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公開番号2024053507
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-15
出願番号2022159852
出願日2022-10-03
発明の名称非水系組成物、及び非水系組成物を用いた積層体の製造方法
出願人AGC株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 27/18 20060101AFI20240408BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、またその表面外観や折曲耐性に優れた成形物を形成できる、テトラフルオロエチレン系ポリマーと所定の変性セルロース系ファイバーとを含む、分散安定性に優れる非水系組成物を提供する。
【解決手段】テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、繊維径が1~1000nmである変性セルロース系ファイバーと、非プロトン性極性溶媒とを含む、非水系組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、繊維径が1~1000nmである変性セルロース系ファイバーと、非プロトン性極性溶媒とを含む、非水系組成物。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、熱溶融性であり、酸素含有極性基を含有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項4】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が25質量%以上である、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項5】
前記変性セルロース系ファイバーの含有量が10質量%以下である、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項6】
前記変性セルロース系ファイバーの含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対する質量比として0.01~0.15である、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項7】
前記変性セルロース系ファイバーが、化学修飾されたセルロース系ファイバーである、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項8】
前記変性セルロース系ファイバーが、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する重合性単量体がグラフト結合したセルロース系ファイバーである、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項9】
前記変性セルロース系ファイバーが、リン酸化変性セルロース系ファイバーである、請求項1に記載の非水系組成物。
【請求項10】
前記変性セルロース系ファイバーが、カルボキシメチル化セルロース系ファイバーである、請求項1に記載の非水系組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む非水系の液状組成物、及び該液状組成物を用いた積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、通信機器における高速化、高周波化に対応するため、通信機器のプリント基板の絶縁層として低誘電率かつ低誘電正接であるテトラフルオロエチレン系ポリマーが注目されている。かかるポリマーを含む絶縁層を形成する材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と液状分散媒とを含む液状組成物が知られている。
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子は、液状分散媒中での分散性が概して低いため、かかる分散性を向上すべく、特許文献1及び2にはセルロース系材料とテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子とを含む水系分散液が、特許文献3にはTEMPO触媒酸化処理を経ていないセルロース系材料とテトラフルオロエチレン系ポリマーとを含む非水系分散液が、それぞれ提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-503283号公報
特開2019-052221号公報
特開2021-143314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルロース系材料はテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の水系分散液の添加剤として有用である。その反面、非水系の分散媒に対するセルロース系材料の溶解性は乏しいため、非水系の液状分散媒中でのテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の分散性改善を目的に、セルロース系材料を用いることに関する知見は乏しい。
本発明者らは、テトラフルオロエチレン系ポリマーと、特定の変性セルロース系ファイバーと、液状分散媒として非プロトン性極性溶媒とを含む非水系組成物は、分散安定性に優れることを知見した。また、かかる非水系組成物から形成されるポリマー層等の成形物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、かつその表面外観や折曲耐性等にも優れることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、またその表面外観や折曲耐性に優れた成形物を形成できる、テトラフルオロエチレン系ポリマーと所定の変性セルロース系ファイバーとを含む、分散安定性に優れる、非水系組成物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、繊維径が1~1000nmである変性セルロース系ファイバーと、非プロトン性極性溶媒とを含む、非水系組成物。
[2] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、熱溶融性であり、酸素含有極性基を含有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[1]の非水系組成物。
[3] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、[1]又は[2]の非水系組成物。
[4] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が25質量%以上である、[1]~[3]のいずれかの非水系組成物。
[5] 前記変性セルロース系ファイバーの含有量が10質量%以下である、[1]~[4]のいずれかの非水系組成物。
[6] 前記変性セルロース系ファイバーの含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対する質量比として0.01~0.15である、[1]~[5]のいずれかの非水系組成物。
[7] 前記変性セルロース系ファイバーが、化学修飾されたセルロース系ファイバーである、[1]~[6]のいずれかの非水系組成物。
[8] 前記変性セルロース系ファイバーが、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する重合性単量体がグラフト結合したセルロース系ファイバーである、[1]~[7]のいずれかの非水系組成物。
[9] 前記変性セルロース系ファイバーが、リン酸化変性セルロース系ファイバーである、[1]~[8]のいずれかの非水系組成物。
[10] 前記変性セルロース系ファイバーが、カルボキシメチル化変性セルロース系ファイバーである、[1]~[9]のいずれかの非水系組成物。
[11] 前記非プロトン性極性溶媒の表面張力が、20~50mN/mである、[1]~[10]のいずれかの非水系組成物。
[12] さらに、ノニオン性界面活性剤を有する、[1]~[11]のいずれかの非水系組成物。
[13] 粘度が、3000mPa・s以下である、[1]~[12]のいずれかの非水系組成物。
[14] [1]~[13]のいずれかの非水系組成物を基材の表面に配置し加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層を形成し、前記基材で構成される基材層と前記ポリマー層とをこの順で有する積層体を得る、積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、分散安定性に優れた非水系組成物を提供できる。かかる非水系組成物からは、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、またその表面外観や折曲耐性に優れる、塗膜(ポリマー層)等の成形物を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子又はフィラーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子又はフィラーのD50は、粒子を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「平均粒子径(D90)」は、D50と同様にして求められる、粒子の体積基準累積90%径である。
粒子又はフィラーの比表面積は、ガス吸着(定容法)BET多点法で粒子を測定し算出される値であり、NOVA4200e(Quantachrome Instruments社製)を使用して求められる。
「溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で液状組成物を測定して求められる。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、液状組成物の、回転数が30rpmの条件で測定される粘度η

