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公開番号
2025070913
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-02
出願番号
2023194006
出願日
2023-10-20
発明の名称
空気存在下で、水あるいは水と塩類、金属あるいは天然由来の素材の混在下、様々なエネルギー供与によって窒素固定、炭酸固定あるいは有機物合成を行う方法
出願人
個人
代理人
主分類
C01B
21/082 20060101AFI20250424BHJP(無機化学)
要約
【課題】 水と空気、および熱をはじめとするあらゆるエネルギーを供与することで、窒素化合物および炭素化合物を合成する手段を提供することである。
【解決手段】 空気の存在下、容器に水のみ、または水に塩類、金属あるいはその他の天然由来の素材を共存させ、熱、光、または電気などエネルギーを供与することにより窒素化合物、および炭素化合物を合成する方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
空気の存在下、水にエネルギーを供与することにより窒素化合物、炭素化合物を合成することを特徴とする、窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
続きを表示(約 540 文字)
【請求項2】
エネルギー供与が熱であることを特徴とする、請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
【請求項3】
水がイオン交換水、あるいは塩類、金属、天然の岩石あるいは砂礫、天然由来の素材を混入させた溶液あるいは懸濁液であることを特徴とする、請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
【請求項4】
天然由来の素材が、シリカゲル、ゼオライト、タルク、アルミナ、活性白土、フロリジールまたはこれらを加工したものであることを特徴とする、請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
【請求項5】
エネルギー供与がマイクロ波であることを特徴とする、請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
【請求項6】
エネルギー供与が超音波であることを特徴とする、請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
【請求項7】
エネルギー供与が直流電流であることを特徴とする、請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
【請求項8】
エネルギー供与が光であることを特徴とする、1.請求項1に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気存在下で、水、あるいは水と塩類、金属あるいは天然由来の素材の混在下、加熱、超音波照射、あるいは通電など様々なエネルギー供与によって窒素固定、炭酸固定あるいは有機物合成を行う方法に関する。
続きを表示(約 5,600 文字)
【背景技術】
【0002】
発明者は、先に水あるいは水と塩類、金属あるいは天然由来の素材の混在下、紫外線を照射することにより、窒素固定、炭酸固定あるいは有機物合成を行うことを発見した(特許文献1)。紫外線には強いエネルギーがあり、照射により分子間結合を破壊したり、イオン化したり、分子をより高いエネルギー状態にすると考えられる。水に紫外線照射すると、水の分解が起こり、同時に空気中の窒素および二酸化炭素と反応が起こり、窒素固定、炭酸固定もしくは有機物合成が引き起こされると思われる。発明者は水に紫外線以外のエネルギーを与えても、同様な反応が引き起こされる可能性があると考え、最も簡単にエネルギーを供与できる温度に着目した。以下に詳細を示す。
1.特願2023-132168
【0003】
1. 温度の効果
温度の効果は、密閉容器に水を封じ、恒温槽を用いて様々な温度での窒素固定、炭酸固定および有機物合成について調べた。100mLの密閉容器(DO瓶)に20mLのイオン交換水を入れ、蓋をして密閉し、6℃、20℃、40℃、50℃、60℃、70℃、および80℃に設定した恒温槽に約20時間静置した。このpH、アンモニウム、亜硝酸、硝酸、アミノ酸、糖について調べ、始めの数値、あるいは濃度と比較を行なった。
測定は窒素系では、アンモニウムイオン(NH
4
+
)については、インドフェノール法(非特許文献1)、チモール一次亜塩素酸法(非特許文献2)、あるいはネスラー法(非特許文献3)を、亜硝酸イオン(NO
2
-
)はナフチルエチレンジアミン法(非特許文献4)を、硝酸イオン(NO
3
-
)はフェノール・ジスルホン酸法(非特許文献5)を用いた。糖系では、パークジョンソン法(非特許文献7)、硫酸一硝酸銀法(非特許文献8)、フェノール一硫酸法(非特許文献9)、ソモギー法、(非特許文献10)、セリワノフ法(非特許文献11)などを用いた。アミン類およびアミノ酸などはニンヒドリン法(非特許文献12)を用いた。
