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公開番号
2025038476
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-19
出願番号
2023145111
出願日
2023-09-07
発明の名称
気管支喘息発作の治療剤、鋳型気管支炎の予防剤
出願人
国立大学法人山口大学
代理人
個人
主分類
A61K
39/395 20060101AFI20250312BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】本発明の課題は、ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤や、ウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤を提供することにある。
【解決手段】免疫グロブリンE(IgE)に結合する抗体を有効成分とする、ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤又はウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤を調製する。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス(A(H1N1)pdm09)を挙げることができる。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
免疫グロブリンE(IgE)に結合する抗体を有効成分とする、ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤。
続きを表示(約 520 文字)
【請求項2】
気管支喘息発作の既往歴がある、若しくは気管支喘息と診断されている対象に投与するための、請求項1に記載の気管支喘息発作の治療剤。
【請求項3】
ウイルスが、インフルエンザウイルス(A(H1N1)pdm09)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の気管支喘息発作の治療剤。
【請求項4】
IgEに結合する抗体が、オマリズマブであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の気管支喘息発作の治療剤。
【請求項5】
免疫グロブリンE(IgE)に結合する抗体を有効成分とする、ウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤。
【請求項6】
気管支喘息発作の既往歴がある、若しくは気管支喘息と診断されている対象に投与するための、請求項5に記載の鋳型気管支炎の予防剤。
【請求項7】
ウイルスが、インフルエンザウイルス(A(H1N1)pdm09)であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の鋳型気管支炎の予防剤。
【請求項8】
IgEに結合する抗体が、オマリズマブであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の鋳型気管支炎の予防剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤や、ウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
2009年に世界的大流行を起こしたA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス(以下、単に「A(H1N1)pdm09」ともいう)は集中治療管理を要する急激な呼吸不全を引き起こし、人類に多大な影響を与えた。本発明者らは、A(H1N1)pdm09感染に伴う急性呼吸不全を呈した症例について後方視的に検討したところ、季節性インフルエンザウイルス感染に比し、肺炎や無気肺等の呼吸器合併症が多く、重篤な気管支喘息発作が起こりやすいことを明らかにした。さらに、これらの合併症を来たした症例では血清総IgE値が有意に上昇していることを明らかにした(非特許文献1参照)。また、本発明者らは、A(H1N1)pdm09を喘息モデルマウスに感染させたところ、非気管支喘息マウスに比して気管支肺胞洗浄液(BAL液)中、インターロイキン(IL)-6、IL-10及びTNF-αが有意に高値であったが、IFN-γ濃度は感染気管支喘息マウスで有意に低値であることを明らかにした(非特許文献2参照)。重症化する機序は依然として不明な点も多く、A(H1N1)pdm09感染による重症呼吸器合併症に対する予防法又は治療法に関しては検討されていなかった。
本発明者は気管支喘息モデルマウスを用いた感染実験から、気管支喘息が重症化に関与していることを明らかにした(非特許文献2参照)。しかしながら、なぜ重症化するのか依然として不明であり、感染を契機とした重症呼吸器合併症に対する有効な予防法又は治療法が確立していない。
【0003】
こうした中、本発明者らは、A(H1N1)pdm09感染による気管支喘息の予防又は改善剤として、ロイコトリエン受容体拮抗薬について提案した(特許文献1参照)。しかしながら、未だ実用化には至っていない。
【0004】
鋳型気管支炎はインフルエンザ感染による重篤な呼吸不全を起こす要因として注目されている(非特許文献3)。鋳型気管支炎の発生機序について、Yoshidaらは鋳型気管支炎患者から採取した粘液栓の解析から好酸球の特殊な細胞死(ETosis)の関与を報告した(非特許文献4、5参照)。しかしながら、ETosisのメカニズムを含めた鋳型気管支炎の発生機序の解明は今後の重要な検討課題であるとともに、鋳型気管支炎の予防又は治療法については明らかになっていない。さらに、山岡らは、既存のインフルエンザ薬物治療ではインフルエンザ感染を契機とした鋳型気管支炎の予防も治療もできないこと、複数の薬物治療と共に体外式陽陰圧人工呼吸器(BCV)による処置で排痰を促進し、粘液栓を喀出して無気肺のさらなる進展を抑制できたことを報告した(非特許文献6参照)。粘液栓の除去に関して有効と考えられる方法は報告されているものの、鋳型気管支炎の根幹となる粘液栓の発生予防に対して十分な効果を有する薬剤の開発は難しいと考えられていた。
【0005】
ところで、国内外のガイドラインにおいては、気管支喘息を対象とした基本治療や追加治療のための長期管理薬と、気管支喘息発作を対象とした発作治療薬は明確に区別されている。ここで、このガイドラインにおいてIgEに結合する抗体(抗IgE抗体)はあくまで喘息に対する長期管理薬としてのみ使用することが記載されている。つまり、気管支喘息発作が起こっていない気管支喘息患者を対象とし、発作を起こさないようにする長期管理薬としての使用が想定されているのみにすぎない。一方で、気管支喘息発作に対する抗IgE抗体の効果については何ら示されておらず、インフルエンザ治療薬としての適応もない(非特許文献7-9参照)。また、抗IgE抗体はアレルギー性の気管支喘息や鼻炎の治療薬(特許文献2~4参照)として開示されているが、あくまでアレルギー性の気管支喘息を対象としているにすぎず、気管支喘息発作の治療については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2016-175866号公報
特開平11-510172号公報
特表2001-505181号公報
特表2001-529180号公報
【非特許文献】
【0007】
Hasegawa S, et al. Pediatr Allergy Immunol 22: 119-123, 2011
Okada S, et al. Cytokine 63:194-200, 2013
Zhang J, et al., Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2015 Apr;79(4):481-6. doi: 10.1016/j.ijporl.2015.01.002.
