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公開番号2023079129
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021204642
出願日2021-11-26
発明の名称二酸化炭素の分解方法
出願人個人,個人
代理人
主分類B01J 35/02 20060101AFI20230531BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】 二酸化炭素を分解する方法を提供することである。
【解決手段】 酸化チタンを塗布したシートに二酸化炭素を通過させ、あらゆる光源から発する光を照射することを特徴とする方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
酸化チタンを塗布したシートを密閉し、これに二酸化炭素を含むガスを封入する口、および処理されたガスを排出する口を設け、これに光を照射することを特徴とする方法
続きを表示(約 270 文字)【請求項2】
照射光は紫外線から可視光に渡る幅広い波長が有効であり、特に波長500~550nm、および610~620nmの光であることを特徴とする、請求項1に記載の方法
【請求項3】
酸化チタンは僅かな量の水に溶きスラリーにしたものを濾紙などのシートに塗布し、乾燥されることを特徴とする、請求項1および2に記載の方法
【請求項4】
酸化チタンを塗布したシートを紫外線が通過できる素材、特に石英ガラス、もしくは紫外線で一酸化炭素が発生しにくいプラスチックなどで密閉することを特徴とする、請求項1~3に記載の方法

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、室温、常圧で二酸化炭素を炭素および酸素に分解するための方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO

)は無極性の分子であり、完全に酸化されているため極めて安定な物質である。このため、これを分解するには高温、高圧にしてエネルギーを与えるか、水素などの還元剤を用いない限り困難である。近年CaO(石灰)とAl



(アルミナ)から構成される12CaO

・Al



の中に電子を取り込んだC127Aエレクトライドが、CO

を室温で吸着し酸素(O

)と一酸化炭素(CO)に分解することが示された。しかし、エレクトライド表面にO

が結合したまま剥がれにくいことが課題となっている。
酸化チタン(二酸化チタン)は水を分解出来る光触媒として初めて報告された(非特許文献2)。以降現在までに多くの有機合成など、多岐にわたる研究が行われている。酸化チタンは光半導体とも言われ、電子が充満した価電子帯と、空の伝導帯からなっており、両者のエネルギー差である禁制帯(バンドギャップ)を満たすエネルギーが外部から与えられると、価電子帯から伝導体に電子が励起されて移動する。このとき電子の抜けた正孔も移動する。それぞれが存在する電子供与体や電子受容体と相互作用することで反応が引き起こされる。酸化チタンにはアモルファス、アナタ-ス、ルチル、およびブルッカイトと言う結晶型があるが、原子配列が異なっているために、バンドギャップが異なる。このバンドギャップが異なることで様々な異なった反応が起こるとされている。これまで、有害物質の分解、消臭、殺菌などに応用されている。
【0003】
一方、酸化チタンを構成している酸素に紫外線が当たると、空気中の水と反応し、水酸基が形成され超親水性を持つことが判明しており、タイルやガラスの親水性を高めた自浄作用を持つものなどが市販されている。しかしながら、これまで酸化チタンがCO

の分解に試みられた例はなかった。
これらとは異なり、発明者らは酸化チタンの光触媒性により、あらゆる波長の光によって、CO

が炭素と酸素に分解されることを見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、常温でCO

を除去する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化チタンに紫外線または可視光を照射することにより、上記の問題を解決できるとの知見を得た。
これは、密閉容器内に酸化チタンを封入し、二酸化炭素を充填し、紫外線または可視光を照射すると、二酸化炭素濃度が低下することを見出した事による。また、二酸化炭素濃度が低下するにつれ、酸素濃度が上昇すること、また気相中にあると思われる炭素をシリカゲルなどに吸着させ、重量が増加することから、
CO

