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公開番号2024085346
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-26
出願番号2022199848
出願日2022-12-14
発明の名称部分放電検出方法及びその装置
出願人株式会社日立産機システム
代理人青稜弁理士法人
主分類G01R 31/12 20200101AFI20240619BHJP(測定;試験)
要約【課題】内部放電によって発生する高周波電流信号及び低周波電流信号を検出して、それらの検出時間差を利用して計測対象機器内部での部分放電発生を精度良く検出する部分放電検出装置の提供。
【解決手段】高電圧機器の表面に取り付けた過渡接地電圧センサ2と、センサ2の出力を検出波形に変換する高速波形測定装置と、変換された検出波形を解析する演算装置を有する部分放電検出装置において、高電圧機器100の内部で発生する部分放電に起因して発生する高周波電流信号F1と低周波電流信号F2が、経路132と経路133の別の経路により過渡接地電圧センサ1に伝達される。伝達された信号の波形はフーリエ変換により、周波数F1,F2が含まれるか否かが判定される。また、周波数F1とF2の過渡接地電圧センサ1に伝達されるまでの伝達時間差Δtを利用して、高電圧機器100内で部分放電が生じたか否かを高精度に検出する。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
高電圧機器の表面に取り付けた過渡接地電圧センサと、
前記過渡接地電圧センサの出力を検出波形に変換する高速波形測定装置と、
前記高速波形測定装置で測定した波形を解析する演算装置を有し、前記高電圧機器の内部で発生する部分放電を検出する部分放電検出装置において、
前記演算装置は、
(a)前記高速波形測定装置で測定された波形の検出時間窓W(n)(nは正の整数)を設定し、前記W(n)が、高周波電流信号の一波形の周期T1と低周波数電流信号がTEVセンサで検出されるまでの時間差Δtよりも大きくなるように設定し、
(b)前記高速波形測定装置から前記検出時間窓W(n)内の検出波形を入力し、
(c)前記検出波形をフーリエ変換することで高周波電流信号F1が得られるか否かを判定し、
(d)前記高周波電流信号F1が得られない場合は、部分放電の発生なしと判定し、前記nをインクリメントして前記ステップ(b)に戻り、
(e)前記高周波電流信号F1が得られた場合は、前記検出時間窓W(n)をtyだけ広げて、その長さが前記周期T1と前記低周波電流信号の一波形の周期T2の合計から前記時間差Δtを引いた時間よりも大きくなるように再設定してから前記検出波形を再入力して再度フーリエ変換を行い、
(f)前記ステップ(e)で低周波電流信号F2が得られる場合は高電圧機器の内部で部分放電発生と判定し、低周波電流信号F2が得られない場合は高電圧機器の内部で部分放電発生なしと判定することを特徴とする部分放電検出方法。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
(g)前記ステップ(d)又は前記ステップ(f)において部分放電発生なしと判定された場合は、前記W(n)のnを増加させて、次の検出時間窓W(n+1)に対して前記ステップ(a)から前記ステップ(f)を実行することを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出方法。
【請求項3】
(d1)前記ステップ(d)と(e)の間に、前記検出時間窓W(n)を前記tyより分割されたステップだけ徐々に広げた値の検出時間窓W(n)を1つ以上設定し、
広げた値による検出時間窓W(n)にて前記(e)から前記(g)のステップを繰り返し、
(d2)前記ステップ(d1)で前記低周波電流信号F2が得られた場合は、高電圧機器の内部で部分放電発生なしと判定することを特徴とする請求項2に記載の部分放電検出方法。
【請求項4】
前記高速波形測定装置から検出波形を一時的に格納するメモリを設け、
前記(d1)及び前記(e)のステップは、再びフーリエ変換される前記検出波形が前記メモリから読み出されることによって前記演算装置によって実行されることを特徴とする請求項3に記載の部分放電検出方法。
【請求項5】
対象物ごとに部分放電の際に発生する、高周波電流信号F1と、低周波電流信号F2を、あらかじめ測定して前記メモリに格納しておき、
前記演算装置は、前記格納された、前記高周波電流信号F1、前記低周波電流信号F2の値を用いて前記ステップ(c)~(f)における判定を行うことを特徴とする請求項4に記載の部分放電検出方法。
【請求項6】
前記高電圧機器の内部に、部分放電の発生を監視する対象物を複数設け、
前記演算装置は、対象物1によって発生される高周波電流信号F11(=F1)及び前記低周波電流信号F21(=F2)に加えて、対象物n(nは2以上の整数)によって発生される高周波電流信号F1n及び低周波電流信号F2nを用い、
前記ステップ(c)~(f)における判定において、高周波電流信号の検出に、前記F11~F1nを用い、低周波電流信号の検出に前記F21~F2nを用いることによって複数の対象物からの部分放電の有無を同時に判定することを特徴とする請求項4に記載の部分放電検出方法。
