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公開番号2025094220
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-24
出願番号2025050667,2022502881
出願日2025-03-25,2020-07-14
発明の名称癌ワクチン組成物並びに癌の予防及び/又は治療のために同癌ワクチン組成物を使用する方法
出願人デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 39/00 20060101AFI20250617BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】癌ワクチン組成物並びに癌の予防及び/又は治療のために同癌ワクチン組成物を使用する方法の提供。
【解決手段】本発明は、TGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路が活性化されたPTEN及びp53欠損癌細胞を含む癌ワクチン組成物並びに癌の予防及び/又は治療のために同癌ワクチン組成物を使用する方法に部分的に基づく。1つの態様では癌細胞を含む癌ワクチンであって、前記癌細胞が(1)PTEN欠損であり、(2)p53欠損であり、及び(3)TGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路を活性化するように改変されている、癌ワクチンが本明細書において提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月19日に出願された米国特許仮出願第62/876416号に対する優先権の利益を主張するものであり、前記出願の全内容が参照により本明細書に援用される。
続きを表示(約 6,300 文字)【0002】
権利に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所助成金番号P50 CA168504、CA233810、CA187918、及びR35 CA210057の国庫補助により行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)は胚発生、細胞代謝、腫瘍増殖、及び免疫系の恒常性の制御に重要な役割を果たす多能性サイトカインである(David及びMassague著、(2018年)Nat. Rev. Mol. Cell. Biol.誌、第19巻:419~435頁)。TGFβは細胞膜上に位置するその受容体に結合するとSmadに依存的又はSmadに非依存的であり得る様式でその下流遺伝子の発現を制御する。TGFβはステージ及び細胞背景依存的に癌の発生と進行を制御する(Morikawaら著、(2016年)Cold Spring Harb. Perspect. Biol.誌、第8巻:a021873頁、Prunierら著、(2019年)Trends Cancer誌、第5巻:66~78頁、Seoane及びGomis著、(2017年)Cold Spring Harb. Perspect. Biol.誌、第9巻: a022277頁)。TGFβは前悪性細胞において細胞増殖の停止とアポトーシスを誘導することにより腫瘍形成を抑制する。TGFβシグナル伝達経路の抑制は様々なマウスモデルにおいて腫瘍形成を促進する(Cammareriら著、(2016年)Nat. Commun.誌、第7巻:12493頁、Yuら著、(2014年)Oncogene誌、第33巻:1538~1547頁、Cohenら著、(2009年)Cancer Res.誌、第69巻:3415~3424頁)。TGFβシグナル伝達経路の機能喪失変異も様々なヒト癌で共通して見られる(Levy及びHill著、(2006年)Cytokine Growth Factor Rev.誌、第17巻:41~58頁)。しかしながら、後期の癌ではTGFβは腫瘍転移と薬物耐性を促進する。一方では癌原性変異の蓄積のために癌細胞自身がTGFβによって誘導される増殖停止とアポトーシスを克服する。TGFβはその癌細胞において上皮間葉転換(EMT)を誘導し、その癌細胞の幹細胞性を増強し、血管形成を増加させ、薬物耐性を促進する(Ahmadiら著、(2018年)J. Cell Physiol.誌、第234巻:12173~12187頁)。他方でTGFβはCD4+制御性T細胞(Treg)分化、骨髄細胞由来抑制細胞(MDSC)分化、及びM2マクロファージ分化を促進し、それによって宿主の抗腫瘍免疫を抑制し、このことが癌の増殖と転移を支援する(Dahmani及びDelisle著、(2018年)Cancers誌(バーゼル)、第10巻:194頁)。
TGFβシグナル伝達経路は腫瘍抑制因子としても癌促進因子としても作用し得るため、TGFβシグナル伝達経路を所望の治療目的のために利用する能力が重要な議題となっている。したがって、癌におけるTGFβシグナル伝達経路の役割のより深い理解に基づいて抗癌療法を特定することが当技術分野で大いに必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
David及びMassague著、(2018年)Nat. Rev. Mol. Cell. Biol.誌、第19巻:419~435頁
Morikawaら著、(2016年)Cold Spring Harb. Perspect. Biol.誌、第8巻:a021873頁
Prunierら著、(2019年)Trends Cancer誌、第5巻:66~78頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(例えば、少なくとも1種類のTGFβスーパーファミリータンパク質で処理されて)活性化されたTGFβ-Smad/p63シグナル伝達を有しているPTEN及びp53欠損腫瘍細胞は免疫が正常な宿主の中ではT細胞依存的に腫瘍形成に失敗するという発見に少なくとも部分的に基づいている。これらの腫瘍細胞の投与によって宿主は再発性腫瘍病変及び転移性腫瘍病変から防護されることにもなる。これらの腫瘍細胞を用いて生成されるこの癌ワクチンは、広範囲の免疫応答を誘発することにより腫瘍特異的抗原の提示の欠如、腫瘍の不均一性、及び少ない免疫細胞浸潤といったこの分野の頑強な妨害物を克服することが有利である。これらの作用には、免疫応答を促進し、究極的には細胞傷害性T細胞の活性化と免疫記憶を促進する複数の経路の発現を制御するSmad/p63転写複合体の腫瘍細胞内での活性化が少なくとも部分的に介在することが示された。
