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公開番号2025109211
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-25
出願番号2024002905
出願日2024-01-12
発明の名称高乳化性カカオ調製物およびこれを用いた易分散性チョコレート粉末の製造方法
出願人不二製油株式会社
代理人
主分類A23G 1/56 20060101AFI20250717BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】
カカオバターを多く含むカカオ含有食品について、この風味を損なう事無く、多くの油脂を乳化し得る、高乳化性カカオ調製物及びこれを用いた易分散性チョコレート粉末、ならびにチョコレート飲料を提供する。
【課題を解決するための手段】
カカオを原料に加水しpHを6~10に調整した後、100℃を越える温度で加圧加熱を行うことで、高乳化性カカオ調製物が調製できる。この高乳化性カカオ調製物とカカオマスを水に分散し乾燥させることで、風味と分散性に優れたチョコレート粉末を製造できる。更に、このチョコレート粉末を水に分散させることで、風味の豊かなチョコレート飲料を得ることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
カカオ原料に1~20質量倍の水を加え、pHを6~10に調整した後、100℃を越える温度で加圧加熱処理を行って得た高乳化性カカオ調製物を、更に乾燥する、高乳化性カカオ粉末の製造方法。
続きを表示(約 880 文字)【請求項2】
高乳化性カカオ粉末の可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、請求項1に記載の、高乳化性カカオ粉末の製造方法。
【請求項3】
カカオ原料がココアである、請求項1または請求項2に記載の、高乳化性カカオ粉末の製造方法。
【請求項4】
以下の(A)~(C)の全ての工程を含む、易分散性チョコレート粉末の製造方法
(A)カカオ原料に1~20質量倍の水を加え、pHを6~10に調整した後、100℃を越える温度で加圧加熱を行いカカオ調製物を得る工程。
(B)(A)のカカオ調製物および他のカカオ原料を、固形分として30質量%以上80質量%以下含む分散相を、水に分散させ、平均乳化粒子径が1μm以上10μm以下の水中油型乳化物を得る工程。
(C)水中油型乳化物を乾燥する工程。
【請求項5】
(A)工程におけるカカオ調製物の、可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、請求項4に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
【請求項6】
(A)工程におけるカカオ原料がココアである、請求項4に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
【請求項7】
乾燥方法が噴霧乾燥である、請求項4に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
【請求項8】
固形分中の乳由来原料が0.5質量%以下である、請求項4に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
【請求項9】
固形中に、請求項4(A)のカカオ調製物を0.5~35質量%、カカオマスを25~75質量%、糖類を15~70質量%を含む、請求項4乃至請求項8の何れか1項に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
【請求項10】
カカオに由来する成分について、可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、高乳化性カカオ粉末。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化性に富むカカオ調製物及びこれを用いた易分散性チョコレート粉末に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
チョコレートの風味を楽しむ飲食品であるカカオ含有食品は、カカオに由来する原料を含み、その風味を嗜好要素とする食品であって、チョコレート類、チョコレート飲料、ココア飲料、アイスクリーム等が例示できる。
中でも代表的なココア飲料に用いられるココアパウダーは、カカオマスからカカオバターを除き製造されるため、チョコレート様の濃厚感や脂溶性香気成分に由来する風味が減少する。これを改善する方法として、カカオバターを多く含むチョコレートの粉末化が挙げられる。従来から、粉末状のチョコレートについて、様々な提案がされている。特許文献1は、カカオマス、ショ糖および乳からなる原料を混合する方法であるが、脂肪球がやや大きい。特許文献2は、カカオバターを乳化するための乳化剤を多量に含むため、カカオ本来の風味が損なわれる課題がある。
また、一般的にチョコレート粉末は脂肪(カカオバター)を高濃度に含有する粉末であるため、チョコレート粉末を水に溶解させようとしたとき、水濡れが悪く、容易に分散・溶解せず、一部が溶け残ることで、粉末が水面に浮いたままであったり、逆に沈降して沈殿を生じたりして液中に均一に溶解しない欠点があるが、従来技術ではその解決も十分とは言えない。
【0003】
乳由来乳化物質や低分子乳化剤以外の乳化剤として、特許文献3には、大豆子葉を酸性下に80℃以上130℃以下の温度において抽出して得られた水溶性ヘミセルロースを有効成分とする乳化剤が開示されているが、これを用いても、異風味が目立ち、カカオ本来の風味が損なわれるため、風味と分散性を両立したチョコレート粉末を得るには至らない。