【請求項7】
前記対象物ごとに部分放電の際に発生する、高周波電流信号の前記F11~F1nと、低周波電流信号の前記F21~F2nを、あらかじめ測定して前記メモリに格納しておき、
前記格納された、前記F11~F1nと前記F21~F2nの値を用いて前記ステップ(c)~(f)における判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の部分放電検出方法。
【請求項8】
前記部分放電検出装置に表示装置を設け、
上記ステップ(e)で部分放電が検出されたら前記表示装置にてアラームを発すると共に、検出された時間を記録して前記メモリに格納することを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出方法。
【請求項9】
高電圧機器の表面に取り付けた過渡接地電圧センサと、
前記過渡接地電圧センサの出力を検出波形に変換する高速波形測定装置と、
前記高速波形測定装置で測定した波形を解析する演算装置を有し、前記高電圧機器の内部で発生する高周波電流信号F1と低周波電流信号F2を検出することによって部分放電を検出する部分放電検出装置であってて、
前記高速波形測定装置から検出波形を一時的に格納するメモリを設け、
前記メモリに格納されたデータから、部分放電の際に発生する高周波電流信号F1の周期T1の時間窓Wの検出波形を読み出して第1のフーリエ変換を行い、
前記メモリに格納されたデータから、前記第1のフーリエ変換を行った時間窓W1分と同じ開始時刻t1から長い時間の時間窓W2(但し、W2=W1+T2-Δt以上)の検出波形を読み出して第2のフーリエ変換を行い、
前記第1のフーリエ変換と前記第2のフーリエ変換によって検出される周波数に、前記高周波電流信号F1と前記低周波電流信号F2の双方が含まれるか否かによって前記部分放電の発生の有無を判定することを特徴とする部分放電検出装置。
【請求項10】
前記高電圧機器は、部分放電が発生する可能性がある絶縁物と、
前記絶縁物を収容するものであって、前記絶縁物に高電圧の電力を供給するケーブルを通すための貫通穴を有する金属製の筐体と、を有し、
前記過渡接地電圧センサは、前記筐体の外側表面に設けられ、
前記高周波電流信号F1は、前記筐体の内表面に励起された表面電流であって、前記貫通穴から前記筐体の外表面に流れて前記過渡接地電圧センサに到達する信号であり、
前記低周波電流信号F2は、前記絶縁部の接地ラインを経由して前記筐体に流れて前記過渡接地電圧センサに到達する信号であることを特徴とする請求項9に記載の部分放電検出装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧装置に係り、特に、環境ノイズと装置内部放電を分離するのに好適な部分放電検出方法およびその装置に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
配電盤、スイッチギヤ、変圧器、開閉機器等の高電圧機器は、設置されてから長期間使用され、それに伴い絶縁性能の低下等の経年劣化が生じ得る。電力設備の絶縁性能が低下すると、導体間の絶縁を部分的にのみ橋絡する放電が発生することが一般的に知られている。このような電力設備内部での部分的な放電(以下、本明細書では「部分放電」と称する)が繰返し発生すると絶縁破壊に至り、火災等の災害につながる可能性がある。従って、電力設備を安全に運用するには、部分放電を早期に検出することが重要である。
【0003】
特許文献1には、筐体の外側に、過渡接地電圧(TEV:Transient Earth Voltage)を計測するセンサを配置し、センサにて取得された計測値から、実験等によって求めた所定の中心周波数に係る電圧波形を抽出し、電圧波形の大きさが所定の閾値を超えた状態の継続時間、電圧が閾値を超える頻度等によって部分放電の発生を判定する部分放電判定方法が開示されている。また、特許文献2には、過渡接地電圧センサ、アンテナセンサ等の種類の異なるセンサを含む複数のセンサによる検出信号を取得し、各センサの検出信号からセンサごとに決められた所定周波数成分(複数も有)を抽出する。このように複数のセンサ毎に周波数分析を行ない、バックグラウンドノイズレベルを算出することで部分放電の判定に適した所定周波数成分の信号を決定し、決定された所定周波数成分の信号を用いて部分放電の発生の有無を判定する部分放電検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開第2022-32335号公報
