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公開番号2024113734
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-23
出願番号2023018871
出願日2023-02-10
発明の名称磁気冷凍装置
出願人国立研究開発法人物質・材料研究機構,国立大学法人金沢大学,独立行政法人国立高等専門学校機構
代理人弁理士法人浅村特許事務所
主分類F25B 21/00 20060101AFI20240816BHJP(冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒートポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化)
要約【課題】 磁気冷凍機を用いて液体窒素温度以下の極温度まで冷却する場合、熱交換ガスを室温から極低温まで冷却して供給する必要があるが、従来の多管式熱交換器で予冷すると、冷却装置全体が大型化する。
【解決手段】 本発明の磁気冷凍装置は、クライオスタットと、熱交換ガスを循環させるための、クライオスタットの外側に設置された室温ポンプと、クライオスタットの内部に設置された、磁気熱量効果を有する磁性体を用いて冷却する磁気冷凍機と、熱交換ガスを磁気冷凍機に送り、室温ポンプに帰還させる連結パイプと、室温ポンプから磁気冷凍機までの間に設けられた熱交換ガスを冷却するための熱アンカーとを含み、室温ポンプと熱アンカーの間に、熱交換ガスを予備冷却するための蓄冷式熱交換器をさらに備えている。
【選択図】図3A
特許請求の範囲【請求項1】
断熱材で包囲され内部を真空化可能なクライオスタットと、
熱交換ガスを循環させるための、前記クライオスタットの外側に設置された室温ポンプと、
前記クライオスタットの内部に設置された、磁気熱量効果を有する磁性体を用いて冷却する磁気冷凍機と、
前記熱交換ガスを前記室温ポンプから前記磁気冷凍機に送り、前記室温ポンプに帰還させる連結パイプと、
前記室温ポンプから前記磁気冷凍機までの間に設けられた、前記熱交換ガスを冷却するための熱アンカーとを含む
被冷却体を冷却する磁気冷凍装置であって、
前記室温ポンプと前記熱アンカーの間に、前記熱交換ガスを予備冷却するための蓄冷式熱交換器をさらに備えた
磁気冷凍装置。
続きを表示(約 570 文字)【請求項2】
前記磁気冷凍機は、磁気熱量効果を有する磁気作業物質を内蔵する磁性体と、それを包囲するように配置された前記磁性体に磁場を印加するための磁場発生手段と、前記磁性体を前記磁場から出し入れするように間欠的に往復運動させる機構とを含み、前記室温ポンプは、前記磁性体の前記往復運動と同期して前記磁性体中に前記熱交換ガスを流すAMR方式により動作するように構成された、請求項1に記載の磁気冷凍装置。
【請求項3】
前記蓄冷式熱交換器は、入口と出口を有する容器の内部に、蓄熱材として積層した複数のステンレスメッシュを内蔵し、前記熱交換ガスは、前記蓄冷式熱交換器を通過する時に複数の前記ステンレスメッシュと熱交換を行う、請求項2に記載の磁気冷凍装置。
【請求項4】
前記熱交換ガスがヘリウムガスまたは水素ガスである、請求項3に記載の磁気冷凍装置。
【請求項5】
前記熱アンカーがギフォード・マクマホン(GM)冷凍機により冷却されている、請求項4に記載の磁気冷凍装置。
【請求項6】
前記磁場発生手段が超伝導磁石である、請求項5に記載の磁気冷凍装置。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の磁気冷凍装置を用いた、水素ガスから液体水素を生成する水素液化装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液体窒素温度以下の極低温まで冷却可能な磁気冷凍装置の構造に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
冷凍や冷房、あるいは気体の液化を実現する冷凍技術として、従来、フロン等の冷媒気体の圧縮・膨張サイクル(ブレイトン・サイクル)を利用した気体冷凍が幅広く用いられてきたが、近年、磁気冷凍への関心が高まってきている。磁性体に外部から磁場を印加すると、内部自由度である電子スピンの向きが揃い、その過程で磁性体は発熱する。一方、その状態から断熱状態で急に磁場を切ると磁性体は吸熱して温度が低下する。この可逆的な「磁気熱量効果」を利用して被冷却物を冷却する技術が磁気冷凍技術である。磁気冷凍は、地球温暖化を促進するフロン等の冷媒を使用しないので環境負荷が小さい。また圧縮機が不用なため気体の圧縮・膨張での損失がなく高効率、かつ小型化が可能である。このような利点のため、室温付近の空調や業務用冷蔵庫・冷凍庫への応用、あるいは将来のエネルギー源として注目を集めている液体水素を製造する水素液化装置への応用が期待されている(非特許文献1)。
【0003】
