特許ウォッチ

公開番号2025166933
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-07
出願番号2024071145
出願日2024-04-25
発明の名称歯科用色調適合確認材料
出願人株式会社トクヤマデンタル
代理人
主分類A61K 6/25 20200101AFI20251030BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】歯科用セメントと類似したペースト性状を有し且つ試適作業後の水洗による除去性に優れることが知られている、“多価アルコール(a)、水(b)及び充填材(c)を夫々所定の割合で含み、必要に応じて顔料(d)を配合することにより所定の色調に調色された歯科用色調適合確認材料”のペースト性状の保存安定性を向上させる。
【解決手段】水への溶解度が10g以上である無機塩(e)を配合すると共に、前記(a)及び前記(b)からなる液状成分中の(a)の含有率を38～62質量%{(b)の含有率を62～38質量%}とし、更に前記液状成分:100質量部に対する前記(c)及び前記(e)の配合量を(c):5～13質量部及び(e):3～13質量部とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
多価アルコール（ａ）、水（ｂ）及び充填材（ｃ）を含むペースト状の組成物であって、これら（ａ）～（ｃ）の総量に占める各成分の割合が、（ａ）：１０～７９質量％、（ｂ）：２０～６０質量％及び（ｃ）：１～３０質量％であり、必要に応じて顔料（ｄ）を配合することにより所定の色調に調色された組成物からなる歯科用色調適合確認材料において、
前記（ａ）及び前記（ｂ）からなる液状成分の３８～６２質量％が前記（ａ）であり、
前記組成物は、２５℃における水１００ｇへの溶解度が１０ｇ以上である無機塩（ｅ）を更に含み、
前記液状成分：１００質量部に対する前記（ｃ）及び前記（ｅ）の含有量が、夫々（ｃ）：５～１３質量部及び（ｅ）：３～１３質量部である、
ことを特徴とする歯科用色調適合確認材料。
続きを表示（約 560 文字）【請求項２】
前記無機塩（ｅ）が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオンから選ばれるカチオンと、フッ化物イオン、塩化物イオン、硫酸イオンから選ばれるアニオンと、からなることを特徴とする請求項１に記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項３】
前記多価アルコール（ａ）がポリエチレングリコールからなる、請求項１又は２に記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項４】
着脱可能なキャップにより封止された吐出口を先端に有する筒状バレルと、先端部にガスケットを有する押し子と、を有し前記バレルの後端部より前記ガスケットを摺動可能に挿入することによりガスケットより先端側のバレル内に形成される流体収容空間に流体を保持することができるシングルシリンジタイプの容器と、
請求項１に記載の歯科用色調適合確認材料と、
を含むキットであって、
前記容器の前記流体収容空間内に前記歯科用色調適合確認材料が保持されて、使用時においてキャップを外した吐出口にノズルを装着して前記押し子をバレル内に押し込むことにより、前記ノズルから前記歯科用色調適合確認材料を吐出できるようにした、
ことを特徴とするシングルシリンジ充填型歯科用色調適合確認材料キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、歯科用色調適合確認材料に関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
歯科医療における補綴治療は、インレー、オンレー、ベニア等の歯科用補綴物を支台歯に歯科用セメントを用いて合着することにより行われている。ここで、歯科用セメントとは、補綴治療において上記合着を行うために使用されるペースト状硬化性材料であり、一般的に、症例に合わせて硬化後の色調を選択できるように、異なる数種類の色調のものが提供されている。ある程度の透明性を有する補綴物を合着する場合における修復後の色調は、歯科用セメント硬化体の色調の影響を受けるため、審美性の高い修復を行うためには、修復後に適切な色調を呈するような（硬化体の）色調を有する歯科用セメントを選択して使用する必要がある。
