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公開番号2024090083
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2022205740
出願日2022-12-22
発明の名称粘着シート
出願人日東電工株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C09J 7/38 20180101AFI20240627BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】被着体に対して良好に密着することが可能であり、かつ被着体からの除去性のよい粘着シートを提供する。
【解決手段】基材と、基材の片側に配置された第1粘着層と、基材の第1粘着層とは反対側に配置された第2粘着層とを備える粘着シートが提供される。第2粘着層の少なくとも表面は、熱膨張性微小球を含有する粘着剤により構成されている。第1粘着層は、A層と、A層に隣接するB層とを含む。A層の厚さは2μm以上であり、B層の厚さは5μm以上である。B層中に存在するカルボキシ基の量は、A層中に存在するカルボキシ基の量よりも多い。第1粘着層は、A1<B1およびA1≦0.050を満たす。A1、B1は、それぞれ測定位置A、BのFT-IRスペクトルにおけるエポキシ系樹脂処理前後のエポキシ系樹脂に由来するピーク強度上昇量である。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
基材と、該基材の片側に配置された第1粘着層と、該基材の該第1粘着層とは反対側に配置された第2粘着層とを備える粘着シートであって、
前記第2粘着層の少なくとも表面は、熱膨張性微小球を含有する粘着剤により構成されており、
前記第1粘着層は、該第1粘着層の表面を構成するA層と、前記A層と前記基材との間に配置されて該A層に隣接するB層と、を含み、
前記A層の厚さは2μm以上であり、前記B層の厚さは5μm以上であり、
前記B層中に存在するカルボキシ基の量は、前記A層中に存在するカルボキシ基の量よりも多く、
前記第1粘着層は、下記条件(1)および(2)を満たす、粘着シート。
(1) A1<B1;および
(2) A1≦0.050
前記A1は、前記第1粘着層の表面から深さ1μmに位置する測定位置AのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度を基準として求められる、該第1粘着層表面に対するエポキシ系樹脂処理前後の該エポキシ系樹脂に由来するピーク強度の上昇量A1であり、
前記B1は、前記第1粘着層の前記基材側から深さ5μmに位置する測定位置BのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度を基準として求められる、該第1粘着層表面に対するエポキシ系樹脂処理前後の該エポキシ系樹脂に由来するピーク強度の上昇量B1であり、
前記エポキシ系樹脂に由来するピーク強度として、1505cm
-1
~1515cm
-1
の範囲に存在するピーク強度が用いられる。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記第1粘着層は、前記測定位置BのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する1700cm
-1
~1710cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比B2が0.15~0.50である、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記第1粘着層は、前記測定位置BのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する2955cm
-1
~2965cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比B3が0.1~0.3である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記第1粘着層は、前記測定位置AのFT-IRスペクトルにおけるピーク強度比A2と、前記測定位置BのFT-IRスペクトルにおけるピーク強度比B2との比(B2/A2)が1.01~3.00である、ここで、前記ピーク強度比A2および前記ピーク強度比B2は、前記各FT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する1700cm
-1
~1710cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記第1粘着層は、前記測定位置AのFT-IRスペクトルにおけるピーク強度比A3と、前記測定位置BのFT-IRスペクトルにおけるピーク強度比B3との比(B3/A3)が0.75~2.00である、ここで、前記ピーク強度比A3および前記ピーク強度比B3は、前記各FT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する2955cm
-1
~2965cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記A層の厚さが2~30μmであり,前記B層の厚さが5~40μmである、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項7】
