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公開番号2025112705
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024007108
出願日2024-01-20
発明の名称ダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路及び電力制御方法
出願人国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人グローバル知財
主分類H02M 5/27 20060101AFI20250725BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】固定制御周波数による高周波電力制御が可能で、電源電流における低周波脈動とならず電源フィルタの小容量化が図れ、スイッチング周波数を高周波域に設定する必要が無い電力制御方法及び電力制御回路を提供する。
【解決手段】双方向スイッチ2と共振タンク3から構成される電磁誘導方式非接触エネルギー伝送システムの高周波電力制御回路であって、入力電源の正半サイクルで双方向スイッチ2の一方が主スイッチ、他方が副スイッチで、負半サイクルで主スイッチと副スイッチの対応を入れ変え、副スイッチを常時オフする第1モードと、副スイッチを常時オンする第2モードの2つの動作パターンを交互に切り替え、第1及び第2モードの組の制御周期を固定とし、第1モードと第2モードの各周期を負荷に応じて調整し、高周波出力電力をほぼ線形に制御する。
【選択図】図5

特許請求の範囲【請求項1】
共振タンクと双方向スイッチから構成される電磁誘導方式非接触エネルギー伝送システムの高周波電力制御回路であって、
入力電源の正半サイクルで前記双方向スイッチの一方が主スイッチ、他方が副スイッチで、負半サイクルで主スイッチと副スイッチの対応を入れ変え、副スイッチを常時オフする第1モードと、副スイッチを常時オンする第2モードの2つの動作パターンを交互に切り替え、第1及び第2モードの組の制御周期を固定とし、第1モードと第2モードの各周期を負荷に応じて調整し、高周波出力電力をほぼ線形に制御することを特徴とするダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
第1モードと第2モードの組を連続させるパルス群において、第1モードの主スイッチオフ期間と第2モードの主スイッチオフ期間を固定しながら、第1モードの主スイッチオン期間と第2モードの主スイッチオン期間を制御することを特徴とする請求項1に記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
【請求項3】
第1モードと第2モードは、同じ周期である場合に、主スイッチ電流の実効値に差異があることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
【請求項4】
第1モードの主スイッチオン期間と第2モードの主スイッチオン期間を制御において、
第2モードの主スイッチオン期間が増加することによる主スイッチ電流の正電流時間積分の増加量は、第1モードの主スイッチオン期間が減少することによる主スイッチ電流の正電流時間積分の減少量より大きくなることを特徴とする請求項2に記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
【請求項5】
前記制御周期は、第1モードと第2モードの各スイッチング周期の平均値の2倍に固定されることを特徴とする請求項2に記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
【請求項6】
入力電流と設定電流の偏差に基づいて前記双方向スイッチの第1モード又は第2モードの前記制御周期におけるモード割合を決定するモード割合決定部と、
入力電源電圧と共振キャパシタ電圧と前記モード割合とに基づいて、前記双方向スイッチのゲート駆動を制御するスイッチ制御部と、
前記スイッチ制御部が出力した駆動信号に基づき前記双方向スイッチのゲートを駆動するスイッチ駆動部、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
【請求項7】
第1モードでは、前記双方向スイッチの主スイッチのターンオフにより、前記共振タンクのキャパシタ電圧が上昇し、負荷のインダクタンスと共に共振し、主スイッチの電圧はゼロから上昇してゼロ電圧ターンオフとなり、前記双方向スイッチの電圧がピーク値に達した後に下降し負電圧へ反転し、前記負電圧は副スイッチの逆並列ダイオードに印加され、主スイッチの両端はゼロ電圧を保持し、
