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公開番号
2025129839
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-05
出願番号
2024026754
出願日
2024-02-26
発明の名称
含硫黄ポリマー
出願人
国立大学法人山口大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C08G
75/16 20060101AFI20250829BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】二次電池、とりわけ、金属-リチウム二次電池用の正極に適用可能な、有機溶媒に可溶である高硫黄含有ポリマーを提供し、通常の単体硫黄(S
8
)よりも優れた電気化学的特性を有する二次電池の正極活物質を提供することである。
【解決手段】本発明の含硫黄ポリマーは、以下の式(I)
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025129839000004.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">45</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">154</com:WidthMeasure> </com:Image>
(式中、YはS(O)m、-O-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NHCO-又は-CONH-を表し、mは0~2のいずれかの整数を表し、Zは、置換基としてハロゲノ基を有していてもよいC1~C6アルキル基等を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Xは1以上の正の整数を表し、各単位中のXの数は異なっていてよく、nは0~10のいずれかの整数を表す)で表される繰り返し単位を有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の式(I)
TIFF
2025129839000003.tif
42
170
(式中、
YはS(O)m、-O-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NHCO-又は-CONH-を表し、
mは0~2のいずれかの整数を表し、
Zは、置換基としてハロゲノ基を有していてもよいC1~C6アルキル基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいC6~C10アリール基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいC6~C10アリールC1~C6アルキル基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいヘテロアリール基;又は
ハロゲノ基を表し、
Rは、水素原子又はメチル基を表し、
Xは1以上の正の整数を表し、各単位中のXの数は異なっていてよく、
nは0~10のいずれかの整数を表す)
で表される繰り返し単位を有する含硫黄ポリマー。
続きを表示(約 720 文字)
【請求項2】
YがSO
2
であり、Zがフェニル基であり、nが1である、請求項1に記載の含硫黄ポリマー。
【請求項3】
含硫黄ポリマー中の硫黄含有量(但し、S(O)m由来の硫黄は除く)が50~95質量%である、請求項1又は2に記載の含硫黄ポリマー。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の含硫黄ポリマーを含有する二次電池用正極。
【請求項5】
請求項4に記載の二次電池用正極を備える二次電池。
【請求項6】
以下の式(II)
CH
2
=CR-(CH
2
)
n
-Y-Z (II)
(式中、
YはS(O)m、-O-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NHCO-又は-CONH-を表し、
mは0~2のいずれかの整数を表し、
Zは、置換基としてハロゲノ基を有していてもよいC1~C6アルキル基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいC6~C10アリール基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいC6~C10アリールC1~C6アルキル基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいヘテロアリール基;又は
ハロゲノ基を表し、
Rは、水素原子又はメチル基を表し、
nは0~10のいずれかの整数を表す)
で表される化合物と分子状硫黄(S
8
)とを反応させることを特徴とする、請求項1に記載の含硫黄ポリマーの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子状硫黄(S
8
)とアルケニル化合物とを反応させて得られる含有量の高い含硫黄ポリマーと、当該含硫黄ポリマーを含む正極及び二次電池に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
硫黄(S
8
)は硫黄元素8個が環状につながった状態で天然資源として豊富に存在しているが、石油精製の「脱硫」の過程において大量に出てくる副生成物でもある。そのため、日本を含め世界的に硫黄をより有用な資源として転換可能な技術や分野の創出が求められている。
硫黄は1分子で16個の電子を電気化学的に利用(16電子反応)することができるため、1675 mAh/gの電気エネルギーの貯蔵を可能とする(高容量)。そのため、近年は正極活物質に硫黄を、負極にリチウム金属を用いたリチウム-硫黄電池(Li-S電池)の研究が精力的に行われており、リチウムイオン二次電池(LIB、エネルギー密度200Wh/kg)よりも高エネルギー密度な電池として期待されている。しかし実用化への課題として、「硫黄成分が電解液へ溶出すること」、「硫黄が絶縁性であること」、「リチウムの価格が高いこと」、「Li負極界面でデンドライト形成(針状析出物)によりサイクル寿命が延びない(短い)こと」が課題として残っている。
このような背景を踏まえて、近年では硫黄を主体とした機能性材料が報告されている。これら報告に共通する技術は『逆加硫』であり、これは硫黄に少量のビニルモノマーを添加し、160℃の加熱でラジカル共重合を行う手法である。この手法によって硫黄にビニルモノマーの特性を付与した機能的な高硫黄含有ポリマーの合成が可能となり、特にその優れた成形加工特性を利用したLi-S電池用正極材料への応用に関する研究が多数行われている(非特許文献1-5)。
【0003】
非特許文献1及び2には、二重結合を2つ有する1,3-diisopropenylbenzene (DIB)と硫黄との逆加硫により合成される含硫黄ネットワークポリマーが記載されている。低い硫黄含有量(50wt%以下)でないと有機溶媒(クロロホルム)に溶解性を示さない。
