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公開番号2025124142
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-26
出願番号2024019995
出願日2024-02-14
発明の名称水電解装置、水素製造システム及び水電解方法
出願人国立大学法人九州大学,三浦工業株式会社
代理人個人,個人
主分類C25B 9/00 20210101AFI20250819BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】水電解槽を加熱することなく、水電解の過電圧を低下させることができる水電解装置を提供する。
【解決手段】
水電解装置1は、溶存酸素を脱気した脱気水Wa1を、水電解槽10のアノード側(アノード12及びセパレータ14)に供給するアノード側供給ラインLa1と、水電解槽10のアノード側から放出される酸素ガスを含む水Wa2を水電解槽10の外部に放出するアノード側放出ラインLa2と、水電解槽10のカソード側から放出される水素ガスを含む水Wc2を水電解槽10の外部に放出するカソード側放出ラインLc2と、を備えている。水電解槽10のアノード12及びカソード13には、直流電源が接続され、水を電気分解し、アノード側に酸素ガス、カソード側に水素ガスを発生させる。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接して設けられたアノードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接して設けられたカソードとを備える水電解槽と、
水から溶存酸素を脱気した脱気水を、前記水電解槽の前記アノードに供給するアノード側供給ラインと、
前記水電解槽のアノード側から放出される酸素ガスを含む水を前記水電解槽の外部に放出するアノード側放出ラインと、
前記水電解槽のカソード側から放出される水素ガスを含む水を前記水電解槽の外部に放出するカソード側放出ラインと、
を備える水電解装置。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
請求項1に記載の水電解装置を備えた水素製造システムであって、
水を貯留する貯水タンクと、
前記貯水タンクから移送される水を精製して精製水を製造する精製装置と、
前記精製装置から移送される精製水から溶存酸素を脱気して脱気水を製造する脱気装置と、を有し、
前記脱気水は、前記アノード側供給ラインを介して前記水電解槽の前記アノードに供給されることを特徴とする水素製造システム。
【請求項3】
前記脱気装置が、膜式脱気装置である請求項2に記載の水素製造システム。
【請求項4】
前記精製装置が、前記貯水タンクから移送される水を精製する第1の精製装置と、前記第1の精製装置から供給される精製水をさらに精製する第2の精製装置からなる請求項2に記載の水素製造システム。
【請求項5】
前記水電解槽のアノード側から放出される酸素ガスを含む水を前記脱気装置に循環させるための循環流路を備える請求項2から4のいずれかに記載の水素製造システム。
【請求項6】
前記循環流路が、前記精製装置に接続された請求項5に記載の水素製造システム。
【請求項7】
固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接して設けられたアノードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接して設けられたカソードとを備える水電解槽を用いた水電解方法であって、
前記アノードに供給する水が、溶存酸素を脱気した脱気水であることを特徴とする水電解方法。
【請求項8】
前記脱気水が、精製水から溶存酸素を脱気した脱気水である請求項7に記載の水電解方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水電解装置、水素製造システム及び水電解方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーの高利活用に資する水素エネルギーシステムは、水素製造、水素の貯蔵・輸送、水素利用の技術から構成されるが、このうち水電解による水素製造がもっとも高額であり、水素エネルギーシステムの社会実装への足かせとなっている。
これまでに、水電解装置として、固体高分子電解質膜を用いて水を電解し、陽極(アノード)に酸素を、陰極(カソード)に水素を発生させる水電解槽を備えた固体高分子形水電解装置(PEMWE)が知られている(例えば、特許文献1、2)。
固体高分子形水電解装置は他の水電解装置と比較して、高電流密度運転や応答性、小型化の点で優れているが、電極触媒に希少金属であるイリジウムや白金を利用しているためコストが高い。これまでに水電解装置における水電解槽の低価格化のために、高価な触媒貴金属の非貴金属等への置き換え、あるいは運転条件や水電解槽設計の最適化による高電流密度運転と電極面積の縮小などにより低コスト化が進められてきた。
【0003】
固体高分子形水電解装置において、アノード側に供給された水は、2H