前記第1粘着層の厚さは7~70μmである、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項8】
前記第1粘着層は、
該第1粘着層表面に対するエポキシ系樹脂処理後に100℃にて測定されるエポキシ系樹脂に対する密着力が0.01N/10mm以上3.00N/10mm以下であり、かつ、
23℃、50%RHの環境下で測定されるポリエチレンテレフタレートフィルムに対する粘着力が1.00N/20mm以上10.0N/20mm以下である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項9】
前記B層は、カルボキシ基を有するアクリル系ポリマーと、イソシアネート系架橋剤とを含む、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項10】
前記第1粘着層は、前記測定位置AのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する1700cm
-1
~1710cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比A2が0.325以下である、請求項1または2に記載の粘着シート。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
一般に粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により被着体に接着する性質を有する。かかる性質を活かして、粘着剤は、典型的には粘着剤層を備える粘着シートの形態で、各種の産業分野において広く利用されている。粘着シートの用途の一例として、被着体である各種物品の製造、加工、搬送等の際に該被着体に一時的に貼り付けられ、その目的を達成した後に被着体から除去される、いわゆる工程材としての用途が挙げられる。例えば、半導体チップを含む半導体部品の製造において、半導体チップの傷つき防止、金属配線の拡張等のために当該半導体チップを樹脂封止する樹脂封止工程において、作業性等の観点から、半導体チップの樹脂封止を粘着シートの上で行うことがある。例えば、仮固定材としての粘着シートの粘着剤層上に複数の半導体チップを配置し、当該粘着剤層上で半導体チップを一括に封止する。その後、所定の後工程において、封止樹脂と半導体チップとを含む構造体から上記粘着シートを剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001-308116号公報
特開2001-313350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、工程材として用いられる粘着シートには、所定の工程中、被着体によく密着する性能と、被着体からの除去時に被着体から良好に除去できる性能とが求められる。被着体との密着性に関しては、例えば、上記半導体チップの樹脂封止工程に用いられる粘着シートには、被着体である半導体チップをズレなく固定する性能が求められる。また、被着体からの除去性に関しては、例えば、粘着シートを剥離する際の負荷による被着体の損傷防止に適した軽剥離性や、粘着シートの剥離後に被着体上への粘着剤の残留(糊残り)を生じない性質を有することが望ましい。例えば、上記半導体チップの樹脂封止工程のように、被着体に貼り付けられた状態で該被着体に加熱を伴う加工を施す使用態様が想定される粘着シートでは、加熱後にも上記軽剥離性や糊残り防止性を発揮することが求められる。
【0005】
粘着シートを軽剥離化するための一手法として、粘着剤を適度に硬くすることが挙げられる。粘着剤を硬くすることは、粘着剤の凝集破壊による糊残りを防止する観点からも有利である。しかし、粘着剤を硬くすると、被着体との密着性が低下する傾向にあり、被着体をズレなく固定することが難しくなる傾向にある。例えば、上記半導体チップの樹脂封止工程用途では、被着体に対する密着性が十分でないと、樹脂封止工程時などにおいて、チップシフトと称される数十ミクロン程度の半導体チップの位置ズレを生じることがあり、歩留まり低下や不具合の原因となり得る。また、基材上に粘着剤層を有する形態の粘着シートでは、粘着剤を硬くすると基材と粘着剤層との密着性が低下し、投錨破壊(基材と粘着剤層との界面での剥離)による糊残りが生じやすくなる。
【0006】
本発明者は、上記糊残りの防止に関し、鋭意検討を行った結果、半導体チップの樹脂封止工程に用いられる粘着シートでは、封止樹脂として用いられるエポキシ系樹脂中の成分が粘着剤層に移行することにより、封止樹脂と粘着剤との密着性が上昇し、重剥離化や糊残りが発生しやすくなることを発見した。この知見に基づけば、粘着剤層表面において封止樹脂からの移行成分量を低減することにより、軽剥離性および糊残り防止性を改善できると考えられる。そこで、さらに検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、半導体チップの樹脂封止工程で用いられる場合であっても、被着体に対して良好に密着することが可能であり、かつ被着体からの除去性のよい粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この明細書により提供される粘着シートは、基材と、該基材の片側に配置された第1粘着層と、該基材の該第1粘着層とは反対側に配置された第2粘着層とを備える。上記第2粘着層の少なくとも表面は、熱膨張性微小球を含有する粘着剤により構成されている。また、上記第1粘着層は、該第1粘着層の表面を構成するA層と、上記A層と上記基材との間に配置されて該A層に隣接するB層とを含む。上記A層の厚さは2μm以上であり、上記B層の厚さは5μm以上である。上記B層中に存在するカルボキシ基の量は、上記A層中に存在するカルボキシ基の量よりも多い。そして、上記第1粘着層は、下記条件(1)および(2)を満たす。