【０００３】
歯科用色調適合確認材料は、試適用の歯科用セメント代替材料であり、硬化後の歯科用セメントの色調と同様な色調に調色された非硬化性のペースト状組成物（「トライインペースト」と呼ばれることもある。）からなり、歯科用セメントの種類ごとに対応する色調のものが準備されている。審美的な補綴治療を行うために、歯科用セメントに代えて歯科用色調適合確認材料を用いて一時的に補綴物を支台歯に試適して、その審美性を確認し、所望の色調が得られた場合には、補綴物は取り外され、水洗により補綴物の内面と支台歯とに付着している歯科用色調適合確認材料が除去された後、用いた歯科用色調適合確認材料とに対応する（色調の）歯科用セメントを用いて補綴物が合着される。試適で所望の色調が得られなかった場合には、他の色調の色調適合確認材料を用いて再び試適が行われ、所望の審美性が得られるまで繰り返される。
【０００４】
このようにして使用される歯科用色調適合確認材料においては、（硬化前の）歯科用セメントと類似したペースト性状を有し、更に試適作業後の水洗による除去性に優れることが求められており、このような要求に応える歯科用色調適合確認材料も知られている。すなわち、特許文献１には、（ａ）多価アルコール１０～７９質量％、（ｂ）水２０～６０質量％、および（ｃ）充填材１～３０質量％を含有してなる組成物：１００質量部に対して（ｄ）顔料を０～０．１質量部配合してなる歯科用色調適合確認材料が開示されている。
【０００５】
なお、歯科用セメントを使用する場合には、シリンジを用いて所定に位置に施用することがあり、このため歯科用硬化性組成物は吐出口をキャップで封止したシリンジタイプの容器内に保持され、ノズルを装着して押し出すことによりそのまま使用できるキットとして提供されることも多い。そして、このようにキット化された歯科用セメントに対応する歯科用色調適合確認材料も、通常は、シリンジタイプの容器内に保持されたキットとして提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
特開２０１１－１３２１８５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
特許文献１に開示される前記歯科用色調適合確認材料（以下「文献１の色調適合確認材料」ともいう。）は、上記した良好な特長を有するものであるが、シリンジタイプの容器を用いてキットとした場合には、未使用状態で長期保管したときや、一部使用後キャップをしてから期間をおいて再使用したときに、ペーストが固くなる傾向があることが判明した。ペーストが固くなると、シリンジから押し出す時の吐出感が重くなるばかりでなく、試適の際の被膜厚さが厚くなって、外観色が所期の色調より濃くなることで、歯科用セメントの正しい選定ができなくなる危険が生じる。
【０００８】
そこで本発明は、文献１の色調適合確認材料のような、歯科用セメントと類似したペースト性状を有し且つ試適作業後の水洗による除去性に優れる歯科用色調適合確認材料において、長期間保管後においてもペースト性状が変化し難い歯科用色調適合確認材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の第一の形態は、多価アルコール（ａ）、水（ｂ）及び充填材（ｃ）を含むペースト状の組成物であって、これら（ａ）～（ｃ）の総量に占める各成分の割合が、（ａ）：１０～７９質量％、（ｂ）：２０～６０質量％及び（ｃ）：１～３０質量％であり、必要に応じて顔料（ｄ）を配合することにより所定の色調に調色された組成物からなる歯科用色調適合確認材料において、
前記（ａ）及び前記（ｂ）からなる液状成分の３８～６２質量％が前記（ａ）であり、
前記組成物は、２５℃における水１００ｇへの溶解度が１０ｇ以上である無機塩（ｅ）を更に含み、
前記液状成分：１００質量部に対する前記（ｃ）及び前記（ｅ）の含有量が、夫々（ｃ）：５～１３質量部及び（ｅ）：３～１３質量部である、
ことを特徴とする歯科用色調適合確認材料である。
【００１０】
上記形態の歯科用色調適合確認材料（以下、「本発明の歯科用色調適合確認材料」ともいう。）においては、前記無機塩（ｅ）が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオンから選ばれるカチオンと、フッ化物イオン、塩化物イオン、硫酸イオンから選ばれるアニオンと、からなることが好ましい。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許