています)
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