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公開番号2025154359
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024057304
出願日2024-03-29
発明の名称有機非線形光学化合物を用いた光変調導波路素子の製造方法
出願人国立大学法人九州大学,日産化学株式会社
代理人弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
主分類G02F 1/065 20060101AFI20251002BHJP(光学)
要約【課題】有機電気光学ポリマー(EOポリマー)を用いた光変調器における光劣化を抑制できる、光変調素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】有機電気光学ポリマーを含む光導波路を基板上に備える光変調器がハウジング内部に収容・封止された光変調素子の製造方法であって、前記光変調器をハウジング内部に収容し、少なくとも前記ハウジング内部を減圧する第1工程と、前記減圧下で、又は、第18族元素及び窒素から選択される少なくとも1種の不活性ガス雰囲気下で、前記ハウジングを封止する第2工程とを含む、光変調素子の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
有機電気光学ポリマーを含む光導波路を基板上に備える光変調器がハウジング内部に収容・封止された光変調素子の製造方法であって、
前記光変調器をハウジング内部に収容し、少なくとも前記ハウジング内部を減圧する第1工程と、
前記減圧下で、又は、第18族元素及び窒素から選択される少なくとも1種の不活性ガス雰囲気下で、前記ハウジングを封止する第2工程とを含む、
光変調素子の製造方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記第1工程が、80℃以下の温度条件で実施される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記有機電気光学ポリマーが
非線形光学活性を発現する原子団を側鎖に有するポリマーであって、
該非線形光学活性を発現する原子団が下記式[3]で表されるフラン環基を有する原子団である、請求項1に記載の製造方法
TIFF
2025154359000012.tif
35
162
(式中、R
10
及びR
11
はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のハロアルキル基、又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、黒点は非線形光学活性を発現する原子団を構成する残余の構造との結合手を表す。)
【請求項4】
前記有機電気光学ポリマーが、下記式[2]で表される非線形光学活性部位を有する繰り返し単位を少なくとも含むポリマーである、請求項3に記載の製造方法。
TIFF
2025154359000013.tif
41
162
(式中、R

は水素原子又はメチル基を表し、


はエーテル結合及び/又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の二価の炭化水素基を表し、


は*-NHC(=O)O-、*-C(=O)NH-又は*-C(=O)O-(*はL

との結合端を表す。)を表し、
Zは前記非線形光学活性を発現する原子団を表す。)
【請求項5】
前記非線形光学活性を発現する原子団が、式[4]又は式[5](これら化学式中、R

乃至R

の何れかにおいて、1個の水素原子が除かれている)で表される構造の原子団である、請求項3又は請求項4に記載の製造方法。
TIFF
2025154359000014.tif
78
162
(式中、R

及びR

はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、


乃至R

は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数2乃至11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数4乃至10のアリールオキシ基、炭素原子数5乃至11のアラルキルオキシ基、炭素原子数5乃至11のアリールカルボニルオキシ基、炭素原子数1乃至6のアルキル基及び/又はフェニル基を有するシリルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、

10
及びR
11
はそれぞれ独立して、前記と同じ意味を表し、
Arは式[6]又は式[7]で表される二価の芳香族基を表す。)
TIFF
2025154359000015.tif
33
162
(式中、R
12
乃至R
17
はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数6乃至10のアリール基を表す。)
【請求項6】
前記非線形光学活性を発現する原子団が、前記式[4]又は式[5](これら化学式中、R

