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公開番号
2024090798
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-04
出願番号
2022206920
出願日
2022-12-23
発明の名称
懸濁組成物の製造方法
出願人
サンスター株式会社
代理人
主分類
C09K
23/48 20220101AFI20240627BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】結晶セルロースを均一に分散させたペースト状組成物の製造において、配管送液性をよくすることで製造効率を高め得る懸濁組成物の製造方法を提供せんとする。
【解決手段】水や多価アルコール・糖アルコールを含有する水と結晶セルロースを特定の比率範囲で含有させたのちに特定の混合条件で均一に分散させ、そのあとで組成物に含有される残りの成分を混合させることで保形性が高いペースト状の組成物であっても製造時の前記組成物の高い送液性を実現し得る製造方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
水100質量部に対して、20-40質量部の結晶セルロースを含有させ、高剪断型撹拌部構造を利用し、処理時間が5-15分、かつパス回数が35回以上の条件で均一に分散させる工程を含む、懸濁組成物の製造方法。
続きを表示(約 430 文字)
【請求項2】
1~15質量%の二価アルコールおよび/または糖アルコールを含有した水である水系溶媒100質量部に対して、20-40質量部の結晶セルロースを含有させ、高剪断型撹拌部構造を使用し、処理時間が5-15分、かつパス回数が35回以上の条件で均一に分散させる工程を含む、請求項1に記載の懸濁組成物の製造方法。
【請求項3】
二価アルコールがプロピレングリコールである、請求項2に記載の懸濁組成物の製造方法。
【請求項4】
糖アルコールがグリセリンおよび/またはソルビトールである、請求項2に記載の懸濁組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4に記載の懸濁組成物に、結晶セルロースの分散に使用しなかった残りの溶媒や二価アルコール、糖アルコールに加え、水溶性高分子、界面活性剤、前記懸濁組成物に含有する成分を除くその他の成分を含有させ均一になるまで混合する工程を含む、ペースト組成物の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶セルロースを均一に分散させたペースト状組成物の製造において、配管送液性をよくすることで製造効率を高め得る懸濁組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
組成物を製造するタンクから貯蔵タンクや次工程の製造装置などへの薬剤の移送は比較的細い配管を通じて行われることが通常であり、加えて、異物混入のリスク軽減を図る目的で移送の際にフィルターなどの異物排除装置を介して移送する場合も多い。このような製造装置において、歯磨などのペースト状の組成物は粘度の高い組成物を移送する場合、多くのエネルギーや所用時間を要するなどの問題があった。特に不溶性の粒子を含有するペースト状の組成物は含有しない組成物に比べて移送しにくい特性が現れやすいため、課題となっていた。これらの課題解決のために、配管経路をできる限り短くしたり、配管径をできる限り太くしたり、配管に保温装置を設けたり、インライン送液装置を複数設けたりするなどの施策が講じられているが、構造上や用地的な制約を受けたり設置や運用に多くの費用を要したりするなどの課題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
水不溶性の粒子である結晶セルロースを含有するペースト状組成物の製造時において、特別な設備的な処置を講ずることなく送液時の移送効率を高めようとすると組成物の処方を変更する必要が生じる。しかし、組成物の処方を送液性向上の観点で変更する場合、組成物が本来備え得るべき性能が低下したり、嗜好性が損なわれたりする。したがって、処方の変更も行うことなく製造した結晶セルロースを含有するペースト状組成物の薬剤移送性を高めることを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、鋭意検討した結果、結晶セルロースを含有するペースト状の組成物において結晶セルロースの分散条件を制御することだけで結晶セルロースを含有するペースト組成物の流動特性を制御できることを見出した。具体的には、水や多価アルコール・糖アルコールを含有する水と結晶セルロースを特定の比率範囲で含有させたのちに特定の混合条件で均一に分散させ、そのあとで組成物に含有される残りの成分を混合させることで保形性が高いペースト状の組成物であっても製造時の前記組成物の高い送液性を実現し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法を用いることにより、特別な設備的な処置や組成物の処方改良を行うことなく、結晶セルロースを含有するペースト状の組成物を効率的に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の送液挙動特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
項1:水100質量部に対して、20-40質量部の結晶セルロースを含有させ、高剪断型撹拌部構造を使用し、処理時間が5-15分、かつパス回数が35回以上の条件で均一に分散させる工程を含む、懸濁組成物の製造方法。
項2:1~15質量%の二価アルコールおよび/または糖アルコールを含有した水である水系溶媒100質量部に対して、20-40質量部の結晶セルロースを含有させ、高剪断型撹拌部構造を使用し、処理時間が5-15分、かつパス回数が35回以上の条件で均一に分散させる工程を含む、項1に記載の懸濁組成物の製造方法。
