発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明はオートファジー抑制剤に関する。 続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】 【0002】 オートファジーは細胞内において、その恒常性を維持するための機構として非常に重要であることが理解されている(非特許文献1)。すなわち、細胞の活動に伴って、あるいは外界からの刺激によって傷害を受けた細胞内小器官(例えば、ミトコンドリア)やタンパク質等を消化することで、細胞内を正常な状態に保つ役割をしている。 【0003】 一方、がんとの関係においては、がん化を誘発するような傷害分子等が発生した際には、オートファジーが機能することで、そのような傷害分子を分解(消化)することにより、未然にがんの発生を防いでいる。 【0004】 しかし、がん(腫瘍)が形成されてしまった場合、特に進行がんの場合には、オートファジーは好ましくない作用をする(非特許文献1)。腫瘍細胞は増殖速度が速いため、十分な血管新生が行われないので、代謝ストレス(低酸素、低グルコース)下にある。その結果、それを回避するためにオートファジーを活性化することで、生存に必要なアミノ酸等を調達して、がん細胞の生存、増殖を維持している。従って、進行がんを治療する方法の1つとして、活性化しているオートファジーを抑制することが注目されている。 【0005】 例えば、代表的なオートファジー抑制剤として知られているクロロキン(Chloroquine)やヒドロキシクロロキン(Hydroxychloroquine)を抗がん剤と併用することにより、抗腫瘍効果を高めることを目的とした臨床研究が進められている(非特許文献1、2)。しかしながら、たとえば、ヒドロキシクロロキンを用いた抗がん療法における薬物動態学-薬理学研究からは、in vitroでオートファジー抑制効果が認められる高マイクロモル濃度(10μM<)では、一貫してヒトにおいては適用できないことが指摘されている(非特許文献3)。 そのような状況から、より低濃度で効果のあるオートファジー抑制剤の開発が望まれていた。 【0006】 スピラクレオシド(spilacleoside)は、ブッチャーブルーム(Butcher’s broom)から単離・同定されたステロイドサポニンであり(非特許文献4)、角層の剥離を促進するカテプシンDの発現促進作用を有することが知られている(特許文献1)。 【0007】 しかしながら、スピラクレオシドやブッチャーブルームがオートファジーを抑制することはこれまでに全く知られていない。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0008】 特開2004-155663号公報 【非特許文献】 【0009】 「オートファジー-生命をささえる細胞の自己分解システム」、水島昇、吉森保 編、(株)化学同人、2012年 Buzun K et al. Autophagy modulators in cancer therapy. Int J Mol Sci. 2021;22:5804 McAfee Q et al. Autophagy inhibitor Lys05 has single-agent antitumor activity and reproduces the phenotype of a genetic autophagy deficiency. Proc Natl Acad Sci USA. 2012;109:8253-8258 Kameyama A et al. Isolation and structural determination of spilacleosides A and B having a novel 1,3-dioxolan-4-one ring. Tetrahedron Lett 44: 2737-2739 (2003) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、オートファジー抑制剤を提供することに関する。 【課題を解決するための手段】 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する