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公開番号2024071334
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2023069735
出願日2023-04-21
発明の名称スポンジケーキの製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人
主分類A21D 13/80 20170101AFI20240517BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約【課題】
本発明の目的は、スポンジケーキ本来の風味を損なうことなく、簡便なオールインミックス法を適用して、均一な気泡を多く含むケーキ生地を焼成することにより、膨らみが良好であり外観及び食感が改善されたスポンジケーキを製造する方法及び該方法に適したスポンジケーキ用生地組成物を提供することにある。
【解決手段】
上記目的は、20℃における2質量%水溶液の粘度が30mPa・s~800mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、薄力粉を含む穀粉類、卵類、糖類、膨張剤、食用油脂及び水を含む生地組成物をオールインミックス法により起泡してケーキ生地を得る工程と、前記ケーキ生地を焼成することにより、スポンジケーキを得る工程とを含むスポンジケーキの製造方法などにより解決される。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
20℃における2質量%水溶液の粘度が30mPa・s~800mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、薄力粉を含む穀粉類、卵類、糖類、膨張剤、食用油脂及び水を含む生地組成物をオールインミックス法により起泡してケーキ生地を得る工程と、前記ケーキ生地を焼成することにより、スポンジケーキを得る工程とを含むスポンジケーキの製造方法。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、前記ケーキ生地の全質量に対して、0.05質量%~2質量%である請求項1に記載のスポンジケーキの製造方法。
【請求項3】
前記膨張剤は、アルミニウム塩を含まない膨張剤である請求項1又は2に記載のスポンジケーキの製造方法。
【請求項4】
前記穀粉類は、75質量%以上である薄力粉を含む穀物類である請求項1又は2に記載のスポンジケーキの製造方法。
【請求項5】
前記ケーキ生地は、前記穀粉類の100質量部に対する水分量が、120質量部~250質量部である請求項1又は2に記載のスポンジケーキの製造方法。
【請求項6】
20℃における2質量%水溶液の粘度が30mPa・s~800mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、薄力粉を含む穀粉類、糖類及び膨張剤を含むスポンジケーキ用生地組成物。
【請求項7】
前記スポンジケーキ用生地組成物は、粉末の形態である請求項6に記載のスポンジケーキ用生地組成物。
【請求項8】
20℃における2質量%水溶液の粘度が30mPa・s~800mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むスポンジケーキの膨らみ改善用組成物。
【請求項9】
20℃における2質量%水溶液の粘度が30mPa・s~800mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを原料として用いることを含むスポンジケーキの膨らみ改善方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、スポンジケーキを製造する方法及び該方法で利用するスポンジケーキ用生地組成物に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、スポンジケーキは、ミキサーなどを用いて激しく混合することにより生地組成物を起泡させ、次いで得られた起泡済み生地組成物(ケーキ生地)をケーキ型に流し込み、オーブン等で焼成することにより得られる。嗜好性の高いものとして、膨らみが良いことにより、外観が良好であり、食感が軽いスポンジケーキが望まれている。
【0003】
膨らみが良く外観及び食感の良いスポンジケーキを製造するためには、起泡操作によって大きさが均一な気泡を焼成前の生地組成物中に多く含ませることが良いとされている。ケーキ生地を起泡させる方法は複数存在する。例えば、砂糖と油脂とを混合して起泡させた後に、卵及び小麦粉を加えてさらに起泡させる方法(シュガーバッター法)、油脂と小麦粉とを混合して馴染ませて起泡させた後に、砂糖及び卵を加えてさらに起泡させる方法(フラワーバッター法)、卵を卵白と卵黄とに分け、卵白を起泡させてメレンゲを作成し、別途容器にて卵黄、小麦粉、糖類及び油脂を混合して起泡させてケーキ生地を作成し、前記メレンゲを焼成前のケーキ生地に混ぜ込む方法(別立て法)などが挙げられる。
【0004】
しかし、これらの方法は、段階的に材料を投入して混合するか、又は予め起泡したものと別の材料とを混合して最終的に合わせる方法であるために、製造工程が煩雑であり、大量生産には向かないという問題がある。また、多段階の起泡工程を含む方法及び油脂及び粉体のみを混合する工程を含む方法は、生地の粘度や混合量が混合段階で大きく異なるため、適切な混合条件を実現するための装置が限定され、場合によっては生地混合の段階毎に異なる混合装置を用意しなければならないという問題がある。
【0005】
したがって、スポンジケーキを大量生産するためには、簡便さの観点から油脂、小麦粉、砂糖、卵などの全ての生地原料を一括で投入及び混合して生地組成物を得て、得られた生地組成物を起泡してケーキ生地を得て、次いで得られたケーキ生地を焼成するオールインミックス法が望ましい。しかし、オールインミックス法は、油脂や小麦粉が生地中の気泡を消泡するように機能するため、多段階による生地組成物の起泡方法と比べて焼成前のケーキ生地に気泡を多く含ませることが難しく、焼成後に膨らみの良いスポンジケーキを得ることが困難であるという問題がある。
【0006】
オールインミックス法により製造されるスポンジケーキの膨らみ不足を改善するための方法としては、例えば、ケーキ類の原料として一般的に使用される薄力粉の代わりに比較的粒子径の細かい強力粉を使用する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
また、スポンジケーキの膨らみ不足を改善する方法として、起泡性の高い乳化剤やベーキングパウダーを添加する方法が一般的に知られている。しかし、乳化剤やベーキングパウダーは特有の風味があり、これらを多量に使用すると、得られるスポンジケーキの風味が損なわれるという問題がある。そのため、乳化剤及びベーキングパウダーを多量に使用しないオールインミックス法によるスポンジケーキの製造方法が検討されている。このような方法としては、例えば、デキストリン単体又はホモジナイザー等の装置を用いて均質化したデキストリンとリン脂質とをケーキ改良材として使用した製造方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2006-340667号公報
特開2016-096761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の方法では、水分との混練により多くのグルテンを形成する強力粉を使用することによってケーキ生地の粘弾性が高められ得る。ケーキ生地の高い粘弾性は、起泡によって形成した気泡を安定に保持することに寄与し、スポンジケーキの膨らみを向上するように機能すると考えられる。しかし、一般に流通している強力粉は、薄力粉より粒子径が大きく、粒子の細かい強力粉を入手することは困難である。また、形成されたグルテンによって生地に付与される強い弾性により、焼成時のケーキ生地の膨らみが妨げられ、これにより焼成して得たスポンジケーキの比重は重くなる傾向にある。さらに、特許文献1に記載の方法では、強力粉を多量に使用することから、得られるスポンジケーキの食感は重たくなり、スポンジケーキに要求される軽い食感が損なわれる場合がある。したがって、特許文献1に記載の方法は、スポンジケーキの膨らみ向上の効果が乏しく、食感に負の影響を与えるという問題がある。
【0010】
一方、特許文献2に記載の方法は、低分子量のデキストリン単体又はホモジナイザー等の装置を用いて均質化した低分子量のデキストリン及び乳原料由来のリン脂質をケーキ改良材として用いることにより、スポンジケーキの膨らみを向上させ得る。しかし、特許文献2に記載の方法は、デキストリン単体の添加では膨らみ改善効果は乏しく、さらに均質化したデキストリンを使用する場合は均質化したデキストリンの調製にpH調整処理やホモジナイザー等の特別な装置を用いた均質化処理等の処理工程を伴い工程設計が煩雑になるという問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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