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公開番号2024035971
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-15
出願番号2022140637
出願日2022-09-05
発明の名称プロトン抵抗測定装置、プロトン抵抗測定システム及びプロトン抵抗測定方法
出願人国立大学法人九州大学
代理人個人
主分類H01M 4/86 20060101AFI20240308BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】電極材料とプロトン伝導性電解質とを含む電極層の厚み方向のプロトン抵抗を定量的に測定することが可能な測定装置を提供する。
【解決手段】電極材料とプロトン伝導性電解質とを含む電極層からなる被検電極と、前記被検電極を厚み方向に挟持する第1プロトン伝導膜及び第2プロトン伝導膜と、前記被検電極を挟持する前記第1プロトン伝導膜及び第2プロトン伝導膜を厚み方向に挟持する第1電子伝導性ガス拡散電極及び第2電子伝導性ガス拡散電極と、からなる測定用積層体と、 前記測定用積層体を厚み方向に挟持する第1電極及び第2電極と、を備えるプロトン抵抗測定装置。当該プロトン抵抗測定装置と、前記第1電極及び第2電極に接続され、電流遮断法を実行する評価装置と、を備えるプロトン抵抗測定システムを使用して、電流遮断法によって前記電極材料とプロトン伝導性電解質とを含む電極層からなる被検電極の厚み方向のプロトン抵抗を測定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電極材料とプロトン伝導性電解質とを含む電極層からなる被検電極の厚み方向のプロトン抵抗を測定するプロトン抵抗測定装置であって、
前記被検電極と、
前記被検電極を厚み方向に挟持する第1プロトン伝導膜及び第2プロトン伝導膜と、
前記被検電極を挟持する前記第1プロトン伝導膜及び第2プロトン伝導膜を厚み方向に挟持する第1電子伝導性ガス拡散電極及び第2電子伝導性ガス拡散電極と、
からなる測定用積層体と、
前記測定用積層体を厚み方向に挟持する第1電極及び第2電極と、
を備えることを特徴とするプロトン抵抗測定装置。
続きを表示(約 580 文字)【請求項2】
前記被検電極が、電極触媒粒子を担持されてない電子伝導性材料とプロトン伝導性電解質のみで構成される請求項1に記載のプロトン抵抗測定装置。
【請求項3】
前記第1電極及び第2電極が、前記第1電子伝導性ガス拡散電極及び第2電子伝導性ガス拡散電極と密着する側にガス流路を有する請求項1に記載のプロトン抵抗測定装置。
【請求項4】
前記第1電子伝導性ガス拡散電極及び第2電子伝導性ガス拡散電極が、それぞれ電極触媒微粒子が担持された炭素材料からなる触媒層と、炭素材料からなるガス拡散層とからなる請求項1に記載のプロトン抵抗測定装置。
【請求項5】
前記第1プロトン伝導膜及び第2プロトン伝導膜が、プロトン伝導性高分子膜である請求項1に記載のプロトン抵抗測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のプロトン抵抗測定装置と、
前記第1電極及び第2電極に接続され、電流遮断法を実行する評価装置と、
を備えることを特徴とするプロトン抵抗測定システム。
【請求項7】
請求項6に記載のプロトン抵抗測定システムを使用して、電流遮断法によって前記電極材料とプロトン伝導性電解質とを含む電極層からなる被検電極の厚み方向のプロトン抵抗を測定するプロトン抵抗測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池等に用いられるプロトン伝導性電解質を含む電極(電極層)内のプロトン抵抗を測定するための測定装置、測定システム及び測定方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、PEFC)は、電解質膜と前記電解質膜の両面に積層された電極(電極触媒層)とを含む膜電極接合体(Membrane and Electrode Assembly、MEA)と、前記膜電極接合体の両面に積層されたガス拡散層(Gas Diffusion Layer、GDL)とからなる発電モジュールを、ガス流路が形成された2つのセパレータで挟持した構造のセルを基本単位として構成されている。
膜電極接合体における電極(電極触媒層)は、電極材料及びプロトン伝導性電解質(典型的には、プロトン伝導体であるイオノマー)とから構成される。また、電解質膜には、プロトン伝導性電解質の薄膜(典型的には、ナフィオン膜)が用いられている。
【0003】
PEFCの電解質膜のプロトン伝導度の標準化された測定方法に関して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization、NEDO)のPEFCセル評価解析プロトコルとして、電解質膜の膜面に沿った方向(膜平面方向)のプロトン伝導度を交流インピーダンス法にて測定する方法(非特許文献1)が提案されている。しかしながら、PEFCにおいては、電解質膜片面に設けられたアノードから反対面に設けられたカソードにプロトンが移動するため、電解質膜の膜厚方向(厚み方向)のプロトン伝導度を正確に測定することが、より重要である。
