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公開番号2025073616
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-13
出願番号2023184547
出願日2023-10-27
発明の名称複合材料物性推定方法、複合材料物性推定装置およびプログラム
出願人国立大学法人京都工芸繊維大学
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 27/00 20060101AFI20250502BHJP(測定;試験)
要約【課題】母材中に複数のフィラが分散された複合材料の物性を高い精度で推定できる複合材料物性推定方法、複合材料物性推定装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】複合材料物性推定方法は、不均質介在物Ωおよび母材Dと誘電率が等しい介在物Γから構成される二重介在物Vを含む複合材料について、誘電率テンソルC、CΩ、EshelbyテンソルSΩ、SV、固有電場ベクトル<E>Ω、<E>Γ、作用電束密度ベクトルD0、作用電場ベクトルE0および体積含有率f、fVに基づいて、母材Dと不均質介在物Ωとの誘電率の違いに起因した不均質介在物Ω内の等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトル<E>Ωを算出するステップと、等価固有電場ベクトル<E>Ωを用いて、複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
母材と、前記母材中に埋設され前記母材と誘電率が異なる第1不均質介在物および前記母材と誘電率が等しく前記第1不均質介在物を囲繞する第2介在物から構成される複数の二重介在物と、を含む複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記第1不均質介在物の誘電率を示す第1不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物の形状を示す第1不均質介在物形状パラメータと、前記二重介在物の形状を示す二重介在物形状パラメータと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記第1不均質介在物のEshelbyテンソルである第1不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記二重介在物形状パラメータに基づいて、前記二重介在物のEshelbyテンソルである二重介在物Eshelbyテンソルを生成するステップと、
前記第1不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルを取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用させたときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記二重介在物中における前記第1不均質介在物の体積含有率と、母材中の前記二重介在物の体積含有率と、を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記第1不均質介在物誘電率テンソル、前記第1不均質介在物Eshelbyテンソル、前記二重介在物Eshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトルおよび前記の2つの体積含有率に基づいて、前記第1不均質介在物における等価固有電場の体積平均と前記二重介在物内における等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
続きを表示(約 8,000 文字)【請求項2】
前記複合材料の物性を推定するステップでは、前記二重介在物内の固有電束密度の体積平均を示す二重介在物固有電束密度ベクトルと、前記第1不均質介在物内の固有電束密度の体積平均を示す第1不均質介在物固有電束密度ベクトルと、のうちの少なくとも1つを推定する、
請求項1に記載の複合材料物性推定方法。
【請求項3】
母材と、前記母材中に埋設され前記母材と誘電率が異なる不均質介在物と、を含み、前記母材中において複数の前記不均質介在物を含むクラスタが複数存在し且つ前記母材中における複数の前記クラスタの外側には前記不均質介在物が存在しない複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記不均質介在物の誘電率を示す不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記不均質介在物の形状を示す不均質介在物形状パラメータと、前記クラスタの形状を示すクラスタ形状パラメータと、を取得するステップと、
前記不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記不均質介在物のEshelbyテンソルである不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記クラスタ形状パラメータに基づいて、前記クラスタのEshelbyテンソルであるクラスタEshelbyテンソルを算出するステップと、
前記不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルを取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用ときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記クラスタ中における1つの前記不均質介在物の体積含有率である不均質介在物体積含有率と、前記クラスタ中における前記クラスタに含まれる全ての前記不均質介在物の体積含有率であるクラスタ内不均質介在物総体積含有率と、前記複合材料中における前記クラスタの体積含有率であるクラスタ体積含有率を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記不均質介在物誘電率テンソル、前記不均質介在物Eshelbyテンソル、前記クラスタEshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトル、前記不均質介在物体積含有率、前記クラスタ内不均質介在物総体積含有率および前記クラスタ体積含有率に基づいて、前記母材と前記不均質介在物との誘電率の違いに起因した前記不均質介在物内の等価固有電場と前記クラスタ内の等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