第2モードでは、主スイッチのターンオフに合わせて副スイッチをオンし、前記共振タンクのキャパシタ電圧が上昇し、負荷のインダクタンスと共に共振し、主スイッチの電圧はゼロから上昇してゼロ電圧ターンオフとなり、前記双方向スイッチの電圧がピーク値に達した後に下降しゼロになると同時に副スイッチおよび主スイッチの逆並列ダイオードを経由して電流が逆流し、副スイッチは、主スイッチのオンタイミングに合わせオフする、ことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路。
【請求項8】
共振タンクと双方向スイッチから構成される電磁誘導方式非接触エネルギー伝送システムの高周波電力変換回路における電力制御方法であって、
入力電源の正半サイクルで前記双方向スイッチの一方が主スイッチ、他方が副スイッチで、負半サイクルで主スイッチと副スイッチの対応を入れ変えるステップと、
副スイッチを常時オフする第1モードと、副スイッチを常時オンする第2モードの2つの動作パターンを交互に切り替え、第1及び第2モードの組の制御周期を固定周期とするステップと、
第1モードと第2モードの各周期を負荷に応じて調整するステップ、
を備え、高周波出力電力をほぼ線形に制御することを特徴とするダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法。
【請求項9】
前記第1モードと第2モードの各周期を負荷に応じて調整するステップにおいて、第1モードの主スイッチオフ期間と第2モードの主スイッチオフ期間を固定し、第1モードの主スイッチオン期間と第2モードの主スイッチオン期間を制御することを特徴とする請求項7に記載のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱(IH:Induction Heating)やワイヤレス電力伝送(WPT:Wireless Power Transfer)などの非接触電磁エネルギー伝送システムにおいて、商用電源から単相高周波交流を直接に生成できるダイレクト方式周波数変換回路(ダイレクトAC-ACコンバータ)の電力制御に関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
IHシステムとWPTシステムは、共に電磁誘導方式非接触エネルギー伝送(IPT:Inductive Power Transfer)システムに属し、家電・業務民生機器や情報通信端末や電気自動車(EV)などへの給電技術として研究開発が活発化している。IPTシステムのコアコンポーネントである高周波電力変換インバータは、通常、整流器ステージ、ブーストPFC(力率改善)ステージ、およびDC/HFAC(直流/高周波交流)インバータで構成される(図16(1)を参照)。一方、システム構成の簡素化とサイズダウンおよび高効率化を狙い、商用電源に接続される共振タンクとパワーデバイスから成る双方向スイッチで構成され、商用電源から単相高周波交流を直接生成可能なダイレクトAC-ACコンバータ(図16(2)を参照)が提案されている(特許文献1,非特許文献1を参照)。
【0003】
このダイレクトAC-ACコンバータの場合、高周波電力を制御するためにパルス周波数変調(PFM)が基本となるが、異なる周波数で動作する複数のIHデバイスなどの負荷の間には、動作周波数の偏差により可聴音ノイズ(干渉音)が発生しやすいため、複数の負荷の間の干渉音を低減するように、周波数一定(固定周波数)で電力制御を行うことが必要である。
しかしながら、磁界共鳴方式など送受電側に共振回路を持つIPTシステムでは、コイルの位置ずれやギャップ長の変動に対して共振周波数を追従することが必要である。この磁界共鳴方式では、一次側(送信側)と二次側(受信側)の周波数を一致させる必要がある。これは主に、共振条件と最大電力伝送の理由によるものである。共振条件とは、送電側から受電側へ最大の電力を伝送できる状態を意味し、最大電力伝送とは、共振周波数下で、システムの共振の鋭さ(Q値)が最大になり(これはエネルギー損失が最小であることを意味する)、一次側と二次側を同じ周波数で運用することで、最大限の電力伝送とシステム効率を保証できるというものである。
また、負荷に応じてインピーダンス特性が決まることからPFM帯域を複数設定する必要がある。また、家庭用IH調理器の場合においては、例えば、日本国の電波法の規格によれば90kHzがスイッチング周波数の上限とされて出力範囲に制限があり、このような規格で定められた周波数帯域に収めることが困難となるといった問題がある。