Yoshida M, et al. Chest Infections Research Letters 160(3):854-857, 2021
国立研究開発法人国立育成医療研究センター NEWS RELEASE 2021年5月18日 URL:www.ncchd.go.jp/press/2021/0518.pdf
山岡 明子ら 小児感染免疫 Vol.24 No.3 269-273, 2012
玉置 淳 アレルギー67(9),1263-1268, 2018(平30)
Gloval Initiative for Asthma, 2006 Medical Communications Resources, Inc., p 58-59 URL: ginasthma.org/wp-content/uploads/2019/01/2006-GINA.pdf
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020 一般社団法人日本小児アレルギー学会 131-133ページ、152-155ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
A(H1N1)pdm09感染に代表されるように、インフルエンザウイルス感染を契機とした急性呼吸不全には気管支喘息発作や鋳型気管支炎が関わり、これらを予防あるいは治療する方法が必要であると考えられた。現時点で、既存のインフルエンザ治療薬は気管支喘息発作や鋳型気管支炎に対して効果はない。気管支喘息発作で推奨されるβ刺激薬吸入、ステロイド薬投与による薬物治療も呼吸状態の改善効果が乏しく、鋳型気管支炎そのものに対する薬物療法も存在しない。集中治療を要する重症な患者に対して、応急処置として体外式陽陰圧人工呼吸器(BCV)や体外式膜型人工肺(エクモ)を用いることがある。しかしながら、体外式陽陰圧人工呼吸器や体外式膜型人工肺を用いると、患者の身体的負担及び経済的負担も大きいことがあるほか、多くの医療スタッフによる治療体制を整えなければならない。さらに、気管支鏡を用いて粘液栓の直接吸引も行われることがあるが、粘液栓を吸引できない部位があること、小児患者にとって肺にかかる負担が大きいことが懸念される。鋳型気管支炎に対する薬剤に求められる効果として、粘液栓の形成を予防することが挙げられる。鋳型気管支炎の形成メカニズムの解明は必須であるが、メカニズム解明も十分とはいえず、有効と考えられる薬剤の実用化には至っていない。そこで、本発明の課題は、ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤や、ウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤や、ウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤の探索をしていたところ、気管支喘息モデルマウスにインフルエンザウイルス(A(H1N1)pdm09)を感染させた後に抗IgE抗体を投与すると、コントロール抗体と比較してメサコリン刺激に対する気道収縮反応を抑制すると共に、気管支内における粘液栓発生の抑制効果があることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕免疫グロブリンE(IgE)に結合する抗体を有効成分とする、ウイルス感染にともなう気管支喘息発作の治療剤。
〔2〕気管支喘息発作の既往歴がある、若しくは気管支喘息と診断されている対象に投与するための、上記〔1〕に記載の気管支喘息発作の治療剤。
〔3〕ウイルスが、インフルエンザウイルス(A(H1N1)pdm09)であることを特徴とする、上記〔1〕又は〔2〕に記載の気管支喘息発作の治療剤。
〔4〕IgEに結合する抗体が、オマリズマブであることを特徴とする、上記〔1〕又は〔2〕に記載の気管支喘息発作の治療剤。
〔5〕免疫グロブリンE(IgE)に結合する抗体を有効成分とする、ウイルス又は細菌の感染にともなう鋳型気管支炎の予防剤。
〔6〕気管支喘息発作の既往歴がある、若しくは気管支喘息と診断されている対象に投与するための、上記〔5〕に記載の鋳型気管支炎の予防剤。
〔7〕ウイルスが、インフルエンザウイルス(A(H1N1)pdm09)であることを特徴とする、上記〔5〕又は〔6〕に記載の鋳型気管支炎の予防剤。
〔8〕IgEに結合する抗体が、オマリズマブであることを特徴とする、上記〔5〕又は〔6〕に記載の鋳型気管支炎の予防剤。
(【0011】以降は省略されています)
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