【0006】
1つの態様では癌細胞を含む癌ワクチンであって、前記癌細胞が(1)PTEN欠損であり、(2)p53欠損であり、及び(3)TGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路を活性化するように改変されている、癌ワクチンが本明細書において提供される。
【0007】
別の態様では対象において癌の発生を防止する、癌の発症を遅らせる、癌の再発を防止する、及び/又は癌を治療する方法であって、(1)PTEN欠損であり、(2)p53欠損であり、及び(3)TGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路を活性化するように改変されている癌細胞を含む癌ワクチンの治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供され、場合によっては前記対象は癌を患っている。1つの実施形態では前記癌細胞は前記癌ワクチンで治療される前記癌と同じ種類である癌に由来する。別の実施形態では前記癌細胞は前記癌ワクチンで治療される前記癌とは異なる種類である癌に由来する。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンで治療される前記癌はPTEN、p53、及び/又はp110の喪失を特徴とし、場合によっては前記癌がMycをさらに発現する。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンで治療される前記癌は機能するPTEN及び/又はp53を有し、場合によっては前記癌がKras活性化変異G12Dを有する。別の実施形態では前記癌ワクチンは前記対象にとって同種同系性又は異種性である。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは前記対象にとって自家性、適合同種異系性、不適合同種異系性、又は類遺伝子性である。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンで治療される前記癌は乳癌、卵巣癌、又は脳癌からなる群より選択され、例えば乳房腫瘍、卵巣腫瘍、又は脳腫瘍である。
【0008】
本明細書に記載される本発明のいずれかの態様に対して適用可能である多数の実施形態がさらに提供される。例えば、1つの実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路は、前記癌細胞を少なくとも1種類のTGFβスーパーファミリータンパク質と接触させることにより活性化される。別の実施形態では前記少なくとも1種類のTGFβスーパーファミリータンパク質はLAP、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβ5、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンB、アクチビンC、C17ORF99、INHBA、INHBB、インヒビン、インヒビンA、インヒビンB、BMP-1/PCP、BMP-2、BMP-2/BMP-6ヘテロ二量体、BMP-2/BMP-7ヘテロ二量体、BMP-2a、BMP-3、BMP-3b/GDF-10、BMP-4、BMP-4/BMP-7ヘテロ二量体、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-8a、BMP-8b、BMP-9、BMP-10、BMP-15/GDF-9B、デカペンタプレジック/DPP、アルテミン、GDNF、ニュールツリン、パーセフィン、レフティA、レフティB、MIS/AMH、ノーダル、及びSCUBE3からなる群より選択される。さらに別の実施形態では前記少なくとも1種類のTGFβスーパーファミリータンパク質はTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3からなる群より選択される。さらに別の実施形態では前記癌細胞は前記TGFβスーパーファミリータンパク質とインビトロ、インビボ、及び/又はエクスビボで接触させられる。例えば、前記癌細胞は前記TGFβスーパーファミリータンパク質とインビトロ又はエクスビボで接触させられてよい。別の実施形態では前記癌細胞が対象に投与され、前記癌細胞とインビボで接触させるために前記TGFβスーパーファミリータンパク質が前記対象に投与される。さらに別の実施形態では前記TGFβスーパーファミリータンパク質は前記癌細胞の投与の前、投与の後、又は投与と同時に投与される。さらに別の実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路は、前記癌細胞中の表1に記載される少なくとも1種類のバイオマーカーのコピー数、量、及び/若しくは活性を増加させること並びに/又は表2に記載される少なくとも1種類のバイオマーカーのコピー数、量、及び/若しくは活性を減少させることによって活性化される。例えば、表1に記載される少なくとも1種類のバイオマーカーのコピー数、量、及び/又は活性は、前記癌細胞を表1に記載される少なくとも1種類のバイオマーカー若しくはその断片をコードする核酸分子、表1に記載される少なくとも1種類のバイオマーカー若しくはその断片のポリペプチド、又は表1に記載される少なくとも1種類のバイオマーカーに結合する小分子と接触させることにより増加し得る。別の実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路は、Smad2の核内局在を増加させることにより活性化される。さらに別の実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路は、前記癌細胞の核内でのp63とSmad2の結合を増加させることにより活性化される。さらに別の実施形態では表2に記載される少なくとも1種類のバイオマーカーのコピー数、量、及び/又は活性は、前記癌細胞を小分子阻害剤、CRISPRガイドRNA(gRNA)、RNA干渉剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド阻害剤若しくはペプチド模倣物阻害剤、アプタマー、抗体、及び/又は細胞内抗体と接触させることにより減少する。
