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公開番号2025139716
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-29
出願番号2024038700
出願日2024-03-13
発明の名称接合金物を用いた木質構造材の耐火接合構造
出願人株式会社奥村組
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E04B 2/56 20060101AFI20250919BHJP(建築物)
要約【課題】平常時の応力伝達を阻害しない簡易な構成によって、火災時における接合金物を介した骨組み構造材への高熱の伝達を、効果的に阻止できるようにする耐火接合構造を提供する。
【解決手段】基板プレート部21,31と、挿入固着プレート部22,32とを備え、耐力壁50の端面に形成されたスリット部41,42に、挿入固着プレート部22,32を挿入して固着すると共に、基板プレート部21,31を梁部材51,52の下面51a,52aや上面51b,52bに固着することによって、耐力壁50を被接合面51a,52a,51b,52bに接合する接合金物20,30を用いた耐火接合構造である。接合金物20,30は、挿入固着プレート部22,32が熱膨張性耐火シートや熱膨張性耐火塗料によって覆われた状態で、スリット部41,42に固着される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基板プレート部と、該基板プレート部から垂直に張り出す挿入固着プレート部とを備え、木質構造材の端面から切り込んで形成されたスリット部に、前記挿入固着プレート部を挿入して固着すると共に、前記基板プレート部を他の構造材の被接合面に固着することによって、木質構造材を他の構造材の被接合面に接合する接合金物を用いた、木質構造材の耐火接合構造であって、
前記接合金物は、少なくとも前記挿入固着プレート部の前記スリット部に挿入される部分を、熱膨張性耐火シート又は熱膨張性耐火塗料によって覆った状態で、前記挿入固着プレート部が前記スリット部に固着されている接合金物による木質構造材の耐火接合構造。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記木質構造材が、柱部材と梁部材による骨組み架構の内側に設置されて、地震時に発生する応力を柱部材や梁部材と共に負担する耐力壁となっており、被接合面に前記木質構造材が接合される前記他の構造材が、コンクリート製、鋼製、又は木製の梁部材となっている請求項1記載の接合金物による木質構造材の耐火接合構造。
【請求項3】
前記熱膨張性耐火シート又は熱膨張性耐火塗料は、火災時の熱により250~300℃の温度で主材が反応し、20~30倍に発泡して炭化層を形成する素材によるものとなっている請求項1又は2記載の接合金物による木質構造材の耐火接合構造。
【請求項4】
前記熱膨張性耐火シート又は熱膨張性耐火塗料の主材は、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、又はリン酸メラニンが配合されたものとなっている請求項3記載の接合金物による木質構造材の耐火接合構造。
【請求項5】
前記熱膨張性耐火シート又は熱膨張性耐火塗料によって覆われた前記挿入固着プレート部の前記スリット部に挿入された部分と、前記スリット部との間の隙間に、固化材が充填されている請求項1又は2記載の接合金物による木質構造材の耐火接合構造。
【請求項6】
接合金物の挿入固着プレート部は、ドリフトピンを用いて、前記スリット部に挿入された状態で前記木質構造材に固着されている請求項1又は2記載の接合金物による木質構造材の耐火接合構造。
【請求項7】
前記接合金物の前記基板プレート部を覆うようにして、ロックウール又はモルタルが、ヒートシンク材として充填されている請求項1又は2記載の接合金物による木質構造材の耐火接合構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、接合金物を用いた木質構造材の耐火接合構造に関し、特に、木質構造材を他の構造材の被接合面に接合する接合金物を用いた木質構造材の耐火接合構造に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止および森林資源や林業の健全化の必要性が注目されており、また、ESG投資やSDGsの観点からも、木質材料の積極的な活用が求められている。木質材料は、繰り返し再利用することが可能な素材であり、持続可能な資源活用として、一度使用された木質材料を再利用することが望ましい。また木質材料は、強度に比較して軽量で比強度(強度/密度)が大きく、建物の構造体として使用するメリットは大きいが、建設材料として使用するためには、異方性と耐火性の問題を解決する必要がある。
