発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 この発明は成熟軟骨細胞の製造方法に関する。 続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】 【0002】 外科領域の手術では,骨・軟骨移植による再建術は数多く行われている。ドナーとして使用される部位は,頭蓋骨・肋骨・肋軟骨・腸骨などが使用されてきた。しかしながら,軟骨を大量に採取すればドナーの採骨後の機能的問題や変形が生じる可能性について拒むことはできない。複数回の再建手術を要する症例では,多くの採骨部の犠牲を伴う事が多い。また,採取量にも限界がある。 【0003】 そこで,Vacantiらは動物の軟骨組織を酵素処理して得られた限られた数の軟骨細胞から軟骨を再生させるtissue engineering法を発明した。この方法は,軟骨細胞を人工的に合成された分解性ポリマーで作られた網の目構造の足場(scaffold)に播種し,足場に細胞が付着増殖して軟骨組織が再生されるという発明である[1,2]。しかし,軟骨組織が足場の中に軟骨が均一に生成されなかったため,臨床的に適用できる結果はいまだ得られていない。さらに,足場の合成ポリマーは,生体内で吸収されると炎症を誘発し,再生軟骨の吸収を引き起こすことがわかった[3-4]。後にVacantiらによって報告されたように。大量の細胞を含む人工軟骨構造は,通常,その成長と増殖のために高酸素環境を必要とする。したがって,軟骨が構造の中心まで形成されない場合,軟骨膜は形成されない [5]。したがって,それらの血液と栄養素の供給はかなり制限された。これは,細胞死と人工構築物の不可避の壊死を引き起こし,その後,形状と機能が失われることがわかった。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0004】 Vacanti CA, Langer R, Schloo B, Vacanti JP. Synthetic polymers seeded with chondrocytes provide a template for new cartilage formation. Plast Reconstr Surg. 1991; 88:753-759 Cao Y, Vacanti JP, Paige KT, Upton J, Vacanti CA. Transplantation of Chondrocytes Utilizing a Polymer-Cell Construct to Produce Tissue-Engineered Cartilage in the Shape of a Human Ear. Plast Reconstr Surg. 1997; 100: 297-302 Santavirta S, Konttinen YT, Saito T, et al. Immune response to polyglycolic acid implants. J Bone Joint Surg Br.1990; 72:597-600. Neidel J, Zeidler U. Independent effects of interleukin 1 on proteoglycan synthesis and proteoglycan breakdown of bovine articular cartilage in vitro. Agents Actions. 1993; 39:82-90. Vacanti CA. The history of tissue engineering. J Cell Mol Med 2006; 10: 569-576. Yanaga H., Imai K., Koga M., Yanaga K. Cell-engineered human elastic chondrocytes regenerate natural scaffold in vitro and neocartilage with neo-perichondrium in the human body post-transplantation. Tissue Eng. Part A. 2012; 18:2020-2029 Yanaga H., Imai K., Fujimoto T., Yanaga K. Generating ears from cultured autologous auricular chondrocytes by using two-stage implantation in treatment of microtia. Plast Reconstr Surg. 2009; 124:817-825 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 これまで培養軟骨細胞を移植しても,十分な量の大きさが得られないため,臨床応用することが難しかった。この発明は,移植に適した成熟軟骨細胞の製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 この明細書に記載される最初の発明は,成熟軟骨細胞の製造方法に関する。この成熟軟骨細胞は,例えば後述するように軟骨再生術などに用いることができる。 この成熟軟骨細胞の製造方法は,第1の培養用培地を用いて軟骨を培養し,成熟軟骨細胞を得る軟骨培養工程を含む。 そして,第1の培養用培地は,ヒドロコルチゾン及びFGF-2を含む培地である。 【0007】 軟骨の例は耳介軟骨である。軟骨は細断された軟骨(微小軟骨)であってもよい。 【0008】 軟骨培養工程は,例えば,2%以上15%以下の炭酸ガス及び1%以上10%以下の酸素ガスの環境下において軟骨を培養する工程を含む。軟骨培養工程は,初代培養と継代培養とで別の培地を用いてもよい。例えば,初代培養には,自己血清及びFGF-2を含む培地を用いてもよい。また,例えば一定期間,軟骨又は成熟軟骨細胞を凍結保存後に培養する場合は,自己血清およびFBS,ヒドロコルチゾン及びFGF-2を含む培地を用いてもよい。 【0009】 この明細書に記載される上記とは別の発明は,成熟軟骨細胞含有組成物の製造方法に関する。 この方法は, 第1の培養用培地を用いて軟骨を培養し,成熟軟骨細胞を得る軟骨培養工程と, 成熟軟骨細胞と,軟骨養工程を経て得られる馴化培地(conditioned medium)とを含む成熟軟骨細胞を含む組成物を得る成熟軟骨細胞含有組成物取得工程とを含む。 そして,第1の培養用培地は,ヒドロコルチゾン及びFGF-2を含む培地である。 【0010】 軟骨の例は耳介軟骨である。軟骨は細断された軟骨であってもよい。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する