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公開番号2024176573
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095243
出願日2023-06-09
発明の名称繊維束の開繊方法及び装置
出願人福井県
代理人弁理士法人大手門国際特許事務所
主分類D02J 1/18 20060101AFI20241212BHJP(糸;糸またはロープの機械的な仕上げ;整経またはビーム巻き取り)
要約【課題】繊維束に流体を通過させたわませながら開繊する方法において、開繊処理部内にたわみを形成する部材を配置し繊維束に緊張と弛緩を短時間で交互に与えて開繊を実施するが、前記部材により繊維束に作用する流体の流れが短時間で大きく変動するため、開繊効率および装置振動が大きい等の課題があった。
【解決手段】流体が通過する開口部が形成されたたわみ形成部材により繊維束に緊張と弛緩を与えて、開口部を通過した流体が繊維束の最大押し込み位置の近傍領域を通過して、繊維を流体の通過方向にたわませながら繊維を幅方向に移動させて開繊する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
給糸体から多数の繊維を引き揃え集束して成る繊維束を引き出して搬送し、前記繊維束の一部にたわみ形成部材を接触させながら搬送方向と交差する方向に押し込んで緊張状態とした後、緊張状態の前記繊維束から前記たわみ形成部材を離間させて前記繊維束を弛緩状態とする変動動作を繰り返し行う領域にて、前記繊維束に流体を通過させ、前記繊維を流体の通過方向にたわませながら幅方向に移動させて開繊する開繊方法において、前記たわみ形成部材に前記流体が通過する開口部が形成されており、前記開口部を通過した流体が前記たわみ形成部材の動作による前記繊維束の最大押し込み位置の近傍領域を通過して、前記繊維を前記流体の通過方向にたわませながら前記繊維を幅方向に移動させて開繊する繊維束の開繊方法。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
前記たわみ形成部材が回動して、前記繊維束に緊張と弛緩の変動動作を繰り返し与える請求項1に記載の繊維束の開繊方法。
【請求項3】
前記たわみ形成部材が前記繊維束の搬送方向と交差する方向に振動して、前記繊維束に緊張と弛緩の変動動作を繰り返し与える請求項1に記載の繊維束の開繊方法。
【請求項4】
前記繊維束がたわむ領域の搬送方向における長さであるたわみ区間長さと、たわんだ前記繊維束に流体が作用し通過する領域の搬送方向における長さである流体作用区間長さとの関係において、たわみ区間長さ>流体作用区間長さの関係となる請求項1に記載の繊維束の開繊方法。
【請求項5】
搬送される前記繊維束中に流体を作用させることで繊維をたわませながら幅方向に移動させて開繊する領域が、前記繊維束の搬送経路において複数個所に設定されている請求項1に記載の繊維束の開繊方法。
【請求項6】
前記たわみ形成部材には搬送される前記繊維束の開繊幅を規制する幅規制ガイドを備えて、前記繊維束の開繊幅を徐々に拡幅させながら開繊する請求項5に記載の繊維束の開繊方法。
【請求項7】
幅方向に複数本の前記繊維束を並べて搬送させ、各前記繊維束を開繊する請求項1に記載の繊維束の開繊方法。
【請求項8】
搬送される繊維束中に流体を作用させることで繊維をたわませながら幅方向に移動させて開繊する開繊処理部と、前記流体が通過する開口部が形成されたたわみ形成部材を前記開繊処理部内に配置して前記たわみ形成部材により前記繊維束を搬送方向と交差する方向に押し込んで緊張状態とするとともに緊張状態の前記繊維束からたわみ形成部材を離間させて前記繊維束を弛緩状態とする変動動作を繰り返し行うたわみ形成部とを備えている繊維束の開繊装置。
【請求項9】
前記たわみ形成部材は、搬送される前記繊維束を搬送方向と交差する方向に押し込む複数の押込部材と、前記押込部材を前記流体が通過する間隔を空けて前記開口部を形成するように取り付けた取付部材とを備えている請求項8に記載の繊維束の開繊装置。
【請求項10】
