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公開番号2025101934
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2023219042
出願日2023-12-26
発明の名称免震構造の設計システム、設計方法及び設計プログラム
出願人株式会社大林組
代理人個人,個人
主分類E04H 9/02 20060101AFI20250701BHJP(建築物)
要約【課題】巨大地震のレベルによらず、建築物の応答を適切な範囲に制御する免震構造を設計する。
【解決手段】設計システム1は、第1ダンパーの第1減衰特性に関する情報と、第2ダンパーの第2減衰特性に関する情報とを記憶する減衰特性記憶部5を備える。第1減衰特性は、応答量の増大に伴い減衰係数を徐々に、または段階的に低下させるものであり、第2減衰特性は、所定の応答量である切替量において急激に減衰力を高め、切替量がレベル2地震動時の応答量とレベル3地震動時の応答量とのほぼ境界である。設計システム1は、第1ダンパー及び第2ダンパーを配置した建築物の解析モデルに対し、レベル2地震動を入力したときの応答と、レベル3地震動を入力したときの応答とをそれぞれ求め、当該応答が、建築物の性能指標を満たすように第1ダンパー及び第2ダンパーの台数を特定する制御部2とを備える。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
建築物の免震層に配置されるダンパーの減衰特性を記憶する減衰特性記憶部と、応答解析を行う制御部とを備えた免震構造の設計システムにおいて、
前記減衰特性記憶部は、
第1ダンパーの第1減衰特性に関する情報と、
第2ダンパーの第2減衰特性に関する情報とを記憶し、
前記第1減衰特性は、応答量の増大に伴い、減衰係数を徐々に、または段階的に低下させるものであり、
前記第2減衰特性は、応答量の増大に伴い、所定の応答量である切替量において急激に減衰力を高めるものであり、前記切替量がレベル2地震動時の応答量とレベル3地震動時の応答量とのほぼ境界であり、
前記制御部が、
前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を設定した前記建築物の解析モデルに対し、レベル2地震動を入力したときの応答と、レベル3地震動を入力したときの応答とをそれぞれ求め、当該応答が、前記建築物の性能指標を満たすように前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を特定する、免震構造の設計システム。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記制御部は、
前記第1ダンパーを配置した前記建築物の前記解析モデルに対し、前記レベル2地震動を入力して応答を求め、当該応答が、前記レベル2地震動時の性能指標を満たすように前記第1ダンパーの台数を設定し、
前記第1ダンパーの台数が設定された前記解析モデルに前記第2ダンパーをさらに配置し、前記解析モデルに対し、前記レベル3地震動を入力して応答を求め、当該応答が、前記レベル3地震動時の性能指標を満たすように前記第2ダンパーの台数を設定する、請求項1に記載の免震構造の設計システム。
【請求項3】
建築物の免震層に配置されるダンパーの減衰特性を記憶する減衰特性記憶部と、応答解析を行う制御部とを用いる免震構造の設計方法において、
前記減衰特性記憶部は、
第1ダンパーの第1減衰特性に関する情報と、
第2ダンパーの第2減衰特性に関する情報とを記憶し、
前記第1減衰特性は、応答量の増大に伴い、減衰係数を徐々に、または段階的に低下させるものであり、
前記第2減衰特性は、応答量の増大に伴い、所定の応答量である切替量において急激に減衰力を高めるものであり、前記切替量がレベル2地震動時の応答量とレベル3地震動時の応答量とのほぼ境界であり、
前記制御部が、
前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を設定した前記建築物の解析モデルに対し、レベル2地震動を入力したときの応答と、レベル3地震動を入力したときの応答とをそれぞれ求め、当該応答が、前記建築物の性能指標を満たすように前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を特定する、免震構造の設計方法。
【請求項4】
建築物の免震層に配置されるダンパーの減衰特性を記憶する減衰特性記憶部と、応答解析を行う制御部とを用いて、免震構造を設計するプログラムにおいて、
前記減衰特性記憶部は、
第1ダンパーの第1減衰特性に関する情報と、
第2ダンパーの第2減衰特性に関する情報とを記憶し、
前記第1減衰特性は、応答量の増大に伴い、減衰係数を徐々に、または段階的に低下させるものであり、
前記第2減衰特性は、応答量の増大に伴い、所定の応答量である切替量において急激に減衰力を高めるものであり、前記切替量がレベル2地震動時の応答量とレベル3地震動時の応答量とのほぼ境界であり、
前記制御部を、
前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を設定した前記建築物の解析モデルに対し、レベル2地震動を入力したときの応答と、レベル3地震動を入力したときの応答とをそれぞれ求め、当該応答が、前記建築物の性能指標を満たすように前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を特定する手段として機能させる、免震構造の設計プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、免震構造の設計システム、設計方法及びプログラムに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
