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公開番号
2025165511
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-05
出願番号
2024069594
出願日
2024-04-23
発明の名称
リン酸化多糖水溶液の製造方法
出願人
三菱瓦斯化学株式会社
代理人
弁理士法人特許事務所サイクス
主分類
C08B
35/08 20060101AFI20251028BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】 工業的に生産容易なリン酸化多糖水溶液の製造方法の提供。
【解決手段】 多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液と、リン酸エステル化合物とを、5~100℃の温度で反応させることを含む、リン酸化多糖水溶液の製造方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液と、リン酸エステル化合物とを、5~100℃の温度で反応させることを含む、
リン酸化多糖水溶液の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記リン酸エステル化合物が、式(P1)で表される化合物を含む、請求項1に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
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2025165511000012.jpg
37
170
(式(P1)中、R
1
、R
2
およびR
3
は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。R
1
とR
3
、R
1
とR
2
、R
2
とR
3
、R
2
とR
2
のいずれか1つ以上が互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R
1
およびR
2
が水酸基であり、かつ、R
3
が水素原子であることはない。nは1~200の整数である。)
【請求項3】
前記リン酸エステル化合物が、-P-O-P-で表される構造を有する、請求項1または2に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項4】
前記リン酸エステル化合物が、環状リン酸エステル化合物を含む、請求項1または2に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項5】
多糖とアルカリ化合物と水を混合して、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液を得ることを含む、請求項1または2に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項6】
前記多糖とアルカリ化合物と水を混合する温度が5~100℃である、請求項5に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項7】
前記混合液における、水100重量部に対する多糖の量が0.1~2.5重量部である、請求項5に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項8】
前記多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液を得ることから、前記多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液とリン酸エステル化合物を反応させてリン酸化多糖水溶液を得ることまでの間のすべてを、5~100℃の温度下で行う、請求項5に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項9】
前記混合液における、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液におけるアルカリ化合物の含有量が、前記多糖100重量部に対し、1~150重量部である、請求項1または2に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【請求項10】
前記多糖は、合計2つ以上の、5炭糖および/または6炭糖がグリコシド結合で結合している水溶性多糖を含む、請求項1または2に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸化多糖水溶液の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、リン酸化多糖水溶液を製造する方法について、検討されている。
具体的には、例えば、特許文献1、特許文献2等に示されるように、多糖に、モノリン酸やオキシ塩化リン(POCl
3
)を反応させて、リン酸化多糖水溶液を得る方法が検討されている。
しかしながら、モノリン酸でリン酸化多糖水溶液を製造しようとすると高温での反応が必要であり、カラメル化等も進行して反応の制御が難しい。
一方、POCl
3
は水溶液中での分解性や反応性が高すぎて低温での反応が必要であり、加えて塩化水素ガスが発生してしまう問題がある。
また、五酸化リンを用いる方法も知られているが、五酸化リンは、吸湿性が強く水中で激しく分解するため、水溶液中でのリン酸化反応においては、リン酸化効率が極めて悪い。
従って上述の製造法では工業的な生産が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2009/091001号
国際公開第2013/146669号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、工業的に生産容易なリン酸化多糖水溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、リン酸化に用いる化合物として、リン酸エステル化合物を用いることとし、かつ、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液に前記リン酸エステル化合物を反応させることにより、高温で反応させなくても十分に反応を進行させることができることを見出し、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液と、リン酸エステル化合物とを、5~100℃の温度で反応させることを含む、リン酸化多糖水溶液の製造方法。
<2>前記リン酸エステル化合物が、式(P1)で表される化合物を含む、<1>に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
JPEG
2025165511000001.jpg
37
170
(式(P1)中、R
1
、R
2
およびR
3
は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。R
1
とR
3
、R
1
とR
2
、R
2
とR
3
、R
2
とR
2
のいずれか1つ以上が互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R