O→O

+4H

+4e

の反応により分解され、酸素ガスが発生する。生成したH

は固体高分子電解質膜を移動してカソード側で4H

+4e

→2H

の反応によって水素ガスが発生する。水を電気分解により高効率に水素ガス及び酸素ガスを発生させるためには、アノードとカソードの間に水の理論分解電圧(1.23V)よりも水電解の過電圧だけ高い電圧を印加する必要があるが、電解電圧は可能な限り小さい方が望ましい。
非特許文献1には、沸点近傍の水をアノードに供給し、沸騰下で水電解反応を行う水電解装置が開示されている。非特許文献1で開示された水電解装置は、水電解槽を沸点の100℃、あるいはそれ以上に加熱できる。この時、供給された水はアノード近傍で沸騰し、水蒸気の気泡が発生する。このことによりアノード表面に水電解で生成される酸素気泡内の酸素分圧や溶存酸素濃度が低下し、過電圧が低下する。このように沸騰を重畳することで、高効率に水電解を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015-228292号公報
特開2003-147562号公報
【非特許文献】
【0005】
I. Li and K. Ito et al., Int. J. Hydrogen Energy, 47(2022)25499-25510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1で開示された沸騰下で水電解反応を行う水電解装置では、セル自体を100℃、あるいはそれ以上に加熱するため、構成材料(特には固体高分子電解質膜)が劣化するという問題があった。
かかる状況下、本発明は、水電解槽を加熱することなく、水電解のアノード過電圧を低下させることができる水電解装置及び当該水電解装置を備えた水素製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アノードに供給する水として、溶存酸素濃度を低減させた脱気水を使用することによって、水電解装置を加熱することなくアノード過電圧を低下させることができることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接して設けられたアノードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接して設けられたカソードとを備える水電解槽と、
水から溶存酸素を脱気した脱気水を、前記水電解槽の前記アノードに供給するアノード側供給ラインと、
前記水電解槽のアノード側から放出される酸素ガスを含む水を前記水電解槽の外部に放出するアノード側放出ラインと、
前記水電解槽のカソード側から放出される水素ガスを含む水を前記水電解槽の外部に放出するカソード側放出ラインと、
を備える水電解装置。
<2> <1>に記載の水電解装置を備えた水素製造システムであって、
水を貯留する貯水タンクと、
前記貯水タンクから移送される水を精製して精製水を製造する精製装置と、
前記精製装置から移送される精製水から溶存酸素を脱気して脱気水を製造する脱気装置と、を有し、
前記脱気水は、前記アノード側供給ラインを介して前記水電解槽の前記アノードに供給される水素製造システム。
<3> 前記脱気装置が、膜式脱気装置である<2>に記載の水素製造システム
<4> 前記精製装置が、前記貯水タンクから移送される水を精製する第1の精製装置と、前記第1の精製装置から供給される精製水をさらに精製する第2の精製装置からなる<2>または<3>に記載の水素製造システム。
<5> 前記水電解槽のアノード側から放出される酸素ガスを含む水を前記脱気装置に循環させるための循環流路を備える請求項<2>から<4>のいずれかに記載の水素製造システム。
<6> 前記循環流路が、前記精製装置に接続された<5>に記載の水素製造システム。
<7> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接して設けられたアノードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接して設けられたカソードとを備える水電解槽を用いた水電解方法であって、
前記アノードに供給する水が、溶存酸素を脱気した脱気水である水電解方法。
<8> 前記脱気水が、精製水から溶存酸素を脱気した脱気水である<7>に記載の水電解方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水電解槽を加熱することなく、水電解の過電圧を低下させることができる水電解装置及び当該水電解装置を備えた水素製造システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態に係る水素製造システムを示す概略図である。
本発明の実施形態に係る水電解装置を示す概略図である。
本発明の実施形態に係る水電解槽(単セル)の概略断面図である。
本発明の実施形態に係るアノードセパレータ(インターデジテッド型流路)の平面図である。
インターデジテッド型流路による酸素ガスの排出の説明図である。
実施例で使用した水電解セル(単セル)の模式図である。
実施例で使用した脱気装置の模式図である。
実施例で使用した水電解セルのIV特性を示す図である((a)脱気なし、(b)脱気あり)。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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