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公開番号2024109222
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-14
出願番号2023013911
出願日2023-02-01
発明の名称マルチマテリアルの点接合構造
出願人福井県
代理人
主分類B23K 20/12 20060101AFI20240806BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】鋼製の接合用エレメントの足部と鋼板との接合形態を最適化することで、生産性が高い条件で高強度と高信頼性を兼ね備えたマルチマテリアルの点接合構造を提供する。
【解決手段】鋼製の接合用エレメントの頭部と鋼板の間で非鉄金属板が機械的に締結されているとともに、鋼製の接合用エレメントの足部と鋼板が摩擦圧接により接合されており、摩擦圧接の接合過程で熱伝導率の差を利用するために鋼製の接合用エレメントの材質をステンレス鋼とするとともに鋼板の材質を炭素鋼とすることで鋼製の接合用エレメントの足部の軸内部では鋼板と鋼製の接合用エレメントの足部との接触面から鋼製の接合用エレメントの頭部の方向に摩擦回転面が移動することによって生じる撹拌領域が形成されていないことを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
摩擦エレメント接合法により上板となる非鉄金属板と下板となる鋼板の重なり部分において鋼製の接合用エレメントを回転させながら上板側から押し当てることで異種金属板同士を点接合する構造であって、前記鋼製の接合用エレメントの頭部と前記鋼板の間で前記非鉄金属板が機械的に締結されているとともに、前記鋼製の接合用エレメントの足部と前記鋼板が摩擦圧接により接合されており、摩擦圧接の接合過程で熱伝導率の差を利用するために前記鋼製の接合用エレメントの材質をステンレス鋼とするとともに前記鋼板の材質を炭素鋼とすることで前記鋼製の接合用エレメントの足部の軸内部では前記鋼板と前記鋼製の接合用エレメントの足部との接触面から前記鋼製の接合用エレメントの頭部の方向に摩擦回転面が移動することによって生じる撹拌領域が形成されていないことを特徴とするマルチマテリアルの点接合構造。
続きを表示(約 67 文字)【請求項2】
前記非鉄金属板がアルミニウム合金板であることを特徴とする請求項1に記載のマルチマテリアルの点接合構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦エレメント接合法により上板となる非鉄金属板と下板となる鋼板の重なり部分において鋼製の接合用エレメントを回転させながら上板側から押し当てることで異種金属板同士を点接合する構造について、鋼製の接合用エレメントの足部と鋼板との接合形態を最適化することに関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
自動車産業においては、環境問題への対応策の一つとして、車両重量の軽量化を実現するための技術開発が積極的に行われている。例えば、材料強度の異なる鋼板を組み合わせて使用する技術を開発することで、高強度化鋼板の利用による車両重量の軽量化を進めている。また、鋼板とアルミニウム合金板を組み合わせるなど異種材料を組み合わせて使用する技術を開発することで、マルチマテリアル化による車両重量の軽量化を進めている。
【0003】
自動車産業における板材同士の接合については、生産性の高い接合方法が必要となるので、板材同士の重なり部分において点接合する方法を採用することが多い。そのため、鋼板同士の接合については、スポット溶接法を主に採用している。一方で、鋼板とアルミニウム合金板の接合については、スポット溶接法で接合すると溶融凝固部に脆い金属間化合物が生成することで実用的な接合強度が得られないことから、リベットによる機械的接合法を主に採用している。しかしながら、高強度化鋼板とアルミニウム合金板の接合については、高強度化鋼板をリベットで打ち抜くには非常に大きな力が必要なので接合装置が大型化するなどの理由で、リベットによる機械的接合法を採用することができない。
【0004】
このような状況において、高強度化鋼板とアルミニウム合金板の接合に、下記の特許文献1などにより公知である接合方法であって、鋼製の接合用エレメントの頭部と下板となる鋼板の間で上板となるアルミニウム合金板が機械的接合法で接合されるとともに、鋼製の接合用エレメントの足部と下板となる鋼板が摩擦圧接法と同様のプロセスで接合される締結方法として知られている摩擦エレメント接合法の採用が検討されはじめている。
【0005】
下記の非特許文献1では、市販の摩擦エレメント接合装置と接合用エレメントを用い、接合用エレメントを6,000~8,000rpmで回転させながら約5kNの力で押し込む条件でアルミニウム合金板と鋼板を摩擦エレメント接合法で接合できることが記載されている。ただし、接合過程と影響因子に不明確な部分が多いため、接合可能な材料とその組合せ、最適接合条件を明確にすることで、技術の更なる進歩が期待されることも記載されている。
【0006】
さらに、下記の非特許文献2では、市販の摩擦エレメント接合装置と接合用エレメントを用いた摩擦エレメント接合法に関する研究結果が記載されている。この文献でも、摩擦エレメント接合法については、鋼板とアルミニウム合金板の接合を対象に様々な検討がなされているものの、接合部の組織を詳細に観察した報告がないことが記載されている。また、類似の接合技術である摩擦スタッド接合法についても、高強度化鋼板を対象とした接合やその接合部の組織を詳細に観察した報告がないことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許第3,477,115号
【非特許文献】
【0008】
片岡時彦、EJOWELD®による新接合技術の評価、JFE-TEC News、No.51(2017)p.3
【0009】
松井翔、潮田浩作、藤井英俊、摩擦エレメント接合した鋼板継手における下板の炭素量と十字引張強さの関係、溶接学会論文集、第40巻(2022)1号、p.9-17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
摩擦エレメント接合法は、スポット溶接法やリベットによる機械的接合法では接合が難しいとされる高強度化鋼板とアルミニウム合金板の点接合が可能な接合方法であるので、技術の発展が期待される接合方法である。ただし、摩擦エレメント接合法で良好な接合結果を得るためには、「鋼製の接合用エレメントの足部と下板となる鋼板が摩擦圧接法と同様のプロセスで接合される」という点で無数にある接合条件の組合せの中から最適な接合条件を探索する必要がある。しかしながら、最適接合条件を探索するに当たっては、鋼製の接合用エレメントの足部と鋼板との接合形態をどのような接合形態とすれば良いのかが分かっていないことが問題となっている。
(【0011】以降は省略されています)

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