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公開番号2025093526
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-24
出願番号2023209231
出願日2023-12-12
発明の名称高周波発生装置
出願人日本電信電話株式会社,国立大学法人九州大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H01S 1/02 20060101AFI20250617BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】素子面積を縮小せずに電気容量を低減することで、高周波化と高出力化を両立する。
【解決手段】この高周波発生装置は、カソード電極101、光電変換層102、電子走行層103、アノード電極104、およびアンテナ105を備える。電子走行層103は、光電変換層102の上に配置されて、半導体より比誘電率の低い低誘電率物質から構成されて、光電変換層102で生成された電子を走行させる。電子走行層103は、光電変換層102とアノード電極104との間に形成された空間から構成し、気体が配置されまたは真空とされたものとすることができる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
カソード電極と、
半導体から構成されて前記カソード電極の上に形成された光電変換によって電子を生成する光電変換層と、
前記光電変換層の上に配置されて、半導体より比誘電率の低い低誘電率物質から構成されて、前記光電変換層で生成された電子を走行させる電子走行層と、
前記電子走行層の上に接して形成されたアノード電極と、
前記光電変換層で生成された電子に基づいてテラヘルツ波を放射するアンテナと
を備える高周波発生装置。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
請求項1記載の高周波発生装置において、
前記アンテナは、前記アノード電極から電子を受けて、受けた電子に基づいてテラヘルツ波を放射する高周波発生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の高周波発生装置において、
前記電子走行層は、前記光電変換層と前記アノード電極との間に形成された空間から構成され、気体が配置されまたは真空とされている高周波発生装置。
【請求項4】
請求項3記載の高周波発生装置において、
前記光電変換層と前記電子走行層との間に形成されたアルカリ金属から構成された中間層を新たに備える高周波発生装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波発生装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
通信トラフィックの増大に伴い、ネットワークのラストアクセスとしての無線の大容量化、有線・無線の速度差解消、インターフェースの高速無線化が重要な課題となる。これらを実現できる技術として、テラヘルツ波(キャリア周波数100GHz程度以上の電磁波)が注目されている。特に、近距離の大容量無線技術では、テラヘルツ波によるインターフェースの高速無線化が喫緊の課題となっている。
【0003】
テラヘルツ波を発生させるために、単一走行キャリアフォトダイオード(Uni-Traveling Carrier Photodiode;UTC-PD)を用いる技術がある。この技術では、まず、光周波数の異なる、すなわち波長の異なる2つの光波をUTC-PDに入力する。これにより、UTC-PDの光電変換層(光吸収層)で発生した2つの光波の光周波数差と同じ周波数で発生量が変化する電子流、すなわち交流電流を電子走行層で走行させる。電子走行層で走行させた交流電流をアノード電極に到達させ、アノード電極に接続されたアンテナからテラヘルツ波を放射する。
【0004】
UTC-PDを用いた高周波発生装置として、例えば、図4に示す構成が考えられる。この高周波発生装置は、カソード電極201と、カソード電極201の上に設けられた光電変換層202、電子走行層203と、電子走行層203の上に設けられたアノード電極204とでUTC-PDを構成している。光電変換層202は、一般にはp型の半導体から構成され、電子走行層203は、アンドープの半導体から構成される。また、アノード電極204の上にアンテナ205が設けられている。なお、アンテナ205は薄いシート状の金属から構成しており、基台となるカソード電極201の上に設けられた支持構造体206により支持されている。
【0005】
上述した高周波発生装置のUTC-PD(光電変換層202)に、光周波数が193.0THzのレーザ光と光周波数が193.3THzのレーザ光を同時に入力すると、これらの差周波である0.3THzすなわち300GHzの周波数で発生量が変化する電子の流れ、すなわち交流電流が光電変換層202で発生し、この交流電流がアンテナ205へ給電され、アンテナ205から周波数300GHzの電磁波が空中へ放射される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
T. Ishibashi and H. Ito, "Uni-traveling-carrier photodiodes", Journal of Applied Physics, vol. 127, 031101, 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的なUTC-PDでは、光電変換層(p-type absorber)で発生した交流電流である電子の流れが、電子走行層を走行する[非特許文献1、Fig.3(a)]。電子が走行する領域の電気容量がUTC-PDの電気容量となり、この電気容量に反比例してUTC-PDが発生できる交流電流の上限周波数が低下する。具体的にはUTC-PDの上限周波数fはf=1/2πCRとなる。この式において、Cは電子走行層の電気容量であり、Rはアンテナの抵抗である。電子走行層の電気容量Cは、光電変換層の面積S、厚さd、電子走行層の比誘電率ε
r
、真空の誘電率ε
0
を用いて、C=ε
0
ε
r
S/dで表される。
【0008】
電子走行層は半導体であるため、ε
r
は10以上である。放射するテラヘルツ波を増大するためには、入射する光波の強度を増やして発生する交流電流量を増加する必要があるが、半導体において許容される電流密度は上限がある。電流量を増加するために素子(電子走行層)の平面視の面積を大きくすると、上述の式に従って電気容量Cが増加し、上限周波数が低下する。このため、高周波動作と高出力化は両立ができないという本質的な問題があった。例えば、300GHzの周波数においては出力の上限は100μWとなる。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、素子面積を縮小せずに電気容量を低減することで、高周波化と高出力化が両立できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る高周波発生装置は、カソード電極と、半導体から構成されてカソード電極の上に形成された光電変換によって電子を生成する光電変換層と、光電変換層の上に配置されて、半導体より比誘電率の低い低誘電率物質から構成されて、光電変換層で生成された電子を走行させる電子走行層と、電子走行層の上に接して形成されたアノード電極と、光電変換層で生成された電子に基づいてテラヘルツ波を放射するアンテナとを備える。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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