【0004】
カカオを加圧加熱することは以前からも行われていた。特許文献4はカカオをアルカリ処理後に70~130℃の温度で加熱し、更に可溶画分を分離回収するもので、これによりチョコレート風味が向上したとされている。一方で、乳化性については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
WO2017/082364
特開2006-025691号公報
WO93/025302
特公平1-42657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、カカオバターを多く含むカカオ含有食品について、この風味を損なう事無く、多くの油脂を乳化し得る、高乳化性カカオ調製物及びこれを用いた易分散性チョコレート粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、カカオを原料に加水しpHを6~10に調整した後、100℃を越える温度で加圧加熱を行うことで、高乳化性カカオ調製物が調製できること。この高乳化性カカオ調製物、カカオマスおよび糖類を水に分散し乾燥させることで、風味と分散性に優れた易分散性チョコレート粉末を製造できる事、更に、この易分散性チョコレート粉末を水に分散させることで、風味の豊かなチョコレート飲料を得られる事を見出し、発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は
(1)カカオ原料に1~20質量倍の水を加え、pHを6~10に調整した後、100℃を越える温度で加圧加熱処理を行って得た高乳化性カカオ調製物を、更に乾燥する、高乳化性カカオ粉末の製造方法。
(2)高乳化性カカオ粉末の可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、(1)に記載の、高乳化性カカオ粉末の製造方法。
(3)カカオ原料がココアである、(1)または(2)に記載の、高乳化性カカオ粉末の製造方法。
(4)以下の(A)~(C)の全ての工程を含む、易分散性チョコレート粉末の製造方法
(A)カカオ原料に1~20質量倍の水を加え、pHを6~10に調整した後、100℃を越える温度で加圧加熱を行いカカオ調製物を得る工程。
(B)(A)のカカオ調製物および他のカカオ原料を、固形分として30質量%以上80質量%以下含む分散相を、水に分散させ、平均乳化粒子径が1μm以上10μm以下の水中油型乳化物を得る工程。
(C)水中油型乳化物を乾燥する工程。
(5)(A)工程におけるカカオ調製物の、可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、(4)に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
(6)(A)工程におけるカカオ原料がココアである、(4)に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
(7)乾燥方法が噴霧乾燥である、(4)に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
(8)固形分中の乳由来原料が0.5質量%以下である、(4)に記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
(9)固形中に、(4)(A)のカカオ調製物を0.5~35質量%、カカオマスを25~75質量%、糖類を15~70質量%を含む、(4)乃至(8)の何れかに記載の、易分散性チョコレート粉末の製造方法。
(10)カカオに由来する成分について、可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、高乳化性カカオ粉末。
(11)カカオに由来する成分について、可溶性固形分指数が40%以上であり、且つ水溶性窒素指数が40%以上である、高乳化性カカオ調製物を含み、且つ以下の(A)及び(B)の条件を満たす、易分散性チョコレート粉末。
(A)水に分散した際の乳化粒子径が1μm以上10μm以下である。
(B)カカオ原料の固形分に対する比率が30%以上80%以下である。
(12)固形分中に、高乳化性カカオ調製物を0.5~35質量%含む、(11)に記載の、易分散性チョコレート粉末。
(13)固形分中の乳由来原料が0.5質量%以下である、(11)に記載の、易分散性チョコレート粉末。
(14)(4)乃至(8)の何れかに記載の易分散性チョコレート粉末を水または温水に懸濁させた、チョコレート飲料の製造方法。
(15)(11)乃至(13)の何れかに記載の易分散性チョコレート粉末を含んだ、チョコレート粉末飲料。
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従えば、カカオ含有食品の風味を損なう事無く、多くの油脂を乳化し得る、高乳化性カカオ調製物、これを用いた易分散性チョコレート粉末、およびチョコレート飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(カカオ原料およびカカオに由来する成分)
本発明はカカオ原料に加水し加圧加熱を行う。この際のカカオ原料には、カカオ、カカオマス、ココア、カカオバター等を含むものとし、ココアが好ましい。通常のカカオマスは脂質を約50~60%含む。このカカオマスからカカオバターと呼ばれる油脂分を搾油した残渣がココアであり、脂肪分を約8~25%程度含む。ココアケーキを粉砕したものがココアパウダーである。
カカオに由来する成分とは、これらカカオ原料の構成物であり、カカオバターと無脂カカオ固形分に分類される。
(【0011】以降は省略されています)

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