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公開番号2024067559
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-17
出願番号2022177742
出願日2022-11-06
発明の名称水電解セル用アノード構造及び水電解セル
出願人国立大学法人九州大学
代理人個人,個人
主分類C25B 11/063 20210101AFI20240510BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】水電解セルにおける貴金属使用量を低減できるアノード構造を提供する。
【解決手段】水電解セル用アノード構造であって、当該アノード構造は、第1のアノード層と、第2のアノード層を有するアノード拡散層とからなり、前記第1のアノード層は、酸化イリジウム粒子とプロトン伝導性電解質材料とからなり、前記アノード拡散層は、シート状のチタン多孔体の一方面側から所定の厚みまで高導電性物質を固着させて第2のアノード層とし、当該シート状のチタン多孔体における第2のアノード層以外の部分を多孔質輸送層とする構造を有し、前記第2のアノード層が、前記第1のアノード層に当接するように配置されているアノード構造。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
水電解セル用アノード構造であって、
当該アノード構造は、
第1のアノード層と、第2のアノード層を有するアノード拡散層とからなり、
前記第1のアノード層は、水の電気分解に対する触媒活性を有するアノード触媒粒子及びプロトン伝導性電解質材料を含み、
前記アノード拡散層は、シート状のチタン多孔体の一方面側から所定の厚みまで高導電性物質を固着させて第2のアノード層とし、当該シート状のチタン多孔体における第2のアノード層以外の部分を多孔質輸送層とする構造を有し、
前記第2のアノード層は、前記第1のアノード層に当接するように配置されていることを特徴とするアノード構造。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記アノード触媒粒子が、酸化イリジウム粒子又は酸化イリジウム粒子を含む混合物からなる請求項1に記載のアノード構造。
【請求項3】
前記シート状のチタン多孔体が、シート状のチタン繊維集合体である請求項1に記載のアノード構造。
【請求項4】
前記シート状のチタン多孔体が、アルカリ表面処理されてなる請求項1に記載のアノード構造。
【請求項5】
前記第2のアノード層の厚みが、前記シート状のチタン多孔体の厚みの50%以下である請求項1に記載のアノード構造。
【請求項6】
前記シート状のチタン多孔体に固着された高導電性物質が、貴金属又はその合金である請求項1に記載のアノード構造。
【請求項7】
前記シート状のチタン多孔体に固着された高導電性物質が、イリジウムまたはイリジウム合金である請求項6に記載のアノード構造。
【請求項8】
前記高導電性物質の形状が、ネットワーク状又は膜状である請求項1に記載のアノード構造。
【請求項9】
前記高導電性物質が、アークプラズマ蒸着法で固着されてなる請求項1に記載のアノード構造。
【請求項10】
固体電解質膜と、前記固体電解質膜の一方面に配置されたアノードと、前記固体電解質膜の他方面に配置されたカソードと、を有し、
前記アノードが、請求項1から9のいずれかに記載のアノード構造を有することを特徴とする水電解セル。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形水電解セル等の水電解セルに用いられるアノード構造及びこれを使用した水電解セルに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
水電解セルとしては、固体高分子形燃料電池(PEFC)と同様に固体高分子膜を隔膜に用いた固体高分子形水電解セル(PEM水電解セル)が知られている。PEM水電解セルは、水のみを用いて水素を発生させることができる、水素ガス中に水以外の不純物は含まれない、作動温度が低い、などの利点がある。
【0003】
PEM水電解セルでは、水の電気分解反応(H
2
O→2H
+
+1/2O
2
+2e
-
)によりアノード側で酸素が発生し、カソード側で水素が発生する。水の電気分解反応には、標準状態(25℃、1気圧)で1.23V以上の電圧が理論的に必要となる。水電解セルを特に再生可能エネルギーの貯蔵を目的に利用する際には高い電位(1.5V~2.0V程度)で電位変動の激しい状況下で用いられるため、水電解セル用アノードには、PEFC用アノードより高電位における高い耐久性が求められる。
【0004】
水電解セルの実用化のためには、貴金属材料の使用量をできるだけ少なくする必要がある。図1に従来のPEM水電解セルのアノード構造(アノード触媒層及びアノード拡散層)の模式図を示す。従来のPEM水電解セルでは、アノード触媒層に酸化イリジウム(IrO
2
)が1~5mg/cm
2
程度使用されている。酸化イリジウム(IrO
2
)は、1.5V~2.0Vの高電位でも安定であり、水電解におけるアノード反応(酸素発生反応)に対する高い触媒活性を有する。現在、一般的に市販・使用されている水電解用のアノード触媒層は、酸化イリジウム(IrO
2
)粉末をそのまま使用したり、酸化イリジウム粉末と他の貴金属粒子や貴金属酸化物粒子との混合物を使用している(例えば、特許文献1参照)。
また、アノード拡散層(多孔質輸送層(PTL))は、チタン多孔体上に、1~10mg/cm
2
程度の白金(Pt)がコートされたPt被覆チタン多孔体が使用されている(例えば、特許文献1参照)。この理由は、通電時においてアノード拡散層を構成するチタン多孔体が陽極酸化して絶縁性の酸化皮膜を形成するためアノード触媒層とアノード拡散層の間の接触抵抗が増加するが、チタン多孔体をPt被覆することによって絶縁性の酸化皮膜をつくることを防止し、通電時における接触抵抗を軽減するためである。
【0005】
PEM水電解セルの実用化のためには、アノード触媒層やアノード拡散層における貴金属材料の使用量をできるだけ少なくする必要がある。しかしながら、アノード触媒層やアノード拡散層における貴金属の使用量を低減させると、固体高分子形水電解セルの性能は低下し、耐久性も低下する傾向にある。特にアノード拡散層において、Pt被覆を行っていないTi多孔体を使用すると、上述の通り、Ti酸化被膜が形成される結果、アノード触媒層とアノード拡散層の間の接触抵抗が増加し、セル性能の低下が顕著であった。
【0006】
一方、本出願人は、触媒層/拡散層一体型電極の研究を行っており、これまでにTi多孔体にPt粒子を固着した一体型電極を、固体高分子化形燃料電池用電極として使用することを報告している(特許文献2)。また、Pt粒子に代えてIr粒子を、Ti多孔体に固着した一体型電極を、PEM水電解セル用アノードに使用することを報告している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2009-209379号公報
特許第6852883号公報
【非特許文献】
【0008】
M. Yasutake et al., J. Electrochem. Soc., 167, 124523 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PEM水電解セルのアノード構造では、アノード触媒層とアノード拡散層の接触抵抗からなる触媒利用率の低下の課題を内在する。
従来のPEM水電解セルにおける酸化イリジウム粉末触媒からなるアノード触媒層は、酸化イリジウム粉末が凝集して構造が緻密になりやすく、ガスの滞留による性能低下や高電流密度作動下での課題になっている。
【0010】
また、特許文献2で開示されたTi多孔体にPt粒子を固着した一体型電極を水電解セルのアノードとして転用した場合、PEM水電解用アノードとしては電極性能が不十分である。また、非特許文献1で開示されたように、当該一体型電極においてPtに代えてIrを固着した場合も、イリジウムの固着量を増加させると,イリジウムの有効表面積が低下し、初期性能が低くなるという問題が生じる。
(【0011】以降は省略されています)

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