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公開番号2025069296
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-30
出願番号2025014757,2023044947
出願日2025-01-31,2012-10-05
発明の名称糖鎖受容体結合ドメインを含む抗原の血漿中からの消失を促進する抗原結合分子
出願人中外製薬株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/00 20060101AFI20250422BHJP(有機化学)
要約【課題】抗原の細胞内への取込が促進された抗原結合分子、血漿中の抗原濃度の減少を促進させることができる抗原結合分子、複数回抗原に結合できる抗原結合分子、薬物動態が改善された抗原結合分子、当該抗原結合分子を含む医薬組成物、およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】糖鎖受容体結合ドメインを含み、血漿中でのpHにおける抗原結合活性と比較して早期エンドソーム内でのpHにおける抗原結合活性が弱い抗原結合分子、ならびに当該抗原結合分子を含む医薬組成物、およびそれらの製造方法が提供される。本願発明の抗原結合分子を用いることにより、抗原の細胞内への取込が促進されるとともに、1分子の抗体が結合できる抗原の数を増加させることが可能になり、抗体の投与により血漿中の抗原減少を促進するとともに、抗体の薬物動態を長くすることが可能となる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連する出願
本出願は,日本特許出願2011-221400(2011年10月5日出願)に基づく優先権を
主張しており,この内容は本明細書に参照として取り込まれる。
続きを表示(約 3,000 文字)【0002】
技術分野
本発明は、抗原の細胞内への取込が促進された抗原結合分子、血漿中の抗原濃度の減少
を促進させることができる抗原結合分子、複数回抗原に結合できる抗原結合分子、薬物動
態が改善された抗原結合分子、当該抗原結合分子を含む医薬組成物、およびそれらの製造
方法に関する。
【背景技術】
【0003】
抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている
。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されて
いる(非特許文献1、非特許文献2)。一方、第二世代の抗体医薬に適用可能な技術とし
て様々な技術が開発されており、エフェクター機能、抗原結合能、薬物動態、安定性を向
上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されている(非特許文献
3)。抗体医薬は一般に投与量が非常に高いため、皮下投与製剤の作製が困難であること
、製造コストが高いこと等が課題として考えられる。抗体医薬の投与量を低減させる方法
として、抗体の薬物動態を向上する方法と、抗体と抗原の親和性(アフィニティー)を向
上する方法が考えられる。
【0004】
抗体の薬物動態を向上させる方法として、定常領域の人工的なアミノ酸置換が報告され
ている(非特許文献4、5)。抗原結合能、抗原中和能を増強させる技術として、アフィ
ニティーマチュレーション技術(非特許文献6)が報告されており、可変領域のCDR領域
などのアミノ酸に変異を導入することで抗原への結合活性を増強することが可能である。
抗原結合能の増強によりin vitroの生物活性を向上させる、あるいは投与量を低減する
ことが可能であり、さらにin vivoでの薬効を向上させることも可能である(非特許文献
7)。
【0005】
一方、抗体一分子あたりが中和できる抗原量はアフィニティーに依存し、アフィニティ
ーを強くすることで少ない抗体量で抗原を中和することが可能であり、様々な方法で抗体
のアフィニティーを強くすることが可能である(非特許文献6)。さらに抗原に共有結合
的に結合し、アフィニティーを無限大にすることができれば一分子の抗体で一分子の抗原
(2価の場合は2抗原)を中和することが可能である。しかし、これまでの方法では一分
子の抗体で一分子の抗原(2価の場合は2抗原)の化学量論的な中和反応が限界であり、
抗原量以下の抗体量で抗原を完全に中和することは不可能であった。つまり、アフィニテ
ィーを強くする効果には限界が存在していた(非特許文献9)。中和抗体の場合、その中
和効果を一定期間持続させるためには、その期間に生体内で産生される抗原量以上の抗体
量が投与される必要があり、上述の抗体の薬物動態向上、あるいは、アフィニティーマチ
ュレーション技術だけでは、必要抗体投与量の低減には限界が存在していた。そのため、
抗原量以下の抗体量で抗原の中和効果を目的期間持続するためには、1つの抗体で複数の
抗原を中和する必要がある。これを達成する新しい方法として、最近、抗原に対してpH依
存的に結合する抗体が報告された(特許文献1)。抗原に対して血漿中の中性条件下にお
いては強く結合し、エンドソーム内の酸性条件下において抗原から解離するpH依存的抗原
結合抗体はエンドソーム内で抗原から解離することが可能である。pH依存的抗原結合抗体
は、抗原を解離した後に抗体がFcRnによって血漿中にリサイクルされると再び抗原に結合
することが可能であるため、1つの抗体で複数の抗原に繰り返し結合することが可能とな
る。
【0006】
また、抗原の血漿中滞留性は、FcRnに結合してリサイクルされる抗体と比較して非常に
短い。このような血漿中滞留性が長い抗体がその抗原に結合すると、抗体抗原複合体の血
漿中滞留性は抗体と同様に長くなる。そのため、抗原は抗体と結合することにより、むし
ろ血漿中滞留性が長くなり、血漿中抗原濃度は上昇する。このような場合、抗体の抗原に
対するアフィニティーを向上させても抗原の血漿中からの消失を促進することはできない
。上述のpH依存的抗原結合抗体は、通常の抗体と比較して抗原の血漿中からの消失を促進
する方法としても有効であることが報告されている(特許文献1)。
【0007】
このようにpH依存的抗原結合抗体は一つの抗体で複数の抗原に結合し、通常の抗体と比
較して抗原の血漿中からの消失を促進することができるため、通常の抗体では成し得なか
った作用を有する。しかしながら、これまでにこのpH依存的抗原結合抗体の抗原に繰り返
し結合できる効果、および、抗原の血漿中からの消失を促進する効果をさらに向上させる
抗体工学の手法は報告されていない。
【0008】
一方で、血漿中に存在する糖たんぱく質は、その糖鎖特異的な受容体に結合し、血漿中
から消失する(非特許文献10)。このとき糖たんぱく質は、細胞表面に存在する糖鎖受
容体に結合して細胞内に取り込まれ、細胞内で糖鎖受容体と解離したのちリソソームによ
って分解されるが、糖鎖受容体は再び細胞表面にリサイクルされることが知られている。
すなわち、この糖タンパク質と糖鎖受容体は、血漿中の中性条件下においては強く結合し
、エンドソーム内の酸性条件下においては解離するpH依存的な結合能を有している(非特
許文献11、非特許文献12)。このような糖タンパク質と糖鎖受容体のpH依存的な結合
には、糖たんぱく質に付加された糖鎖が関与しており、そのような糖鎖と糖鎖受容体の例
として、N結合型糖鎖のうち末端にガラクロースを有する糖鎖とアシアログリコプロテイ
ンレセプター(非特許文献11)、末端にマンノースを有する糖鎖とマンノースレセプタ
ー(非特許文献12)などが挙げられる。
【0009】
このようなN結合型糖鎖の性質から、抗体を含むバイオ医薬品において機能上不要なN結
合型糖鎖を付与することは、その薬効あるいは血漿中滞留性維持の観点から好ましくない
と考えられており(非特許文献13、14)、抗原の血漿中からの消失を促進する効果を
さらに向上させる目的として実施された例はない。
【0010】
本明細書において引用される参考文献は以下のとおりである。これらの文献に記載され
る内容はすべて本明細書に参照として取り込まれる。これらの文献のいずれかが、本明細
書に対する先行技術であると認めるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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