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公開番号2023128977
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-09-14
出願番号2022033691
出願日2022-03-04
発明の名称ステンレス鋼材及びその製造方法
出願人株式会社中津山熱処理,新潟県
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20230907BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】優れた耐食性及び導電性を有するステンレス鋼材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】mass%で、Crを16%以上30%以下、更にTiを0.03%以上1%以下含有するフェライト系ステンレス鋼材を素材とし、真空下で所定の温度T1まで加熱する第一の加熱工程と、上記所定の温度T1に達した後、窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気下で、更に所定の温度T2まで加熱を続け、該所定の温度T2で所定時間保持する第二の加熱工程と、更に、急冷する急冷処理工程とを、この順に備える。これにより、オーステナイト相組織を有するとともに、少なくとも表層に、膜状にオーステナイト相及び窒化チタン相が分布した組織を有するステンレス鋼材となり、高温の厳しい腐食環境下における優れた耐食性と、金めっき膜と同等の優れた導電性と、を兼ね備える。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
オーステナイト相組織を有するステンレス鋼材であって、
上記ステンレス鋼材の少なくとも表層が、オーステナイト相及び窒化チタン相が分布した組織を有する、ステンレス鋼材。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
上記ステンレス鋼材が、mass%で、Crを16%以上30%以下含み、更にTiを0.03%以上1%以下、Nを0.3%以上1.5%以下、Siを1.0%以下、Mnを1.0%以下、Cを0.1%以下、含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、Ni非含有である組成を有する、請求項1に記載のステンレス鋼材。
【請求項3】
上記組成に加えて更に、mass%で、Nb及びAlのうちの1種又は2種を、Ti、Nb及びAlの合計で、0.1%以上1%以下含有する、請求項2に記載のステンレス鋼材。
【請求項4】
上記組成に加えて更に、mass%で、Moを3%以下含有する、請求項2又は3に記載のステンレス鋼材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のステンレス鋼材からなる、ステンレス鋼構造体。
【請求項6】
固体高分子形燃料電池用セパレータである、請求項5に記載のステンレス鋼構造体。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のステンレス鋼材の製造方法であって、
Tiを含有するフェライト系ステンレス鋼材を素材とし、真空下で所定の温度T

にまで加熱する第一の加熱工程と、上記所定の温度T

に達した後、窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気下で、更に所定の温度T

まで加熱を続け、該所定の温度T

で所定時間保持する第二の加熱工程と、更に、急冷する急冷処理工程とを、この順に備える、ステンレス鋼材の製造方法。
【請求項8】
上記真空下が、10
―2
Pa以下の圧力下である、請求項7に記載のステンレス鋼材の製造方法。
【請求項9】
上記窒素ガス雰囲気下が、窒素ガス圧力で100Pa以上200kPa以下となる雰囲気下である、請求項7又は8に記載のステンレス鋼材の製造方法。
【請求項10】
上記急冷が、100℃/min以上の冷却速度で冷却する処理である、請求項7ないし9のいずれか一項に記載のステンレス鋼材の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体高分子形燃料電池のセパレータ用として好適な、ステンレス鋼材及びその製造方法に係り、特に耐食性と導電性の向上に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
オーステナイト系ステンレス鋼材は、強度及び加工性において十分に満足できる特性を有しているが、耐食性については改善の余地があった。
ステンレス鋼は表面に不動態皮膜を有することで高い耐食性を有するが、水中に一定以上のCl

