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公開番号2025057850
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-09
出願番号2023167641
出願日2023-09-28
発明の名称塩素除去方法及び塩素除去システム
出願人太平洋セメント株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B09B 3/80 20220101AFI20250402BHJP(固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生)
要約【課題】簡易な方法で、二酸化炭素含有ガスを供給するための配管に生成した付着物を除去して、該配管が閉塞することを防ぎ、安定的に塩化物含有灰から塩素成分を除去することができる塩素除去方法を提供する。
【解決手段】塩化物含有灰から塩素を除去するための方法であって、塩化物含有灰と水を混合して、第一のスラリーを得るスラリー調製工程と、第一のスラリー内に二酸化炭素含有ガスを供給するための炭酸ガス供給路を用いて、第一のスラリー内に二酸化炭素含有ガスを供給することで、塩化物含有灰に含まれる塩素成分を水に浸出させて、第二のスラリーを得る炭酸ガス供給工程と、炭酸ガス供給路の出口近傍内部に酸性溶液を流通させることで、炭酸ガス供給路の出口近傍に付着した付着物を除去する付着物除去工程、を含む塩素除去方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
塩化物含有灰から塩素を除去するための方法であって、
上記塩化物含有灰と水を混合して、第一のスラリーを得るスラリー調製工程と、
上記第一のスラリー内に二酸化炭素含有ガスを供給するための炭酸ガス供給路を用いて、上記第一のスラリー内に上記二酸化炭素含有ガスを供給することで、上記塩化物含有灰に含まれる塩素成分を上記水に浸出させて、第二のスラリーを得る炭酸ガス供給工程と、
上記炭酸ガス供給路の出口近傍内部に酸性溶液を流通させることで、上記炭酸ガス供給路の出口近傍に付着した付着物を除去する付着物除去工程、
を含むことを特徴とする塩素除去方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
固液分離装置を用いて、上記第二のスラリーに対して固液分離を行い、上記塩化物含有灰から上記塩素成分を除去処理してなる固形分、及び、上記塩素成分を含む水を得る固液分離工程を含む請求項1に記載の塩素除去方法。
【請求項3】
上記固液分離装置を、酸性の洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程と、
上記固液分離装置の洗浄に用いた上記洗浄液を、廃洗浄液として回収する廃洗浄液回収工程を含み、
上記付着物除去工程において、上記酸性溶液の少なくとも一部として、上記廃洗浄液を用いる請求項2に記載の塩素除去方法。
【請求項4】
上記付着物除去工程において、上記酸性溶液の流通を、上記炭酸ガス供給路の出口の閉塞の程度、上記二酸化炭素含有ガスの単位時間当たりの供給量、及び上記二酸化炭素含有ガスの圧力の中から選ばれる少なくとも1種以上に基いて調整する請求項1に記載の塩素除去方法。
【請求項5】
上記二酸化炭素含有ガスとして排ガスを用いる請求項1に記載の塩素除去方法。
【請求項6】
塩化物含有灰から塩素を除去するための塩素除去システムであって、
上記塩素除去システムが、上記塩化物含有灰及び水を含む第一のスラリーを収容するためのスラリー槽と、
上記第一のスラリー内に二酸化炭素含有ガスを供給することで、上記塩化物含有灰に含まれる塩素成分を上記水に浸出させて、第二のスラリーを得るための炭酸ガス供給路と、
上記炭酸ガス供給路の出口近傍内部に酸性溶液を流通させることで、上記炭酸ガス供給路の出口近傍に付着した付着物を除去するための酸性溶液供給装置を含むことを特徴とする塩素除去システム。
【請求項7】
上記第二のスラリーに対して固液分離を行い、上記塩化物含有灰から塩素成分を除去処理してなる固形分、及び、上記塩素成分を含む水を得るための固液分離装置を含む請求項6に記載の塩素除去システム。
【請求項8】
上記酸性溶液供給装置が、上記固液分離装置の洗浄に用いた酸性の洗浄液を、廃洗浄液として貯留するための廃洗浄液貯留槽と、
