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公開番号2024074206
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-30
出願番号2022185350
出願日2022-11-20
発明の名称光ディスクのエラー紋チャートを用いた鑑定・検証装置ならびにエラー紋を利用した電子透かし
出願人個人
代理人
主分類G11B 20/10 20060101AFI20240523BHJP(情報記憶)
要約【課題】光ディスクに読取障害が生じているとき、証拠隠滅や捏造の有無について鑑定・検証等を行う方法及び器具装置、ディスクの個体識別方法、無断複製が行われたときそれを見破ることの確実性を高める電子透かしとそれを埋め込んだ光ディスクを提供する。
【解決手段】方法は、光ディスクをトレースしたとき、記録の時系列とエラーの時系列が一致する性質と、データが読めなくても記録セッションがあったことの痕跡と時系列はエラー分布に内包されて保存され、分布状況が記録来歴を反映する性質を利用して、エラー紋チャートを用い、記録セッションの記録量ないし記録時間を推認し、証拠隠滅や捏造に関する鑑定・検証を行う。また、エラー紋チャート上観測可能な電子透かしと、無断複製が行われたときそれを見破ることの確実性を高めた光ディスクを実現するために、エラーはコピーできないという性質を利用し、光ディスクの個体識別を行う。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
ディスク全体あるいはその一部についてデータの読取りに障害の生じている光ディスクの鑑定・検証方法であって、光ディスクの記録読取過程で生ずるエラーがディスクのほぼ全域にわたり観測されるという性質と、エラー計測を内周アドレスからトレースしたとき、記録の時系列とエラー計測の時系列が一致するという性質と、データが読めなくなってもデータ記録セッションがあったことの痕跡と、その時系列は、エラー分布に内包されて保存されるという性質と、その分布状況がそのディスクに生じた記録来歴を反映するという性質を利用して、ユーザーデータ領域の始点から終点までの区間のうちの、データ読み取りに障害の生じている区間における、データ記録セッションがあったことないしなかったこと及びそのセッションの記録量ないし記録時間を推認できることを特徴とする光ディスクのエラー紋チャートを用いた鑑定・検証方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
ディスク全体あるいはその一部についてデータの読取りに障害の生じている光ディスクの鑑定・検証に用いる器具装置の一部であって、光ディスクの記録読取過程で生ずるエラーがディスクのほぼ全域にわたり観測されるという性質と、エラー計測を内周アドレスからトレースしたとき、記録の時系列とエラー計測の時系列が一致するという性質と、データが読めなくなってもデータ記録セッションがあったことの痕跡と、その時系列は、エラー分布に内包されて保存されるという性質と、その分布状況がそのディスクに生じた記録来歴を反映するという性質を利用して、ユーザーデータ領域の始点から終点までの区間のうちの、データ読み取りに障害の生じている区間における、データ記録セッションがあったことないしなかったこと及びそのセッションの記録量ないし記録時間を、図示することを特徴とする光ディスクのエラー紋チャート。
【請求項3】
ディスク全体あるいはその一部についてデータの読取りに障害の生じている光ディスクの鑑定・検証に用いる器具装置の一部であって、光ディスクの記録読取過程で生ずるエラーがディスクのほぼ全域にわたり観測されるという性質と、エラー計測を内周アドレスからトレースしたとき、記録の時系列とエラー計測の時系列が一致するという性質と、データが読めなくなってもデータ記録セッションがあったことの痕跡と、その時系列は、エラー分布に内包されて保存されるという性質と、その分布状況がそのディスクに生じた記録来歴を反映するという性質を利用して、ユーザーデータ領域の始点から終点までの区間のうちの、データ読み取りに障害の生じている区間における、データ記録セッションがあったことないしなかったこと及びそのセッションの記録量ないし記録時間を図示して、再現性の確認のための複数回測定や複数ディスクの測定結果を、必要に応じ重ね書き複数表示することを特徴とする、光ディスクのエラー紋チャート作成用アプリケーションプログラム。
【請求項4】
光ディスクの記録読取過程で生ずるエラーがディスクのほぼ全域にわたり観測されるという性質と、エラーはコピーできないという性質を利用し、光ディスクのエラー紋チャートを用いたことを特徴とする、複写された光ディスクの個体識別方法。
【請求項5】
光ディスクの記録読取過程で生ずるエラーはコピーできないという性質を利用した、電子透かし、並びに当該電子透かしを埋め込んだことを特徴とする光ディスク。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、データ保存用光ディスクを調査して、証拠隠滅や捏造の有無について鑑定・検証等するための方法及び装置、ディスクの個体識別方法、並びに無断複製が行われたときそれを見破ることの確実性を高めた光ディスクに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
光ディスクは、記録膜や反射膜の層が設けられ、内側に溝が形成された光透過性のプラスチック等の板であって、その記録は記録膜にレーザー光で形成された長円形のピットである。工業製品であるため、品質管理が行われる。例えば、ディスク中央のドーナツ状に開いた穴に偏心のある個体については、ディスクを回転させたときトラックがブレ、光ヘッドが追従限界を超え読み取り不能となるため、偏心が一定量より大きい個体は不良品として扱われる。あるいは基盤の溝形成の精度が悪い個体は、トラッキングエラーを誘発する不良品とされる。そのほか記録膜の厚みが均一でないとか、反射膜の反射率が所定値に達しない等問題がある個体は、記録されたデータの破損を招く不良品として扱われる。