【0003】
異方性については、木質材料は、繊維方向、接線方向、半径方向等によって物性が異なることから、主要な応力のかかる方向に、ヤング係数や耐力が最も大きい繊維方向を沿わせて配置することが望ましい。また地震時や台風時には、応力の向きがランダムに変化することになるため、建物の構造材に用いる木質材料として、例えば複数の板材を繊維方向が直行するように張り合わせることで、弱点となる方向を無くした直交集成板(Cross Laminated Timber:CLT板)を、好ましく用いることができる。
【0004】
また、木質材料の耐火性能を向上させる方法として、耐火性を有する材料によって木質材料を囲む方法や、木質材料に予め燃え代を設けておくことで、所定の時間、必要な耐力を確保できるようにする方法が用いられる。前者は木質材料による構造部材の周囲に、石膏ボート等の不燃材料を配置することで、構造部材が燃えることを防ぐものであり、後者は所定の耐火時間中に燃えることになるであろう厚さ(燃え代)を予め算定して、構造部材としての機能を保持できる断面以上の断面領域が燃え残るように、木質材料の断面形状を大きくしておくものである。これ以外にも、薬剤を含浸させることで木質材料自体を不燃化する技術や、耐火塗料を表面に塗布することによって、内側の木質材料を保護する技術も開発されている。
【0005】
一方、このような木質材料として、木質構造材である例えば木製の耐力壁を、建物の主要な構造部分となる骨組み架構を形成する、鋼製や鉄筋コンクリート製や木製の、梁部材や柱部材による骨組み構造材に、金属製の接合金物を介して接合する構造が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
これらの特許文献1や特許文献2に記載の接合金物を用いた接合構造では、接合金物は、梁部材や柱部材による骨組み構造材の被接合面に接合される基板プレート部と、基板プレート部から垂直に張り出す挿入固着プレート部とを備える、例えばL字断面形状やT字断面形状を備えており、基板プレート部を、骨組み構造材の被接合面に接合すると共に、挿入固着プレート部を、木質構造材の端面から切り込んで形成されたスリット部に挿入し、例えば木質構造材の側面から複数のドリフトピンを打ち込んで、木質構造材に固着することによって、木質構造材である例えば木製の耐力壁を、梁部材や柱部材による骨組み構造材に、一体として接合できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2019-119990号公報
特開2022-144037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金属製の接合金物を用いて、木質構造材を骨組み構造材に一体として接合する場合、火災時の火炎加熱によって木質構造材が燃焼すると、接合金物が熱橋となることで、燃焼時の高熱が接合金物を介して骨組み構造材に伝達されることによって、梁部材や柱部材による骨組み構造材の構造性能に悪影響を及ぼすことが考えられる。
【0009】
これに対して、接合金物を介した骨組み構造材への高熱の伝達を防ぐための手段として、接合金物が木質構造材や骨組み構造材と接する部分に、モルタルやロックウールを吹き付けることにより打設して耐火被覆することで、ヒートシンクや断熱材とすることが考えられるが、吹付け作業に手間がかかると共に、木質構造材に形成されたスリット部に挿入された部分の挿入固着プレート部を介した、高熱の伝達を阻止することまでは困難である。また接合金物の挿入固着プレート部の表面に、断熱性のあるボードやロックウール等による耐火被覆を施すことも考えられるが、これによって耐火被覆の厚さ分、耐力壁が厚くなると共に、接合金物を介した木質構造材と骨組み構造材との平常時における応力伝達に、支障を生じる虞がある。
【0010】
このようなことから、多くの手間を要することなく、平常時の応力伝達を阻害しない簡易な構成によって、火災時における、接合金物の挿入固着プレート部を介した骨組み構造材への高熱の伝達を、効果的に阻止して、骨組み構造材の熱による構造性能の低下を防止できるようにする耐火接合構造を、新たに開発することが望まれている。
(【0011】以降は省略されています)

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