図1は極低温用の磁気冷凍装置の基本的な構成を説明する模式図である。磁気冷凍を行う磁気冷凍機の基本構成要素は、磁気熱量効果を発生する磁気作業物質(例えばガドリニウム(Gd))を内蔵する磁性体、これと熱交換を行う熱交換ガス、そして磁場を発生させる超伝導磁石等の磁場発生手段である。磁気冷凍機は真空断熱を保つ真空断熱容器(クライオスタット)の内部に収納され、その他の付帯装置として、磁性体を磁場から出し入れするための駆動機構、熱交換ガスを循環させるための流体ポンプを備えている。近年は、冷凍効果を向上させるため、磁場発生手段の中心に配置される磁性体を、外部の駆動機構により所定の冷凍サイクルで上下に往復運動させ、さらに、流体ポンプがこの往復運動と同期して磁性体中に熱交換ガスを間欠的に流すことによって、磁気熱量効果を熱交換ガスに効果的に伝達させるAMR(Active Magnetic Regenerator:能動的蓄冷器)方式が用いられる(非特許文献2)。後述する本発明によるAMR方式を用いた磁気冷凍機の中心部分に、外部の水素ガスの貯蔵タンクから水素ガス供給ラインを通して水素ガスを供給すれば、水素液化装置を構成することも可能となる。
【0004】
磁気冷凍機を用いて液体窒素温度以下の極低温まで冷却する場合、熱交換ガスは、室温から磁気冷凍機が効率的に冷凍能力を発揮するのに必要な極低温まで冷却して供給する必要がある。磁気冷凍機の磁性体の温度は100K以下になるので、流体ポンプにより室温で送り込まれる熱交換ガスと極低温の磁性体との温度差は非常に大きくなる。すると熱交換ガスから磁気冷凍機への熱侵入量が増大し、本来発揮されるべき磁気冷凍機の冷凍能力が発揮されない状態となってしまう。これを避けるために、図1に示す極低温用磁気冷凍装置は、室温のガスを液体窒素温度以下になるまで冷却する気体冷凍機と、そこから到達目標の極低温までの冷却を受け持つ磁気冷凍機から成る複合システムを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2008-241215号公報
特許第3677551号公報
特開平6-166865号公報
【非特許文献】
【0006】
沼澤健則、「水素エネルギー社会における磁気冷凍の可能性」、水素エネルギーシステム、 第31巻, 第2号、2006年
Koji Kamiya et al., “Active magnetic regenerative refrigeration using superconducting solenoid for hydrogen liquefaction”, Applied Physics Express, 15, 053001 (2022).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示す極低温用磁気冷凍装置では、流体ポンプにより磁気冷凍機に熱交換ガスが送られるが、上記のように室温の熱交換ガスを直接磁気冷凍機に供給することはできないため、前段階として気体冷凍機を通して熱交換ガスを十分に予備冷却する。一般的に、ギフォード・マクマホン(GM)冷凍機等の機械式冷凍機が熱アンカーとして熱交換ガスの予備冷却に用いられるが、室温の熱交換ガスを送るとGM冷凍機への熱負荷が大きいため、流体ポンプ(以下では室温ポンプとも言う)とGM冷凍機の間にさらに熱交換器を挿入する必要がある。
【0008】
AMR方式の磁気冷凍機では流れが往復する熱交換ガスを用いる。磁気冷凍機が内蔵する磁気作業物質は、所定の冷凍サイクルに従って往復運動する間に励磁・消磁過程を行う必要があるため、励磁中、消磁中は熱交換ガスを流すことができない。すなわち、磁気冷凍機の熱交換ガスの流れは単純な往復運動ではなく、上記冷凍サイクルに同期して間欠的に往復する流れとする必要がある。そのため、熱交換ガスの冷却は、この熱交換ガスの動きに素早く応答し、冷凍サイクル中の限られた時間内で熱交換ガスを十分低温まで冷却する必要がある。従って、これに用いる熱交換器には、定常流のガス冷却の場合よりもさらに高い熱交換効率が求められる。
【0009】
一般的に、熱交換器としては例えば図2に示すような多管式熱交換器が広く用いられている。しかし、磁気冷凍装置に多管式熱交換器を適用した場合、磁気冷凍機に必要な流体の流量を十分に熱交換させて冷却するためには、10~20mの長さのチューブが必要となり、熱交換器のサイズが非常に大型になってしまうことが計算シミュレーションの結果明らかになった。従って、このような多管式熱交換器を磁気冷凍装置の内部に収納することは難しく、もし収納したとしても装置全体が大型化し、小型化が可能という磁気冷凍機の大きな特徴を生かすことができない。このように、一般的に用いられる小型の多管式熱交換器では、極低温で動作する磁気冷凍機に供給する熱交換ガスを、磁気冷凍の効率的な運転温度まで冷却することは困難である。そのため、極低温用の小型磁気冷凍装置は今まで実現されてこなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、上記熱交換ガスの予備冷却の問題を解決するために、磁気冷凍装置用の熱交換器として蓄冷式熱交換器を開発した。蓄冷式熱交換器には蓄冷材が用いられ、多様な材質、形状のものがあるが(特許文献2)、本発明で用いた蓄冷材は汎用のステンレスのメッシュを多数積層させたものであり、例えば特許文献3に開示されているような、ランタノイド等の希少で高価なレアアースを含む蓄熱物質を用いることなく、熱交換器としての効率を大きく改善させることができる利点を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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