【請求項4】
母材と、前記母材中に埋設され前記母材と誘電率が異なる不均質介在物と、を含み、前記母材中において複数の前記不均質介在物を含むクラスタが複数存在し且つ前記母材中における複数の前記クラスタの外側にも前記不均質介在物が存在する複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記不均質介在物の誘電率を示す不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記不均質介在物の形状を示す不均質介在物形状パラメータと、前記クラスタの形状を示すクラスタ形状パラメータと、を取得するステップと、
前記不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記不均質介在物のEshelbyテンソルである不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記クラスタ形状パラメータに基づいて、前記クラスタのEshelbyテンソルであるクラスタEshelbyテンソルを算出するステップと、
前記不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルを取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用ときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記クラスタ中における1つの前記不均質介在物の体積含有率である不均質介在物体積含有率と、前記クラスタに含まれる全ての前記不均質介在物の前記クラスタ中の体積含有率であるクラスタ内不均質介在物総体積含有率および前記複合材料の前記クラスタの外側の領域に含まれる全ての前記不均質介在物の前記クラスタの外側の領域中の体積含有率であるクラスタ外不均質介在物総体積含有率と、前記複合材料中における前記クラスタの体積含有率であるクラスタ体積含有率を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記不均質介在物誘電率テンソル、前記不均質介在物Eshelbyテンソル、前記クラスタEshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトル、前記不均質介在物体積含有率、前記クラスタ内不均質介在物総体積含有率、前記クラスタ外不均質介在物総体積含有率および前記クラスタ体積含有率に基づいて、前記母材と前記不均質介在物との誘電率の違いに起因した前記不均質介在物内の等価固有電場と前記クラスタ内の等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
【請求項5】
母材と、前記母材中に埋設され誘電率、固有電場および配向のうちの少なくとも1つが互いに異なり且つ前記母材と誘電率が異なる複数種類の不均質介在物と、を含み、前記母材中において複数種類の前記不均質介在物を含むクラスタが複数存在し且つ前記母材中における複数の前記クラスタの外側には前記不均質介在物が存在しない複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記不均質介在物の誘電率を示す不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記不均質介在物の形状を示す不均質介在物形状パラメータと、前記クラスタの形状を示すクラスタ形状パラメータと、を取得するステップと、
前記不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記不均質介在物のEshelbyテンソルである不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記クラスタ形状パラメータに基づいて、前記クラスタのEshelbyテンソルであるクラスタEshelbyテンソルを算出するステップと、
前記不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルを取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用ときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記クラスタ中における複数種類の前記不均質介在物それぞれの1つの体積含有率である不均質介在物体積含有率と、前記クラスタに含まれる複数種類の不均質介在物それぞれについて前記クラスタにおける前記不均質介在物の体積含有率であるクラスタ内不均質介在物総体積含有率と、前記複合材料中における前記クラスタの体積含有率であるクラスタ体積含有率を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記不均質介在物誘電率テンソル、前記不均質介在物Eshelbyテンソル、前記クラスタEshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトル、前記不均質介在物体積含有率、前記クラスタ内不均質介在物総体積含有率および前記クラスタ体積含有率に基づいて、前記母材と前記不均質介在物との誘電率の違いに起因した前記クラスタ内の等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
【請求項6】
母材と、前記母材中に埋設され誘電率、固有電場および配向のうちの少なくとも1つが互いに異なり且つ前記母材と誘電率が異なる複数種類の不均質介在物と、を含み、前記母材中において複数種類の前記不均質介在物を含むクラスタが複数存在し且つ前記母材中における複数の前記クラスタの外側にも前記不均質介在物が存在する複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記不均質介在物の誘電率を示す不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記不均質介在物の形状を示す不均質介在物形状パラメータと、前記クラスタの形状を示すクラスタ形状パラメータと、を取得するステップと、
