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公開番号2025137557
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-19
出願番号2025115482,2021178998
出願日2025-07-09,2021-11-01
発明の名称多分岐の糖鎖を加水分解し得るエンドグリコシダーゼ
出願人国立大学法人九州大学,株式会社伏見製薬所
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 9/26 20060101AFI20250911BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】多分岐の糖鎖を加水分解し得るエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(エンドグリコシダーゼ)の提供。
【解決手段】以下の(a)又は(b)のバクテロイデス・ノルジー(Bacteroides nordii)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ:
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるエンドグリコシダーゼ;
(b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の(e)又は(f)のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ:
(e) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列からなる酵素;
(f) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
以下の(e)又は(f)のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼをコードするDNA:
(e) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列からなる酵素;
(f) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
【請求項3】
以下の(g)又は(h)のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼをコードするDNA:
(g) 配列番号3、5又は7で表される塩基配列からなるDNA
(h) 配列番号3、5又は7で表される塩基配列からなるDNAと95%以上の配列同一性を有し、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のDNAを含む発現ベクターを大腸菌に導入し、大腸菌を培養することを含む、請求項1記載のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼを作製する方法。
【請求項5】
請求項1記載のエンドグリコシダーゼを、タンパク質及びオキサゾリン化糖鎖と接触させ、糖鎖をタンパク質に転移させることを含む、糖タンパク質の作製方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多分岐の糖鎖を加水分解し得るエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(エンドグリコシダーゼ)に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(エンドグリコシダーゼ)は、糖タンパク質の糖鎖の切断や転移に利用されている。
【0003】
エンドグリコシダーゼとして、Endo A、Endo F、Endo H、Endo M等が挙げられる。これらの酵素は、特定の構造を有する糖鎖にのみ作用するか、あるいは特定の構造を有する糖鎖に対する作用が強かった。また、複合型糖鎖に対する反応性はそれほど大きくなかった。
【0004】
高等動物の糖タンパク質のN-結合型糖鎖には、N-アセチルグルコサミン転移酵素であるGnT-VやGnT-IVなどの作用により、3本鎖や4本鎖のように多分岐した糖鎖も多く見られる。これまで報告されたENGaseのほとんどが、3分岐や4分岐した糖鎖に作用することができない。しかし昨年、野口研究所のグループによりグラム陰性細菌であるTannerella属のENGaseが多分岐の糖鎖を切断できることが報告された(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Takashima S et al. Glycobiology, 30(11): 923-934 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多分岐の糖鎖を加水分解し得るエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(エンドグリコシダーゼ)の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、Tannerella属細菌のENGaseと相同性の高い酵素(遺伝子)をBacteroides nordiiゲノム中に見出した。さらに類似した酵素を腸内細菌であるBarnesiella intestinihominisのゲノム中にも見出した。これらの酵素について基質特異性を測定した結果、これらの酵素が多分岐の糖鎖を加水分解し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 以下の(a)又は(b)のバクテロイデス・ノルジー(Bacteroides nordii)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ:
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるエンドグリコシダーゼ;
(b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
[2] 以下の(a)又は(b)のバクテロイデス・ノルジー(Bacteroides nordii)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼをコードするDNA:
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるエンドグリコシダーゼ;
(b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
[3] 以下の(c)又は(d)のバクテロイデス・ノルジー(Bacteroides nordii)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼをコードするDNA:
(c) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNA
(d) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと95%以上の配列同一性を有し、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
[4] 以下の(e)又は(f)のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ:
(e) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列からなる酵素;
(f) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
[5] 以下の(e)又は(f)のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼをコードするDNA:
(e) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列からなる酵素;
(f) 配列番号4、6又は8で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼ。
[6] 以下の(g)又は(h)のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼをコードするDNA:
(g) 配列番号3、5又は7で表される塩基配列からなるDNA
(h) 配列番号3、5又は7で表される塩基配列からなるDNAと95%以上の配列同一性を有し、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
[7] [2]又は[3]のDNAを含む発現ベクターを大腸菌に導入し、大腸菌を培養することを含む、[1]のバクテロイデス・ノルジー由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼを作製する方法。
[8] [5]又は[6]のDNAを含む発現ベクターを大腸菌に導入し、大腸菌を培養することを含む、[4]のバルネシエラ・インテスティニホミニス(Barnesiella intestinihominis)由来であり、多分岐糖鎖を加水分解する活性を有するエンドグリコシダーゼを作製する方法。
[9] [1]のエンドグリコシダーゼを糖タンパク質と接触させ、糖鎖を切断し、遊離糖鎖を得ることを含む、遊離糖鎖を作製する方法。
[10] [4]のエンドグリコシダーゼを、タンパク質及びオキサゾリン化糖鎖と接触させ、糖鎖をタンパク質に転移させることを含む、糖タンパク質の作製方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の酵素を用いることにより、多分岐の糖鎖を遊離することができる。多分岐の糖鎖を有する糖タンパク質についての均一な糖鎖を有する糖タンパク質を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
Endo-BNの産生を示す図である。
Endo-BNの基質特異性を示す図である。
Endo-BNによりα-1酸性タンパク質の糖鎖の分解の結果を表す図である。
Endo-BI2の産生を示す図である。
Endo-BI2の基質特異性を示す図である。
Endo-BNによるFmocシアリル4分岐糖鎖アスパラギンの分解を示す図である。
Endo-BI2によるFmocシアリル4分岐糖鎖アスパラギンの分解を示す図である。
3分岐糖鎖の例を示す図である。
4分岐糖鎖の例を示す図である。
バイセクティングGlcNAcを有する2分岐糖鎖の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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