1
およびR
2
が水酸基であり、かつ、R
3
が水素原子であることはない。nは1~200の整数である。)
<3>前記リン酸エステル化合物が、-P-O-P-で表される構造を有する、<1>または<2>に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<4>前記リン酸エステル化合物が、環状リン酸エステル化合物を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<5>多糖とアルカリ化合物と水を混合して、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液を得ることを含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<6>前記多糖とアルカリ化合物と水を混合する温度が5~100℃である、<5>に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<7>前記混合液における、水100重量部に対する多糖の量が0.1~2.5重量部である、<5>または<6>に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<8>前記多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液を得ることから、前記多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液とリン酸エステル化合物を反応させてリン酸化多糖水溶液を得ることまでの間のすべてを、5~100℃の温度下で行う、<5>~<7>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<9>前記混合液における、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液におけるアルカリ化合物の含有量が、前記多糖100重量部に対し、1~150重量部である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<10>前記多糖は、合計2つ以上の、5炭糖および/または6炭糖がグリコシド結合で結合している水溶性多糖を含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<11>前記多糖が有する官能基が、アルキル基、ヒドロキシ基、および、カルボニル基から選択される少なくとも1種を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<12>前記多糖は、合計2つ以上の、5炭糖および/または6炭糖がグリコシド結合で結合している水溶性多糖であって、前記多糖が有する官能基が、アルキル基、ヒドロキシ基、および、カルボニル基から選択される少なくとも1種を含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<13>前記多糖が、プルラン、デキストラン、でんぷん、アミロース、グアーガム、グルコマンナン、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アガロース、カラギーナン、ラクトース、スクロース、スクラロース、セロビオース、トレハロース、マルトース、イソマルツロース、マルトトリオース、マルトデキストリン、シクロデキストリン、グリコシルスクロース、シクロアミロース、グリコーゲン、クラスターデキストリン、および、レンチナンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、<1>~<12>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<14>前記リン酸エステル化合物が、式(P1)で表される化合物を含み、
前記リン酸エステル化合物が、環状リン酸エステル化合物を含む、<1>~<13>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
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2025165511000002.jpg
37
170
(式(P1)中、R
1
、R
2
およびR
3
は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。R
1
とR
3
、R
1
とR
2
、R
2
とR
3
、R
2
とR
2
のいずれか1つ以上が互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R
1
およびR
2
が水酸基であり、かつ、R
3
が水素原子であることはない。nは1~200の整数である。)
<15>前記混合液とリン酸エステル化合物とを反応させた後、得られた反応溶液を限外濾過膜で脱塩処理して、副生成物を除去することを含む、<1>~<14>のいずれか1つに記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
<16>前記副生成物を除去した精製物を限外濾過膜によるクロスフロー濾過によって、リン酸化多糖を0.15~10重量%に濃縮する、<15>に記載のリン酸化多糖水溶液の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、工業的に生産容易なリン酸化多糖水溶液の製造方法を提供可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書における数値の上限値と下限値は、前記上限値と下限値のいずれの組み合わせについても、本実施形態の一例として挙げられる。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、25℃におけるものとする。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。本明細書では、置換および無置換を記していない表記は、無置換の方が好ましい。
【0008】
本明細書において「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0009】
本明細書において、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液とリン酸エステル化合物とを反応させることを「リン酸化反応」という。
【0010】
本実施形態のリン酸化多糖水溶液の製造方法は、多糖とアルカリ化合物と水を含む混合液と、リン酸エステル化合物とを、5~100℃の温度で反応させることを含むことを特徴とする。このような構成とすることにより、工業的に生産容易なリン酸化多糖水溶液の製造方法を提供可能になる。
特に、冷却や加熱をしなくても、容易に、リン酸化多糖水溶液が得られる。さらに、得られるリン酸化多糖のカラメル化も効果的に抑制できる。また、得られるリン酸化多糖の分子量を制御することも可能となる。さらにまた、得られるリン酸化多糖のリン含有率の制御が可能になる。
また、リン酸化多糖の水溶液を工業的に生産できる点でも価値が高い。
(【0011】以降は省略されています)
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