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公開番号2025110544
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-29
出願番号2024004434
出願日2024-01-16
発明の名称マイクロプラスチックの分析方法及び分析用マイクロプラスチックの分離回収方法
出願人国立大学法人九州大学
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 1/04 20060101AFI20250722BHJP(測定;試験)
要約【課題】 試料中の500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを精度よく分析することができる方法を提供すること。
【解決手段】 試料中の500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを分析する方法であり、試料を濾過してマイクロプラスチックを分離回収するマイクロプラスチック回収工程と、マイクロプラスチック回収工程で回収したマイクロプラスチックを分析する分析工程と、を有し、マイクロプラスチック回収工程で回収に使用した器具を、水より比重が小さい有機溶媒で洗浄し、器具の試料接触面に残存するマイクロプラスチックを補足回収するマイクロプラスチックの分析方法である。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
試料中の500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを分析する方法であって、
前記試料を濾過してマイクロプラスチックを分離回収するマイクロプラスチック回収工程と、
前記マイクロプラスチック回収工程で回収したマイクロプラスチックを分析する分析工程と、
を有し、
前記マイクロプラスチック回収工程で回収に使用した器具を、水より比重が小さい有機溶媒で洗浄し、前記器具の試料接触面に残存するマイクロプラスチックを補足回収することを特徴とするマイクロプラスチックの分析方法。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記分析対象のマイクロプラスチックが、前記器具の材質以外のプラスチックであることを特徴とする請求項1記載のマイクロプラスチックの分析方法。
【請求項3】
前記分析対象のマイクロプラスチックが、少なくとも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルポリオール、エチレン酢酸ビニル、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、及び、ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロプラスチックの分析方法。
【請求項4】
前記水より比重が小さい有機溶媒が、エタノールであることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロプラスチックの分析方法。
【請求項5】
前記分析対象のマイクロプラスチックが、300μm以下のサイズであることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロプラスチックの分析方法。
【請求項6】
前記マイクロプラスチック回収工程における濾過が、重力式濾過であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロプラスチックの分析方法。
【請求項7】
前記重力式濾過が、サイフォン式濾過であることを特徴とする請求項6記載のマイクロプラスチックの分析方法。
【請求項8】
試料に含まれる500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを分析するために該試料からマイクロプラスチックを分離回収する方法であって、
前記試料からマイクロプラスチックを分離回収するために使用した器具を、水より比重が小さい有機溶媒で洗浄し、前記器具の試料接触面に残存するマイクロプラスチックを補足回収することを特徴とする、分析用マイクロプラスチックの分離回収方法。
【請求項9】
前記水より比重が小さい有機溶媒が、エタノールであることを特徴とする請求項8記載の分析用マイクロプラスチックの分離回収方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを分析する方法及び分析用マイクロプラスチックの分離回収方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、海洋環境において、マイクロプラスチックの存在が極めて大きな懸念材料となっている。マイクロプラスチックの起源は、レジ袋、コンビニの弁当箱、ペットボトルの蓋等のプラスチックゴミなどであり、ポイ捨てされたもの、ゴミ箱からあふれて処理されず放置されたもの等が、河川や下水に侵入したり、風に飛ばされたりして、最終的に海へ流れ着いて生じたものである。
【0003】
マイクロプラスチックは、環境や人体へ悪影響を与えることから、海洋に存在するマイクロプラスチックの粒子数を、ガイドラインに沿って調査し、研究室間の比較実験によって慎重に検証されてきた(非特許文献1~3参照)。また、世界の上層海洋におけるマイクロプラスチック存在量を定量化するため、現在までに8000以上もの曳網調査が実施されてきた(非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Isobe, A., Buenaventura, N. T., Chastain, S., Chavanich, S., Cozar, A., DeLorenzo, M., Hagmann, P., Hinata, H., Kozlovskii, N., Lusher, A. L., Marti, E., Michida, Y., Mu, J., Ohno, M., Potter, G., Ross, P. S., Sagawa, N., Shim, W. J., Song, Y. K., Takada, H., Tokai, T., Torii, T., Uchida, K., Vassillenko, K., Viyakarn, V., Zhang W., (2019). An interlaboratory comparison exercise for the determination of microplastics in standard sample bottles, Mar. Pollut. Bull., 146, 831-837.
Cadiou, J.-F., Gerigny, O., Koren, S., Zeri, C., Kaberi, H., Alomar, C., Panti, C., Fossi, M. C., Adamopoulou, A., Digka, N., Deudero, S., Concato, M., Carbonell, A., Baini, M., Galli, M., Galgani, F., (2020). Lessons learned from an intercalibration exercise on the quantification and characterisation of microplastic particles in sediment and water samples, Mar. Pollut. Bull., 154, 111097.
Cowger, W., Booth, A. M., Hamilton, B. M., Thaysen, C., Primpke, S., Munno, K., Lusher, A. L., Dehaut, A., Vaz, V. P., Liboiron, M., Devriese, L. I., Hermabessiere, L., Rochman, C., Athey, S. N., Lynch, J. M., Frond, H. D., Gray A., Jones, O. A. H., Brander, S., Steele, C., Moore, S., Sanchez, A., and Nel, H., (2020). Reporting Guidelines to Increase the Reproducibility and Comparability of Research on Microplastics. Appl. Spectrosc., 74, 1066-1077.
Isobe, A., Azuma, T., Cordova, M. R., Cozar, A., Galgani, F., Hagita, R., Kanhai, L. D., Imai, K., Iwasaki, S., Kako, S., Kozlovskii, N., Lusher, A. M., Mason, S. A., Michida, Y., Mituhasi, T., Morii, Y., Mukai, T., Popova, A., Shimizu, K., Tokai, T., Uchida, K., Yagi, M., Zhang, W., (2021). A multilevel dataset of microplastic abundance in the world’s upper ocean and the Laurentian Great Lakes. Micropl. & Nanopl. 1:16.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マイクロプラスチックの中でも、数百マイクロメートル以下といった微細なマイクロプラスチックを測定する手順については、現在確立した方法がなく、その開発が望まれていた。
【0006】
本発明の課題は、試料中の500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを精度よく分析することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するための検討中で、まず、マイクロプラスチックの中でも500μm以下のサイズのマイクロプラスチックの分析については、以下の課題があることを知見した。
【0008】
マイクロプラスチックの粒子数は、マイクロプラスチックがサンプリング装置や実験装置に捕捉されて失われるため、過小評価されていると考えられる。具体的には、マイクロプラスチックの一部が、処理の過程において、フィルターや容器の内壁、チューブなどに残存し、失われるため、実際よりも少ない量として評価されている可能性が高い。
【0009】
本発明者らは、上記課題に対して種々検討をした結果、マイクロプラスチックの回収に際し、使用した器具を水より比重が小さい有機溶媒で洗浄して、器具の試料接触面に残存するマイクロプラスチックを補足回収することにより、試料中のマイクロプラスチックをより確実に分離回収して、精度よく分析することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 試料中の500μm以下のサイズのマイクロプラスチックを分析する方法であって、
前記試料を濾過してマイクロプラスチックを分離回収するマイクロプラスチック回収工程と、
前記マイクロプラスチック回収工程で回収したマイクロプラスチックを分析する分析工程と、
を有し、
前記マイクロプラスチック回収工程で回収に使用した器具を、水より比重が小さい有機溶媒で洗浄し、前記器具の試料接触面に残存するマイクロプラスチックを補足回収することを特徴とするマイクロプラスチックの分析方法。
(【0011】以降は省略されています)

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