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公開番号2024090021
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2022205643
出願日2022-12-22
発明の名称伝統木造建築物の耐震補強方法
出願人株式会社竹中工務店
代理人個人
主分類E04H 9/02 20060101AFI20240627BHJP(建築物)
要約【課題】柱脚部付近での人の往来に支障を来す虞や、伝統木造建築物の文化財的価値を低下させる虞を低くしながら、伝統木造建築物の耐震性を向上させる。
【解決手段】伝統木造建築物の柱2に、柱2の端部と取り合う水平材4の延在方向に張り出す張出部B1aを有する耐震補強部材B1を取り付けることにより、柱2の延在方向への傾斜時に、水平材4に対する柱2側の支点位置を柱2の外周よりも柱2の傾斜復元方向の外側に位置ずれさせて、柱2の傾斜復元力を向上させる伝統木造建築物の耐震補強方法において、水平材4は、隣り合う柱2の柱頭部2Aにわたる横架材4であり、耐震補強部材B1は、張出部B1aが横架材4の底部に下方から当接する状態で柱頭部2Aに備えられている。
【選択図】図5


特許請求の範囲【請求項1】
伝統木造建築物の柱に、当該柱の端部と取り合う水平材の延在方向に張り出す張出部を有する耐震補強部材を取り付けることにより、前記柱の前記延在方向への傾斜時に、前記水平材に対する前記柱側の支点位置を前記柱の外周よりも当該柱の傾斜復元方向の外側に位置ずれさせて、当該柱の傾斜復元力を向上させる伝統木造建築物の耐震補強方法であって、
前記水平材は、隣り合う前記柱の柱頭部にわたる横架材であり、
前記耐震補強部材は、前記張出部が前記横架材の底部に下方から当接する状態で前記柱頭部に備えられている伝統木造建築物の耐震補強方法。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記耐震補強部材には、上方に延出して、その延出端部が前記柱の上端に受け止め支持されることにより、前記張出部を前記横架材の底部に対する当接高さに保持する複数の保持部が備えられている請求項1に記載の伝統木造建築物の耐震補強方法。
【請求項3】
前記延在方向が梁間方向となる横架材と、前記延在方向が桁行方向となる横架材とが、上下に積み重ねられた状態で前記柱頭部に備えられ、
前記耐震補強部材は、前記張出部が前記上下の横架材のうちの下側の横架材の底部に下方から当接し、かつ、上側の横架材には、その延在方向での当該横架材と前記柱との相対変位を吸収する鋼材ダンパーを介して繋がれている請求項1又は2に記載の伝統木造建築物の耐震補強方法。
【請求項4】
前記耐震補強部材と前記上側の横架材とを一対の前記鋼材ダンパーを介して繋ぐにあたり、前記上側の横架材と、当該横架材の延在方向で隣り合う前記柱のいずれか一方の前記柱頭部に備えられた前記耐震補強部材とが、前記上側の横架材の一端側に集約配備された一対の前記鋼材ダンパーを介して繋がれている請求項3に記載の伝統木造建築物の耐震補強方法。
【請求項5】
前記耐震補強部材と、前記柱頭部上で前記上側の横架材を支持する大斗とが、前記上側の横架材の一端側に集約配備された一対の前記鋼材ダンパーにて接続されている請求項4に記載の伝統木造建築物の耐震補強方法。
【請求項6】
前記耐震補強部材と前記上側の横架材とを一対の前記鋼材ダンパーを介して繋ぐにあたり、前記上側の横架材と、当該横架材の延在方向で隣り合う前記柱の前記柱頭部に備えられた前記耐震補強部材のそれぞれとが、前記上側の横架材の両端側に分散配備された一対の前記鋼材ダンパーにて繋がれている請求項3に記載の伝統木造建築物の耐震補強方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、伝統木造建築物の柱に、当該柱の端部と取り合う水平材の延在方向に張り出す張出部を有する耐震補強部材を取り付けることにより、前記柱の前記延在方向への傾斜時に、前記水平材に対する前記柱側の支点位置を前記柱の外周よりも当該柱の傾斜復元方向の外側に位置ずれさせて、当該柱の傾斜復元力を向上させる伝統木造建築物の耐震補強方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
寺社の本堂や本殿あるいは廻廊などの伝統木造建築物は、礎石のそれぞれに載せられた状態で支持されている複数の柱が、それらにわたる貫や梁などの横架材を介して連結されるとともに、各柱の柱頭部上に配置された斗拱などを介して屋根部を支持するように構成されている。この構成により、伝統木造建築物の各柱は、それらの柱幅やそれらにかかる軸力(屋根荷重など)に比例する傾斜復元力を有しており、この傾斜復元力が、強風時や地震時に各柱にかかる水平力に対する抵抗力となって、伝統木造建築物の耐震性に寄与するようになっている。
