TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025104737
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-10
出願番号2023222753
出願日2023-12-28
発明の名称水電解装置及び水電解装置の運転制御方法
出願人トヨタ自動車九州株式会社,国立大学法人九州大学
代理人個人,個人
主分類C25B 15/00 20060101AFI20250703BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】運転停止時に、エネルギー消費を抑えて、運転停止時におけるカソード側の水素流路内で発生する過酸化水素による電解質膜の劣化を抑えることができる水電解装置及び水電解装置の運転制御方法を提供する。
【解決手段】電解質膜によりアノード側の酸素流路5とカソード側の水素流路6とに分離され、酸素流路5に供給された純水を電気分解し、水素流路6から水素を排出する1以上の水電解セルを有した水電解装置の運転制御方法であって、水電解装置の運転中は、酸素流路5に純水を供給し、水電解装置の運転停止時に、酸素流路5に対する純水の供給を停止するとともに水素流路6に対して所定時間、純水を供給して外部に排出した後、水素流路6に対する純水の供給を停止する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電解質膜によりアノード側の酸素流路とカソード側の水素流路とに分離され、前記酸素流路に供給された純水を電気分解し、前記水素流路から水素を排出する1以上の水電解セルを有した水電解装置であって、
純水を送出する給水ポンプと、
前記給水ポンプから第1開閉弁を介して前記酸素流路に純水を供給する酸素側供給配管と、
前記給水ポンプから第2開閉弁を介して前記水素流路に純水を供給する水素側供給配管と、
前記水電解装置の運転中は、前記給水ポンプを駆動し、前記第1開閉弁を開にするとともに前記第2開閉弁を閉にして前記酸素側供給配管を介して前記酸素流路に純水を供給し、前記水電解装置の運転停止時に、前記第1開閉弁を閉にするとともに前記第2開閉弁を開にして前記酸素側供給配管を介した前記酸素流路に対する前記純水の供給を停止するとともに前記水素側供給配管を介して前記水素流路に対して所定時間、前記純水を供給して外部に排出した後、前記水素側供給配管を介した前記水素流路に対する前記純水の供給を停止する制御を行う制御部と
を備えたことを特徴とする水電解装置。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
前記水素流路の出口側を接続する水素側排出配管に第3開閉弁を設けるとともに、前記水素流路の出口側と前記第3開閉弁との間に外部排出配管を接続し、該外部排出配管に第4開閉弁を設け、
前記制御部は、前記運転停止時における前記水素流路に対する前記純水の供給時に前記第3開閉弁を開から閉にするとともに第4開閉弁を閉から開にして前記外部排出配管から前記純水を外部に排出することを特徴とする請求項1に記載の水電解装置。
【請求項3】
前記酸素流路の出口側に接続される酸素側排出配管は酸素側気液分離器に接続され、該酸素側気液分離器を介して酸素が排出され、
前記水素流路の出口側に接続される水素側排出配管は水素側気液分離器に接続され、該水素側気液分離器を介して水素が排出され、
前記酸素側気液分離器及び前記水素側気液分離器を介して前記水電解セルに供給された純水は循環することを特徴とする請求項1に記載の水電解装置。
【請求項4】
複数の前記水電解セルは積層された水分解ユニットが複数直列接続されることを特徴とする請求項1に記載の水電解装置。
【請求項5】
前記水電解セルの電源は、太陽光発電装置または風力発電装置であり、
前記水電解セルから排出された水素は水素貯蔵タンクに貯蔵され、
前記制御部は、前記太陽光発電装置または前記風力発電装置が生成する電源の電源不足あるいは水素貯蔵タンクの残量が所定量以上の場合に前記水電解装置を運転停止することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の水電解装置。
【請求項6】
電解質膜によりアノード側の酸素流路とカソード側の水素流路とに分離され、前記酸素流路に供給された純水を電気分解し、前記水素流路から水素を排出する1以上の水電解セルを有した水電解装置の運転制御方法であって、
前記水電解装置の運転中は、前記酸素流路に純水を供給し、
前記水電解装置の運転停止時に、前記酸素流路に対する前記純水の供給を停止するとともに前記水素流路に対して所定時間、前記純水を供給して外部に排出した後、前記水素流路に対する前記純水の供給を停止することを特徴とする水電解装置の運転制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、運転停止時に、エネルギー消費を抑えて、運転停止時におけるカソード側の水素流路内で発生する過酸化水素による電解質膜の劣化を抑えることができる水電解装置及び水電解装置の運転制御方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
固体高分子等の電解質膜を隔膜としてアノード側とカソード側とに分離し、アノード側に純水を供給しながら電気分解して、アノード側から酸素を、カソード側から水素をそれぞれ発生する水電解装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2003-293179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水電解装置は、複数の水分解セルが積層されており、運転中に水分解セルのアノード側の酸素流路に純水が供給され、純水は2H