を、回転数が60rpmの条件で測定される粘度η

で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
溶媒又は溶液の「表面張力」は、表面張力計を用い、25℃にてウィルヘルミー法で測定した値である。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0008】
本発明の非水系組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子(以下、「F粒子」とも記す。)と、繊維径が1~1000nmである変性セルロース系ファイバー(以下、「変性セルロース系ファイバー」とも記す。)と、非プロトン性極性溶媒とを含む。
本組成物は分散安定性に優れており、かかる組成物から形成される塗膜(ポリマー層)等の成形物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率、低誘電正接及び低伝送損失)等の物性に優れ、またその表面外観や折曲耐性に優れる。
なお、本明細書において「表面外観に優れる」とは、「表面の荒れが少ない」等の表面平滑性に優れること、又は「表面にスジ、クラックや欠点等がない」等の、視認又は分析機器で観察される外観に優れることのいずれをも包含する。
本組成物が分散安定性に優れる理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
【0009】
本組成物が含有する変性セルロース系ファイバーは、その繊維径が特定範囲にあることに由来し、非プロトン性極性溶媒においても、F粒子に対する親和性が向上していると推測される。
また、変性セルロース系ファイバーが、後述する化学修飾されたセルロース系ファイバーの場合にはその修飾部位の存在により、非水系溶媒とF粒子のそれぞれに対する親和性を特に高めやすく、本組成物のレオロジーを向上させやすい。
そのため、本組成物はF粒子の分散安定性等の液物性に優れており、また、塗膜や層等の成形品において、その表面外観や折曲耐性等の層物性を向上させていると考えられる。
かかる作用機構は、本組成物を構成するF粒子が、酸素含有極性基を有するFポリマーからなる粒子である場合、また本組成物を構成する非プロトン性極性溶媒が特定範囲の表面張力を有する場合に、一層顕著となる。
【0010】
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)に基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を含むポリマーである。
Fポリマーは、熱溶融性であってもよく、非熱溶融性であってもよい。ここで、熱溶融性のポリマーとは、荷重49Nの条件下、溶融流れ速度が1~1000g/10分となる温度が存在するポリマーを意味する。
熱溶融性であるFポリマーの溶融温度は、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。前記Fポリマーの溶融温度は、325℃以下が好ましく、320℃以下がより好ましい。この場合、本組成物から形成される塗膜(ポリマー層)等の成形物が耐熱性に優れやすい。
(【0011】以降は省略されています)

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