電解質膜の膜厚方向(厚み方向)のプロトン伝導度は、例えば図10に概念図を示す市販の電解質膜用のプロトン伝導測定装置100を用いて、測定可能である。図10に示すように、従来型のプロトン伝導測定装置100では、水素雰囲気下、電極にPt(白金)プレート(ガス非透過)111~114を使用した4端子法(Ptプレート111及び112を電流用、Ptプレート113及び114を電圧用として使用)で、電解質膜120に交流を印加することによって、電解質膜120のプロトン抵抗をオーミック抵抗(流れる電流と両端の電位差(電圧)が、オームの法則に従って線形に変化する抵抗)として測定することができる。そして、得られたプロトン抵抗と膜厚から、電解質膜120のプロトン伝導度を算出することができる。
【0004】
一方、PEFCにおいて、電解質膜のプロトン伝導度のみならず、プロトン伝導性電解質を含む電極層のプロトン伝導度もPEFCの性能に大きく影響する。そのため、高性能なPEFCを開発するためには、MEAを構成する電極層におけるプロトン抵抗を高精度に測定することが求められている。
しかしながら、PEFCの電極層内のプロトン伝導度を直接測定する手法は確立されていない。
【0005】
電極層内のプロトン伝導度の直接的測定の数少ない報告例として、特許文献1に、有効イオン電導度(プロトン伝導度)及び有効電子伝導度を求めるためのイオン電流及び電子電流を測定する装置が開示されている。特許文献1記載の装置では、2つのポテンショスタットとバイアス電源とを備え、各ポテンショスタットが、作用極と、参照極と、対極と、電流計と、作用極及び参照極間の電圧を測定する電圧計と、測定された電圧値に応じた電圧を作用極及び対極間に印加する電源とを有し、イオン伝導体、電子伝導体が形成された電極材料を測定対象とし、対極及び参照極がイオン伝導体に接続され、作用極が電子伝導体に接続され、電極材料の開回路電位差を設定値としてポテンショスタットを作動させ、且つ、バイアス電源が作用極間に電圧を印加した測定状態において、電流計の測定値をイオン電流及び電子電流として決定している。
当該測定装置では、多孔性電極のイオン伝導度及び電子伝導度の同時測定が可能であるが、2台のポテンショスタットを使用する6端子法で測定するので、測定装置が高額になるという問題がある。
【0006】
一方、本発明者等は、これまでにPEFCの電極層内のプロトン抵抗の測定を試みてきた(非特許文献2)。
当該測定方法では、上述した従来型の電解質膜用のプロトン伝導測定装置を使用し、電極材料及びプロトン伝導性電解質からなる電極層のプロトン抵抗を測定するために、2枚のナフィオン膜で電極層を挟み込んだ測定用積層体を使用し、電極層を挟み込むナフィオン膜で電極層内の電子の移動をブロックすることを試みた。しかしながら、図11(A)に示す交流電流を印加する測定法(交流インピーダンス法)では、電極層内の電子移動を排除できないという問題がある。図11(A)は、ナフィオン膜131及び132で電極層140を挟み込んだ測定用積層体に交流電流を印加した場合の概念図であり、ナフィオン膜131及び132内の電子移動は排除できるが、電極層140内の電子移動は排除できない。
また、図11(B)に示す直流電流を印加する方法では、電子の移動の影響を排除でき、プロトン伝導度を評価できるようになったものの、市販のプロトン伝導測定装置では電極にPtプレート(ガス非透過)が使用され、電極(Ptプレート)と電解質膜(ナフィオン膜)が直接接触する構造であるため、測定時に水素の供給が制限され、水素の拡散抵抗が影響して、プロトン抵抗を定量的に評価できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第5062772号公報
【非特許文献】
【0008】
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のPEFCセル評価解析プロトコル(2022年3月版)、3.セル性能評価プロトコル(1)電解質膜A. 膜単体での評価方法 M 1(III 1 1)試験名:プロトン伝導度測定方法 1/2
的場太一、PEFCカソード内プロトン伝導と耐久性の相関性検討、九州大学大学院修士論文(2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の通り、電極層内のプロトン伝導度が重要な要素の一つであるにもかかわらず、直接測定する手法が十分に確立されていないのが実情である。
かかる状況下、本発明は、電極材料とプロトン伝導性電解質とを含む電極層内のプロトン抵抗を定量的に測定することが可能なプロトン抵抗測定装置、測定システム及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
(【0011】以降は省略されています)

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