発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いる地上デジタル放送の復調装置およびプログラムに関する。 続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】 【0002】 近年、地上デジタル放送では、伝送方式として、マルチパス妨害に強いOFDM方式が採用されている。地上デジタル放送のOFDM信号は、数千~数万という非常に多くの互いに直交するサブキャリアで構成されており、伝送帯域内で矩形な形状のスペクトルを有する。一方、OFDM信号の時間波形は、白色ガウス雑音とほぼ同じであり、平均電力とピーク電力との比が大きい、すなわち、ピーク率の高い波形になっている。こうした多数のサブキャリアで構成され、ピーク率が高いOFDM信号を増幅する場合、増幅器の直線性が悪い(非線形特性を有する)と、それぞれのサブキャリアの間に相互変調が生じて干渉妨害を引き起こすことがある。そのため、直線性の優れた増幅器を使用する必要がある。 【0003】 増幅器の直線性を確保する方法としては、増幅器の入力バックオフ(増幅器の出力が飽和する入力レベルと、実際に入力する信号レベルとの比、dB表示では差)を大きくとって、増幅器の入出力特性の直線性のよい領域を使用する方法がある。しかしながら、この方法では、増幅器の効率(増幅器に与える電力と取り出される出力信号の電力との比)が低く、増幅器の消費電力が大きく、発熱量も多くなる。 【0004】 この問題を解決する方法として、プリディストーション方式あるいはフィードフォワード方式の非線形歪み補償機能付きの電力増幅器が開発され、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式による日本の地上デジタル放送の送信機で使用されている。一方、こうした増幅器の非線形特性による特性劣化を軽減するアプローチとして、信号処理によりOFDM信号のピーク率を抑圧する様々な手法(PAPR(Peak to Average Power Ratio)低減手法)が考案されている。その代表的な手法として、TR(Tone Reservation)法と、ACE(Active Constellation Extension)法とがあり、欧州の第2世代地上デジタル放送方式であるDVB-T2および米国の地上デジタル放送方式であるATSC-3.0などで採用されている(非特許文献1-3参照。)。日本の次世代地上デジタル放送方式(地上高度化方式とも呼ばれている)においても、こうしたPAPR低減手法の導入が望まれている。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0005】 DVB Document A133 Implementation guidelines for a second generation digital terrestrial television broadcasting system (DVB-T2) DVB Document A122 Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital terrestrial television broadcasting system (DVB-T2) ATSC Standard: Physical Layer Protocol Doc. A/322:2017 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ACE法には、1D-ACE法と2D-ACE法という2つの手法がある。1D-ACE法は、コンスタレーションが、信号点が均一に配置されたUC(Uniform Constellation)、および、信号点が一次元に不均一に配置された1D-NUC(1 dimension Non Uniform Constellation)のOFDM信号(「1D-ACE信号」と称することがある。)に適用される。2D-ACE法は、コンスタレーションが、信号点が二次元に不均一に配置された2D-NUC(1 dimension Non Uniform Constellation)のOFDM信号(「2D-ACE信号」と称することがある。)に適用される。いずれの手法も、SP(Scattered Pilot)およびCP(Continual Pilot)のようなパイロットシンボル、および、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)およびLchのような制御シンボルを除く、伝送データによって変調されたキャリアシンボル(「データシンボル」ともいう。)に適用される。 【0007】 図1は、1D-ACE法の信号処理系統100を示す図である。図2は、2D-ACE法の信号処理系統200を示す図である。まず、図1を参照して、1D-ACE法による信号処理について説明する。 【0008】 伝送データによって変調されたキャリアシンボル(データシンボル)、パイロットシンボル(SP,CP)および制御シンボル(TMCC、付加情報を伝送するLch)で構成されるOFDMフレームがIFFT部101に入力される。IFFT部101は、OFDMフレームに含まれるキャリアシンボル(以下、「原キャリアシンボル」と称する。)を、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)によって時間領域波形に変換し、アップサンプリング部102に出力する。 【0009】 IFFT部101から出力された時間領域波形は、アップサンプリング部102および補間フィルタ103による、ゼロ内挿によるアップサンプリングおよび補間フィルタ処理により、サンプリング周波数を4倍にオーバーサンプリングした時間領域波形に変換される。オーバーサンプリングされた時間領域波形は、時間領域クリップ処理部104に入力される。 【0010】 時間領域クリップ処理部104は、オーバーサンプリングされた時間領域波形を、予め定められた信号振幅値(以下、「ACEクリップレベル」と称する。)でクリップする(以下、「ACEクリップ処理」と称する。)。すなわち、時間領域クリップ処理部104は、ACEクリップレベルを超える時間領域波形を、ACEクリップレベルに抑制する。時間領域クリップ処理部104は、ACEクリップ処理した時間領域波形を前置フィルタ105に出力する。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する