上記廃洗浄液貯留槽から、上記廃洗浄液を上記炭酸ガス供給路の出口近傍内部に供給するための酸性溶液供給路を含む請求項7に記載の塩素除去システム。
【請求項9】
上記固液分離装置を洗浄するための酸性の洗浄液を貯留するための洗浄液貯留槽と、上記固液分離装置に上記酸性の洗浄液を供給するための洗浄液供給路を有する洗浄装置を含む請求項8に記載の塩素除去システム。
【請求項10】
上記廃洗浄液を上記洗浄液貯留槽に供給するための廃洗浄液供給路を含む請求項9に記載の塩素除去システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化物含有灰から塩素を除去するための塩素除去方法及び塩素除去システムに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
一般廃棄物又は産業廃棄物のごみ等を焼却する際に発生する焼却灰、及び、セメント製造工場から発生するクリンカダスト等は、廃棄物の資源化や環境保護の観点から、セメント原料として有効に再利用されている。
一方、焼却灰やクリンカダスト等には塩素が含まれている場合がある。塩素はセメントの品質の低下や、セメントの製造装置の正常運転の妨げになるため、塩素を含む焼却灰等の塩化物含有灰をセメントの原料として使用する前に、上記塩化物含有灰に対して脱塩処理を行う必要がある。
ここで、塩化物含有灰中の塩素は、水に可溶性の塩素(例えば、塩化カルシウム、塩化カリウム等)、又は、水に難溶性の塩素(例えば、フリーデル氏塩等)として存在している。
塩素含有灰から効率的に水に可溶性及び難溶性の塩素を除去することが可能になる方法として、特許文献1には、塩素含有灰に水を加えて撹拌洗浄する洗浄工程と、この洗浄工程を経た灰スラリーに高分子凝集剤を加えて沈降分離する灰スラリーの濃縮工程と、この濃縮工程から排出された灰の濃縮スラリーを真空ベルトフィルターによって脱水する第1の脱水工程と、この脱水工程から排出された灰の脱水ケーキを水で分散して二酸化炭素含有ガスを加えるとともに加温する高度脱塩工程と、この高度脱塩工程を経たスラリーをフィルタープレスで脱水して洗浄灰ケーキとする第2の脱水工程とを備えることを特徴とする塩素含有灰の処理方法、が記載されている。
【0003】
また、ガス吹込口が閉塞しないので、二酸化炭素ガスを安定に吹き込むことができ、継続して脱塩効果を進めることができるシステムとして、特許文献2には、塩素含有灰が水洗浄される洗浄槽、水洗浄された塩素含有灰が脱塩処理される脱塩槽、脱塩用ガスを上記脱塩槽に供給する脱塩用ガス供給手段、および上記脱塩槽から排出された脱塩灰スラリーを洗浄する洗浄水が流れる脱水洗浄機を有し、上記脱塩用ガス供給手段は二酸化炭素貯槽および塩酸貯槽を有し、2vol%以上~50vol%以下の塩化水素と二酸化炭素ガスの混合ガスからなる脱塩用ガスが上記脱塩槽に供給され、該脱塩用ガスの吹込口周囲のスケールの析出を抑制しつつ上記塩素含有灰の脱塩処理が行われることを特徴とする塩素含有灰の脱塩システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第6252653号公報
特許第7234775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塩化物含有灰中の塩素を除去する目的で、塩化物含有灰を含むスラリーに二酸化炭素含有ガスを供給した場合、二酸化炭素含有ガスを供給するための配管に炭酸カルシウム等のスケール(付着物)が生成された結果、上記配管がスケールによって閉塞して、安定的な運転が困難になるという問題がある。
本発明の目的は、簡易な方法で、二酸化炭素含有ガスを供給するための配管に生成した付着物を除去して、該配管が閉塞することを防ぎ、塩化物含有灰から安定的に塩素を除去することができる塩素除去方法及び塩素除去システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、塩化物含有灰と水を混合して第一のスラリーを得る工程と、第一のスラリー内に炭酸ガス供給路を用いて二酸化炭素含有ガスを供給することで、塩化物含有灰に含まれる塩素成分を水に浸出させる工程と、炭酸ガス供給路の出口近傍内部に酸性溶液を流通させることで、炭酸ガス供給路の出口近傍に付着した付着物を除去する工程を含む方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]を提供するものである。