1.JIS K 0102工場排水試験方法、財団法人日本規格協会148~149(2008) 2.W.Kh.Klibus,’T.N.Nazarchuk:J.Anal.Chem USSR,16,80(1961) 3.日本工業規格JIS G 1228(1969) 4.日本工業規格JISK0102、工場排水試験方法(2008)43.1.1 5.加藤、沖中、堺 分析化学3:231(1954) 6.Langenfeld,N.J.,Payne,L.E and Bugbee,B.(2021)PLoS ONE 16(11):e029760 7.Park,J.T.et al.J.Biol.Chem.,181,149(1949). 8.丹羽一彦著、化学大辞典編集委員会(編)編『化学大辞典』1巻(縮刷版第26版)、共立、1981年10 9.Dubois,M.et al.:Anal.Chem.,28,350(1956). 10.Somogyi,M.:J.Biol.Chem.,125,399(1938) 11.Sanchez-Viesca,Francisco,and Reina Gomez.Modern Chemistry 6.1(2018):1-5 12.S.Lie.1nst.Brew.vo.179,p.37-41(1973)
結果は図1に示した。いずれも温度が高いほどpHが上昇し、アンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸、糖の生成が盛んになることが判った。すなわち、窒素固定、炭酸固定、アミノ酸合成、糖合成が促進されることである。これは紫外線を照射した時と同様であった(特許文献1)。なお、測定結果の表示において、アミン類もしくはアミノ酸のみが濃度ではなく、吸光度(OD)で示してあるのは検出感度のためである。低いODでは検出感度を外れてしまうため、誤差が大きくなるため、敢えて換算せずそのままODで示した。
[図1]
【0004】
2.水道水とイオン交換樹脂で精製した水の比較
1.の結果から、通常の温度で保存した水はすでにこれら合成が生じていることが考えられるので、イオン交換樹脂を通す前の水道水と、樹脂を通ったばかりのイオン交換水とを比較した。この時の水温は16℃であった。結果は図2に示してある。図から明らかなように、水道水においては、アンモニウム生成は微量ではあるが発生し、硝酸イオンの存在は顕著であった。このことから、温度差を通過した水には、主として硝酸イオンの存在という履歴がつくことが想定される。従って、水はイオン交換樹脂を通った真っ新なものを直ちに冷却し、空気が入らないように密閉し、暗所冷却保存したものを今後の試水とした。
[図2]
【0005】
3.密閉容器を脱気し、空気成分を封入した時の加熱
水の温度による反応が、空気中の成分(窒素、酸素、および二酸化炭素)と起こっていることを調べるために、密閉フラスコに100mLの水を入れ、アスピレーターで少なくとも45分間脱気し、1)脱気状態のまま、2)窒素を封入、3)二酸化炭素を封入、4)空気を封入し、2)~4)は室温で1気圧に保ったものを、それぞれ4時間、80℃で加温した。結果は図3に示した。
pHは脱気したものについてはpH7を示し、正確に中性であった。これは空気中の二酸化炭素が抜けたことによるものである。脱気状態のまま加熱したものについては、アンモニウム合成は全くなく、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸、糖についても全く見られなかった。これは水と反応するための基質が存在しないため、当然である。窒素を封入したものでは、アンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸でわずかに上昇、糖では全く見られなかった。これも基質となる窒素のみ供与されたため、還元されたアンモニウムや酸化された亜硝酸イオン、硝酸イオンが生産されたのは当然と思えた。還元や酸化に使われた水素や酸素は水の分解によるものと考えられた。
二酸化炭素を封入したものでは、pHは溶け込んだ二酸化炭素が炭酸に変化したため酸性を示している。アンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオンなど窒素化合物の上昇は全く見られず、糖で大きく上昇した。一方、空気を封入したものでは、全ての化合物が大きく上昇した。以上の結果から、熱によって水が分解を受け、空気中の窒素、酸素、および二酸化炭素が化合して、窒素固定、炭酸固定、アミン類もしくはアミノ酸合成、糖合成が起こったものと考えられた。
[図3]
以上から、熱によるエネルギー付与により、水が空気と反応し、紫外線と同様に窒素固定、炭酸固定、アミン類もしくはアミノ酸合成、糖合成が起こることが示された。
【0006】
4.超音波照射
次にエネルギー供与に超音波照射を試みた。超音波の効果だけを検証する目的で、超音波による発熱を抑えるために冷却しながら、かつ照射時間を短く、静置時間を伸ばした間歇的な方法で行なった。イオン交換水100mLをビーカーに入れ、氷を入れたバットに漬けながら、超音波ホモジナイザー(ヤマト化学LUH300)を用い、20kHz、40Wで2秒照射、15秒静置の間歇照射を繰り返し、80分の間、時間を追って、pH、アンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸、糖類を調べた。結果は図4に示してある。
図の通り、全てのものについて、時間と共に増加していることが判る。温度によらない超音波の作用によりこれら反応が引き起こされたものと考えられる。
[図4]
【0007】
5.電気分解法によるエネルギー供与
水に通電することで水を分解し、水素と酸素を生じさせる方法はよく知られている。エネルギー供与としては最も良く知られている方法である。この時に加熱によって見られたような、窒素固定、炭酸固定や有機物合成が起こっているかどうかを調べた。