特開第2019-135455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部分放電を検出する際には、ラジオ波などの環境電磁ノイズが計測対象とする機器内での内部放電に重畳してしまうことがあり、内部放電に起因する検出信号が環境電磁ノイズ信号に埋もれてしまい、検出が難しくなってしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、環境電磁ノイズと機器内部放電が混在する状況下において、過渡接地電圧センサで検出した内部放電によって発生する異なる種類の信号(高周波電流信号F1と低周波電流信号F2)の検出時間差を利用して、計測対象機器内部における内部放電の発生を精度良く検出できるようにした部分放電検出方法及びその装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、高電圧機器の筐体の外側表面に過渡接地電圧センサを取り付け、内部放電の場所によって異なる高周波電流信号と低周波電流信号の周波数や検出時間差を検出することにより、筐体内部にて発生した部分放電発生箇所を検出できるようにした部分放電検出方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、高電圧機器の金属製の筐体の表面に取り付けた過渡接地電圧(TEV)センサと、過渡接地電圧センサの出力を検出波形に変換する高速波形測定装置と、高速波形測定装置で測定した波形を解析する演算装置を有し、高電圧機器の内部で発生する部分放電を検出する部分放電検出装置において、高電圧機器の内部で発生する部分放電に起因して検出する異なる周波数の信号、即ち、高周波電流信号F1と低周波電流信号F2の周波数をそれぞれ検出すると共に、それらの信号が、過渡接地電圧センサに伝達されるまでの伝達時間に時間差Δtが生じることに着目して、その時間差Δtを利用して、高電圧機器内で部分放電が生じたか否かを判定する。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、部分放電検出装置に、高速波形測定装置にて検出された検出波形を一時的に格納するメモリを設ける。演算装置は、高速波形測定装置で測定されてメモリに格納されたデータを呼び出して、高周波電流信号が過渡接地電圧センサで検出される時刻t

から高周波電流信号F1の一波形の周期T1内(時間窓内)のデータを取り出して、フーリエ変換し、高周波電流信号の周波数F1が得られるか否かを判定する。次に、時刻t

からT1+tyまで、時間窓を拡張した複数の時間窓を設定し、再度データを取り出してフーリエ変換を行う。ここで、時間窓を拡張する度合いを調整し、増加させる時間窓の幅(T1+ty)が、高周波電流信号F1の一波形の周期T1よりも大きく、低周波電流信号F2の周期T2からΔtを引いた値(=T1+T2-Δt)と等しく、又は、その値よりもわずかに大きくなるようにして、読み出す時間窓の大きさを再設定する。この時間窓の拡張は、もとの時間窓、+ty/2だけ時間窓を増加せたもの、+ty分を増加させたもの、のように段階的に増加させると好ましい。その際、T1+T2-Δtの増加分まで至らない間の時間窓(例えば、時刻t

からT1+ty/2の時間窓)を用いたフーリエ変換において、低周波電流信号F2が得られても、演算装置は高電圧機器内部での“部分放電発生なし”と判定する。一方、再設定された時間窓がT1+tyの場合に、低周波電流信号F2と高周波電流信号F1が同時に得られた場合は、演算装置は高電圧機器内部での“部分放電発生”と判定し、得られない場合は、高電圧機器内部での“部分放電発生なし”と判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1つの過渡接地電圧センサから得られる信号の周波数成分に着目した処理を行うことによって、部分放電に起因して発生した信号(高周波電流信号と低周波電流信号)を分離することが可能となった。また、信号の周波数成分の検出時間差に応じた大きさの異なる時間窓の検出信号をフーリエ変換することによって、環境ノイズレベルが高い状況下においても内部放電が発生しているのか否か、及び、何らかの要因で一時的に低周波電流信号F2と高周波電流信号F1の一方だけが検出されたのか、
を判定することができるので、内部放電の発生を精度良く検出することが可能となった。
上記した構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施例に係る部分放電検出装置1の構成を示すブロック図である。
図1のセンサ2によって、測定対象機器から発生する部分放電が発生した信号132、133を検出する状態を示す模式図である。
図1のセンサ2によって、検出された信号の検出波形20と、検出波形20を主な周波数成分に分解した各波形を示す図である。
(A)はTEVセンサ2の検出波形20を示す図であり、(B)は検出波形20に対してフーリエ変換で得られる周波数スペクトルを示す図である。
図3に示した検出波形20に含まれる3つの主な周波数成分の信号(50、30、20)と、フーリエ変換を行う対象部分の時間窓を23~25のように位置や幅を変化させた際に得られる周波数スペクトルを説明するための図である。
検出波形の時間窓を時間軸に沿って移動させた際に得られる周波数スペクトルの検出状況を説明するための図である。。
時間窓の幅を拡大方向に変化させて検出波形のフーリエ変換を行う一例を説明するための図である。
本発明の実施例に係る部分放電を検出する手順を示すフローチャートである。
時間窓の幅を変化させて、部分放電の発生有り、又は、発生無しを判断する処理方法を説明するための図である。
本発明の第2の実施例に係る複数の測定対象機器から発生する部分放電を検出する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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