→C+O

のように分解することが判った。
本発明は、この知見に基づいて、
1.酸化チタンを塗布したシートを密閉し、これに二酸化炭素を含むガスを封入する口、および処理されたガスを排出する口を設け、これに光を照射することを特徴とする方法、
2.照射光は紫外線から可視光に渡る幅広い波長が有効であり、特に波長500~550nm、および610~620nmの光であることを特徴とする、1に記載の方法、
3.酸化チタンは僅かな量の水に溶きスラリーにしたものを濾紙などのシートに塗布し、乾燥されることを特徴とする、1および2に記載の方法、
4.酸化チタンを塗布したシートを紫外線が通過できる素材、特に石英ガラス、もしくは紫外線で一酸化炭素が発生しにくいプラスチックなどで密閉することを特徴とする、1~3に記載の方法、
を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく、他の例又は変形は、当然本発明に包含されるものである。
【実施例】
【0007】
二酸化炭素の分解(典型例)
密閉容器あるいはプラスチック袋に酸化チタンを塗布した濾紙を封入し、別の容器あるいはプラスチック袋に二酸化炭素、酸素、一酸化炭素の測定装置を封入し、両者をシリコンチューブで接続し、ペリスタポンプで循環するように装置を組み立てた。光はチタン封入容器の上部から照射した。
[図1]
シリコンチューブの接続口から二酸化炭素を封入し、次いで光を照射し、ガスを循環させながら二酸化炭素、酸素、一酸化炭素を測定した。結果は図2に示した。
酸化チタンは水に不溶であるので、濾紙に塗布するのは容易である。濾紙を底面から湿らせ、そこに一定量の酸化チタンを撒き、自然に湿らせてゲル様にしたものをスパチュラなどで広げること、または酸化チタンを少量の水で懸濁したものを筆または刷毛で塗布することが出来る。この場合、酸化チタンは直接二酸化炭素に触れる必要があるため、増粘剤や粘着剤などを混ぜることは出来ない。
[図2]
図には白色光を照射した場合を示している。結果から明らかなように、酸化チタンが無い場合には二酸化炭素、および酸素量に変化は見られなかったが、酸化チタンがあると、時間と共に二酸化炭素量は減少し、一方、酸素量は上昇した。以上から、酸化チタンには白色光であっても二酸化炭素を分解する能力があることが判った。用いた酸化チタンはアナタ-ス型であったが、ルチル型でも同様の結果であった。以降、酸化チタンはアナタース型を用いた。
二酸化炭素および酸素の測定には両者を同時に測定できる装置のプローブ、および一酸化炭素測定プローブを別の密閉容器または袋に挿入して行なった。それぞれのプローブは本体とブルーツースで接続した。
【実施例】
【0008】
活性の定義
様々な条件下で活性を比較するに当たって、活性の求め方を定義する。活性は時間当たりの二酸化炭素低下量から求めるが、実際に低下量を測定した際に、時間当たりの低下量を回帰直線から求め、その直線の傾きの負の値とした。この時の単位は二酸化炭素量(%)/分である。傾きの大きいほど活性が高いことを表す。図2には回帰直線の式が示してあるが、この時の活性は0.0223%/分と表せる。
図3には光を照射しない場合との比較例を示した。同じ酸化チタンのシートをアルミ箔で覆い遮光した場合と、光を照射したものとを比較した。光を照射しなければ反応は進まないが、同条件下で光を照射した場合には二酸化炭素は低下し、その分酸素は増加する。
[図3]
【実施例】
【0009】
光度と活性
白色光はLEDランプを用いたが、この時の光度によって活性がどのように変化するかを調べた。光度は光度計を用い、照射距離を変化させて活性を調べた。
結果は図4に示した。図から明らかなように、光度が高くなるほど活性が高くなることが判明した。
[図4]
【実施例】
【0010】
一酸化炭素の発生
二酸化炭素分解と同時に一酸化炭素の発生が認められた。酸化チタンシートを入れる容器または袋の種類によって、二酸化炭素分解以外に一酸化炭素が発生することが判った。図5には様々な種類のプラスチックを用いた場合が示されている。この場合、紫外線を照射したが、可視光においても量は少ないが認められた。一酸化炭素の発生の少ないのは、ABS樹脂かポリプロピレンであることが判った。
[図5]
【実施例】
(【0011】以降は省略されています)

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