水平型電気泳動装置(東洋紡製アガロース電気泳動装置ゲルメイト)を用い、陰極と陽極の槽にそれぞれ150mLの水を入れ、両極を濾紙で接続した。濾紙には食品包装用ラップフィルムを被せ、乾燥を防いだ。通電によってジュール熱が発生し、発熱が起こるので、槽全体をバットに入れ、バットに氷水を入れ冷却した。また、通電される濾紙部分は抵抗が大きく、ここにも発熱が予想されるので、氷冷したアイスパックを置き冷却した。これにより、通電中の温度上昇は抑えられた。従って、温度上昇による影響は無いと考えられた。両極に直流電源(Jookoo Co.,Ltd.,Tokyo,Japan,Power Supply Type-PAV-50)を接続し、400V(40mA)で80分通電した。時間を追って、pH、アンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸、糖類について変化を記録した。結果は図5に示した。陰極にはH
+
が、陽極にはOH
-
が来るため、陰極では酸性に、陽極ではアルカリとなった。陰極側と比べ、陽極側では全てのものが増加していた。還元および酸化反応は水酸イオン(OH
-
)の存在する陽極側で起こっているため、還元も酸化もOH
-
の寄与によることが窺われる。通電することで水にエネルギーが供与され、温度と同様に窒素固定、炭酸固定、および有機物合成が起こることが示された。
[図5]
【0008】
6.可視光の効果
さらに先に紫外線照射でエネルギーを与えることは発明者によってすでに報告済みであるが(特許文献1)、紫外線の他、可視光ではどうかを調べた。ビーカーに20mLのイオン交換水を入れ、晴天時に太陽光に当てた(48,000lx)。一つはそのまま、もう一つは紫外線遮蔽板を上に置き、晴天の状態のまま5時間照射した。紫外線遮蔽板は光のうち400nm以下の波長の紫外線を遮蔽する能力がある。照射後、ビーカーを秤量し、最初の重量に合わせ、蒸発した水分を補填し、それぞれの生成物を調べた。結果は図6に示してある。予測通り、遮蔽フィルターを付けていないものの方が、すなわち、紫外線を含む光を照射したものの方が、いずれも高い数値を示したが、紫外線遮蔽フィルターを付け、可視光のみにしたものは小さい数値となった。しかしながら、可視光であってもいずれも無処理の水と比べアンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸、糖類が高い数値となり、可視光においてもこれら合成が起こることが示された。
[図6]
以上から、水に何らかのエネルギーを投与することにより、アンモニウム、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アミン類もしくはアミノ酸、および糖類などが生成されることが判った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、水に対し、エネルギーを供与することにより、窒素化合物および炭酸化合物を生産させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、容器に水を入れ、そこに熱、圧力、マイクロ波、超音波、電気などのエネルギーを付与することにより、上記の問題を解決できるとの知見を得た。
本発明は、この知見に基づいて、
1.空気の存在下、水にエネルギーを供与することにより窒素化合物、炭素化合物を合成することを特徴とする、窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
2.エネルギー供与が熱であることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
3.水がイオン交換水、あるいは塩類、金属、天然の岩石あるいは砂礫、天然由来の素材を混入させた溶液あるいは懸濁液であることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
4.天然由来の素材が、シリカゲル、ゼオライト、タルク、アルミナ、活性白土、フロリジールまたはこれらを加工したものであることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
5.エネルギー供与がマイクロ波であることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
6.エネルギー供与が超音波であることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
7.エネルギー供与が直流電流であることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
8.エネルギー供与が光であることを特徴とする、1.に記載の窒素化合物、炭素化合物を合成する方法、
を提供するものである。
本発明は、次の点で従来技法とは異なる特徴を持つ。
すなわち、単に水のみ、あるいは水に塩類、金属、天然の砂礫、岩石あるいは天然由来の素材などを入れたものに、エネルギー供与を行うものであり、エネルギー源は熱を始めとする手近なものであることである。常温、常圧を含むあらゆる方法でプロセスが進むことが特徴である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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