さらに、高出力の場合、パワー半導体スイッチのソフト転流動作(ソフトスイッチング)が行えず、電力損失と電磁ノイズの増大を招いてしまうといった問題もある。加えて、負荷インピーダンスが大きく変動し、ソフトスイッチングの範囲から逸脱した場合に、回路動作が安定しないといった問題もある。
【0004】
上記の問題に鑑みて、本発明者らは、既に、固定周波バルスのパルス密度変調(PDM:Pulse-Density Modulation)を応用したダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路および方法を提案している。提案済のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法は、共振タンクと双方向スイッチから構成される誘導加熱用高周波電力変換システムにおける電力制御回路であって、入力電源の正半サイクルで双方向スイッチの一方が主スイッチ、他方が副スイッチで、負半サイクルで主スイッチと副スイッチの対応を入れ変え、副スイッチを常時オフする逆阻止(RB:Reversely Blocking)モードと、副スイッチを常時オンする逆導通(RC:Reversely conducting)モードの2つの動作パターンの割合を誘導加熱負荷に応じて調整するものであり、これにより、双方向スイッチの駆動周波数を固定したまま、高周波出力電力をほぼ線形に制御する(特許文献2を参照)。この提案方法では、双方向スイッチを構成する2つのアクティブスイッチの駆動周波数を固定し(一定に維持し)、その電流のRBモードとRCモードを連続してそれぞれ動作させ、RBモードとRCモードの割合を負荷に応じて変調するパルス密度変調(PDM)を適用することにより、固定された制御周期内で2つのモードのパルス数の割合を調整して出力電力を制御する。
【0005】
提案済のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法には、以下に述べる複数の問題が存在している。提案済のダイレクトAC-ACコンバータの制御周期では、パルス密度変調(PDM)を適用することから、出力電力の制御分解能を確保するためには、RBモードとRCモードの切り替え周波数をスイッチング周波数に対して十分低下させる必要がある。この場合、切り替え周波数は電源電流における低周波脈動となり、フィルタ容量を上げる必要があり電源フィルタが大型化する問題がある。また、可聴音域(20kHz以下)に入ると磁気ノイズとなるため、必然的にスイッチング周波数を高周波域(例えば、200kHz以上)に設定する必要があり、電力制御方法の応用範囲に制限がかかる問題がある。加えて、電力制御分解が低く,離散的な電力制御となることが避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-199628号公報
特願2023-006876
【非特許文献】
【0007】
三島智和ら,"高周波誘導加熱応用三相-単相ダイレクトAC-ACコンバータの実証評価″,電気学会全国大会,4-056,2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の如く、PDMでは、RBモード及びRCモードの切り替え周波数をスイッチング周波数に対して十分低下させる必要があるが、切り替え周波数は電源電流における低周波脈動となり電源フィルタの容量を上げるばかりか、可聴音域に入ると磁気騒音の問題となるため、必然的にスイッチング周波数を高周波域に設定する必要があり、電力制御の応用範囲に制限がかかる問題点があった。
【0009】
上記状況に鑑みて、本発明は、固定制御周波数による高周波電力制御が可能で、電源電流における低周波脈動とならず電源フィルタの小容量化が図れ、スイッチング周波数を高周波域に設定する必要が無い、すなわちスイッチング周波数の選択域が広い電力制御方法及び電力制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明のダイレクトAC-ACコンバータの電力制御回路は、共振タンクと双方向スイッチから構成される電磁誘導方式非接触エネルギー伝送システムの高周波電力制御回路であって、入力電源の正半サイクルで前記双方向スイッチの一方が主スイッチ、他方が副スイッチで、負半サイクルで主スイッチと副スイッチの対応を入れ変え、副スイッチを常時オフする第1モードと、副スイッチを常時オンする第2モードの2つの動作パターンを交互に切り替え、第1及び第2モードの組の制御周期を固定とし、第1モードと第2モードの各周期を負荷に応じて調整し、高周波出力電力をほぼ線形に制御する。
(【0011】以降は省略されています)

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