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公開番号2024084680
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-25
出願番号2023131671
出願日2023-08-10
発明の名称ペプチド含有試料の調製方法
出願人公益財団法人かずさDNA研究所
代理人個人
主分類G01N 30/00 20060101AFI20240618BHJP(測定;試験)
要約【課題】ペプチド含有試料調製時におけるペプチドの損失を抑制すること。
【解決手段】ペプチド水溶液に2,2-ジデシルプロパン-1,3-ビス-β-D-マルトピラノシド(LMNG)を添加することにより、ペプチドの容器等への吸着を抑制する。LMNGは逆相カラムによりペプチドから容易に除去できる。また、乾燥ペプチドを溶解する水性溶媒に少なくとも1種の糖系非イオン界面活性剤を添加する。糖系非イオン界面活性剤の添加により、特に長いペプチドの溶解が大幅に促進される。2種の糖系非イオン界面活性剤を組み合わせることにより、乾燥ペプチド溶解促進効果が増強される。例えば、n-ドデシル-β-D-マルトシド(DDM)とα-D-グルコピラノシル-α-D-グルコピラノシド モノドデカノエート(トレハロースC12)とを組み合わせる。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
以下の工程を含むペプチド含有試料の調製方法:
1)ペプチド及び2,2-ジデシルプロパン-1,3-ビス-β-D-マルトピラノシド(以下、「LMNG」という。)を含有するペプチド水溶液を提供すること、
2)得られたペプチド水溶液を逆相カラムに付し、ペプチド及びLMNGを逆相カラムに吸着させること、及び
3)逆相カラムへのLMNGの吸着を維持したまま、逆相カラムから吸着したペプチドを溶出することにより、ペプチドからLMNGを除去すること。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
逆相カラムが、C18カラム又はスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーカラムである、請求項1記載の調製方法。
【請求項3】
アセトニトリル/0.1%(v/v) トリフルオロ酢酸水溶液=50/50(v/v)混合液相当以上の極性を有する溶出液で、逆相カラムからペプチドを溶出する、請求項1記載の調製方法。
【請求項4】
溶出液の極性がアセトニトリル/0.1%(v/v) トリフルオロ酢酸水溶液=30/70(v/v)混合液相当以下である、請求項3記載の調製方法。
【請求項5】
ペプチド水溶液中のLMNG濃度が、臨界ミセル濃度を下回る、請求項1記載の調製方法。
【請求項6】
ペプチド水溶液が、プラスチック表面を有する容器に収容された状態で提供される、請求項1記載の調製方法。
【請求項7】
LMNGを含有する水性溶媒に溶解したタンパク質をタンパク質分解酵素で限定分解することにより、ペプチド及びLMNGを含有するペプチド水溶液を得ることを更に含む、請求項1記載の調製方法。
【請求項8】
工程1)で提供されたペプチド水溶液を、アフィニティクロマトグラフィーに付すことにより、アフィニティ濃縮されたペプチド及びLMNGを含むペプチド水溶液を得ることを更に含む、請求項1記載の調製方法。
【請求項9】
アフィニティクロマトグラフィーが、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー或いはアビジン又はストレプトアビジンアフィニティクロマトグラフィーである、請求項8記載の調製方法。
【請求項10】
ペプチド含有試料がLC-MS分析用である、請求項1記載の調製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、広く液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)解析等に用いる微量ペプチド含有試料の調製において、ペプチドのロスを最小限に抑制する技術に関する。具体的には、本発明は、ペプチド含有試料の調製方法、プロテオーム解析用のサンプルの前処理の過程等で生じる乾燥ペプチドを溶解する方法、該乾燥ペプチドの溶解を促進するための界面活性剤の使用等に関する。また、本発明は、安定なペプチド水溶液に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
プロテオーム解析は、1ショットの測定で1万以上のタンパク質を観察できる時代を迎え、生物学や医学の分野でさらなる貢献が期待されている。プロテオーム解析技術をさらに向上させる1つの方法は、サンプル調製時のペプチドのロスを減らすことである。プロテオーム解析の主な前処理工程は、1)タンパク質抽出、2)還元アルキル化、3)酵素消化、4)逆相スピンカラム(主にSTAGE-Tip)による脱塩、5)乾燥、及び6)再溶解を含む(図1)。様々な工程において、回収率及びスループットを向上させるための努力がなされている。近年ではSP3法やS-Trap法などの登場で強力な界面活性剤で細胞・組織からタンパク質を溶解後に還元アルキル化して、界面活性剤や塩を取り除き、消化酵素に適した溶媒に置換してからタンパク質を消化することが一般的になってきている。しかし、微量サンプルにおいてはタンパク質消化などの長時間のインキュベート時や消化ペプチドを別のチューブに移す時にもチューブやチップへの非特異的吸着によりペプチドを損失してしまう。
