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公開番号2025093369
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-24
出願番号2023208974
出願日2023-12-12
発明の名称5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩の製造法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C07C 303/22 20060101AFI20250617BHJP(有機化学)
要約【課題】5-スルホイソフタル酸残基が共重合された使用済ポリエステル、より具体的には5-スルホイソフタル酸残基が共重合された廃棄衣料を原料として5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を製造する技術を提供すること。
【解決手段】5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルをエチレングリコール液中で解重合し、未反応エチレングリコールを除去後、解重合溶液に対して100重量%以上4000重量%以下の水を投入し、2℃以上30℃以下に調製後に固形物を除去して5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を含む水溶液を得たのち、水を蒸発させ5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を製造する方法によって解決される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルをエチレングリコール液中で解重合し、未反応エチレングリコールを除去後、解重合溶液に対して100重量%以上4000重量%以下の水を投入し、2℃以上30℃以下に調製後に固形物を除去して5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を含む水溶液を得たのち、水を蒸発させ5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を製造する方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルが、400~800nmに吸光度を示す4級アンモニウム型カチオン染料で染色された共重合ポリエチレンテレフタレート布帛または衣料である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルが、全ジカルボン酸残基に対して5-スルホイソフタル酸残基を1.0モル%以上10.0モル%以下含むポリエステルである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルをエチレングリコール液中で解重合するに際して、金属水酸化物をポリエステル重量に対し500ppm以上50000ppm以下の範囲で投入して解重合を実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を得る方法であって、以下の工程(1)~(3)からなる方法。
(1)5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルを180℃以上210℃以下のエチレングリコール液中で解重合する工程
(2)(1)で得た解重合溶液からエチレングリコールを80℃以上120℃以下の温度範囲で減圧留去した後、(a)または(b)の工程で溶質の70%以上100%以下が5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩の水溶液を得る工程
(a)エチレングリコールを留去した解重合溶液へ、解重合溶液に対して100重量%以上4000重量%以下の水を投入し、液温を2℃以上30℃以下に調製した後、生成した固形物を除去する工程
(b)エチレングリコールを留去した解重合溶液へ、解重合溶液に対して100重量%以上4000重量%以下の水を投入し、液温を80℃以上98℃以下に調製して解重合物の水溶液とした後、2℃以上30℃以下へ冷却し、生成した固形物を除去する工程
(3)工程(2)で得た水溶液から水を留去し、純度70%以上100%の5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)を得る工程
【請求項6】
請求項5に記載の5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を得る方法であって、工程(2)で得られた水溶液に対して陽イオン交換処理を実施後、金属水酸化物を投入して中和処理を実施する、方法。
【請求項7】
回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩であって、純度が70重量%以上100重量%以下の範囲であり、色調L*値が90以上95以下、b*値が-5以上5以下である回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩。
【請求項8】
回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩であって、ジカルボン酸ジメチルエステル化合物を実質的に含まず、純度が70重量%以上100重量%以下であり、不純物として5-スルホイソフタル酸および/またはその金属塩を合計0%以上10%以下、アルキレングリコールおよび/またはその縮合体を合計0%以上10%以下、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートを0%以上10%以下の範囲で含み、回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩の1.0重量%溶液を吸光強度測定した際に得られる400~800nmに吸光度を示す不純物の4級アンモニウム型カチオン染料に由来する吸光強度面積が0以上0.4以下の範囲である回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩。
【請求項9】
請求項7または8に記載の回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩に由来する5-スルホイソフタル酸残基を共重合成分として含む再生ポリエステル組成物または繊維。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルを原料として5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
現代の経済社会は大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会システムで維持されてきたが、天然資源の枯渇や資源採取に伴う自然破壊、温室効果ガス排出による温暖化現象や海面上昇等の環境に対する様々な悪影響が確認されてきた。そのため、限りある資源を効率良く利用して持続ある成長を続けていくため、廃棄物の発生を極力抑え、発生した廃棄物は環境に負荷を与えないように再利用や再資源化する循環型社会システムの構築が必要不可欠となってきている。
【0003】
循環型社会システムを実現する技術として、廃プラスチックを原料モノマー単位まで分解・精製し、得られたモノマーから廃棄前と同品質なプラスチック材料を再生するケミカルリサイクル技術に注目が集まっている。安価で衣料品として好適な物性を示すポリエステルについてもケミカルリサイクルによる再生が期待されており、加水分解やグリコール分解によってポリエステルから原料モノマー単位であるテレフタル酸あるいはビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る技術が検討されている。
【0004】
しかしながら、ポリエステルに含まれるポリエチレンテレフタレート以外の共重合成分、例えばイソフタル酸残基や5-スルホイソフタル酸残基をモノマー単位に再生回収する技術については十分な検討が進んでいない。特に、ポリエステルに共重合することで水溶性、易加水分解性の付与や4級アンモニウム型カチオン染料での鮮やかな染色が可能となる5-スルホイソフタル酸残基をモノマー単位に再生回収し、再び共重合モノマーとして使用可能な品位に精製する技術が求められている。現在のところ、廃棄ポリエステルを原料として色調良好な5-スルホイソフタル酸モノマー、特にポリエステルとの共重合性に優れる5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)およびその金属塩を製造する有力な技術はなく、ナフサを原料として石油化学工業的手法で製造されているのみである(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平7-206805号公報
特開2000-136178号公報
特開2011-132157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1~3の方法では、ナフサを熱分解して得られるm-キシレンをクロム酸で酸化させイソフタル酸とした後、発煙硫酸と接触させることで5-スルホイソフタル酸を得る。5-スルホイソフタル酸はポリエチレンテレフタレートへの共重合性に乏しいため、5-スルホイソフタル酸はさらに金属水酸化物で中和された後、メタノール下、高温高圧条件で反応させ5-スルホイソフタル酸ジメチル金属塩を得、さらに、エチレングリコール下、高温常圧条件で反応させ純度が50%以上70%未満の5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)金属塩を得る。上記手法は反応プロセス数が多く反応条件も厳しいことから、石油原料を消費するだけでなく製造過程における消費エネルギーも多く環境負荷の面で好ましくない。
【0007】
本発明の目的は上記従来技術の問題点を解決可能な手法として、5-スルホイソフタル酸残基が共重合された使用済ポリエステル、より具体的には5-スルホイソフタル酸残基が共重合された廃棄繊維、布片、布帛、衣料を原料として5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を製造する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明である、5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルをエチレングリコール液中で解重合し、未反応エチレングリコールを除去後、解重合溶液に対して100重量%以上4000重量%以下の水を投入し、2℃以上30℃以下に調製後に固形物を除去して5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を含む水溶液を得たのち、水を蒸発させ5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を製造する方法、によって解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、石油化学工業的手法を用いることなく、5-スルホイソフタル酸残基が共重合されたポリエステルから5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩を純度65重量%以上100重量%以下で得ることができる。本発明の方法により得られる回収5-スルホイソフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)および/またはその金属塩をポリエチレンテレフタレートに共重合させることで、新たに石油資源を消費することなくポリエステルへ水溶性、易加水分解性、4級アンモニウム型カチオン染料への染色性等を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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