0→0

+4H

+4e

の反応により分解され、酸素流路に酸素が発生する。一方、H

は電解質膜を介してカソード側の水素流路内で、4H

+4e

→2H

の反応により水素が発生する。
【0005】
ここで、運転が停止して酸素流路への純水の供給が止まると、酸素流路に発生した酸素の一部が電解質膜を介して水素流路内に移動し、水素流路内で滞留していた水素と結合して過酸化水素が発生する。この過酸化水素は、例えば、H



+Fe


→HO*+OH

+Fe


の反応により、HO*(ヒドロキシルラジカル)が発生する。ヒドロキシルラジカルは、電気的に不安定で反応性が高いラジカル分子であり、電解質膜の高分子鎖結合を解いてしまうなどの攻撃が行われ、電解質膜が損傷して劣化してしまう現象が発生する。
【0006】
特に、天候に左右される太陽電池装置や風力発電装置を電源として用いる場合や、生成された水素を圧縮して貯蔵する水素貯蔵タンクの貯蔵量が満タンに近い状態を発生しやすい環境である場合、頻繁に運転停止が発生する。この場合、過酸化水素の発生機会が増え、これにより、電解質膜の損傷や劣化が進むことになる。
【0007】
なお、特許文献1では、運転停止時にカソード側における配管からの金属イオン溶出を防止するため、アノード側及びカソード側の双方に純水を流し続けているため、運転停止状態におけるエネルギー消費が大きい。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、運転停止時に、エネルギー消費を抑えて、運転停止時におけるカソード側の水素流路内で発生する過酸化水素による電解質膜の劣化を抑えることができる水電解装置及び水電解装置の運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る水電解装置は、電解質膜によりアノード側の酸素流路とカソード側の水素流路とに分離され、前記酸素流路に供給された純水を電気分解し、前記水素流路から水素を排出する1以上の水電解セルを有した水電解装置であって、純水を送出する給水ポンプと、前記給水ポンプから第1開閉弁を介して前記酸素流路に純水を供給する酸素側供給配管と、前記給水ポンプから第2開閉弁を介して前記水素流路に純水を供給する水素側供給配管と、前記水電解装置の運転中は、前記給水ポンプを駆動し、前記第1開閉弁を開にするとともに前記第2開閉弁を閉にして前記酸素側供給配管を介して前記酸素流路に純水を供給し、前記水電解装置の運転停止時に、前記第1開閉弁を閉にするとともに前記第2開閉弁を開にして前記酸素側供給配管を介した前記酸素流路に対する前記純水の供給を停止するとともに前記水素側供給配管を介して前記水素流路に対して所定時間、前記純水を供給して外部に排出した後、前記水素側供給配管を介した前記水素流路に対する前記純水の供給を停止する制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る水電解装置は、上記の発明において、前記水素流路の出口側を接続する水素側排出配管に第3開閉弁を設けるとともに、前記水素流路の出口側と前記第3開閉弁との間に外部排出配管を接続し、該外部排出配管に第4開閉弁を設け、前記制御部は、前記運転停止時における前記水素流路に対する前記純水の供給時に前記第3開閉弁を開から閉にするとともに第4開閉弁を閉から開にして前記外部排出配管から前記純水を外部に排出することを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許