項3:二価アルコールがプロピレングリコールである、項2に記載の懸濁組成物の製造方法。
項4:糖アルコールが、グリセリンおよび/またはソルビトールである、項2に記載の懸濁組成物の製造方法。
項5:項1~項4の何れか1項に記載の懸濁組成物に、結晶セルロースの分散に使用しなかった残りの溶媒や二価アルコール、糖アルコールに加え、水溶性高分子、界面活性剤、前記懸濁組成物に含有する成分を除くその他の成分を含有させ均一になるまで混合する工程を含む、ペースト組成物の製造方法。
【0008】
結晶セルロースは、セルロースの結晶部分であり、三斜晶という結晶構造を持つセルロースIαを主な構成とする水に不溶な粒子であり、市販されているものは、白色、無味、無臭の流動性のある粉末で、水、エタノール等の有機溶媒にはほとんど溶解しない。市販されている結晶セルロースは、繊維性植物からパルプとして得たα-セルロースを酸で部分的に解重合し精製したものが広く流通している。市販されている粒子径であれば本発明に大きな影響を与えないが、できる限り平均粒子径が20~200μmの範囲内にあり、40~100μmの範囲内にあるものがより好ましい。ペースト状の組成物であるペースト組成物の総量に対する含有質量比については、ぺースト組成物の具備すべき物性等の設計条件によって適宜決定されるが、その製造工程においては結晶セルロースと分散させる溶媒との混合比率を結晶セルロース20-40質量部に対して溶媒を100質量部の範囲にした状態で均一に分散させることが必要である。一般的には、ペースト組成物総量に対する結晶セルロースの含有量は5-15質量%が好ましく、7-10質量%がより好ましい。
【0009】
本発明では高剪断型撹拌部構造を使用して結晶セルロースを均一分散する。撹拌とは、容器やパイプラインなどの空間においての2種以上の物質を撹拌翼などによって機械的、物理的にかき混ぜ、物理的、化学的に必要な混合状態にすることをいい、その機能を付与できる部分(構造体)を撹拌高剪断ブレードミキサー部構造という。一般的な撹拌部構造としては、撹拌翼(ブレード)が回転し、固体、液体や気体からなる物質を攪拌・混合したり、スタティックミキサーのような特殊な撹拌構造体は動かないが、その構造体の間を物質が通過するときに物質が撹拌・混合されるものが挙げられる。物質中で可動体が動いた場合、何らかの剪断力が発生することが多い。この場合の剪断力において比較的高い領域に位置する剪断力を有する場合を高剪断と称されることが多いが、本願において高剪断とは、水と結晶セルロースの混合物を処理した場合、適切な撹拌条件を設定すれば均一な分散状態に変化させ得る程度の剪断力を意味する。したがって、高剪断型撹拌部構造とは結晶セルロースを均一分散させる場合に使用されうる撹拌部構造を意味する。例えば、撹拌槽の容量が100L以上の生産設備における回転式の撹拌部構造としては、撹拌部構造の半径が100―300mm程度であり、撹拌部構造を稼働させた場合の回転数として10-30m/s程度の条件が設定可能であれば本発明の高剪断型撹拌部構造であるといえる。本発明でいう高剪断型撹拌部構造は何れの構造を有しても良いが、好ましくは撹拌翼が回転する原理を応用した撹拌部構造を有することが好ましい。このタイプの高剪断型攪拌部構造は、撹拌翼を回転させたときに剪断力が発生し、剪断力は回転翼の構造や回転軸中心から回転翼の端部までの長さ、回転数などによって変化させることができる。高剪断撹拌機に使用されている撹拌部構造としては、例えば、ホモミキサー、ディスパーミキサー、高圧型ホモジナイザー、ローターステーターなどが挙げられるがこれに限定されない。また、ペースト組成物は粘度が高く、流動性に乏しいものが多いことから、撹拌容器などの大容量の撹拌槽に撹拌部構造が設けられている場合には、高剪断型撹拌部構造で撹拌処理すると撹拌槽の局所に存在する被撹拌物に偏った処理になり易く、均一な状態のペースト状組成物が得られない場合がある。したがって、本発明に用いる撹拌機としては高剪断力型撹拌部構造の他に、前記課題点を解消し得る別の撹拌部構造を有していることが好ましい。前記撹拌部構造としては、平パドル翼、ピッチドパドル翼、3枚後退翼、アンカー翼、ゲート翼、パドル翼、スクリュー翼、ヘリカルリボン翼のような可動型構造や板バッフル(平板・L字型など)、棒バッフル、フィンガーバッフル、デルタバッフルなどの固定型構造が挙げられ、何れの構造も使用し得る。前記の高剪断型撹拌部構造以外の撹拌部構造はアジテーターと称されることもある。
【0010】
本発明の懸濁組成物の製造方法としては、前記の高剪断型撹拌部構造を使用して、パス回数が35回以上で処理時間が5-15分の撹拌処理を行う。パス回数とは所定の撹拌時間内に被処理物の全量に相当する容量が高速回転剪断型撹拌機を通過する回数のことであり、例えば、高剪断型撹拌部構造で処理される流量(吐出流量)Q(m3/s)を計測することで、時間t(s)内のパス回数K(t) をK(t)=Qt/V で算出し得る。ここにおいてV(m3) は被混合物の総体積である。流量(吐出流量)は可動型の撹拌翼の場合は回転数、固定型の特殊な撹拌構造体の場合は被混合物の流速を変化させることで調節することができる。一方、高い回転数や高い流速の条件において、高剪断力が発生することから、本発明のパス回数が35回以上で処理時間が5-15分の撹拌処理を実施できる条件にした場合、撹拌部構造において高い剪断力が発生している。パス回数が35回より少ない場合、十分な均一性を得ることができない可能性があるため、好ましくない。処理時間に関しては5分未満の場合は十分な均一性を得ることができない可能性があり、15分を超える場合、撹拌時に高剪断型撹拌部構造おいて結晶セルロースを均一に分散させるのに十分な程度の強さの剪断力が得られない可能性があるため、好ましくない。
(【0011】以降は省略されています)
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