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公開番号2024015778
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-06
出願番号2022118076
出願日2022-07-25
発明の名称パイ用穀粉組成物
出願人株式会社ニップン
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A21D 2/36 20060101AFI20240130BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約【課題】サクサクとした食感に優れ、保存しても食感が劣化し難いパイを得ることができる穀粉組成物を提供することを課題とする
【解決手段】米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記パイ用穀粉組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記パイ用穀粉組成物。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
前記米粉の体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmである、請求項1記載のパイ用穀粉組成物。
【請求項3】
体積基準のモード径(M)をD50で除した値(M/D50)が2.0以下である、請求項2記載のパイ用穀粉組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載のパイ用穀粉組成物を含む、パイ用プレミックス。
【請求項5】
請求項4記載のパイ用プレミックスを含む、パイ用生地。
【請求項6】
米穀粒を粉砕して米粉を得る工程と、小麦穀粒を粉砕して小麦粉を得る工程と、米粉と小麦粉とを混合する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
【請求項7】
整粒前のM/D50をYとし、整粒後のM/D50をZとしたときに、|Y-Z|≧0.1となるように前記米粉を整粒する工程を更に含む、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
請求項4記載のパイ用プレミックスを使用してパイ用生地を製造する工程を含む、パイ用生地の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、サクサクとした食感に優れたパイを得ることができる穀粉組成物に関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
パイは、一般的に小麦粉、練り込み用油脂、水分、食塩、任意にショ糖等の原料を混捏して得られる穀粉生地に折り込み用油脂を包み込み、圧延と折り込みを繰り返して穀粉生地層と折り込み油脂層とが交互に層状となる層状生地を形成し、この層状生地を所望の形状に成形した後に焼成することによって製造される。このようにして製造されたパイは、穀粉層生地間の空隙により、ボリュームがあり、サクサクとした崩壊感のある歯切れが特徴的な食感を有しており、非常に人気の高いベーカリー食品の一つである。
しかしながら、製造後、時間の経過に伴ってサクサクとした食感が損なわれ、歯切れの悪い食感になるという問題がある。また、室温、冷蔵あるいは冷凍保存したパイを電子レンジ加熱して喫食しようとすると、ヒキの強い食感になるという問題もある。
このような問題を解決するために種々検討されている。
特許文献1には、全油脂の固体脂含量が10℃で30~55%、20℃で10~26%、30℃で16%以下である可塑性油脂組成物であって、該可塑性油脂組成物の大きさが縦30~400mm、横10~100mm、厚さ3~65mmである可塑性油脂組成物が開示されており、このような可塑性油脂組成物を用いて製造したパイはボリュームがあり、サックリした食感を有し、良好な口溶けであることが記載されている。
特許文献2には、3飽和トリグリセリドの含有量が15質量%超35質量%以下、2飽和トリグリセリドのうち対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.2~1.0、2飽和トリグリセリドの含有量が30~40質量%、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量が45質量%超65質量%以下、3不飽和トリグリセリドの含有量が1.0~15質量%である油脂を含有する層状食品用油脂組成物が開示されており、このような層状食品用油脂組成物を用いて製造したパイはボリュームがあり、サクさのある食感が良好で、サクさの経時変化も小さく、口溶けが良好であることが記載されている。
特許文献3には、穀粉類、水及び融点45℃以上の油脂を含有し、且つ当該油脂の含有量が1~10質量%であるベーカリー食品用生地が開示されており、冷凍保存した後に電子レンジ加熱してもサクサクとした食感のベーカリー食品(製造例から事実上パイである)を得ることができることが記載されている。
何れも優れた技術ではあるが、更なる改良が求められていた。
一方、米粉の各種ベーカリー製品への利用についても種々検討されている。
特許文献4には、澱粉を主成分とし、小麦グルテンを含まないイースト発酵生地の焼成物からなり、この焼成物はβ澱粉の混在する多孔質組織で形成されたものからなるベーカリー食品が開示されており、小麦グルテンを含まなくてもパンとしての好ましい食感を有するパンを得たことや、パイにも利用できることが記載されている。
特許文献5には、米粉とともにグルテンと、米粉に対し、水を85w/w%以上115w/w%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で9w/w%以上25w/w%以下含有せしめた生地を発酵させる工程を含むことを特徴とする発酵パンの製造方法が開示されており、外観及び食味に優れ、硬化が遅く保存性が良いパンを得たこと、パイにも適用できることが記載されている。
米粉を使用したベーカリー食品としては何れも優れた技術ではあるが、本発明とは小麦粉を使用する点及びパイの食感の改良効果を有する点で相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-18018号公報
特開2016-59354号公報
特開2014-8040号公報
特開2010-246500号公報
特開2004-65250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サクサクとした食感に優れ、保存しても食感が劣化し難いパイを得ることができる穀粉組成物を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0005】
米粉を所定量含むパイ用穀粉組成物により課題を解決することを見いだし、本発明を完成した。また、所定の粒子径を有する米粉を所定量含むパイ用穀粉組成物により、より良好な食感及び保存後あるいは再加熱後の良好な食感が得られることを見いだした。
本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