前記不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記不均質介在物のEshelbyテンソルである不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記クラスタ形状パラメータに基づいて、前記クラスタのEshelbyテンソルであるクラスタEshelbyテンソルを算出するステップと、
前記不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルを取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用ときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記クラスタ中における複数種類の前記不均質介在物それぞれの1つの体積含有率である不均質介在物体積含有率と、前記クラスタに含まれる複数種類の不均質介在物それぞれについての前記クラスタに含まれる全ての前記不均質介在物の前記クラスタ中の体積含有率であるクラスタ内不均質介在物総体積含有率および前記複合材料の前記クラスタの外側の領域に含まれる全ての前記不均質介在物の前記クラスタの外側の領域中の体積含有率であるクラスタ外不均質介在物総体積含有率と、前記複合材料中における前記クラスタの体積含有率であるクラスタ体積含有率を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記不均質介在物誘電率テンソル、前記不均質介在物Eshelbyテンソル、前記クラスタEshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトル、前記不均質介在物体積含有率、前記クラスタ内不均質介在物総体積含有率、前記クラスタ外不均質介在物総体積含有率および前記クラスタ体積含有率に基づいて、前記母材と前記不均質介在物との誘電率の違いに起因した前記クラスタ内の等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
【請求項7】
前記複合材料の物性を推定するステップでは、前記クラスタ内の固有電束密度の体積平均を示すクラスタ固有電束密度ベクトルと、前記不均質介在物内の固有電束密度の体積平均を示す不均質介在物内固有電束密度ベクトルと、前記クラスタにおける不均質介在物の外側の固有電束密度の体積平均を示す不均質介在物外固有電束密度ベクトルと、のうちの少なくとも1つを推定する、
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の複合材料物性推定方法。
【請求項8】
前記複合材料の物性を推定するステップでは、前記複合材料中の前記不均質介在物内の固有電束密度の体積平均を示す不均質介在物内固有電束密度ベクトルと、前記複合材料中に生じる相互作用電束密度ベクトルと、前記複合材料全体の巨視的誘電率を示す巨視的誘電率テンソルと、のうちの少なくとも1つを推定する、
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の複合材料物性推定方法。
【請求項9】
母材と、前記母材中に埋設され前記母材と誘電率が異なる第1不均質介在物、前記第1不均質介在物と誘電率が異なり前記第1不均質介在物を囲繞する第2不均質介在物および前記母材と誘電率が等しく前記第2不均質介在物を囲繞する第3介在物から構成される複数の三重介在物と、を含む複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記第1不均質介在物の誘電率を示す第1不均質介在物誘電率テンソルと、前記第2不均質介在物の誘電率を示す第2不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物の形状を示す第1不均質介在物形状パラメータと、前記第2不均質介在物の形状を示す第2不均質介在物形状パラメータと、前記三重介在物の形状を示す三重介在物形状パラメータと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記第1不均質介在物のEshelbyテンソルである第1不均質介在物Eshelbyテンソルを算出し、前記第2不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記第2不均質介在物のEshelbyテンソルである第2不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記三重介在物形状パラメータに基づいて、前記三重介在物のEshelbyテンソルである三重介在物Eshelbyテンソルを算出するステップと、
前記第1不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルと、前記第2不均質介在物が有する固有電場を示す第2固有電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用ときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記第2不均質介在物中における前記第1不均質介在物の体積含有率である第1不均質介在物体積含有率と、前記三重介在物中の前記第2不均質介在物の体積含有率である第2不均質介在物体積含有率と、複合材料中の前記三重介在物の体積含有率である三重介在物体積含有率と、を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記第1不均質介在物誘電率テンソル、前記第1不均質介在物Eshelbyテンソル、前記第2不均質介在物誘電率テンソル、前記第2不均質介在物Eshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記第2固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトル、前記第1不均質介在物体積含有率、前記第2不均質介在物体積含有率および前記三重介在物体積含有率に基づいて、前記母材と前記第2不均質介在物との誘電率の違いに起因した前記第2不均質介在物内の等価固有電場の体積平均を示す第2不均質介在物等価固有電場ベクトルと前記三重介在物内の等価固有電場の体積平均を示す三重介在物等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記第2不均質介在物等価固有電場ベクトルおよび前記三重介在物等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