前記押込部材が、ロール形状に形成されている請求項9に記載の繊維束の開繊装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、給糸体から多数の繊維を引き揃え集束して成る繊維束を引き出して搬送し、搬送される繊維束中に流体を通過させることで繊維をたわませながら幅方向に移動させて開繊する繊維束の開繊方法及び装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂またはPA6、PPS、PEEKなどの熱可塑性樹脂を母材(マトリックス)とする繊維強化複合材料は、軽量、かつ機械的特性・耐食性などに優れているため、航空機、自動車などの輸送用分野、工作機械部品、ロボットアームなどの産業用途分野、さらには釣り竿、ゴルフシャフトなどのスポーツ分野などいろいろな分野の製品に幅広く用いられるようになってきた。
【0003】
この繊維強化複合材料の成形体を成形する方法として、プリプレグシートと呼ばれる、強化繊維束の単繊維間にマトリックスとなる樹脂を含浸させてなるシート状の中間材料を用いて成形する方法が多く採用される。例えば、プリプレグシートを種々の方向に積層後、加熱加圧して成形する方法があるが、この方法で得た成形体は長繊維の特性が活かされた高弾性かつ高強度な成形体となる。また、プリプレグシートを短冊形のチョップドテープに加工した後、チョップドテープを型内にばらまき加熱加圧する成形方法では、軽量かつ力学的特性に優れた複雑な形状をした成形体を得ることができる。
【0004】
近年、繊維の分散性が良い、薄いプリプレグシートの必要性が増してきている。薄いプリプレグシートは、薄肉な成形体を得るためだけでなく、長繊維方向の物性が優れる異方性の特徴を生かした多彩な設計を可能とし、また、プリプレグシートやチョップドテープを積層した成形体の力学的特性を向上させることがわかってきており、繊維強化複合材料の使用用途をさらに拡大するものと期待されている。そして、このような均一で薄いプリプレグシートの要求を満たすために、強化繊維束を開繊する技術も必要となっている。
【0005】
また、プリプレグシートの製造において、強化繊維束を開繊することは材料コストを下げることにおいても必要とされている。均一で薄いプリプレグシートを作るためには、通常、繊維(フィラメント)数の少ない強化繊維束を一方向に引揃えて作るのが一般的である。しかし、フィラメント数の少ない強化繊維束は高価であるため、できる限りフィラメント数の多い強化繊維束を使用したい。このため、フィラメント数の多い強化繊維束を開繊して薄い強化繊維束の開繊糸シートを作製したのちプリプレグシートとする方法は、材料コストの下がった均一で薄いプリプレグシートを可能とするものである。
【0006】
複数本の繊維束を開繊する方法として、本発明者等は、特許文献1、特許文献2などの方法を提案している。これらの方法は、搬送される繊維束に搬送方向と交差する方向から流体を作用させ、前記繊維束をたわませながら各繊維を幅方向に移動させて開繊する方法であり、複数本の搬送される繊維束にたわみを与えるため、前記繊維束に接触する部材(接触部材と呼ぶ)により搬送方向と交差する方向に繊維束を押し込む動作と、押し込まれた繊維束から前記接触部材を離間させる動作を繰り返し与える方法が示されている。
【0007】
これらの方法により、複数本の繊維束を、繊維分散性良く、かつ各繊維束が幅広く開繊することが実施できるようになった。そして、特許文献2の方法では、前記接触部材が回動して繊維束の押し込みと繊維束からの離間を高速で繰り返し行うため、品質の良い、幅広な開繊が高速にて実施できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第4740131号公報
特許第5553074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの方法は、繊維束を前記接触部材により押し込む動作と押し込まれた状態の前記繊維束から前記接触部材を離間させる動作を繰り返し与える変動付与部と、前記繊維束に流体を作用させ曲線状にたわませながら幅方向に各繊維を移動させる開繊処理部を備えた装置によって行うことができる。そして、開繊処理部を構成する風洞管(上方部は開口され、下方部は流体を吸引する吸引ポンプと接続された構成)の上方部に、変動付与部の接触部材を配置した装置により、繊維束を前記接触部材の流体が吸引される下流側に搬送させて開繊を実施することで、幅広くかつ品質の良い開繊を実現できるようになった。
【0010】
しかし、前記繊維束が前記風洞管内でたわむ際、前記繊維束に作用する流体は前記接触部材をまわり込むようにして風洞管内に吸引されて前記繊維束に作用するため、吸引された流体が繊維束に効率的に作用していないと考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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