【0009】
さらに別の実施形態では前記癌細胞は固形癌又は血液癌に由来する。別の実施形態では前記癌細胞は癌細胞株に由来する。さらに別の実施形態では前記癌細胞は原発癌細胞に由来する。さらに別の実施形態では前記癌細胞は乳癌細胞である。別の実施形態では前記癌細胞はトリプル陰性乳癌(TNBC)に由来する。
【0010】
さらに別の実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路の活性化は前記癌細胞において上皮間葉転換(EMT)を誘導する。さらに別の実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路の活性化は前記癌細胞におけるICOSL、PYCARD、SFN、PERP、RIPK3、CASP9、及び/又はSESN1の発現レベルを上昇させる。別の実施形態ではTGFβ-Smad/p63シグナル伝達経路の活性化は前記癌細胞におけるKSR1、KSR1、EIF4EBP1、ITGA5、EMILIN1、CD200、及び/又はCSF1の発現レベルを低下させる。さらに別の実施形態では前記癌細胞は、インビトロで共培養された樹状細胞(DC)を活性化することが可能である。さらに別の実施形態では前記癌細胞はインビトロで前記共培養された樹状細胞においてCD40、CD80、CD86、CD103、CD8、HLA-DR、MHC-II、及び/又はIL1-βを上方制御することが可能である。別の実施形態では前記癌細胞は、インビトロでDCの存在下において共培養されたT細胞を活性化することが可能である。さらに別の実施形態では前記癌細胞は、インビトロでDCの存在下で前記共培養されたT細胞によってTNFα及び/又はIFNγの分泌を増加させることが可能である。さらに別の実施形態では前記癌細胞が免疫正常対象において腫瘍を形成しない。別の実施形態では前記癌ワクチンは細胞傷害性T細胞介在抗腫瘍免疫を引き起こす。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは血液中及び/又は腫瘍微小環境中においてCD4+T細胞及びCD8+T細胞を増加させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは血液中及び/又は腫瘍微小環境中においてTNFα及びINFγ分泌性のCD4+T細胞及びCD8+T細胞を増加させる。別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍組織におけるIcos、Klrc1、Il2rb、Pik3cd、H2-D1、Ccl8、Ifng、Icosl、Il2ra、Cxcr3、Ccr7、Cxcl10、Cd74、H2-Ab1、Hspa1b、Cd45、Lifr、及び/又はTnfの発現を上昇させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍浸潤樹状細胞の量を増加させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍関連DCにおいてCD80、CD103、及び/又はMHC-IIを上方制御する。別の実施形態では前記癌ワクチンは癌中の増殖細胞の数を減少させ、且つ/又は癌細胞を含む腫瘍の体積若しくはサイズを減少させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは最初の免疫部位において癌中の増殖細胞の数を減少させ、且つ/又は癌細胞を含む腫瘍の体積若しくはサイズを減少させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは前記免疫部位に対して遠位にある組織において癌中の増殖細胞の数を減少させ、且つ/又は癌細胞を含む腫瘍の体積若しくはサイズを減少させる。別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍特異的メモリーT細胞応答を誘導する。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは脾臓及び/又はリンパ節におけるCD4+セントラルメモリーT細胞(T
CM
)及び/又はCD4+エフェクターメモリーT細胞(T
EM
)のパーセンテージを増加させる。さらに別の実施形態では癌ワクチンは脾臓CD8+T
CM
細胞のパーセンテージを増加させる。別の実施形態では癌ワクチンは脾臓及び/又はリンパ節におけるCD8+T
EM
細胞のパーセンテージを増加させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍浸潤CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の量を増加させる。さらに別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍浸潤CD4+T
CM
細胞及び/又はCD4+T
EM
細胞の量を増加させる。別の実施形態では前記癌ワクチンは腫瘍浸潤CD8+T
CM
細胞及び/又はCD8+T
EM
細胞の量を増加させる。さらに別の実施形態では前記癌細胞は複製しない。さらに別の実施形態では前記癌細胞は放射線照射のために複製しない。別の実施形態では前記放射線照射は亜致死線量である。
(【0011】以降は省略されています)

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