【請求項10】
母材と、前記母材中に埋設され前記母材と誘電率が異なる第1不均質介在物および前記第1不均質介在物と誘電率が異なり前記第1不均質介在物を囲繞する第2不均質介在物から構成される複数の二重不均質介在物と、を含み、前記母材中において複数の前記二重不均質介在物を含むクラスタが複数存在し且つ前記母材中における複数の前記クラスタの外側には前記二重不均質介在物が存在しない複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記第1不均質介在物の誘電率を示す第1不均質介在物誘電率テンソルと、前記第2不均質介在物の誘電率を示す第2不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物の形状を示す第1不均質介在物形状パラメータと、前記二重不均質介在物の形状を示す二重不均質介在物形状パラメータと、前記クラスタの形状を示すクラスタ形状パラメータと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記第1不均質介在物のEshelbyテンソルである第1不均質介在物Eshelbyテンソルを算出し、前記二重不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記二重不均質介在物のEshelbyテンソルである二重不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記クラスタ形状パラメータに基づいて、前記クラスタのEshelbyテンソルであるクラスタEshelbyテンソルを算出するステップと、
前記第1不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルと、前記第2不均質介在物が有する固有電場を示す第2固有電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用ときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記二重不均質介在物中における前記第1不均質介在物の体積含有率である第1不均質介在物体積含有率と、前記クラスタ中における1つの前記二重不均質介在物の体積含有率である二重不均質介在物体積含有率と、前記クラスタに含まれる全ての前記二重不均質介在物の体積含有率であるクラスタ内二重不均質介在物総体積含有率および前記複合材料中における前記クラスタの体積含有率であるクラスタ体積含有率を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記第1不均質介在物誘電率テンソル、前記第2不均質介在物誘電率テンソル、前記第1不均質介在物Eshelbyテンソル、前記二重不均質介在物Eshelbyテンソル、前記クラスタEshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記第2固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトル、前記第1不均質介在物体積含有率、前記二重不均質介在物体積含有率、前記クラスタ内二重不均質介在物総体積含有率および前記クラスタ体積含有率に基づいて、前記母材と前記第1不均質介在物と前記第2不均質介在物とで誘電率が互いに異なること起因した前記第1不均質介在物内の等価固有電場の体積平均を示す第1等価固有電場ベクトル、前記二重不均質介在物内の等価固有電場の体積平均を示す二重不均質介在物等価固有電場ベクトルおよび前記クラスタ内の等価固有電場の体積平均を示すクラスタ等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記第1等価固有電場ベクトル、前記二重不均質介在物等価固有電場ベクトルおよび前記クラスタ等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む、
複合材料物性推定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料物性推定方法、複合材料物性推定装置およびプログラムに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
母相の中に1種類の母相とは異質のフィラが分散してなる複合材の熱・電磁気的性質を表す物性値を、Eshelbyの等価介在物法とMori-Tanakaの定理とに基づいて推定する物性値推定方法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。この物性値推定方法では、一様且つ等方性を有する無限体である母相の中に、有限且つ母相とは異質の複数の楕円体状のフィラが存在する複合材についての物性値を推定している。具体的には、前述の複合材の母相中におけるフィラの体積分率を用いてフィラと母相との間の相互干渉を考慮して、複合材に外部電束密度を印加したときの複合材中における電束密度場と電場との関係式を導出し、導出した関係式に基づいて複合材の誘電率を推定する。また、電束密度を電流密度と読み替えることによって、複合材の電気伝導度を推定する。さらに、電束密度を磁束密度、電場を磁場と読み替えることによって、複合材の透磁率を推定する。これら電磁気問題に加えて、電束密度を熱流速、電場を温度勾配と読み替えることによって、複合材の熱伝導率を推定する。これ以降では、電束密度、電場と誘電率の関係を用いて説明する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
田谷稔、”複合材の物性値推定のためのマイクロ・メカニックスモデルの基礎と応用(1)”、まてりあ、33巻 第4号、p276-p288、1994年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複合材の中にフィラを分散させた場合、母相中において複数のフィラが局所的に偏在してクラスタを形成していたり、このクラスタの形成によってクラスタ内とその外側に存在するフィラの近傍の電場の大きさが異なっていたりする場合がある。従って、非特許文献1に記載された物性値の推定方法では、実際の複合材の構造がモデルに十分に反映されておらず、複合材の物性値を精度良く推定できない虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、母材中に複数のフィラが分散された複合材料の物性を高い精度で推定できる複合材料物性推定方法、複合材料物性推定装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る複合材料物性値推定方法は、