(1) A1<B1;および
(2) A1≦0.050
ここで、上記A1は、上記第1粘着層の表面から深さ1μmに位置する測定位置AのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度を基準として求められる、該第1粘着層表面に対するエポキシ系樹脂処理前後の該エポキシ系樹脂に由来するピーク強度の上昇量A1である。また、上記B1は、上記第1粘着層の上記基材側から深さ5μmに位置する測定位置BのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度を基準として求められる、該第1粘着層表面に対するエポキシ系樹脂処理前後の該エポキシ系樹脂に由来するピーク強度の上昇量B1である。
【0008】
上記第1粘着層は、上記エポキシ系樹脂処理によって該第1粘着層に移行したエポキシ系樹脂中の成分が、第1粘着層表層部分で所定量以下に抑制されている。具体的には、測定位置A(第1粘着層表面から深さ1μmの位置)のFT-IRスペクトルにおいて、上記エポキシ系樹脂処理の前後のエポキシ系樹脂に由来するピーク強度上昇量A1が0.050以下である。また、上記第1粘着層は、上記エポキシ系樹脂処理によって該第1粘着層に移行したエポキシ系樹脂中の成分が、第1粘着層の表層側よりも基材側において多くなるように構成されている。具体的には、測定位置B(第1粘着層の基材側から深さ5μmの位置)のFT-IRスペクトルにおいて、上記エポキシ系樹脂処理の前後のエポキシ系樹脂に由来するピーク強度上昇量B1が、測定位置Aにおけるエポキシ系樹脂に由来するピーク強度上昇量A1よりも大きい(すなわちA1<B1)。上記ピーク強度上昇量B1が上記ピーク強度上昇量A1よりも大きいことは、エポキシ系樹脂からの移行成分が、第1粘着層の表面から基材側に移行し、保持されていることを意味する。上記構成によると、第1粘着層を被着体に密着させた後、第1粘着層表面において被着体側からの移行成分を原因とする糊残りが生じにくい。上記FT-IRスペクトルのピーク強度特性および該特性に基づく効果は、第1粘着層にA層とB層とを隣接するよう配置し、各層の厚さを所定値以上とし、さらに、B層中に存在するカルボキシ基の量をA層中よりも多くすることにより、好適に実現することができる。上記の糊残り防止性は、A層とB層とを含む第1粘着層において、B層の設計により達成することができるので、第1粘着層表面を構成するA層の設計の自由度は高く、所望の被着体密着性を有する設計とすることができる。要するに、上記構成によると、被着体に対して良好に密着することが可能であり、かつ被着体からの除去性のよい粘着シートが実現される。
また、上記構成の粘着シートは、第2粘着層を有し、上記第2粘着層の少なくとも表面は、熱膨張性微小球を含有する粘着剤により構成されているので、例えば上記第2粘着層を利用して適切な固定対象物(第2被着体)上に固定し、その状態で第1粘着層表面に密着させた第1被着体の加工(例えば上記第1粘着層上での樹脂封止工程)を行うことができるので使い勝手がよい。また、粘着シートを必要に応じて適切なタイミングで加熱して上記熱膨張性微小球を膨張させることにより、上記第2粘着層と第2被着体との接合を容易に解除し得る。
【0009】
いくつかの態様において、上記第1粘着層は、上記測定位置BのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する1700cm
-1
~1710cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比B2が0.15~0.50である。上記ピーク強度比B2が0.15以上であることにより、例えば、半導体チップの樹脂封止工程に粘着シートを用いる態様において、封止樹脂から第1粘着層に成分が移行した場合に、当該移行成分は、第1粘着層の基材側でより多く保持されやすくなる。そのため、第1粘着層表面における該移行成分量は相対的に低くなり、第1粘着層表面における該移行成分を原因とする糊残りがより生じにくくなる傾向がある。また、上記ピーク強度比B2が0.50以下であることにより、例えば、エポキシ系樹脂から第1粘着層に成分が移行した場合に、エポキシ系樹脂からの移行成分量が第1粘着層の基材側で抑制されるので、第1粘着層と基材との密着性(投錨性)が良好に保たれ、投錨破壊がより生じにくくなる傾向がある。
【0010】
いくつかの態様において、上記第1粘着層は、上記測定位置BのFT-IRスペクトルにおいて、1725cm
-1
~1750cm
-1
の範囲に存在するピーク強度に対する、2955cm
-1
~2965cm
-1
の範囲に存在するピーク強度の比B3が0.1~0.3である。上記ピーク強度比B3が0.10以上であることにより、例えば、半導体チップの樹脂封止工程に粘着シートを用いる態様において、封止樹脂から第1粘着層に成分が移行した場合に、第1粘着層の基材側における当該移行成分の保持量が適度に抑制され、第1粘着層と基材との密着性(投錨性)が良好に保たれ、投錨破壊がより生じにくくなる傾向がある。また、上記ピーク強度比B3が0.30以下であることにより、第1粘着層の極性が適度に保持されるため、第1粘着層と基材との密着性が得られやすく、投錨破壊が生じにくい傾向がある。
(【0011】以降は省略されています)

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