又はR

の何れかにおいて、1個の水素原子が除かれている)で表される構造の原子団である、請求項5に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調導波路素子の製造方法に関し、詳細には有機電気光学ポリマーを含む光導波路を基板上に備える光変調器がハウジング内部に収容・封止された光変調素子の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、光情報処理、光通信などの分野において非線形光学材料を用いた種々の電子素子の開発が進められている。この非線形光学材料の中でも、2次の非線形光学効果による1次の電気光学効果(ポッケルス効果)を生じる材料は、光スイッチや光変調への応用が期待されている。
ポッケルス効果を有する非線形光学材料のうち、ニオブ酸リチウムなどの無機系の非線形光学材料が既に実用化され、広く用いられている。また近年の情報化社会の進展により、より高度な情報処理が必要となる中、従来の無機系材料の代わりに、より高い非線形光学特性や高速応答性などの優れた性能が期待でき、より電気光学効果と広帯域特性を有する有機系の非線形光学材料、例えば有機電気光学ポリマー材料の実用化が期待される。
例えば、ガラス転移温度を調整するべくアダマンチル基などのシクロアルカンを側鎖にもつユニットと有機色素部位を有するユニットとを導入したアクリル系非線形光学活性コポリマーを含む非線形光学材料や、前記非線形光学材料を光導波路のコア材料として用い作製した光導波路変調器が開示されている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-057415号公報
国際公開第2017/159815号
特開2023-143173号公報
【非特許文献】
【0004】
J.Phys.Chem.B.108,8725-8730(2004)
Chem.Mater.20,5047-5054(2008))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非線形光学材料を用いた種々の電子素子やその材料にあっては、高強度の光照射が伴う環境下での高温耐性や高湿耐性、また耐熱衝撃など、電子素子の信頼性に関わる種々の耐性が求められる。
上記有機電気光学ポリマー(EOポリマー)材料では、該ポリマーに高強度のレーザー光を照射した際の劣化の機構として、酸素が関与した物質の酸化、生成したラジカルによる分解などが指摘されている(例えば非特許文献1及び2)。
こうした光酸化現象の劣化という課題に対し、例えば酸素を吸着する酸素ゲッター(酸素吸着層)を採用した光集積回路モジュールが開示されている(特許文献3)。しかしこの技術では、Zr含有合金等からなる酸素吸着層に対して真空中または不活性ガス雰囲気下で、300~450℃で15分以上加熱して活性化を行うことが推奨され、該酸素ゲッター(酸素吸着層)が設けられる部品や活性化装置には300℃を超える超高温の耐熱性が求められる。またEOポリマーの熱劣化を考慮し、酸素吸着層の活性化後にEOポリマーを含む他の部品と組み合わせる際、酸素と接触する機会があると該酸素吸着層の酸素吸収能が損なわれることとなる。酸素ゲッターでEOポリマー中の溶存酸素の除去を完全に
行うのは困難である。またデバイスを小型化した場合は、脱酸素に十分な量の酸素ゲッターを設けることができない場合がある。
これまでにEOポリマーを用いた光変調器の光劣化を解決した、より平易で実行性・実効性のある具体的な方策並びに実証はなされていない。
【0006】
本発明は、有機電気光学ポリマー(EOポリマー)を用いた光変調器における光劣化を抑制できる、光変調素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、有機電気光学ポリマーを含む光導波路を基板上に備える光変調器において、これを、真空アニールによりEOポリマー中、およびパッケージ内の酸素除去を行うことにより、無酸素状態で動作させる態様を成すことで有機電気光学ポリマーの劣化を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は、第1観点として、有機電気光学ポリマーを含む光導波路を基板上に備える光変調器がハウジング内部に収容・封止された光変調素子の製造方法であって、
前記光変調器をハウジング内部に収容し、少なくとも前記ハウジング内部を減圧する第1工程と、
前記減圧下で、又は、第18族元素及び窒素から選択される少なくとも1種の不活性ガス雰囲気下で、前記ハウジングを封止する第2工程とを含む、
光変調素子の製造方法に関する。
第2観点として、前記第1工程が、80℃以下の温度条件で実施される、第1観点に記載の製造方法に関する。
第3観点として、前記有機電気光学ポリマーが
非線形光学活性を発現する原子団を側鎖に有するポリマーであって、該非線形光学活性を発現する原子団が下記式[3]で表されるフラン環基を有する原子団である、第1観点に記載の製造方法に関する。
TIFF
2025154359000001.tif
35
162
(式中、R
10
及びR
11
はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のハロアルキル基、又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、黒点は非線形光学活性を発現する原子団を構成する残余の構造との結合手を表す。)
第4観点として、前記有機電気光学ポリマーが、下記式[2]で表される非線形光学活性部位を有する繰り返し単位を少なくとも含むポリマーである、第3観点に記載の製造方法に関する。
TIFF
2025154359000002.tif
41
162
(式中、R

は水素原子又はメチル基を表し、


はエーテル結合及び/又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の二価の炭化水素基を表し、


は*-NHC(=O)O-、*-C(=O)NH-又は*-C(=O)O-(*はL

との結合端を表す。)を表し、
Zは前記非線形光学活性を発現する原子団を表す。)
第5観点として、前記非線形光学活性を発現する原子団が、式[4]又は式[5](これら化学式中、R

乃至R

の何れかにおいて、1個の水素原子が除かれている)で表される構造の原子団である、第3観点又は第4観点に記載の製造方法に関する。
TIFF
2025154359000003.tif
78
162
(式中、R

及びR

はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、


乃至R

は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数2乃至11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数4乃至10のアリールオキシ基、炭素原子数5乃至11のアラルキルオキシ基、炭素原子数5乃至11のアリールカルボニルオキシ基、炭素原子数1乃至6のアルキル基及び/又はフェニル基を有するシリルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、

10
及びR
11
はそれぞれ独立して、前記と同じ意味を表し、
Arは式[6]又は式[7]で表される二価の芳香族基を表す。)
TIFF
2025154359000004.tif
33
162
(式中、R
12
乃至R
17
はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数6乃至10のアリール基を表す。)
第6観点として、前記非線形光学活性を発現する原子団が、前記式[4]又は式[5](これら化学式中、R

又はR

の何れかにおいて、1個の水素原子が除かれている)で表される構造の原子団である、第5観点に記載の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、EOポリマーを用いた光変調器における光劣化を抑制できる、光変調素子を製造することができる。
特に本発明によれば、室温以上、特に80℃を超える高温環境下において、C帯(1530~1565nm)やO帯(1260~1360nm)の波長帯域における高強度の光照射を実施した場合においても、2000時間超も半波長電圧変化の抑制が期待できる、光変調素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、光変調素子の一態様を示す模式断面図である。
図2は、光変調器の導波路構造を示す模式断面図である。
図3は、実施例で製造した導波路構造を有する光変調器の特性解析に用いた装置の概念図を示す図である。
図4は、三角波電圧(印加電圧)と光強度変化(出射光強度変化)と半波長電圧(Vπ)の関係を示す図である。
図5は、空気中で実施した光変調試験(1)の結果(試験時間に対する半波長電圧の比(Vπ(t)/Vπ(0))の変化)を示す図である。
図6は、酸素の影響を排除した環境下における光変調器の特性解析に用いた装置の概念図を示す図である。
図7は、真空下で実施した光変調試験(2-1)の結果(試験時間に対する半波長電圧の比(Vπ(t)/Vπ(0))の変化)を示す図である。
図8は、アルゴン雰囲気下で実施した光変調試験(2-1)の結果(試験時間に対する半波長電圧の比(Vπ(t)/Vπ(0))の変化)を示す図である。
図9は、真空下で実施した光変調試験(2-2)の結果(試験時間に対する半波長電圧の比(Vπ(t)/Vπ(0))の変化)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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