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公開番号
2024096899
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-17
出願番号
2024065962,2020530276
出願日
2024-04-16,2019-07-12
発明の名称
γδT細胞の製造方法
出願人
国立大学法人京都大学
,
武田薬品工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/0783 20100101AFI20240709BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】人工多能性幹細胞からγδT細胞を製造する方法を提供する。
【解決手段】人工多能性幹細胞が、αβT細胞以外の細胞由来である、方法であって、以下の工程を含む、人工多能性幹細胞からγδT細胞を製造する方法。
(1)αβT細胞以外の細胞から人工多能性幹細胞を樹立する工程
(2)工程(1)で樹立された人工多能性幹細胞をT細胞に分化させる工程
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
人工多能性幹細胞からγδT細胞を製造する方法であって、前記人工多能性幹細胞が、αβT細胞以外の細胞由来である、方法。
続きを表示(約 800 文字)
【請求項2】
以下の工程を含む、請求項1に記載の方法。
(1)αβT細胞以外の細胞から人工多能性幹細胞を樹立する工程
(2)工程(1)で樹立された人工多能性幹細胞をT細胞に分化させる工程
【請求項3】
前記αβT細胞以外の細胞が、αβT細胞以外の単核細胞である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記αβT細胞以外の細胞が単球である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記(1)および(2)のいずれかの工程中に得られる細胞に、腫瘍特異的抗原若しくは腫瘍関連抗原を認識し結合する
(i)αTCRをコードする核酸およびβTCRをコードする核酸、
(ii)γTCRをコードする核酸およびδTCRをコードする核酸、並びに/または
(iii)CARをコードする核酸
を導入する工程を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記γTCRがVγ9TCRであり、且つ前記δTCRがVδ2TCRである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(1)および(2)のいずれかの工程中に得られる細胞に、IL-15およびIL-15Rαを含む融合タンパク質をコードする核酸を導入する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
人工多能性幹細胞由来のγδT細胞であって、前記人工多能性幹細胞が、αβT細胞以外の細胞由来である、細胞。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法により製造されるγδT細胞。
【請求項10】
前記αβT細胞以外の細胞が、αβT細胞以外の単核細胞である、請求項8または9に記載の細胞。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工多能性幹細胞からγδT細胞を製造する方法、人工多能性幹細胞から分化したγδT細胞および該細胞を含む細胞集団などに関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【0002】
(発明の背景)
近年、がんに対する治療法として免疫細胞治療が注目されている。免疫細胞治療とは、患者の体外で増殖および活性化させた免疫細胞を患者に投与し、その免疫細胞にがん細胞を攻撃させる治療法である。免疫細胞治療は、従来の外科治療、放射線治療、化学治療の三大療法に比べて副作用がほとんどないという利点を有している。免疫細胞治療には様々な種類の治療法があるが、その中でも、自然免疫を担い、がん細胞に対して細胞傷害活性を有するγδT細胞を用いた治療が注目されている。
【0003】
γδT細胞治療では、該細胞治療を実現するにあたり、該細胞を効率よく製造し、安定供給するための製造方法の開発が望まれるところ、患者の血液中のγδT細胞のみを選択する手法(血液細胞をゾレドロン酸およびIL-2含有培地で培養する方法(特許文献1))は知られているものの、本発明者らが知る限り幹細胞からγδT細胞を製造する手法は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2006/006720号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、幹細胞からγδT細胞を製造する方法を提供することを課題とする。また本発明は、幹細胞から分化したγδT細胞および該細胞を含む細胞集団を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、αβT細胞以外の細胞から人工多能性幹細胞を誘導し、さらに該細胞をT細胞に誘導することにより、γδT細胞を効率良く取得できることを見出した。また、このようにして得られたγδT細胞にキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子を導入することで、該CARを発現するγδT細胞を作製したところ、該γδT細胞は、導入前のγδT細胞では認識および傷害が難しいがん細胞に対しても高い細胞傷害性を示すことが示された。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下を提供する。
[1]人工多能性幹細胞からγδT細胞を製造する方法であって、前記人工多能性幹細胞が、αβT細胞以外の細胞由来である、方法。
[2]以下の工程を含む、[1]に記載の方法。
(1)αβT細胞以外の細胞から人工多能性幹細胞を樹立する工程
(2)工程(1)で樹立された人工多能性幹細胞をT細胞に分化させる工程
[3]前記αβT細胞以外の細胞が、αβT細胞以外の単核細胞である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記αβT細胞以外の細胞が単球である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の方法。
[5]前記(1)および(2)のいずれかの工程中に得られる細胞に、腫瘍特異的抗原若しくは腫瘍関連抗原を認識し結合する
(i)αTCRをコードする核酸およびβTCRをコードする核酸、
(ii)γTCRをコードする核酸およびδTCRをコードする核酸、並びに/または