〔1〕米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記パイ用穀粉組成物。
〔2〕前記米粉の体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmである、〔1〕記載のパイ用穀粉組成物。
〔3〕体積基準のモード径(M)をD50で除した値(M/D50)が2.0以下である、〔1〕または[2]記載のパイ用穀粉組成物。
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれか記載のパイ用穀粉組成物を含む、パイ用プレミックス。
〔5〕〔1〕~〔3〕のいずれか記載のパイ用穀粉組成物、又は〔4〕記載のパイ用プレミックスを含む、パイ用生地。
〔6〕米穀粒を粉砕して米粉を得る工程と、小麦穀粒を粉砕して小麦粉を得る工程と、米粉と小麦粉とを混合する工程を含む米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物の製造方法であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記方法。
〔7〕前記米粉を得る工程が、体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmとなるように米穀粒を粉砕して米粉を得る工程である、〔6〕記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
〔8〕前記米粉を得る工程が、体積基準のモード径(M)をD50で除した値(M/D50)が2.0以下となるように米穀粒を粉砕して米粉を得る工程である、〔7〕記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
〔9〕整粒前のM/D50をYとし、整粒後のM/D50をZとしたときに、|Y-Z|≧0.1となるように前記米粉を整粒する工程を更に含む、[8]記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
〔10〕〔6〕~〔9〕のいずれか記載の製造方法により得られたパイ用穀粉組成物を使用する、パイ用プレミックスの製造方法。
〔11〕〔6〕~〔9〕のいずれか記載の製造方法により得られるパイ用穀粉組成物、又は〔10〕記載の製造方法により得られるパイ用プレミックスを使用してパイ用生地を製造する工程を含む、パイ用生地の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サクサクとした食感に優れ、経時的な食感劣化が抑制されたパイを得ることができる。更には、保存した後に電子レンジ再加熱しても、ヒキの出難いパイを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<<パイ用穀粉組成物>>
本発明のパイ用穀粉組成物は、米粉と小麦粉とからなり、米粉の含有率が52質量%以下であることを特徴とする。
<パイ>
パイはその内部が薄膜状の穀粉生地と空隙とが幾重にも連なる特有の層状構造を有する焼菓子である。サクサクとした食感と加熱された油脂の香ばしい芳香を有しており、フィリングを挟むことで多彩な風味に変化させることのできる菓子の一つである。パイはその製法によって折パイ、練りパイに大別される。折パイはシート状のバターやマーガリン等の油脂を穀粉生地へ層状になるように折り込み、折りたたみと延圧を繰り返して成形する。薄い膜状となった生地は焼成時に油脂層から出る水蒸気によって浮き上がり、多層に分かれて膨らんだ層構造を形成する。一方、練りパイは穀粉生地にバターやマーガリン等のロールイン油脂を混ぜ込み、折りたたみと延圧を繰り返して成形する。焼成時、点在する油脂層によって穀粉生地が浮き上がることで層状の構造を得る。本発明のパイには、折パイ、練りパイの双方が含まれる。
また、例外的にイーストを使用して穀粉生地部分に厚みを持たせたパイも存在するが、イースト発酵により穀粉生地が多孔質化するためにデニッシュ等のようにサクサクとしながらも比較的柔らかい食感になりやすい。本発明において、パイはイーストを使用しても使用しなくともよいが、よりサクサクとした食感を引き出すために、好ましくはイーストを使用しないパイである。
【0008】
<小麦粉>
小麦粉とは、イネ科コムギ属の植物の種実(穎果)である小麦穀粒を製粉して得られるものをいう。小麦属の植物にはパン小麦やスペルト小麦、クラブ小麦等の普通系小麦、デュラム小麦やエンマー小麦等の2粒系小麦、それらのワキシー種、更には品種等が知られている。本発明のパイ用穀粉組成物に使用される小麦粉は、いずれの小麦穀粒を製粉して得られる小麦粉であってもよく、好ましくは普通系小麦穀粒を粉砕して得られる小麦粉である。また、一般に市販されている薄力小麦粉、中力小麦粉、強力小麦粉、並びにそれらの混合小麦粉であってもよい。好ましくは、強力小麦粉と薄力小麦粉とを質量割合で30:70から70:30、好ましくは40:60から60:40の範囲で混合した混合小麦粉である。
【0009】
<米粉>
米粉とは、イネ科イネ属の植物の種実(頴果)である米穀粒を脱穀及び精白した後に粉砕して得られるものである。イネ属の植物にはジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種等の亜種並びにそれらのワキシー種、更には品種が知られている。本発明に使用する米穀粒は、公知の米穀粒であれば何れも使用することができる。好ましくはうるち米及び/又はもち米である。より好ましくは、アミロース含量が17質量%~23質量%である「あきたこまち」や「コシヒカリ」などのうるち米、アミロース含量が23質量%以上である「越のかおり」や「モミロマン」などの高アミロースうるち米、アミロース含量が5質量%~15質量%である「ゆめぴりか」や「ミルキークイーン」などの低アミロースうるち米、「きぬのはだ」や「こがねもち」などのもち米が挙げられる。食感の観点から、更に好ましくはもち米である。
米穀粒から米粉を得るための粉砕方式は、臼式、ロール式、超遠心式、ピン式(衝撃式)、ハンマー式、サイクロン式、挽き臼式、胴搗式、気流式、ターボミル式等の公知の製粉方式であれば限定なく使用することができる。なお、米穀粒を粉砕するにあたり、米穀粒を水浸漬する、酵素処理する等の前処理を行ってもよい。
【0010】
本発明のパイ用穀粉組成物は、米粉と小麦粉とからなる。前記パイ用穀粉組成物における米粉の含有率は、52質量%以下であり、好ましくは0.5~50質量%であり、より好ましくは3~45質量%であり、更に好ましく5~35質量%であり、より更に好ましくは8~25質量%であり、なお好ましくは12~18質量%である。前記範囲であれは、サクサクとした食感に優れ、経時的な食感劣化が抑制されたパイを得ることができ、更には、保存した後に電子レンジ再加熱しても、ヒキの出難いパイを得ることができる。
前記パイ用穀粉組成物を構成する米粉は、好ましくはうるち米粉及び/又はもち米粉であり、より好ましくはもち米粉である。もち米粉を使用することにより、よりサクサクとした食感を有し、経時耐性に優れ、保存後の電子レンジ再加熱によって更にヒキの出難いパイを得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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