イオン(塩素イオン)が含まれている場合、不動態皮膜が局部的に破壊され、条件により、孔食、すきま腐食、応力腐食割れといった局部腐食が発生する。局部腐食はステンレス鋼に特有な腐食現象であり、耐食性はステンレス鋼の鋼種により異なる。一般にオーステナイト系ステンレス鋼材は、一定レベルの耐食性を有するが、腐食環境では前記の腐食が発生する。
窒素はオーステナイト安定化元素であり、ステンレス鋼の耐食性の指標である孔食指数を上げることでも知られており、フェライト系ステンレス鋼に添加することでオーステナイト化されるとともに耐食性の向上が期待される。
このようなことに対し、窒素吸収処理によるステンレス鋼製製品の製造方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、所望の形状に加工されたバルク状のフェライトステンレス鋼製製品を、窒素ガスを含む不活性ガスと800℃以上で接触させ、製品全体をオーステナイト化させる又は一部をオーステナイト化させ、フェライトとオーステナイトの2相組織を形成させるステンレス鋼製製品の製造方法が記載されている。特許文献1に記載されたステンレス鋼製製品の製造方法によれば、強度、耐食性において満足できる特性を有するステンレス鋼製製品の加工コストを低く抑えることができるとしている。
【0003】
特許文献2には、質量%で、Cr:18~24%、Mo:0~4%を含むフェライト型ステンレス鋼を素材として用いて、窒素吸収処理を行い、Niを含まないステンレス鋼製製品を製造するステンレス鋼製製品の製造方法が記載されている。特許文献2に記載されたステンレス鋼製製品の製造方法によれば、加工性と耐食性に優れたステンレス鋼製製品が得られるとしている。
【0004】
特許文献3には、ステンレス鋼を基材とする固体高分子形燃料電池のセパレータが記載されている。特許文献3に記載された技術では、基材とするステンレス鋼を、溶製段階でN含有量を高濃度としてオーステナイト系とし、耐酸性を向上させるとともに、Al、Caの適切な複合脱酸による低酸素化と十分な脱硫処理によるS含有量の低下とにより、非金属化合物を低減させた高清浄ステンレス鋼としている。これにより、塑性加工性の向上を図るとともに、固体高分子形燃料電池のセパレータの使用環境に耐える耐食性、耐酸性を兼ね備えることができるとしている。
【0005】
特許文献4には、フェライト系ステンレス鋼からなる基材を、窒素含有雰囲気中で1000℃以上1250℃以下に加熱、保持することで、上記基材の表層部にオーステナイト相を形成する工程と、加熱後の上記基材を1℃/秒以上の冷却速度で冷却する工程と、冷却後の上記基材を、所定形状に加工して容器体を作製する工程と、を有する加熱調理容器の製造方法が記載されている。特許文献4に記載された技術によれば、フェライト系ステンレス鋼からなる基材の表層部に、基材の内層部よりも高耐食性の金属相であるオーステナイト相が形成され、優れた耐食性を有する加熱調理容器になるとしている。
【0006】
特許文献5には、フェライトステンレス鋼を、加熱炉内において、1100~1250℃の窒素ガス雰囲気中で加熱し、該フェライトステンレス鋼に窒素を吸収させた後、窒素が吸収された該材料を急冷して該フェライトステンレス鋼の一部又は全部をオーステナイト化する工程を含むニッケルフリーオーステナイトステンレス鋼の製造方法が記載されている。特許文献5に記載された技術によれば、耐食性及び耐久性の高いステンレス鋼とすることができ、固体高分子形燃料電池のセパレータ用として有効であるとしている。
【0007】
特許文献6、特許文献7及び特許文献8には、質量%で、Cr:20~26%、N:0.6~2.0%を含む組成を有し、表層に導電性と耐食性とを兼ね備えたCr窒化物層が形成され、耐食性、低接触抵抗、優れたプレス加工性を有し、固体高分子形燃料電池用セパレータに加工できるステンレス鋼板が記載されている。特許文献6~8に記載された技術では、質量%で、Cr:20~26%、N:0.1%以下を含む組成のステンレス鋼スラブを熱間圧延及び冷間圧延することによって、薄圧延鋼板とし、該薄圧延鋼板を、窒素を含むガス雰囲気下で焼鈍して冷却し、更に、非酸化性酸を含む溶液で酸洗して、N含有量が0.6~2.0質量%であるステンレス鋼板を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2004-68115号公報
特開2006-316338号公報
特開2008-186601号公報
特開2010-68886号公報
特開2012-92413号公報
特開2020-111805号公報
特開2020-111806号公報
国際公開2019-058409号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1~8に記載された技術で製造されたステンレス鋼材では、例えば、JIS G 0578に規定される塩化第二鉄腐食試験において、特に液温の高い厳しい腐食環境下では、孔食が発生し、耐食性が低下することから、更なる耐食性の向上が要望されていた。
そこで、本発明は、高温の厳しい腐食環境下においても使用可能な、優れた耐食性、更には導電性を有するステンレス鋼材及びその製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
まず、上記した目的を達成するため、耐食性に及ぼす、素材組成及び窒素吸収処理条件の影響について鋭意検討した。
その結果、Tiを含有するフェライト系ステンレス鋼材を素材とし、窒素吸収処理により、素材の組織の一部又はすべてをオーステナイト相とするとともに、少なくとも表層は、オーステナイト相及び窒化チタン相が分布した組織を有することにより、耐食性が顕著に向上するとともに、導電性も向上することを知見した。
(【0011】以降は省略されています)

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