TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024048782
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-09
出願番号2022154871
出願日2022-09-28
発明の名称伝熱部材及びその製造方法
出願人国立大学法人九州大学,株式会社UACJ
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類C25D 11/12 20060101AFI20240402BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】冷媒の沸騰を促進する効果を長期間にわたって維持することができる伝熱部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】伝熱部材1は、金属または金属元素を含む無機化合物からなる母材2と、母材2に含まれる金属元素の酸化物からなり、母材2上に形成された酸化物層3とを有する。酸化物層3は、伝熱部材1の表面に開口311を有し、開口311の平均開口径が5nm以上70nm以下である第一部分312と、平均孔径が第一部分312の平均開口径よりも大きく、第一部分312に連なる第二部分313とを備えた複数の細孔31を有している。第二部分313の平均深さが600nm以上20μm以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
金属または金属元素を含む無機化合物からなる母材と、
前記母材に含まれる金属元素の酸化物からなり、前記母材上に形成された酸化物層と、を有する伝熱部材であって、
前記酸化物層は、前記伝熱部材の表面に開口を有し、前記開口の平均開口径が5nm以上70nm以下である第一部分と、平均孔径が前記第一部分の平均開口径よりも大きく、前記第一部分に連なる第二部分とを備えた複数の細孔を有しており、
前記第二部分の平均深さが600nm以上20μm以下である、伝熱部材。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記第二部分の平均孔径が70nm以上1000nm以下である、請求項1に記載の伝熱部材。
【請求項3】
前記第一部分の平均深さが100nm以上2μm以下である、請求項1に記載の伝熱部材。
【請求項4】
前記第二部分の平均深さが前記第一部分の平均深さの3倍以上である、請求項1に記載の伝熱部材。
【請求項5】
前記母材がアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の伝熱部材。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の伝熱部材の製造方法であって、
前記母材に第一処理条件で陽極酸化処理を施すことにより、前記母材の表面に平均開口径が5nm以上70nm以下である複数の細孔を備えた酸化物層を形成し、
その後、前記母材に、前記第一処理条件とは異なる第二処理条件で陽極酸化処理を施し、複数の前記細孔のうち一部の細孔を成長させることにより、前記第一部分に連なる前記第二部分を形成する、伝熱部材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱部材及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
エアーコンディショナーやチラー、ボイラー、熱機関発電機等の発熱量の大きい機器には、沸騰冷却器などの冷媒の相変化を利用した冷却システムが組み込まれていることがある。また、近年では、この種の冷却システムが発熱密度の高い半導体部品やデータセンター用電子機器等の冷却に用いられることもある。
【0003】
冷媒の沸騰を利用した冷却システムは、冷却対象の機器と熱的に接触可能に構成された受熱面と、冷媒に接触可能に構成された放熱面とを備えた伝熱部材を有している。この種の冷却システムは、伝熱部材の放熱面に接触した冷媒を沸騰させることにより、冷却対象の機器を効率よく冷却することができるように構成されている。また、冷媒の沸騰を促進する技術として、例えば特許文献1には、液体の沸騰が生じる面に高さ10nm~1000nmの凹凸体が密集した面粗さを有することを特徴とする沸騰伝熱面が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002-228389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、冷媒の沸騰を利用した冷却システムにおいては、伝熱部材の放熱面に接触した冷媒を沸騰させることにより冷却対象の機器を効率よく冷却することができる。しかし、特許文献1に記載された沸騰伝熱面は、例えば冷媒の沸騰を繰り返し行う場合や、冷媒中に長期間浸漬された場合等に冷媒が沸騰しにくくなり、沸騰開始時における放熱面近傍の冷媒の過熱度が上昇する傾向がある。このように、放熱面に接触した冷媒が沸騰しにくくなると、放熱面から冷媒に移動する熱量が少なくなり、冷却対象の機器の温度の上昇を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、冷媒の沸騰を促進する効果を長期間にわたって維持することができる伝熱部材及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、金属または金属元素を含む無機化合物からなる母材と、