【0003】
この損失を抑えるために界面活性剤の利用が望まれるが、界面活性剤は逆相固相カラムにトラップされ、ペプチドと一緒に溶出されてしまうことが問題である。微量サンプルの場合は逆相固相カラムの抽出物を乾燥して微量の溶解液でペプチドを再度溶かし、濃縮されたペプチドをLC-MS分析することが一般的である。そうすると当然、濃縮された界面活性剤も同時に分析することになり、MSの汚染による感度低下のリスクが高まる。界面活性剤を沈殿したり分解することにより消化後に界面活性剤を除去する方法はあるが、その処理を行うことで作業工程が増えてしまい、それによってペプチドが損失する、再現性が低下する、労力がかかるなどの様々なデメリットがある。このことから特殊な操作を行わずに、汎用の処理の中で界面活性剤が除去できることが理想的である。
【0004】
また、ペプチドの乾燥も、チューブ等への非特異的吸着を助長し、ペプチドロスのリスクとなる。試料が少量の場合、ペプチドロスのリスクが特に高い。LC-MSで分析することを考慮すると、乾燥したペプチド断片の溶解に用いる溶液には、LC-MSにおけるペプチド分析の妨げとならず、質量分析装置に対する汚染が小さいことが求められる。そのため乾燥したペプチド断片の溶解には、一般的には揮発性でMS測定のバックグランドに影響を与えない2~5%(v/v)程度のアセトニトリル(ACN)に0.1%(v/v)程度のトリフルオロ酢酸(TFA)又はギ酸を加えた溶液がよく利用される。しかしながら、乾燥し、非特異的に容器に吸着したペプチド断片を高い収率で回収することは難しい。
【0005】
ペプチドの非特異的吸着の影響を低減する方法の1つは、サンプルにアルブミン等のキャリアタンパク質を添加することである。しかしながら、サンプル調製に複雑性を加えることになり、MS測定のバックグラウンドに影響を与え、質量分析装置を汚染する懸念がある。
【0006】
ペプチドの非特異的吸着の影響を低減する方法の1つとして、ペプチドを溶解する溶液中に高濃度のNaClを添加することが知られている。しかしながら、高濃度NaClは、イオン相互作用による吸着をある程度抑制できるが、疎水性相互作用による吸着に対する抑制効果は限定的である。
【0007】
このようなペプチドロスは、乾燥ペプチドに界面活性剤を含む溶媒に溶解することで軽減し得るが、界面活性剤はLC-MSによるペプチド分析をLC分離能低下やイオン化抑制により妨げる可能性がある。LC-MSに適合した界面活性剤としては、例えば、RapiGest SF(商標)(非特許文献1)やMaSDeS(非特許文献2)のように分解可能なもの;デオキシコール酸ナトリウム(非特許文献3、4)やドデカン酸ナトリウム(非特許文献5)のように除去できるもの;Invitrosol(商標)(非特許文献6)のようにLCにおけるペプチドの保持時間が界面活性剤と重ならないものが挙げられる。しかしながら、界面活性剤を分解又は除去するには、処理に手間がかかり、処理後の溶液中には界面活性剤がもはや存在しないので、チューブやバイアルにペプチドが非特異的に吸着してしまうリスクがある。ペプチドとは異なるLC保持時間を有する界面活性剤は、手間をかけずにLC-MSで直接測定することができ、溶解後のペプチドの安定性も高いと考えられているが、Invitrosolは高価な試薬である。
【0008】
一方、n-ドデシル-β-D-マルトシド(DDM)は、親水部に糖基を有する非イオン界面活性剤であり、主に膜タンパク質を可溶化する際に用いられている。DDMは安価であり、単細胞プロテオーム解析の前処理に使用されてきており、タンパク質やペプチドの損失を防ぐ効果があることが示されている(非特許文献7、8)。しかしながら、乾燥ペプチドの溶解への効果については未だ検討されていない。
【0009】
ラウリルマルトースネオペンチルグリコール(LMNG)(2,2-ジデシルプロパン-1,3-ビス-β-D-マルトピラノシド)は、等しい長さの2つの結合した疎水性鎖と2つの親水性のマルトシド基を有する非イオン界面活性剤であり、DDMよりもよく膜タンパク質を可溶化し安定化することが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
Mosen, P. R. et al., Proteomics 2021, 21(20), e2100129
Chang, Y. H. et al., J Proteome Res 2015, 14(3), 1587-1599
Masuda, T. et al., J Proteome Res 2008, 7(2), 731-740
Sialana, F. J. et al., J Proteome Res 2022, 21(8), 1842-1856
Lin, Y. et al., PLoS One 2013, 8 (3), e59779
Kawashima, Y. et al., Proteomics 2013, 13(5), 751-755
Liu, J. et al., Anal Chem 2015, 87 (4), 2054-2057
Tsai, C. F. et al., Commun Biol 2021, 4 (1), 265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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