非特許文献3には、チオウレアとホルムアルデヒドからなる主鎖ポリマー(TAR)と硫黄との逆加硫により硫黄がぶら下がったポリマーが記載されている。当該ポリマーは85wt%以上の硫黄を含有している。側鎖に硫黄をぶら下げシート構造にすることでリチウムイオンのような金属イオンとの反応性の向上を狙っており5Cで600mAh/g近い放電容量を達成している。本発明とは逆加硫の手法は同じであるが、有機溶媒に対する溶解性はなく電極は不均一系(スラリー)での作製となる。
非特許文献4には、二重結合を有する3,5-divinylbenzene(DVB)と硫黄との逆加硫により合成されるネットワークポリマー(S-DVB)が記載されている。電解質にはリチウム塩を含有したポリエチレングリコールを用い固体化させたものを用いることで全固体Li-S電池としている。S-DVB中の硫黄含有量は40wt%程度であり、スラリー溶液として電極を作製している。
非特許文献5には、硫黄と2,4,6,8-tetravinyl-2,4,6,8-tetramethylcyclo tetrasiloxane(TVTCSi)との逆加硫からなるネットワークポリマー(S-TVTCSi)が記載されている。硫黄含有量は75wt%以上を示すが、有機溶媒に対する溶解性はない。0.5Cで500サイクルの動作確認しており、容量維持率も高い。ただし、スラリー状態で電極を作製するため、薄い電極となる。
【0004】
本発明者らも、これまでも含硫黄ポリマーの発明を行ってきた(特許文献1―3)。
特許文献1には、環状状もしくは直鎖状のオリゴエチレンオキシド骨格を有するビスアルケニル化合物もしくは長鎖脂肪族炭化水素を有するモノアルケニル化合物と硫黄との逆加硫により合成されるポリマーが記載されている。有機溶媒への溶解性を付与させ多孔質カーボンに含浸させるコンセプトは共通しているが、有機溶媒に溶解させるためには硫黄の含有量を大幅に低減させなければならない(50wt%以下)。
特許文献2には、イオン性基(主にスルホン酸もしくはその塩)を有するモノアルケニル化合物と硫黄との逆加硫により合成されるポリマーが記載されている。スルホニル(O=S=O)の骨格を有する点は共通であるが、ここではスルホン酸といったイオンに解離するものを特徴としているため、本発明とは異なる。またイオン性基を有する硫黄ポリマーは有機溶媒に対して溶解性を示さない。
特許文献3には、側鎖にアルコキシシランを有するビニル(アリル)化合物と硫黄との逆加硫により得られる固体のポリマーが記載されている。80wt%以上の硫黄含有量においても有機溶媒に溶解する。またカーボンへの含浸後に酸で処理することで加水分解が生じカーボンに硫黄成分が固定化され不溶化する。しかしながらリチウムイオンなどの金属イオンとの相互作用を有する骨格を有していないため充放電速度も非常に遅い(0.1C)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-227438号公報
特開2016-53159号公報
特開2018-65980号公報
【非特許文献】
【0006】
J. Pyun et al., The use of elemental sulfur as an alternative feedstock for polymeric materials, Nature Chemistry, 5, 518-524 (2013)
J. Pyun et al., Inverse Vulcanization of Elemental Sulfur to Prepare Polymeric Electrode Materials for Li-S Batteries, ACS Macro Letters, 3, 229-232 (2014)
S. Chen et al., Highly crosslinked organosulfur copolymer nanosheets with abundant mesopores as cathode materials for efficient lithium-sulfur batteries, Electrochimica Acta, 263, 53-59 (2018)
M. Armand et al., S-containing copolymer as cathode material in poly(ethylene oxide)-based all-solid-state Li-S batteries, Journal of Power Sources, 390, 148-152 (2018)
C. Yang et al., Sulfur-rich polymer/Ketjen Black composites as lithium-sulfur battery cathode with high cycling stability, Journal of Alloys and Compounds, 962, 171177 (2023)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされており、本発明が解決しようとする課題は、二次電池、とりわけ、金属-リチウム二次電池用の正極に適用可能な、有機溶媒に可溶である高い硫黄含有量の含硫黄ポリマーを提供することである。さらには、高いエネルギー密度を有するとともに優れた電気化学的特性を有する二次電池の正極活物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、逆加硫法を用いて、側鎖に、スルホニル(-SO
2
-)基等の基を有するアリル化合物又はビニル化合物を分子状硫黄(S
8
)と反応させることにより、高い硫黄含有量であって、かつ、特定の有機溶媒に溶解する含硫黄ポリマーを合成できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)以下の式(I)
TIFF
2025129839000001.tif
44
169
(式中、
YはS(O)m、-O-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NHCO-又は-CONH-を表し、
mは0~2のいずれかの整数を表し、
Zは、置換基としてハロゲノ基を有していてもよいC1~C6アルキル基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいC6~C10アリール基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいC6~C10アリールC1~C6アルキル基;
置換基としてC1~C6アルキル基又はハロゲノ基を有していてもよいヘテロアリール基;又は
ハロゲノ基を表し、
Rは、水素原子又はメチル基を表し、
Xは1以上の正の整数を表し、各単位中のXの数は異なっていてよく、
nは0~10のいずれかの整数を表す)
で表される繰り返し単位を有する含硫黄ポリマー。
(2)YがSO
2
であり、Arがフェニル基であり、nが1である、(1)に記載の含硫黄ポリマー。
(3)含硫黄ポリマー中の硫黄含有量(但し、S(O)m由来の硫黄は除く)が50~95質量%である、(1)又は(2)に記載の含硫黄ポリマーに関する。
【0010】
また、本発明は、
(4)(1)又は(2)に記載の含硫黄ポリマーを含有する二次電池用正極。
(5)(4)に記載の二次電池用正極を備える二次電池に関する。
(【0011】以降は省略されています)
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