超高層建築物を含む免震建築物においては、長周期地震動を含む巨大地震への対策が必要とされている。免震建築物には、免震部材として、積層ゴム等の免震支承と、建築物の揺れを減衰させるダンパーとが用いられることが多い(例えば特許文献1参照)。従来の建築基準法に従い、最大級の強さをもつレベル2地震動に対して設計された免震建築物は、レベル2地震動以上の地震(以下、レベル3地震動という)が発生した場合には、その応答変位が大きくなり、免震層の設計クリアランスを超過する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2005-248520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、レベル3地震動に対して免震建築物を設計すると、レベル2地震動時に、免震層よりも上方に位置する上部構造の応答加速度が従来よりも大きくなる。このため、上部構造には、より大きな部材断面が必要となる。このように、レベル2地震動及びレベル3地震動を含めた巨大地震発生時における上部構造の応答変位及び応答加速度はトレードオフ関係にある。このため、ダンパーを適切に配置することで、レベル3地震動時の応答変位を抑制するとともに、それよりも小さいレベル2地震動時の応答加速度を小さくするような、適切な応答を実現ことができる免震構造の設計システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する免震構造の設計システムは、建築物の免震層に配置されるダンパーの減衰特性を記憶する減衰特性記憶部と、応答解析を行う制御部とを備えた免震構造の設計システムにおいて、前記減衰特性記憶部は、第1ダンパーの第1減衰特性に関する情報と、第2ダンパーの第2減衰特性に関する情報とを記憶し、前記第1減衰特性は、応答量の増大に伴い、減衰係数を徐々に、または段階的に低下させるものであり、前記第2減衰特性は、応答量の増大に伴い、所定の応答量である切替量において急激に減衰力を高め、前記切替量が、レベル2地震動時の応答量とレベル3地震動時の応答量とのほぼ境界であり、前記制御部が、前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を設定した前記建築物の解析モデルに対し、レベル2地震動を入力したときの応答と、レベル3地震動を入力したときの応答とをそれぞれ求め、当該応答が、前記建築物の性能指標を満たすように前記第1ダンパー及び前記第2ダンパーの台数を特定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、巨大地震のレベルによらず、建築物の応答を適切な範囲に制御する免震構造を設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
免震構造を備えた建築物の例を模式的に示す断面図である。
同実施形態の減衰係数可変型ダンパーの減衰特性を示す図である。
同実施形態の減衰係数可変型ダンパーの減衰特性を示す表である。
同実施形態の各ダンパーの減衰特性を示す表である。
同実施形態の情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
同実施形態の設計システムのブロック図である。
同実施形態の応答解析のための設定の手順を示すフローチャートである。
同実施形態の応答解析の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1~図8に従って、免震構造の設計システム、設計方法及びプログラムの一実施形態を説明する。
図1は、免震構造の設計システムの対象となる建築物100の一例であって、その免震層101における横断面を模式的に示す。免震層101は、積層ゴム、弾性すべり支承、又は転がり支承等の図示しない免震支承を柱102の直下等に備えている。また、免震層101は、X方向及びY方向に、免震部材である複数の種類のダンパー10を備える。
【0009】
ダンパー10は柱102又は梁103等から構成される躯体と連結されている。ここでは、各ダンパー10は、粘性減衰型ダンパーである。例えば、ダンパー10は、速度依存バイリニア型ダンパー、速度依存増幅機能付きダンパー、及び減衰係数可変型ダンパーである。説明の便宜上、以下において、速度依存バイリニア型ダンパーを単に「オイルダンパー」といい、速度依存増幅機能付きダンパーを「回転増幅ダンパー」という。オイルダンパー及び回転増幅ダンパーは、第1速度依存ダンパーに対応する。減衰係数可変型ダンパーは、第2速度依存ダンパーに対応する。
【0010】
オイルダンパー、回転増幅ダンパー及び減衰係数可変型ダンパーは、最大応答速度以下の範囲のなかに、減衰力及び応答速度の関係に非線形を示す。各ダンパー10は、低速度域において、減衰力及び応答速度の関係に線形を示し、高速度域において、減衰力及び応答速度の関係に非線形を示してもよい。なお、応答速度は、応答量に対応する。
(【0011】以降は省略されています)

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