母材と、前記母材中に埋設され前記母材と誘電率が異なる第1不均質介在物および前記母材と誘電率が等しく前記第1不均質介在物を囲繞する第2介在物から構成される複数の二重介在物と、を含む複合材料の熱・電磁気的物性を推定する複合材料物性推定方法であって、
前記母材の誘電率を示す母材誘電率テンソルと、前記第1不均質介在物の誘電率を示す第1不均質介在物誘電率テンソルと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物の形状を示す第1不均質介在物形状パラメータと、前記二重介在物の形状を示す二重介在物形状パラメータと、を取得するステップと、
前記第1不均質介在物形状パラメータに基づいて、前記第1不均質介在物のEshelbyテンソルである第1不均質介在物Eshelbyテンソルを算出するとともに、前記二重介在物形状パラメータに基づいて、前記二重介在物のEshelbyテンソルである二重介在物Eshelbyテンソルを生成するステップと、
前記第1不均質介在物が有する固有電場を示す第1固有電場ベクトルを取得するステップと、
前記複合材料に予め設定された電束密度を作用させるときの電束密度を示す作用電束密度ベクトルと、前記複合材料に前記電束密度を作用させたときの前記複合材料の電場を示す作用電場ベクトルと、を取得するステップと、
前記二重介在物中における前記第1不均質介在物の体積含有率と、母材中の前記二重介在物の体積含有率と、を取得するステップと、
前記母材誘電率テンソル、前記第1不均質介在物誘電率テンソル、前記第1不均質介在物Eshelbyテンソル、前記二重介在物Eshelbyテンソル、前記第1固有電場ベクトル、前記作用電束密度ベクトル、前記作用電場ベクトルおよび前記の2つの体積含有率に基づいて、前記第1不均質介在物における等価固有電場の体積平均と前記二重介在物内における等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出するステップと、
前記等価固有電場ベクトルを用いて、前記複合材料の熱・電磁気的物性を推定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、母材誘電率テンソル、第1不均質介在物誘電率テンソル、第1不均質介在物Eshelbyテンソル、クラスタEshelbyテンソル、第1固有電場ベクトル、作用電束密度ベクトル、作用電場ベクトルおよび体積含有率に基づいて、第1不均質介在物とクラスタ内の等価固有電場の体積平均を示す等価固有電場ベクトルを算出する。そして、算出した等価固有電場ベクトルを用いて、複合材料の熱・電磁気的物性を推定する。推定結果にはクラスタ内の第1不均質介在物の体積含有率が含まれ、この大きさと第1不均質介在物の局所的な偏在による影響を結びつけることで、これら第1不均質介在物が母材中に分散された複合材料の実際の状態により近いモデルで複合材料の熱・電磁気的物性を推定することができるので、複合材料の熱・電磁気的物性の推定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施の形態に係る複合材料のモデルを示し、(A)は母材中に楕円体状の1つの不均質介在物が存在するモデルを示す模式図であり、(B)は母材中に一方向に配列した複数の不均質介在物が存在するモデルを示す模式図であり、(C)は母材中に一方向に配列した複数の二重不均質介在物が存在するモデルを示す模式図である。
実施の形態に係る第1種混合二重不均質介在物モデルを示す模式図である。
(A)は、実施の形態に係る複合材料の高レベルクラスタモデルを示す模式図であり、(B)はその第1種混合二重介在物モデルを示す模式図である。
(A)は実施の形態に係る複合材料の低レベルクラスタモデルを示す模式図であり、(B)は実施の形態に係る複合材料の他の低レベルクラスタモデル模式図である。
(A)は実施の形態に係る複合材料の多種類高レベルクラスタモデルを示す模式図であり、(B)は実施の形態に係る複合材料の多種類低レベルクラスタモデルを示す模式図である。
実施の形態に係る第1種混合三重不均質介在物モデルを示す模式図である。
実施の形態に係る二重不均質介在物低レベルクラスタモデルを示す模式図である。
実施の形態に係る複合材料のモデルを示し、(A)は二重不均質介在物高レベルクラスタモデルを示す模式図であり、(B)は二重不均質介在物低レベルクラスタモデルを示す模式図である。
実施の形態に係る複合材料物性推定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
実施の形態に係る複合材料物性推定装置の機能構成を示すブロック図である。
実施の形態に係る複合材料物性推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る複合材料物性推定方法では、特に、繊維の織物、編物以外の粒子、繊維、フレーク等の強化基材(フィラ)を母材に分散させた複合材料の熱・電磁気的物性を推定する。この複合材料物性推定方法では、複合材料の構造を10種類のモデルのいずれかで近似し、採用したモデルを用いて複合材料の熱・電磁気的物性を推定する。10種類のモデルとしては、後述する混合二重介在物モデル、一方向配向高レベルクラスタモデル、一方向配向低レベルクラスタモデル、多種類高レベルクラスタモデル、多種類低レベルクラスタモデル、混合三重介在物モデル、一方向配向二重不均質介在物高レベルクラスタモデル、一方向配向二重不均質介在物低レベルクラスタモデル、多種類二重不均質介在物高レベルクラスタモデル、多種類二重不均質介在物低レベルクラスタモデルが挙げられる。まず、これらのモデルの基となるEshelbyの等価介在物法とMori-Tanakaの定理について簡単に説明する。
【0010】
Eshelbyの等価介在物法では、まず、図1(A)に示すように、複合材料が、等方且つ均質な母材D内に楕円体形状の不均質介在物Ωが存在するモデルで近似できるとする。ここで、不均質介在物Ωは、母材Dとは異なる誘電率e
D*
ij
を有するとともに、固有電場E


を有し、母材Dと完全に接着している。図1(A)に示すモデルでは、Eshelbyの等価介在物法から下記式(1)の等価式が導出される。
(【0011】以降は省略されています)

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