(iii)CARをコードする核酸を導入する工程を含む、[2]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6]前記γTCRがVγ9TCRであり、且つ前記δTCRがVδ2TCRである、[5]に記載の方法。
[7]前記(1)および(2)のいずれかの工程中に得られる細胞に、IL-15およびIL-15Rαを含む融合タンパク質をコードする核酸を導入する工程を含む、[1]~[6]のいずれか一つに記載の方法。
[8]人工多能性幹細胞由来のγδT細胞であって、前記人工多能性幹細胞が、αβT細胞以外の細胞由来である、細胞。
[9][1]~[7]のいずれか一つに記載の方法により製造されるγδT細胞。
[10]前記αβT細胞以外の細胞が、αβT細胞以外の単核細胞である、[8]または[9]に記載の細胞。
[11]前記αβT細胞以外の細胞が単球である、[8]~[10]のいずれか一つに記載の細胞。
[12]前記γδT細胞が、Vγ9TCRおよびVδ2TCRを発現している、[8]~[11]のいずれか一つに記載の細胞。
[13]前記γδT細胞が、CARを発現している、[8]~[12]のいずれか一つに記載の細胞。
[14]前記γδT細胞が、IL-15およびIL-15Rαを含む融合タンパク質を発現している、[8]~[13]のいずれか一つに記載の細胞。
[15]少なくとも全細胞の90%以上がγδT細胞である細胞集団であって、前記γδT細胞が、αβT細胞以外の細胞由来の人工多能性幹細胞から分化した細胞である、細胞集団。
[16][8]~[14]のいずれか一つに記載の細胞または[15]に記載の細胞集団を含む医薬。
[17]腫瘍の予防又は治療に使用するための、[16]に記載の医薬。
[18][8]~[14]のいずれか一つに記載の細胞または[15]に記載の細胞集団を含む、細胞の殺傷剤。
[19]腫瘍の予防又は治療に使用するための、[8]~[14]のいずれか一つに記載の細胞または[15]に記載の細胞集団。
[20]腫瘍の予防剤又は治療剤の製造における、[8]~[14]のいずれか一つに記載の細胞または[15]に記載の細胞集団の使用。
[21][8]~[14]のいずれか一つに記載の細胞または[15]に記載の細胞集団を投与することを含む、腫瘍の予防又は治療方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人工多能性幹細胞からγδT細胞を製造する方法、人工多能性幹細胞から分化したγδT細胞および該細胞を含む細胞集団などを提供することができる。さらに、上記方法により製造されたγδT細胞のうち、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞では、CARが認識する抗原特異的に高い細胞傷害活性を、in vitroおよびin vivoで示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、抗体セット(Vδ1 Myltenyi FITC、Vδ2 Myltenyi APC、γδTCR BD BV510、CD3 BioLegend APC/Cy7およびαβTCR eBioscience FITC)を用いて、取得した細胞を染色した結果を示す。塗りつぶしのピークは、非染色群の結果を示し、ブランクのピークは各抗原特異的な抗体を用いた染色結果をそれぞれ示す。
図2は、抗体セット(Vδ1 Myltenyi FITC、Vδ2 Myltenyi APC、γδTCR BD BV510、CD3 BioLegend APC/Cy7およびαβTCR eBioscience FITC)を用いて、取得した細胞を染色したフローサイトメトリーの結果を示す。
図3は、取得したγδT細胞の細胞傷害活性の測定結果を示す。縦軸は細胞傷害活性(%)を示し、横軸は、標的細胞数に対する混和したγδT細胞数の割合を示す。
図4は、iPS細胞由来γδT細胞(iγδT細胞)の細胞増殖の測定結果を示す。縦軸は細胞増殖率を示し、横軸は抗CD3抗体(UCHT1)および抗CD30抗体による刺激を開始した日からの経過日数を示す。
図5は、iPS細胞に、Vγ9Vδ2TCR遺伝子を導入して分化させたγδT細胞(iγ9δ2T細胞)の細胞膜表面上でのCD3およびγδTCR分子の発現を示す。
図6は、iPS細胞由来の造血前駆細胞(HPC)に、Vγ9Vδ2TCR遺伝子を導入して分化させたγδT細胞(iHγ9δ2T細胞)の細胞膜表面上でのCD3およびγδTCR分子の発現を示す。
図7は、抗CD19-CAR遺伝子を発現させたiγδT細胞(iCD19CAR/IL-15γδT細胞)の細胞増殖の測定結果を示す。縦軸は細胞数を示し、横軸は抗CD3抗体(UCHT1)および抗CD30抗体による刺激を開始した日からの経過日数を示す。
図8は、抗CD19-CAR遺伝子を発現させたiHγ9δ2T細胞(iHCD19CAR/IL-15γ9δ2T)の細胞増殖の測定結果を示す。縦軸は細胞数を示し、横軸は抗CD3抗体(UCHT1)による刺激を開始した日からの経過日数を示す。
図9は、抗CD19-CAR遺伝子を発現させたiγδT細胞(iCD19CAR/IL-15γδT細胞)の細胞傷害活性の測定結果を示す。縦軸は標的細胞傷害率(%)を示し、横軸は、標的細胞数に対する混和したiCD19CAR/IL-15γδT細胞数の割合を示す。
図10は、抗CD19-CAR遺伝子を発現させたiHγ9δ2T細胞(iHCD19CAR/IL-15γ9δ2T細胞)の細胞傷害活性の測定結果を示す。縦軸は標的細胞傷害率(%)を示し、横軸は、標的細胞数に対する混和したiHCD19CAR/IL-15γ9δ2T細胞数の割合を示す。
図11は、抗CD19-CAR遺伝子を発現させたiγδT細胞(iCD19CAR/IL-15γδT細胞)のin vivo投与による、ヒトCD19陽性腫瘍担がんマウスの生存日数への効果を示す。縦軸はマウスの生存率を示し、横軸はがん細胞を移植した日からの経過日数を示す。
図12は、抗CD19-CAR遺伝子を発現させたiHγ9δ2T細胞(iHCD19CAR/IL-15γ9δ2T)のin vivo投与による、ルシフェラーゼ発現ヒト腫瘍移植マウスに対する抗腫瘍効果を示す。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本明細書において、「遺伝子の発現」には、該遺伝子の特定のヌクレオチド配列からmRNAが合成されること(転写又はmRNAの発現ともいう)及び該mRNAの情報に基づきタンパク質が合成されること(翻訳又はタンパク質の発現ともいう)の両方が包含されるものであるが、特に断らない限り、「遺伝子の発現」又は単なる「発現」はタンパク質の発現を意味するものとする。
(【0011】以降は省略されています)
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