【0003】
本発明の背景技術としては、例えば、礎石(水平材)に載せられた状態で支持されている柱(木質柱)の柱脚部に、水平方向に張り出す張出部を有する補強金物を、その張出部の下面が礎石に当接するように取り付けることで、柱脚部の礎石に対する実質的な接触幅(柱幅)を大きくして、柱の傾斜復元力を大きくし、これにより、強風時や地震時に柱にかかる水平力に対する抵抗力を大きくして、伝統木造建築物の耐震性を向上させる技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許6401474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、補強金物が、人が接近し易く、かつ、人目に付き易い柱の柱脚部に取り付けられることにより、その柱脚部付近を往来する人が、補強金物の張出部に躓く虞や、補強金物を目の当たりにして印象を悪くする虞などが高くなる。
つまり、補強金物が、柱脚部付近での人の往来に支障を来す虞や、伝統木造建築物の文化財的価値を低下させる虞が高くなることから、これらの面において改善の余地がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、柱脚部付近での人の往来に支障を来す虞や、伝統木造建築物の文化財的価値を低下させる虞を低くしながら、伝統木造建築物の耐震性を向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、伝統木造建築物の柱に、当該柱の端部と取り合う水平材の延在方向に張り出す張出部を有する耐震補強部材を取り付けることにより、前記柱の前記延在方向への傾斜時に、前記水平材に対する前記柱側の支点位置を前記柱の外周よりも当該柱の傾斜復元方向の外側に位置ずれさせて、当該柱の傾斜復元力を向上させる伝統木造建築物の耐震補強方法であって、
前記水平材は、隣り合う前記柱の柱頭部にわたる横架材であり、
前記耐震補強部材は、前記張出部が前記横架材の底部に下方から当接する状態で前記柱頭部に備えられている点にある。
【0008】
本構成によると、耐震補強部材の張出部が横架材の底部に下方から当接していることにより、強風時や地震時の水平力を受けて伝統木造建築物の柱が横架材の延在方向に傾斜する場合には、耐震補強部材における張出部の張出端が横架材に対する柱側の支点位置となって、当該支点位置を柱の外周よりも柱の傾斜復元方向の外側に位置ずれさせることから、横架材の延在方向での柱の傾斜復元力を向上させることができ、柱にかかる横架材延在方向の水平力に対する抵抗力を大きくすることができる。
そして、柱の柱頭部は、柱脚部などよりも人が接近し難く、かつ、人目に付き難い部位であることから、この柱頭部に、柱の傾斜復元力を向上させるための耐震補強部材を備えることにより、柱の柱脚部付近を往来する人が、耐震補強部材の張出部に躓く虞などを回避し、かつ、耐震補強部材を目の当たりにして印象を悪くする虞などを低くしながら、耐震補強部材を備えて柱の傾斜復元力を向上させることによる伝統木造建築物における耐震性の向上を図ることができる。
その結果、耐震補強部材が、柱脚部付近での人の往来に支障を来す虞や、伝統木造建築物の文化財的価値を低下させる虞を低くしながら、伝統木造建築物の耐震性を向上させることができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記耐震補強部材には、上方に延出して、その延出端部が前記柱の上端に受け止め支持されることにより、前記張出部を前記横架材の底部に対する当接高さに保持する複数の保持部が備えられている点にある。
【0010】
本構成によると、前述した複数の保持部が耐震補強部材に備えられていることにより、柱の柱頭部を傷付けることなく、耐震補強部材の張出部を横架材の底部に対する当接高さに確実に保持することができる。これにより、張出部が横架材の底部に対する当接高さから下方に位置ずれして横架材から離れることに起因した柱の傾斜復元力の低下を回避することができ、傾斜復元力の低下に起因した伝統木造建築物における耐震性の低下を防止することができる。
その結果、耐震補強部材にて伝統木造建築物の耐震性を向上させた状態を安定的に維持することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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