[1] 塩化物含有灰から塩素を除去するための方法であって、上記塩化物含有灰と水を混合して、第一のスラリーを得るスラリー調製工程と、上記第一のスラリー内に二酸化炭素含有ガスを供給するための炭酸ガス供給路を用いて、上記第一のスラリー内に上記二酸化炭素含有ガスを供給することで、上記塩化物含有灰に含まれる塩素成分を上記水に浸出させて、第二のスラリーを得る炭酸ガス供給工程と、上記炭酸ガス供給路の出口近傍内部に酸性溶液を流通させることで、上記炭酸ガス供給路の出口近傍に付着した付着物を除去する付着物除去工程、を含むことを特徴とする塩素除去方法。
【0007】
[2] 固液分離装置を用いて、上記第二のスラリーに対して固液分離を行い、上記塩化物含有灰から上記塩素成分を除去処理してなる固形分、及び、上記塩素成分を含む水を得る固液分離工程を含む前記[1]に記載の塩素除去方法。
[3] 上記固液分離装置を、酸性の洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程と、上記固液分離装置の洗浄に用いた上記洗浄液を、廃洗浄液として回収する廃洗浄液回収工程を含み、上記付着物除去工程において、上記酸性溶液の少なくとも一部として、上記廃洗浄液を用いる前記[2]に記載の塩素除去方法。
[4] 上記付着物除去工程において、上記酸性溶液の流通を、上記炭酸ガス供給路の出口の閉塞の程度、上記二酸化炭素含有ガスの単位時間当たりの供給量、及び上記二酸化炭素含有ガスの圧力の中から選ばれる少なくとも1種以上に基いて調整する前記[1]~[3]のいずれかに記載の塩素除去方法。
[5] 上記二酸化炭素含有ガスとして排ガスを用いる前記[1]~[4]のいずれかに記載の塩素除去方法。
【0008】
[6] 塩化物含有灰から塩素を除去するための塩素除去システムであって、上記塩素除去システムが、上記塩化物含有灰及び水を含む第一のスラリーを収容するためのスラリー槽と、上記第一のスラリー内に二酸化炭素含有ガスを供給することで、上記塩化物含有灰に含まれる塩素成分を上記水に浸出させて、第二のスラリーを得るための炭酸ガス供給路と、上記炭酸ガス供給路の出口近傍内部に酸性溶液を流通させることで、上記炭酸ガス供給路の出口近傍に付着した付着物を除去するための酸性溶液供給装置を含むことを特徴とする塩素除去システム。
[7] 上記第二のスラリーに対して固液分離を行い、上記塩化物含有灰から塩素成分を除去処理してなる固形分、及び、上記塩素成分を含む水を得るための固液分離装置を含む前記[6]に記載の塩素除去システム。
[8] 上記酸性溶液供給装置が、上記固液分離装置の洗浄に用いた酸性の洗浄液を、廃洗浄液として貯留するための廃洗浄液貯留槽と、上記廃洗浄液貯留槽から、上記廃洗浄液を上記炭酸ガス供給路の出口近傍内部に供給するための酸性溶液供給路を含む前記[7]に記載の塩素除去システム。
[9] 上記固液分離装置を洗浄するための酸性の洗浄液を貯留するための洗浄液貯留槽と上記固液分離装置に上記酸性の洗浄液を供給するための洗浄液供給路を有する洗浄装置を含む前記[8]に記載の塩素除去システム。
[10] 上記廃洗浄液を上記洗浄液貯留槽に供給するための廃洗浄液供給路を含む前記[9]に記載の塩素除去システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塩素除去方法及び塩素除去システムによれば、簡易な方法で、二酸化炭素含有ガスを供給するための配管に生成した付着物を除去して、該配管が閉塞することを防ぎ、塩化物含有灰から安定的に塩素を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
廃洗浄液貯留槽及び洗浄液貯留槽を含む、本発明の塩素除去システムの一例を模式的に示す図である。
廃洗浄液貯留槽を含みかつ洗浄液貯留槽を含まない、本発明の塩素除去システムの一例を模式的に示す図である。
廃洗浄液貯留槽及び洗浄液貯留槽を含まない、本発明の塩素除去システムの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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