光ディスクの品質保証の方法として、光ディスクへの書込みと読取りを通じたエラー量を観測することが一般的である。これにより、製造上の不良が発見されるのみならず、製造技術上の問題を顕在化させ、原因を推定できる場合もあるからである。それゆえメディア製造会社は製品の出荷検査にあたり、エラー測定を実施していた。
【0003】
一方、ディスクが不良品として扱われるような個体であったとしても、エラーは電気信号なのであるから、電気信号を発しないプラスチック板たるディスク自らエラーを発生するものではないとも考えることができる。
この考え方では、エラーを生じているのは、ドライブ装置の書込み動作の不良や読取り動作の不良に起因するものであるから、エラーの発生源はドライブの電気回路である。ディスクの個体が製造上の問題のあるものだったとしても、エラーが生ずるのは、製造上問題のあるディスク個体により誘発された、ドライブ側電子回路の作用、あるいはこれらの相互作用であると考えるのである。
【0004】
エラー計測を行うのは、ディスクの製造事業者が出荷前に実施するものだけではない。近年、光ディスクにエラーが生じていないかどうかについて、データ記録後に、ユーザー自身が光ディスクのエラー計測をする場面がみられる。それは光ディスクの大容量化により、バックアップ用途として使われるようになったため、長期保存用バックアップ用途の光ディスクは、劣化状況を管理することが必要になったからである。これに関し、日本産業規格(JIS)で「電子化文書の長期保存方法(JIS Z6017)」として規格化が行われた。
【0005】
翻って、光ディスクは、民事・刑事等の訴訟事件の証拠として多数採用される。訴訟事件の証拠品としての解析はフォレンジックと呼ばれる。フォレンジックとしての光ディスクの解析は、主として記録されたデータの中身に関するものであるが、光ディスクに記録されたデータの中身は証拠価値が高いがゆえに、証拠隠滅の対象ともされる場合がある。
光ディスクに係る証拠品解析とは、データの中身を確実に読取って、内容を評価することをもって目的達成と考えるのが普通である。その場合は光ディスクが装着されたドライブから出力されたデータについてエラーの無いものとして解析する。
そのような解析方法に用いられる機器やソフトウェアアプリケーションは、デジタルフォレンジックツールと呼ばれる。
もともと、DVDに記録された約99.9%以上のデータにはエラーが無く、また約0.1%以下しか存在しないエラーについても、DVDのエラー訂正機構は極めて強力で、エラーは訂正されるので、100%エラー訂正完了の前提で行われてきた。
そのため従来の代表的なデジタルフォレンジックツールには、光ディスクから読み取られた光信号を各種信号処理した後のディジタル信号について、エラー訂正前の状態で効率良く解析する機能が備わっていない。
【0006】
証拠隠滅の可能性が否定できない場合はどうか。訴訟事件における証拠隠滅としてまず考えなければならない態様は、データファイルの削除である。
この点、従来のデジタルフォレンジックツールを使った解析にあっては、検体の光ディスクをパソコン等に接続された光ディスクドライブ装置に装着し、データの記録状態を読み取ったときに、データが見えなかった場合でも、削除データ復元アプリケーションソフトウェア等を駆使して有用な情報を復元しようと解析を実施する。
従来のデジタルフォレンジックツールでも成功することの期待できる削除データ復元対象は、削除されたデータファイルがテキストデータやJPEGフォーマットの静止画である。この場合は、従来のデジタルフォレンジックツールに付属する機能の範囲で復元されることもあった。
しかし、削除されたデータファイルが防犯ビデオ画像のような動画であった場合は、復元が困難で、成功例が少ない。
そのような現実的な事情から、従来訴訟事件に関しては、デジタルフォレンジックツールに備わる、削除データ復元アプリケーションソフトウェアの適用をもって終了したと考えるのが合理的であるとされてきた。
つまり従来は、できる範囲でベストを尽くしてはいたものの、100%の解析がなされたとは到底いえなかった。
【0007】
ところで光ディスクに関し、記録読取過程で生ずるエラーについては、記録総量0.1%以下に過ぎないにもかかわらず、セクター毎の量の多少はあっても、ディスクのほぼ全域にわたり観測されることから、その分布状況自体がそのディスクに生じた記録来歴を反映しているともいえる。
従来、訴訟事件の証拠品たる光ディスクにおける証拠隠滅の可能性を検討するにあたり、記録来歴を調べるという観点が抜け落ちており、したがって証拠隠滅の可能性を検討する目的でのエラー計測は、従来全く行われてこなかった。
【0008】
本発明ではこの改善策として、光ディスクの記録読取過程で生ずるエラーについて、ディスクのほぼ全域にわたり観測されるという性質を利用し、その分布状況がそのディスクに生じた記録来歴を反映していると考え、エラー計測をもとにデータ領域の始点から終点までの間のどの場所にどのようなエラーがあるのかを調べて解析することで、エラーに反映されている記録時の特異状況を見出し、従来のデジタルフォレンジックツールでは見ることのできない領域を補う、新しい解析手法とそれを実施するための装置を発明し、更に応用として、ディスクの個体識別並びに無断複製が行われたときそれを見破ることの確実性を高めた光ディスクを発明したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開平5-250688号公開特許公報
特開平6-296112号公開特許公報
【非特許文献】
【0010】
日本産業規格JIS X6257規格書「長期データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システムの運用方法」2017年
(【0011】以降は省略されています)

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