前記母材に含まれる金属元素の酸化物からなり、前記母材上に形成された酸化物層と、を有する伝熱部材であって、
前記酸化物層は、前記伝熱部材の表面に開口を有し、前記開口の平均開口径が5nm以上70nm以下である第一部分と、平均孔径が前記第一部分の平均開口径よりも大きく、前記第一部分に連なる第二部分とを備えた複数の細孔を有しており、
前記第二部分の平均深さが600nm以上20μm以下である、伝熱部材にある。
【0008】
また、本発明の他の態様は、前記の態様の伝熱部材の製造方法であって、
前記母材に第一処理条件で陽極酸化処理を施すことにより、前記母材の表面に平均開口径が5nm以上70nm以下である複数の細孔を備えた酸化物層を形成し、
その後、前記母材に、前記第一処理条件とは異なる第二処理条件で陽極酸化処理を施し、複数の前記細孔のうち一部の細孔を成長させることにより、前記第一部分に連なる前記第二部分を形成する、伝熱部材の製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
前記伝熱部材の酸化物層には、前記第一部分及び前記第二部分を備えた複数の細孔が設けられている。かかる形状を有する細孔は、過熱状態の冷媒と接触した際に冷媒の気化を促進し、多数の気泡を発生させることができる。また、前記細孔の第一部分は比較的開口径の小さい開口を有しているため、成長した気泡を速やかに伝熱部材から脱離させることができる。
【0010】
また、前記細孔の第一部分の平均孔径を第二部分の平均開口径よりも小さくすることにより、細孔内への液相の冷媒の進入を抑制することができる。さらに、前記細孔の第二部分の平均深さを前記特定の範囲とすることにより、例えば冷媒の沸騰を繰り返し行う場合や、冷媒中に長期間浸漬された場合等においても細孔内に十分な量の気体を保持することができる。細孔内に保持された気体は、冷媒の温度が上昇した際に気泡核の生成に寄与するため、細孔内に気体を保持することにより、冷媒からの気泡の発生、即ち冷媒の沸騰を促進することができる。それ故、前記伝熱部材は、冷媒の沸騰を繰り返し行う場合や、冷媒中に長期間浸漬された場合等においても、冷媒の沸騰を促進し、冷媒の過熱度が比較的低い間に冷媒を沸騰させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

国立大学法人九州大学
小細胞肺がんの治療
29日前
国立大学法人九州大学
伝熱部材及びその製造方法
1か月前
株式会社豊田自動織機
電力変換装置
15日前
国立大学法人九州大学
ミズワタクチビルケイソウの特異的検出
29日前
旭サナック株式会社
コーティング装置、およびコーティング方法
17日前
株式会社プロテリアル
文書解析システム、文書解析方法、及びプログラム
1か月前
国立研究開発法人産業技術総合研究所
伝熱シートおよび伝熱シートの製造方法
今日
国立大学法人九州大学
電極材料、並びにこれを使用した電極、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池
1か月前
国立大学法人九州大学
抗線維化剤、線維症治療用医薬組成物、抗線維化剤の製造方法および抗線維化方法
15日前
株式会社 レオロジー機能食品研究所
プラズマローゲン産生促進用培地、プラズマローゲン含有組成物の製造方法及びプラズマローゲンの製造方法
10日前
エムスタイルジャパン株式会社
アトピー性皮膚炎改善剤、制御性T細胞分化誘導剤、食品組成物、健康食品、化粧品及び制御性T細胞分化誘導方法
23日前
国立大学法人九州大学
筋線維芽細胞のα-平滑筋アクチン及びコラーゲンの発現抑制剤、線維症治療用医薬組成物、並びに、in vitroで筋線維芽細胞のα-平滑筋アクチン及びコラーゲンの産生を抑制する方法
15日前
個人
小型めっき装置
2か月前
株式会社カネカ
電解装置
4か月前
キヤノン電子株式会社
撥水部材
1か月前
株式会社カネカ
電解装置
4か月前
株式会社神戸製鋼所
接点材料
3か月前
株式会社ワンテンス
電解装置
3か月前
日本ラック株式会社
めっき治具
3か月前
株式会社神戸製鋼所
端子材料および端子
1か月前
株式会社大阪ソーダ
水素発生電極、及びその製造方法
3か月前
トヨタ自動車株式会社
水電解装置
1か月前
三恵技研工業株式会社
外装品及びその製造方法
23日前
株式会社ナノバブル研究所
微細生成物発生装置
22日前
トヨタ自動車株式会社
水電解セル
今日
TDK株式会社
電子部品の製造装置
1か月前
トヨタ自動車株式会社
膜電極接合体
1か月前
株式会社東芝
電解装置
1か月前
株式会社東芝
電解装置
1か月前
株式会社SCREENホールディングス
水電解装置
1か月前
SECカーボン株式会社
カソードアセンブリ
2か月前
トヨタ自動車株式会社
水電解システム
1か月前
株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ
電解槽
1か月前
国立大学法人九州工業大学
二酸化炭素還元装置
3か月前
日本水力株式会社
水素製造システム及び水素製造方法
1か月前
株式会社神戸製鋼所
導電材料およびその製造方法
2か月前
続きを見る